hirax.net::Keywords::「ダイアログ」のブログ



2006-05-06[n年前へ]

複数画面+ノートPCでAdobeソフト使用時の問題点 

 普段ノートPCで作業をしている。大画面液晶ディスプレイと組み合わせて、デュアルディスプレイで作業をすることも多い。また、PCIビデオカードを挿したドックに接続することで、3つのディスプレイを使いながら作業をすることも多い。もちろん、ノートPCだけで作業をするときは、ノートPCの液晶画面だけを使う。
 大(複数)画面を使うのは、Adobeのソフトを組み合わせた作業をする時が多い。どうしても作業の際のに表示する必要があるWindowが増えてしまうので、広い画面を使う必要があるからだ。ところが、そんなAdobeのソフトと複数画面を使うノートPCの組み合わせで、「ダイアログ位置」の問題が生じることがある。
 Adobeのソフトはダイアログの位置を保存していて、前回と同じように出すことにしているものが多い。マルチディスプレイでダイアログを出すような作業をし(ファイルを開く、ファイルを保存する、など)、次に(ソフトを立ち上げて)作業をした時に、ダイアログが(その瞬間に存在する)画面の外の「どこか」にとんでもないサイズで出現してしまったりすることがあるのだ。そんな時は、しょうがないから、ダイアログの内部配置の記憶を頼りにキーボードだけでブラインド操作をしたり、四苦八苦してダイアログ出現位置を元に戻すことになる。他の人はどう対処しているんだろうか?ノートPCで外部ディスプレイを使ってAdobeソフトを使う他の方はどう対処しているのだろうか?

2006-12-24[n年前へ]

「逆さメガネ」 

「逆さメガネ」

(2006.12.24)

奇妙な世界

 逆さメガネというものがある。言葉の通り、それは単に上下を「逆さ」に反転した世界を眺めることができるメガネだ。そのメガネをかけた瞬間から、青空は、私たちの足下に広がる底なし沼に姿を変えてしまうし、アスファルトに覆われた地面は、私たちの頭上を圧迫するかのように覆う天井のように見えることになる。そして、道路を歩く人々は、頭上を覆うアスファルトに足を貼り付け、コウモリのようにぶら下がりながら歩く奇怪な動物に変身してしまう。そんな風に、逆さメガネをかけると、目の前の世界がそんな異次元空間に変化してしまう。

 とはいっても、逆さメガネをかけて2週間も生活もすれば、人の脳はその「奇妙な異次元空間」に慣れてしまうらしい。そして、これまで眺めていた景色と同じ上下関係の世界、すなわち、正立した空間として外界が認識されてくるのだという。それどころか、その時点で、もしも逆さメガネを外したりしたなら、「いつもの世界」こそが逆さまの不思議な風景に見えてしまうともいう。

暗闇

 今年の夏、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク "Dialogue in the Dark"」というイベントを体験してきた。一ヶ月間だけしか開催されず、しかも一日八人二十組だけしか参加できない、というイベントだ。イベントの主催者の紹介文をそのまま引用すれば、それは『日常生活のさまざまな環境を織り込んだまっくらな空間を、聴覚、触覚、嗅覚、味覚など、視覚以外の感覚を使って体験する、ワークショップ形式の暗闇のエンターテイメント』ということになる。その内容を、もう少し具体的に言ってしまえば、『案内人に導かれつつ、八人一組で完全に真っ暗な世界を散策して回る』というものだ。

 参加者は、明るいロビーで開演を待ち、指定時間になると八人ほどが小さな部屋に呼ばれる。そして、カーテンで仕切られたいくつもの部屋を経て、真っ暗な世界へと近づいていく。最初の部屋で、私たち参加者は白い杖を渡される。そして、完全に暗い世界の入り口で、暗闇の世界の中で私たちを導き歩く案内人と会い、その声に誘われるまま、暗黒の世界に足を踏み入れていく。

