2001-12-16[n年前へ]
2005-01-09[n年前へ]
■津波から逃げきれないときの対処法
ARTIFACT経由で「巨大津波と避難行動ー奥尻島青苗地区で何が起こったかー北海道南西沖地震調査報告(PDF)」を読む。これは「奥尻島で生存者に聞き取り調査」を行ったものだが、生存者たちの行動を自分の普段の行動・生活に置き換えて読んでみると良さそうだ。
ところで、第一に「とにかく津波が来たら高台へ避難する」のは当然だが、津波の危険を察知してから津波が来るまでの時間がほとんどない場合もあるだろう。そんな時は、「地面にしっかり固定されているものにしがみつき、(衝撃の強い)津波が通り過ぎるのを待つ」のが良い、という。
これは、アリューシャン津波に関する米国の報告や三好寿らによる「日本海中部地震での津波死者たちを検死した医師と助かった人たちへの聞き取り調査(1985)」から導き出されたものであり、「津波による最終死亡原因は体をコンクリートや岩などの固い地面に打ちつけられたことによる内臓破裂が多い」ため、「海岸で津波に追いつかれて逃げ切れないと判断したときには、自分から地面に伏せ、できれば固定した何か(鉄筋の先なぞ)につかまって、体の上を津波が通り過ぎるのを見送ることにより衝撃を緩和するのが生き残るのに有効である」とされている。少なくとも、日本の地理形状・地震発生状況を考えれば、日本では有効かつ知っておくべきことだと思われる。
「とにかく津波が来たら高台へ避難する」のは当たり前だが、「瞬時に訪れる津波から逃げ切れないとき」はどうするかの考察も風化させるべきではないだろう。
2005-02-11[n年前へ]
■津波研研究報告
「津波防災アンケートを対象としたテキストマイニング手法」「危険度ポテンシャルを導入した津波避難シミュレーション」「住民意識・行動を考慮した津波避難シミュレーションモデル」などなど、なかなか興味を惹かれるような「津波研研究報告 土木学会東北支部講演概要」
2005-04-25[n年前へ]
■「アホの遺伝子」
松本修 探偵!ナイトスクープ「アホの遺伝子」から。
一行(一文)で説明できない番組は、ヒットしない。「一文で、説明すべし」原則で、他人の企画案を読むと明察によって書かれたものか、本人もよくわからいままででっち上げられたものなのか、簡単に見分けがつくのである本は「探偵!ナイトスクープ」の企画立ち上げの話に始まり、最後は「(元野球選手が車いすに乗って立ち往生するシーンがあった放置自転車追放キャンペーンCFが避難を浴びて以降)テレビでは理由がどうであれ、健常者が車いすに乗るのがはばかられる世の中になってしまったが、『素晴らしき車椅子の旅』では北野誠探偵が車椅子に乗るべくして乗ることができた」という話。
2005-07-19[n年前へ]
■「加速度センサ」で「人に迷惑な電車男」
東海道新幹線「こだま」の揺れを加速度計測してみよう
最近は出張が多く、東海道新幹線に頻繁に乗っている。東京・品川・新横浜と三島の間を週に三・四回は往復し、往復二時間ほどの道のりを新幹線の座席で過ごしている。
右の地図を眺めると一目瞭然なのだが、東海道新幹線の東京から三島までは、観光地が続く。例えば、小田原駅からは小田原城がよく見える。小田原の手前に始まり熱海までの車窓からは、相模湾も見通すことができる。そして、箱根を過ぎると伊豆半島や駿河湾が見えてくる。
しかも、そんな綺麗な景色を眺めながら、ノートPCのキーボードを叩き、ちょっとした計算や文章書きなんかをすることもできたから、新幹線の中はとても快適で有意義で快適な時間だった。綺麗な景色を眺めながらノートPCのキーをパチパチ叩いていると、何だかいつもより自分自身の頭が冴えわたってくるような気がしたりしていたり(あくまで単に「いつもより」、だ)、自分の手元のノートPCもいつもより速く、まるで超高速の特別仕様であるかのごとく、キビキビと素早く反応するように感じたりもしていたのである。つまりは、以前は新幹線の中というのはとても快適な空間だったわけである。
