2009-11-02[n年前へ]
■「マンガ」と「物語」
「ニッポンのマンガ (アエラムック―AERA COMIC) 」に収録されている、萩尾望都×浦沢直樹×夏目房之介という3名による座談中から。下の言葉は、その中にある萩尾望都によるもの。
ではなぜ、人間は物語に魅かれるのか。なぜ物語を求めるんでしょう。生きてると、矛盾したことがいろいろと起こる。「どうして生きてるの」とか、(中略)…ということが日常的にある。
そこに正しい答えはない。でも、物語の中ではさまざまなことが一応整って見えてくる。答えがあるわけじゃないんだけど、道筋は分かる。
2009-11-16[n年前へ]
■「勝ち・負け」と「別視点」
「ユリイカ2009年10月号 特集=福本伸行 『アカギ』『カイジ』『最強伝説 黒沢』…賭けつづけるマンガ家 」が面白かった。西原理恵子特集の時も感じたが、本人が描くテキストとは別の第三者が解説する文章を読むと、色々な深読みの仕方・広がりというものが感じられて良いものだ。
たとえば、これは「勝ち負けと、その先」という副題がつけられた、大槻ケンヂと福本伸行の対談で福本伸行が語る言葉である。
福本:例えばヨーロッパの紳士たちがカジノをするんですけど、それはギャンブルで負けたときでもいかに平静にふるまえるかという鍛錬でもあるんですね。これはさらに言うと・・・死ぬための練習にもなるんです。つまりん、人間がいずれ生物として必ず死ぬように、カジノでは必ず負ける時がくる。
福本:ギャンブルである以上は勝ち負けというのがあるんだけど、でも、そうしたなかで「勝ち負けは大切」ということと、「勝たなければならない」というのに差異があることは自覚的でないといけないと思いますね。
福本:どんなに力をつくしても負けることってどうしてもあるわけで、そうして生まれた結果だけを見て批難するのは明確におかしい。この場合は、マンガ家本人の言葉・解説ではあるが、自分が描くマンガのベースに流れているものを自己解説・批評している文章であり、福本伸行のマンガを読んだ後にこういった文章を読むと、さらに二度三度と繰り返し読み返したくなる。
次の「未来は僕等の手の中」という題の川島章弘の文章だ。「THE BLUE HEARTS 」(ブルーハーツ)のバンド名そのままのファーストアルバムの冒頭一曲目「未来は僕等の手の中」を通じ、福本伸行のマンガを解説する。
「賭博黙示録カイジ」第一話冒頭、断ち切りで画面いっぱいに書かれた文字、「未来は僕らの手の中」。カイジの物語はここから始まる。
ブルーハーツは後に「↑THE HIGH-LOWS↓」に移行するが、カイジは作中でハイロウズのTシャツを着ている。福本がブルーハーツのファンであることは周知の事実である。
おもにブルーハーツでは、強さ弱さを兼ね備えている場合が多い。「カイジ」は読んでいるけれど、こう解説されてみると、それは初めて気付かされることばかりだ。
解説というものが好きだ。それは、過剰な深読みであることも多いし、解説者という翻訳者を通した「別物」であることもあるかもしれない。けれど、何らかの価値がプラスアルファされる限りにおいて、言い換えれば何らかの別視点・深みを感じさせてくれる限りにおいて、大元のテキストだけでなく、解説を読むことはとても楽しい。
未来は僕らの手の中
僕らは負けるために 生まれてきたわけじゃない
「未来は僕らの手の中」 真島昌利
2009-12-15[n年前へ]
■NEWS今昔物語 「支え」と「未来」編 (初出2005年1月27日分)
5年前のNEWS(未来)を振り返ってみて思うこと
いつか、『グラフ計算機』の開発秘話と似た話、自分がよく知っている話を書いてみたいと思うが、なかなかこういう話を書くことができるものではないに違いない。だからこそ、こういう話を読めたことの楽しさを、改めて感じてしまう。
(記事を書いた時の)ひとこと
ソフトウェア開発・メイクアップ・自動車開発、どれも「作る」ということに繋がります。今回は、色々な「作る」を集めてみました。
『グラフ計算機』の驚くべき開発秘話
Macintoshのクラシック環境(MacOS Xより前の環境)に標準添付されている「グラフ計算機」(MacOS 10.4には別の「グラフ計算機」が標準添付されるらしい」の開発秘話が開発者自身により昨年末に公開された(日本語記事)。なんでも、失業中のプログラマ二人が、貯金で生活しながら、出勤してきた社員の後ろにぴったりついてApple社の警備をすり抜け敷地内に入り込み、空き部屋で作業し、さらには自腹を切って下請けプログラマーを雇い、チェック担当と研究担当からなる開発チームに自分のソフトウェアの改良まで行なわせ開発をした、という。そして、ついには標準ソフトにまでなったのだから、これはまるで映画「摩天楼はバラ色にグラフ計算機」を彷彿させる、何だかとても心躍らされる話だ。