 完全な暗闇、光がひとかけらもない世界で私は色々なものに遭遇した。人だと勘違いして、目の前に立つ電信柱や木々に向かい、ずっと話しかけていたりしたこともあった。あるいは、周りにいたはずの参加者たちがずっと先に行ってしまい、真っ暗な林の中で一人取り残されてしまったりもした。そんな時は、いつも、案内人が助けてくれた。例えば、私が少し疲れて休んでいると、その気配を察したのか、案内人は私の名前を呼び「~さん、大丈夫ですか?」と声を掛けたりもした。いつも、案内人は私たちの声を聞き、私たちの場所を見つけ、私たちが進むべき方向を教えてくれた。

順応

 一時間より少し長いくらいの時間を、私たちは光が全く存在しない世界で過ごした。夏の田舎祭りを心から楽しみ、里山を恐る恐る散策し、疲れたら祖父母の家で休んだりした。時には屋台でソース煎餅を食べ、時にはバーに入ってドリンクを飲む。私たちの周りを転がっていく大小の音に心から耳を澄ませ、顔を撫でていく空気の流れを皮膚全体で感じ、微かに薫る匂いに想像力を働かせる。そんな違う感覚で味わう世界に、私は慣れていった。

 それは、その世界が普通に見えてきた、ということだったように思う。光が全くない「逆さまな世界」に、ほんの少しづつ、私は順応していった。「ものを見ることができない自分」に慣れ、「他の人に助けられながら恐る恐る前に進む自分」に慣れ、いつでも自由自在に動き廻る案内人に導かれることで、私はその世界の中を半歩づつ歩んでいった。

 一時間より少し長いくらいの時間が過ぎ、私たちはその暗闇の世界を出ることになった。暗闇の世界から、いくつもの部屋を経て、どこからか少しづつ光が溢れてくる世界に向け、私たちは移動していった。最後の防護壁のような分厚い暗幕を空けて、光が満ちる廊下へ出ると、私たち参加者は椅子が丸く並べられた部屋に入った。私たち八人が適当に椅子にバラバラに座っていると、最後に案内人がその部屋の入り口に姿を現し、私たちに言った。

上下感覚

「どなたか、空いている椅子の場所まで私を案内して頂けますか?」「どの椅子が空いているのか、わからないんです」白杖を持った彼女は微笑みながら、そう私たちに頼んだ。

 彼女の言葉を聞いて、私はまるで地面が反転したような不思議な感じを覚えた。世界の水平感覚、あるいは、上下感覚といったものをふと見失ったような感じがした。

 彼女が白杖を持ち慣れている人だろうということは、暗闇の世界を歩いている時から当たり前のように感じていた。彼女が部屋に入ってきた瞬間に、彼女が全盲なのだということも目に見えてわかっていた。だから、彼女が全盲だったということでなく、彼女の口にした言葉が、彼女が私たちに何かを頼んでいるということが、何か不思議な違和感を感じさせたのだと思う。

 その瞬間に私が見ていたのは、いつも私が眺めていた風景だ。光を発するものに目を向けさえすれば、手が届く近くのものも、あるいは百万光年の彼方に輝く星も、あらゆるものが見える当たり前の世界によくある景色だ。白杖を持つ人が部屋に入ってくれば、、その杖の持ち手の視力が高くないことがわかり、部屋に入って見渡せば、どの椅子が空いているのかが一瞬でわかる世界だ。その世界で、白杖を手にする人が誰かに何かを頼んでいる、それは確かに決して珍しくはない、よくあることだったと思う。

 しかし、ほんのさっきまで「たとえるなら、千里眼を備えるかのように私たちを連れ歩いてくれていた彼女」が、手が届く場所にある椅子が空いているかどうかがわからず、私たちに案内を頼んでいる。その景色は、私にとって、何だかとても変で奇妙な逆さまの奇妙な世界に見えた。彼女は私たちが助けを求め、私たちが何かを頼む相手だと、私は感じていた。彼女は私たちに何かを頼む存在ではなかったはずなのに…と、戸惑いを感じた。

 そんな、腑に落ちない少しの違和感を抱えたまま、会場を出て明るい世界を歩いた。

相対的な世界

 しばらくして、こう考えた。私は、光のない世界の中で案内人だった彼女と出会った。だから、私は彼女がいつでも世界を自由自在に動くことができる存在なんだと感じていたのではないだろうか。もしも、彼女と最初に出会った場所が別の状況、たとえば「光と障害物があふれる世界」であったとしたら、私はまた違う戸惑いを受けていたのかもしれない。もしかしたら、私は、光がない世界を自由自在に動く彼女たちに驚きを覚えたりしたかもしれない。何で、明るい世界での動きと違ってこんなに自由自在に動くことができるのだろう、と感じたりしていたのかもしれない。それは、最初に出会った世界での印象に強く影響を受けていた、ということなのだろう。ひとことで言えば、つまり「先入観」だ。