ところがある時期から、新幹線の中での文章書きがとても辛く感じるようになった。列車の「ガタガタとした揺れ」が妙に気にかかるようになって、新幹線の中のPC作業が苦痛に感じるようになってきた。そして、時を同じくして、それまでキビキビと動き、まるで超高速のシャア専用特別仕様のようなノートPCが何だか反応が鈍いダメダメ「のび太クン」になってしまったのだ。その結果、新幹線の座席に座って過ごす時間が快適どころか、苦痛に感じられるようになってしまったのである。
その「新幹線の揺れを私が気にするようになり、ノートPCも反応も遅くなってしまった」タイミングがいつ頃だったかを考えてみると、それは東海道新幹線に品川駅が新設され、さらに「こだま」に100系電車の代わりに300系電車が使われるようになった頃だった。つまり、駅が新設されて運行テーブルが大きく変わり、列車も揺れる300系列車に変わったために、実際揺れが激しくなったのである。そのせいで、「ガタガタとした揺れ」が気にかかるようになったわけだ。しかも、それだけでなく、その頃ノートPCを買い換えた。加速度センサを搭載し、加速度変化( =揺れ・落下)を検知するとハード・ディスクのヘッドを待避させ読み書きを停止する「アクティブ・プロテクション・システム」を搭載しているThinkpadを使い始めたのである。そのため、新幹線が揺れるとノートPCのハードディスクが停まってしまい、超高速の?PCがとても反応が鈍い「のび太クン」に変身してしまった。その結果、文章書きなどをスムースに行うことが難しい環境になってしまったのである。
しかし、そう文句やグチばかり言っていてもしょうがない。Thinkpadが加速度センサを内蔵し、揺れを検知してPC作業ができなくなってしまうのであれば、その加速度センサを利用して、逆に新幹線の揺れを調べてみることにしてみたい。そして、「快適な新幹線の移動環境はどのようにすれば手に入るか?」を考えてみた。
まずは、Thinkpadの加速度(傾斜)センサ値を読み取るアプリケーションを作ってみた。そして、いつものように三島で新幹線に乗り込んだ。最初は、席が結構空いているように見えたのだが、それはその列車がグリーン車両だったからで、指定席車両さらには自由席車両へ移動していくと実際にはかなりの混雑した状態で、最終的に一番端の1号車まで移動しようやく空席を見つけた。1号車でも結構込んでいて、空席はほとんどなかったため三人掛けの真ん中の席に座わり、座席の前にテーブルを拡げた。そして、その上にThinkpadを置いて、10ms間隔でひたすら加速度データを素早くとり始めた。混雑のせいもあり、「ナニしてんだコイツ? そのテーブルに拡げたPCを使うのか使わないのかハッキリしろよ」という周りの目が妙にキツかく、ついテレビや映画の中の電車男のようにオドオドと「すみません。すみません」とつぶやきながら、それでも勇気?(というよりは単なる迷惑な非常識)を振り絞って何とかデータをとってみた。
その(周りの視線に耐えた)苦労と勇気の結果が次のグラフである。「鉛直に対する傾斜角(の絶対値)の時間変化」を示していて、横軸は「時間」・縦軸は「鉛直に対する傾斜角(の絶対値)」を示している。ちなみに、このグラフでは時間軸は「右から左に50分ほどの時間」を示している。つまり、(一番右端の)三島をスタートし、50分弱後に品川に到着するまでの揺れの記録である。
鉛直に対する傾斜角(の絶対値)の時間変化 |
三島から品川まで |
