2008-01-19[n年前へ]
■伊藤正雄 「論文の作法」箇条書き
丸谷才一編集の「恋文から論文まで - 日本語で生きる・3 -」(福武書店)が面白かった。この本には、さまざまな題材の文章が集められていて、純粋に「その題材に関する文章」として読んでも面白いし、それを「文章の書き方教本」として読むことも容易にできる本だ。
この「恋文から論文まで」に収録されている、国文学者である伊藤正雄が書いた「論文の作法」がとても簡易でわかりやすかった。そこで、自分用に要約文を写した。
書くことは、自分の思想を明確にし、豊富にする最大の手段である。自分の文章に絶対の責任を持つこと、自分の思うことを誤解なく人に伝える親切心と苦心、これが貴重なのだ。
- 冗長な長編よりも、簡潔で充実した短編を心がける。
- どんな短い文章でも、短いなりにちゃんとした使命がある。短くて、しかもその使命がハッキリ果たされた文章ほど名文である。
- 題意にあまり関係しないことは、思い切って切り捨てる。
- 他人の引用が多過ぎないようにする。
- 難しい言葉を使わず、やさしい表現を心がける。
- 平明達意は文章の極意である。
- むずかしいことを追求していった最後のエッセンスは、案外、やさしいことに落ちつくんじゃないか。そして、そこに行き着くのは。心の素直な人でなくてはダメじゃないか。
- 真の名文とは、最も個性的な意見を、最も平易な言葉で、最も正確に表現したものに他ならない。
- ところどころに、見出しをつける。
- 文章の段落をよく考えて、妥当なところで行を改める。
- 句読点を正しくつける。
- カッコなどの符号を使いわかりやすくする。
- センテンスはなるべく短くする。
- 「用語の言い換え」により、用語の反復による字面の単調化を避ける。
- センテンスの結びに変化をつける。
- 推敲の時間を惜しまない。
すべて文章は、他人の貴重な時間と労力とを費やして読んでもらうものなのだから、できるだけ読みやすく書くというエチケットとサービス精神とを忘れてはならぬ。