 助けるだけの存在がありえないように、助けられるだけの存在というものもきっとない。私たちが立つ空間に、絶対的な上や下という方向が存在しないように、全知全能の神もきっとこの世界には存在しない。少なくとも、人という生き物はそんな存在ではありえない。色々な状況の世界が数限りなく存在していて、私たちはその上下軸を定めようがない相対的な世界の中で、それぞれがそれぞれの方向を向いて立っているのだと思う。

 「光がなくなる」という逆さメガネを私はかけ、一片の光もない真っ暗な世界で少しの時間を過ごした。その世界に順応した後に、逆さメガネを外して、これまで暮らしていた世界に戻った瞬間、私は小さな混乱を感じ、小さな発見をした。そして、これまで眺めていたつもりの世界や人々が違う姿に見えてみたように思う。

 このメガネを色んな人がかけてみることができるのであれば、それが何より一番いい。ただ、今のところ、このイベントは残念ながら常時行われているわけではないので、このメガネを誰もが気軽にかけることができそうにない。だから、私が見た「逆さメガネ」の世界を、ここに書いてみた。

2008-04-05[n年前へ]

「PowerPoint」から「他アプリケーション」を立ち上げる時のTips 

 WindowsでPowrePointで動画を使ったプレゼンテーションを行う時に問題になることは結構あるように思います。「動画のエンコーダ(展開プログラム)」「外部・内部ディスプレイ(もしくはプライマリ or セカンダリ以降のディスプレイ)の機能の違いやソフトウエア制限」「複数の動画再生をしたい」「(外部アプリケーションを使って)動画を再生した場合にPowerPointへの画面復帰が不自然になったりする」という辺りで、よく困ることがあります。

 「動画のエンコーダ」や「複数の動画の再生を簡単にしたい」という場合に便利なのが、次のようなMS-DOSのバッチファイルを書き、さらにそのバッチファイルのショートカットを作ることで、PowerPointのオブジェクト(たとえば画像など)をクリックし、バッチファイル(へのショートカット)を呼び出す、というテクニックです。

start "" "C:\Program Files\QuickTime\QuickTimePlayer.exe" "C:\s1.avi"
start "" "C:\Program Files\QuickTime\QuickTimePlayer.exe" "C:\s2.avi"
 上のようなバッチファイル(へのショートカット)を使えば、QuickTimePlayerをPowerPointから複数立ち上げて、複数のAVIファイルを同時に並べて再生することができます。

 バッチファイルを直接呼び出すのではなく、ショートカットを作り呼ぶようにするのは、コマンドプロンプトを表示させないようにするためです。右に示すダイアログ画面のように、バッチファイルの「ショートカットの実行時のプロパティ」を「最小化」にしておけば、QuickTimePlayer.exeを立ち上げるコマンドプロンプト(のような余計なもの)を聴衆に見せずにすみます。

 というわけで、これは「バッチファイルのショートカットを(プロパティを設定した上で)使う」というPowerPointから他アプリを使う時のTipsです。もちろん、PowerPointから他アプリを使う時でなくとも、複数のアプリケーションや動画などを一瞬で同時に立ち上げるときにも便利かもしれません。

バッチファイルのショートカットオブジェクトの動作設定






2008-06-09[n年前へ]

Photoshopプラグイン開発環境(PDLS)再び 

 Photoshopプラグイン開発環境 Photoshop DLL Linking System (PDLS) のページを(旧Pukiwiki)のファイルを元に書き直しました。PDFの説明ファイルの2004/08/07版はこちらになります。また、サンプルソース・バイナリファイルはこちらです。