このグラフを見ればわかるように、「三島→新横浜」の全区域にわたって揺れが激しい。特に、赤丸で囲ったあたりは最悪である。激しくガタガタと揺れていて実験を中止しようか、と思うくらいなのだ(何しろデータのとりこぼしがないように、ハードディスクの保護機能を切ってあるのだから)。それに加えて、新横浜での停車前には席を立つ人なども多く、そのためテーブルを固定している座席もガタガタと揺れスパイク・ノイズが入ったり、さらには私の隣の人も「新幹線の中でPCを拡げてるクセにそれをいじろうともしない迷惑なヤツ(=私である)」を邪魔そうに見ながら降車するため立ち上がったため、「すみません。すみません」とまたしても電車男のようにつぶやきながらThinkpadを抱えて避難したりしていたのである。新横浜前(グラフで言うと、新横浜の右辺り)で細かく強い揺れが生じているのはそんな情けない「電車男」が原因なのである。
そして、揺れが激しいようすは、「時間 v.s. 周波数解析」を短時間フーリエ周波数解析で行ってみると、さらによくわかる。
「時間 -周波数応答」の解析結果 |
紫色が振動が強く、(背景と同じ)青色が振動が弱い |
このグラフは横軸が(先ほどと同じく)時間を示し、縦軸が生じている振動周波数を示し、色が各領域の振動の強さを示している。このグラフを見れば、「三島と熱海の間全域」「熱海を出てから5分間程度の区間」「小田原を出てから5分間程度の区間」の揺れが激しいことを見てとることができる。そして、ちょうどそのエリアで私は列車の「ガタガタとした揺れ」が気にかかるし、Thinkpadも反応が鈍い「のび太クン」になってしまうのである。
ということは、私は加速度センサ付Thinkpadを抱え、新幹線「こだま」の車両の色んな座席に座り、どの座席の揺れが一番少なく快適であるかを調べてみれば良いわけだ。せっせと、色んな席でデータ採りをしてみれば良いハズなのである。そうすれば、「快適な新幹線の移動環境はどのようにすれば手に入るか?」が明らかにできるハズである。
…しかし、正直言って、今回のデータ採りはツライのである。「ナニしてんだコイツ?そのテーブルに拡げたPCを使うのか使わないのかハッキリしろよ」という周りの乗客の視線に耐え、そして「すみません。すみません」とつぶやき続ける電車男のような一時間を何度も何度も繰り返すのはイヤなのである。私が新幹線に乗る時間帯は、いつだって車両は結構込んでいて、真ん中の辺りの車両には空席はないことも多い。、そんな中で使いもしないノートPCを拡げて、周りの乗客の迷惑そうな視線に突き刺されながら実験を繰り返すのはツライのである。
…そこで、格安のこだま号専用グリーン回数券を買い、いつでもガラガラに空いているグリーン席でデータをとってみたのである。その結果が次のグラフである。ちなみに、このグラフは横軸の時間軸が「左から右」という向きであるということ以外は先ほどまでのグラフと同じだ。
東京から三島までの「グリーン車」 |
鉛直に対する傾斜角(の絶対値)の時間変化 |
「時間 -周波数応答」の解析結果 |
もちろん、新幹線が走行する方向も違うし、車両位置も違うのだが、揺れのようすが全然異なることがわかると思う。「新横浜と小田原の間の区間」はちょっと揺れるが、それでも先ほどのグラグラガタガタ状態に比べれば、快適そのものだ。
…それにしても、ガタガタ揺れる新幹線をJR東海に直して欲しいような気もする一方で、少し我が身を振り返ってみれば列車の座席でノートPCを広げて、作業をしている私もそもそも間違っているような気もする。なんだか、ちょっとゆとりがないように思えてしまう。反省も込めて、今度は東海道線の各駅停車列車に乗って、往復4時間(4500円)の出張でもしてみることにしよう。グリーン車両での往復9800円との差額で少し贅沢な駅弁と(発泡酒でなくて)ビールでも買って、ガタガタと列車に揺られてみることにしようか。