2006-01-06[n年前へ]
■「社会の(それぞれの人にとっての)公平性」
以前、「経済学とはどういう学問ですか?」で
この世は不公平なものだが、それぞれが努力すれば、それに見合ったものをみんなが得られるようになる社会をどうすれば実現できるだろう?ということを愚直なまでに考えるのが経済学だ。という、経済学者の石川経夫の言葉を引用しました。その時、こんな言葉をある方から頂きました。
「不公平な世の中で、それぞれの努力に見合ったものを、みんなが得られるようにすること」を考えるのは、経済学も、他の多くの社会科学も同じだ、と私は思っています。「それに見合ったもの」が、 ○ 「お金」なら、経済学 ○ 「権利」 「権力」なら、政治学 ○ 「知識」 「知恵」なら、教育学という感じです。この言葉を読んで、「なるほど」と素直に納得して、「政治学や教育学といった社会科学」に興味を感じるようになりました。世の中には、偏りや凸凹があって「公平」では元来ないものに対してどう折り合いをつけていくか、ということを考えさせるこの言葉が昨年一番のお気に入りです。
この言葉と、色川武大の「うらおもて人生録」と、小島寛之の
「合理的な選択」とは何だろうか。「正しい選択」とは何だろうか。 …勤勉で実直な労働者たちの姿を見ながら、しかし、彼らの社会における立場を、どうしても伝統的な経済学が主張するような「合理性を持った最適行動」によってもたらされたものだとみなすことができなかった。という言葉を繋いだことを、Tech総研ブログで書き始めたのですが、全然まとめられなかったので、忘れないようにここで書きつけておきます。
2006-02-13[n年前へ]
■「希望学」
「希望を社会科学する」という東京大学社会科学研究所の「希望学」 「希望は、それが実現困難であればあるほど、失望に終わる可能性が高くなる。希望は求めれば求めるほど逃げていく。個人の内的な充実にとどまる希望もあれば、個人が希望を持って行動した結果として、それが何らかの社会的な影響を及ぼすものまである。人はどのようにして希望を持ち、そして失うのか。希望は社会とどのような関わりを持つのか?」という言葉を眺める。
希望学は、社会のなかでの希望の意味とありかについて、一人ひとりが探求するための科学的プロジェクトです。私たちは社会科学者として、事実の積み重ねを通じて、希望について考えていきます。
2006-05-12[n年前へ]
■経済学って何ですか?「金で買えないものはない?(仮題)」
東京大学院総合文化研究科の松原隆一郎 教授(社会経済学・相関社会科学専攻)に先日話を伺いに行った。ホワイトボードにたくさんメモを取りながら話を聞いた。今日、その原稿を編集者宛に送付(リリース)した。ホワイトボード4面分のラクガキと、テープから起こした1万5千字ほどの文章をまとめ直して4千字だ。…たくさん内容を削ったが、興味深い内容も多かったので、私のメモ書き分はいずれ出していくことにしたい。特に、原稿にできない「曖昧な内容」こそが興味深かったりすることも多いわけだし。
そういえば、これから何人かの経済学関連の人に話を聞きに行こうと考えた時に、自分の中で決めたことが一つある。それは、「一つの定義・考え方があるという期待・思いこみ・態度」は話を聞き原稿を書く中では一切捨てよう、ということだ。これから色んな話を聞いていく中で、その人ごとに違う意見・違う見方・違う言葉の定義をするだろう。私は単純理系?おバカのせいか、どうしても「シンプルな一つの定義・考え方がある」というように行動してしまいがちだ。しかし、この原稿を書く中では、そういう態度はゴミ箱の中に放り込んでおこう、と決めている。だから、もしかしたら、毎回食い違うことを書くことになるのかもしれない。いや、きっとそうなるに違いない。
2006-09-12[n年前へ]
■経済学インタビューの最終回は希望学
経済学インタビューの最終回は、東京大学社会科学研究所 「希望学プロジェクト」で知られる玄田有史 東大助教授にインタビューをさせて頂くことに決まりました。ありきたりかもしれませんが、経済学インタビューの最終回はつまり「希望」がテーマです。これまでの「満足」「価値」「魅力」「選択肢」「感情」「技術革新」といったことを聞いてきたつもりですが、その最後はやはり、「希望」です。
キャリアとは、轍(わだち)のことだ。轍が繋がり、そこに道が出来る。ただ、どんな道にせよ、共通するのは、途中で必ず迷うということだ。どちらに進んで行けば良いのか、わからない時がきっとあるだろう。大切なのは、わからないということへのタフネスを身につけることに精力を注ぐことだと私は思う。それが、最良のキャリア教育であると、私は信じている。 「3つ」のヒント 玄田ラジオ
思うに希望とは、もともと、あるものとも言えぬし、ないものとも言えない。それは、地上の道のようなものである。もともと、地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。 魯迅 竹内好 訳「故郷」
2006-11-08[n年前へ]
■「給料格差は経済学で説明できますか?」
「給料格差は経済学で説明できますか?」が公開されました。今回は、『仕事のなかの曖昧な不安』『ニート フリーターでもなく失業者でもなく』などの著書をもち、最近では「希望学プロジェクト」を行っている東京大学社会科学研究所の玄田有史助教授に、「経済学の成果」「格差」「明日」ということなどを聞いてみました。
今日と同じ明日を保障するのは、もしかしたら経済政策なのかもしれないと思います。けれど、今日より明日をプラスアルファだけいい日にするのは、それは本人だと思います。