 AmetMultiのモットーは「ATOKから何でもできる」でしたが、PDLSのモットーは「Photoshopから(その人のレベルに応じて)何でもできる」でした。(Photoshopの規約は気にせず)Cを使ってネイティブ・プラグインを気軽に書くこともできれば、GUIを使った連続作業などで自動的にマクロ関数(プラグイン)をお手軽に作ることもできる。その人のレベルに応じて、ステップアップすることができるPhotoshopのプラグイン開発環境というわけです。

 マクロ関数やネイティブ・プラグインを組み合わせれば、さらにカスタムプラグインを作ることもできます。また変数を使ったり演算や数式処理も使えて、NEWやDELETEといったマクロを使い、局所領域に対してだけ演算を行うこともできます。そして、マクロプラグインには自動的にGUIをかぶせることもできるのです(GUIコードを書かなくても、ダイアログで変数設定などを実行時にすることができる)。

 また、表計算アプリとの連携や鳥瞰図表示のプラグインもついている……というテキトーな機能てんこ盛り、の環境です。Photoshop Elementなんかで使うこともできますので、画像処理で遊んでみたい人は一度使ってみても良いかもしれません。いつものように、SYSTEMコールもできるプラグインなので、つまりは何でもし放題のプラグイン環境です。使ったことのないPhotoshopユーザ(ないしはPhotoshopプラグイン互換の画像処理ソフトユーザ)は一度遊んでみると良いかもしれません。

PDLSPDLSPDLSPDLS






2008-07-18[n年前へ]

エクセルでシミュレーション Vol.1 [静電界準備 編] 

 「表計算プログラムでシミュレーションをする」というのは、物理などにそれほど詳しくない人が、複雑な数式で記述された世界を感覚的を大雑把に・感覚的に理解するのに、とても向いています。もちろん、そこには、かなり単純であることなどの前提条件がいくつもあります。けれど、自分のコンピュータで、マウスを動かしキーボードを少し叩くだけで、物理シミュレーションができたりすると何だか少し嬉しくなりますし、その計算過程を通して、「自然なこの世界」を「自然に」納得できる、というのは(私たちのような勉強世界からの REST OF US にとっては)とても素晴らしいと思います。

 ところで、現在では”表計算プログラム=マイクロソフトのエクセル(Microsoft Excel)”だと考える人も多いことでしょう。だから、上に書いたことを言い換えれば、「エクセルでシミュレーションをする」のは、とても楽しい勉強になるということになります。

 自分自身でエクセルでシミュレーションをすることもたまにあります。また、「エクセルで物理現象のシミュレーションをする」という趣旨の講習会にも、何回も関わってきました。ふと、そういった場で得たことを一回整理してみようと思いました。そこで、一番初めの今日は、「静電界を記述するポワソン方程式をエクセルで計算するための前準備(事前確認)」をしてみました。

 まず、静電場を記述するポワソン方程式をテーラ級数展開することで離散化し、差分方程式に変えてみます。2次元世界を離散化するということは、エクセルの表がそうであるように「世界(画面)をセルで分割する」ということです。


 この離散化された後の差分方程式は、つまり「セル間の計算(関係)式」ですから、「2次元静電場を記述するポワソン方程式を、(エクセルの)セル間の計算式で解く」ことができることになります。

 上で(x,y座標空間での)差分方程式にしたものを、さらにエクセル(表計算ソフトウェア)で解くときのやり方を図解したものが下の図です。「ある点の電位(φ)は上下左右の電位の平均にその点の(係数がかかった)空間電荷を加えたもの」になっているわけです。



 また、2種類の境界条件(電位を指定するディリクレ条件/電界を指定するノイマン条件)をどのようにエクセル上で処理するか、というのが下の部分になります。

 こういったセルの値が「(そのセル自身を含む)セル間の関係式」で表わされるような計算式を解くためには、エクセルの設定で「反復計算を行う」という設定を有効にしておく必要があります。エクセルのバージョンによってその設定メニュー場所は違いますが、たとえば、下の画面はExcel 2003の設定ダイアログの例です。

 以上で、「静電界を記述するポワソン方程式をエクセルで計算するための前準備(事前確認)」が終わりましたから、次は実際に「身近な静電界」をエクセルでシミュレーション計算してみたいと思います。

ポワソン方程式の離散化2次元電界を表計算で解くエクセルの反復計算・手動計算のダイアログ設定








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