2006-09-10[n年前へ]
■「これも経済学だ!」
中島隆信 著「これも経済学だ!」(ちくま新書)を読んだ。「これも経済学だ!」というタイトルが適切な第1章から第3章までは正直つまらなかった。あくまで、私の好みからすれば、実につまらない本だった。しかし、第4章・第5章は(私にとって)本当に濃く・素晴らしく良い本だった。第3章までの印象でゴミ箱に放ってしまわなくて、本当に良かった。
第4章・第5章を私が勝手に題するなら、「これが経済学だ!」だ。違うのは、「も」であるか「が」であるかだけだが、その1文字の違いがとても大きい。少なくとも、私という(経済学に疎い)読者からすると、文章の「本気」具合が違うように思える。第4章「世の中に『弱者』はいない」第5章「経済学は懐の深い学問」は本当に読んで良かった。
時代とともに弱者は変化していくため、ある時期に特定のグループに所属する人たちを弱者と認定しても、将来そうでなくなることがある。 第4章 世の中に『弱者』はいないその第4章・第5章における明らかなまでの文章の本気具合が腑に落ちたのは、この上までの文章を書き、今さっきamazonで(他の本に対する)書評を読んでからだ。第4章に対して非常に多くの参考文献が挙げられている理由・過程が、それでようやく(ほんの少し)理解できたような気がする。
経済学はどのような人間の行動もありのままに受け入れてくれる。なぜなら、人間の行動に合理性があるということが経済学の考え方の基本にあるからだ。 第5章 「経済学は懐の深い学問」
2006-09-12[n年前へ]
■経済学インタビューの最終回は希望学
経済学インタビューの最終回は、東京大学社会科学研究所 「希望学プロジェクト」で知られる玄田有史 東大助教授にインタビューをさせて頂くことに決まりました。ありきたりかもしれませんが、経済学インタビューの最終回はつまり「希望」がテーマです。これまでの「満足」「価値」「魅力」「選択肢」「感情」「技術革新」といったことを聞いてきたつもりですが、その最後はやはり、「希望」です。
キャリアとは、轍(わだち)のことだ。轍が繋がり、そこに道が出来る。ただ、どんな道にせよ、共通するのは、途中で必ず迷うということだ。どちらに進んで行けば良いのか、わからない時がきっとあるだろう。大切なのは、わからないということへのタフネスを身につけることに精力を注ぐことだと私は思う。それが、最良のキャリア教育であると、私は信じている。 「3つ」のヒント 玄田ラジオ
思うに希望とは、もともと、あるものとも言えぬし、ないものとも言えない。それは、地上の道のようなものである。もともと、地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。 魯迅 竹内好 訳「故郷」
2006-09-13[n年前へ]
■「お金をたくさん持っている人が幸せですか?」
『行動経済学 経済は「感情」で動いている』の著者であり、行動経済学を研究されている明治大学情報コミュニケーション学部の友野典男教授にインタビューした記事が公開されました。題して、「お金をたくさん持っている人が幸せですか?」です。
「エンジニアの周りに女性が“少数”しかいない」ことを平林さんは懸念していますが、「少ない選択肢から自分で選ぶと満足感が高い」ことがわかったのでした。つまり、エンジニアは案外幸せをつかみやすいのかも。経済学って役に立ちますね!
2006-10-05[n年前へ]
2006-10-11[n年前へ]
■そもそも経済学の「目的」って何なんですか?
「そもそも経済学の「目的」って何なんですか?」を書きました。今回は『分数ができない大学生』などの著書を持ち、元日本経済学会会長でもある西村和雄京都大学経済研究所教授に「経済学の目的」「みんなの意見」「ソフトウェアの値段」ということについて聞いてみました。
「事実上“標準ソフト”により阻害されるようなものは、所詮"小さな技術進歩"に過ぎない」というフレーズが、ふと新鮮で面白かった瞬間です。
すべてについて優秀な人がいたとしても、その人のやれる仕事はひとつだけです。1番目の人ができないことを2番目の人が…と巡っていけば、1番“できない”人だってやることがあるわけです。広く勉強をしていればね。
「ひとつ」を選ぶことが選択というものであるなら、選択肢が増えるということは、「選べない選択肢」が増えていくということでもあるんだな、とふと感じました。