ちなみに、グラフ計算機の開発者曰く「Windows 98にも同じことをしてみたかったけれど、Microsoftは建物の警備が厳しくてできなかったよ」だって。
「理想の目元」を作る秘密
化粧品を製造販売する株式会社イプサが、「目を大きくするメイクアップアイテム」というものを今年の元旦に発売した。これを使うと、「目の横幅は縦幅の3倍」「目の縦幅幅とまぶたの縦幅が同じ」「目頭から目尻の角度が10倍」という目もとの理想的なバランス(オプティマムバランス)、目もとの「理想的なバランス」を実現するという。シミュレータを使って自分に適した「理想のバランス」実現の方法(つまりは化粧品の選び方)を調べることもできる。
理想の目元を描こうとする女性のパワーには驚くばかりだ。(一重の女性のための)パッチリふたえの作り方なんて驚きのあまり腰が抜ける。何を得るにも影の努力が必要なんだなぁ、とつくづく思う。
Goolgle videoでテレビ番組を検索しよう
アメリカでは、一定量以上のテレビ番組に字幕をつけることが義務づけられている。Googleが、そのテレビ番組の字幕文章に対する検索サービスGoogle Videoを先月25日からベータ公開し始めた。例えば、"Japan"なんていうキーワードで検索をかけると、そのキーワードにマッチしたテレビ番組のサムネイル画像や放送時刻や時間が表示され、さらに番組で放映された内容の詳細を知ることもできる。
字幕放送の普及率が低い日本でサービスを運用する日はまだまだ先かもしれないが、テレビ局が視聴率をかせぐために字幕内容に対してもSEO(検索エンジンに対する最適化)対策に明け暮れる日は近い。
鳥山明デザインの電気自動車が限定発売
株式会社タカラから、ドラゴンボールやDr.スランプで有名な漫画家の鳥山明デザインの電気自動車が3月27日から販売開始される。これは「乗れるチョロQ」の第四弾として全5色 9台限りの限定品だ。鳥山明によりQVOLTと命名され、素晴らしく気持ちが良くなりそうなデザインを見ると税込み199万円という値段は安いと思う。マンガの世界の自動車に乗るなら、「今がチャンス」かもしれない。
2010-01-15[n年前へ]
■「心の中が見える装置」 (初出:2005年08月26日)
少し前に、「(相手に)心の中が見える装置」を作ってみました。あるいは、「(相手に)心の中を伝える装置」といえるようなものを作ってみました。
人はなかなか思ったことを言葉にすることができなかったりします。どうしても上手く言葉を綴ることができなかったり、言葉が浮かんでもその言葉を口から出すことができなかったりします。逆に言えば、他の人の(人以外のものも)心の中はよくわかりません。だけど、知りたくなったりします。
そこで、私が作ってみたのはこんな装置です。薄いプラスティックの板とホワイトボード用のペン・セットを組み合わせて、漫画の「吹き出し」のようなものをリアルの世界に作ってみたのです。この吹き出しを、自分の顔の近くに持ってくれば、自分の心の中の気持ちを人にそのまま見せることができます。例えば、この装置を使うと「Mona OS」作者の頭の中を覗いてみたりすることができます。彼の頭の中に強く浮かび続けていること、なかなか言葉で聞くことができない、だけど素晴らしいものを眺めることができます(実はこの吹き出し"装置"は一枚の同じモノなのです)。
あるいは、自分のペットの口の前に持って行けば、人間の言葉を喋れないペット相手に会話をすることだってできます。こんな装置を持ち歩けば、旅先や日常生活で色んなものを喋らせてみることだってできます。あるいは、色んなものに心を伝えることができます。
疲れてなかなか言葉が浮かばないとき、心の中の言葉がどうしても口から出せないとき、時にはこんな装置を作って心の中をカタチにしてみるのもよいかもしれません。あなたなら、どんな言葉をこの吹き出しに書いてみますか?それを誰に見せたいと思いますか?
2010-01-26[n年前へ]
■検証・「のび太の町」を再現~モデルとなった町はどこにあるのか~
「検証・「のび太の町」を再現~モデルとなった町はどこにあるのか~」
(ドラえもんの)のび太は「東京都練馬区月見台すすきが原」に住んでいます。それはどのような町なのか、モデルとなった町は実在するのか。最新の設定を元に検証してみました。
(けれど)「ここがのび太の町だっ」などとと焦って決めるのではなく、自分だけの「のび太の町」を想像して楽しむのもまた一興かもしれません。
おまけ:のび太の遅刻が多い理由
・・・のび太だけ、学校から遠すぎるような気がします・・・。出木杉なんて学校から1区画しか離れてませんね。静香もジャイアンもスネ夫も然り。・・・ちょっと可哀想ですね。