2006-07-19[n年前へ]
■「コピー」と「自分」と「河内のオッサン」
from n年前へ.
現代の私たちの日常生活には多種多様な「コピー」が満ち溢れています。 「コピーの時代」
宿泊の際に修士論文もしくは博士論文をお持ちください。一冊のみ2000円で購入いたします」という高学歴者プラン(優越意識プラン) 鬼怒川温泉「佳祥坊 福松」
おー、よう来たのぅワレまあ上がって行かんかいワレビールでも飲んで行かんかいワレ久しぶりやんけーワレ何しとったんどーワレ「河内のオッサンの唄」
「自信が必要十二分以上に満ちあふれている人」でも「自信を無くしている人」でも、どちらであるにしても、自分自身に「(他)人は(他)人、自分は自分」という「心の強さ」があれば、きっと人生は楽しいものなんだろう、と想像してみたりするわけです。 そして、どうしたら「自分がどういうスタンスであるかという自己認識」をしっかり強く持てるだろうか、と考えたりするのです。
他の人の自信を支えるやり方を聞くと元気をもらえます。真似をしたいと思います。
元気な時に自分のやり方をメモしておいて、不安になった時にはそのメモを読んで自分のやり方を思い出しています。
2007-07-16[n年前へ]
■創造性とミューズ
世界は限りなく広い。けれど、それと同時に、そんな世界はとても狭い、と感じる瞬間があるのも事実だ。どんなに長く生きていても、地球の上にいる99.999…%の人には一度も会うことはない。けれど、意外なところで、よく知っている名前や顔と再開することがある。
画像処理のプログラムを作るために古今東西の絵画のテキストを読んでいる時に、こんな一節に出会った。
以前クヌースというアメリカの数学者と話したとき、「絵を描くとき、自分の意志というより、頭の中に誰かがいて、わたしの感性を左右するらしく…」森鴎外も、なんだか自分を支配するものが頭の中にいて…などと書いていますが、それはこういうことだったか…」とわたしは言いました。クヌース「という」アメリカの数学者と話したとき、である。(理系であれば知らない人はいないだろう)「ドナルド・クヌースと話した時」ではなく、つまりは「読者はしらないだろうが、あるアメリカの数学者と話したとき」だ。
安野光雅 「絵の教室 」
画像処理アルゴリズムを考えるために、絵画の本を読む。そして、ドナルド・クヌースに出会う。こういった巨人を見ると、世界が実に小さなものに見える。それは、一種の錯覚のであるとも思う。けれど、こうした巨人が世界を繋ぐ高速道路の役割を果たしているのも、また一面の真実であるとも思う。
森鴎外や安野光雅や口にした「頭の中にいる誰か」「感性や自分を支配するもの」の名前を、クヌースというアメリカの数学者は口にする。
はじめ、原因不明のふとした着想から考えを進めるのだが、すると、ひとりでに論証の車がまわりはじめて、論文が楽にできあがる。…思うに背後にいるのは、ミューズだよ。クヌースが言葉にした「頭の中にいる誰か」は、ギリシャ神話で芸術を司る9人の女神"ミューズ"である。私たちの頭の中で9人のミューズたちが踊り、絵画や文芸や論文やプログラムを作らせる。何だか、とても面白い。
ドナルド・クヌース
2008-01-01[n年前へ]
2008-01-19[n年前へ]
■伊藤正雄 「論文の作法」箇条書き
丸谷才一編集の「恋文から論文まで - 日本語で生きる・3 -」(福武書店)が面白かった。この本には、さまざまな題材の文章が集められていて、純粋に「その題材に関する文章」として読んでも面白いし、それを「文章の書き方教本」として読むことも容易にできる本だ。
この「恋文から論文まで」に収録されている、国文学者である伊藤正雄が書いた「論文の作法」がとても簡易でわかりやすかった。そこで、自分用に要約文を写した。
書くことは、自分の思想を明確にし、豊富にする最大の手段である。自分の文章に絶対の責任を持つこと、自分の思うことを誤解なく人に伝える親切心と苦心、これが貴重なのだ。
- 冗長な長編よりも、簡潔で充実した短編を心がける。
- どんな短い文章でも、短いなりにちゃんとした使命がある。短くて、しかもその使命がハッキリ果たされた文章ほど名文である。
- 題意にあまり関係しないことは、思い切って切り捨てる。
- 他人の引用が多過ぎないようにする。
- 難しい言葉を使わず、やさしい表現を心がける。
- 平明達意は文章の極意である。
- むずかしいことを追求していった最後のエッセンスは、案外、やさしいことに落ちつくんじゃないか。そして、そこに行き着くのは。心の素直な人でなくてはダメじゃないか。
- 真の名文とは、最も個性的な意見を、最も平易な言葉で、最も正確に表現したものに他ならない。
- ところどころに、見出しをつける。
- 文章の段落をよく考えて、妥当なところで行を改める。
- 句読点を正しくつける。
- カッコなどの符号を使いわかりやすくする。
- センテンスはなるべく短くする。
- 「用語の言い換え」により、用語の反復による字面の単調化を避ける。
- センテンスの結びに変化をつける。
- 推敲の時間を惜しまない。
すべて文章は、他人の貴重な時間と労力とを費やして読んでもらうものなのだから、できるだけ読みやすく書くというエチケットとサービス精神とを忘れてはならぬ。
2008-01-20[n年前へ]
■『「暮らしの手帖」の料理記事』の作り方
丸谷才一編集の「恋文から論文まで - 日本語で生きる・3 -」(福武書店)に収録されている文章と言えば、小榑雅章が書いた『「暮らしの手帖」の料理記事』も新鮮だった。
暮らしの手帖の料理記事は、まず専門の料理人に実際に作ってもらう。その際、編集部員が傍らで材料や分量、調理の具合などを見聞きして、記事に仕立てる。つぎにその記事を手本にして別の記者が試作する。記事通りに出来るかどうかチェックするわけだ。編集長の花森安治の指揮のもとで、こうやって記事を作り上げ続けた結果、「暮らしの手帖の料理記事は、書いてあるとおりやると、ちゃんと出来る」という評価が定まった、という。
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