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2002-02-18[n年前へ]

「非線形処理+畳み込み処理」の公知資料 

 特開2001-216513を出願した方からメールをもらった。「自然対数を使う数式自体は昔からあるとは思いますが、画像処理ソフトで、この計算を使ってピンボケを作り出すソフトまたはそのアルゴリズムが存在したのかご存じないでしょうか。」ということだった。
 「非線形処理+畳み込み処理」はおそらく公知資料があるのではないか、ただし、非線形処理と畳み込み処理のいずれもが実装されたソフトは昔から多々あるが、それをワンアクションで実装したソフトは無いかもしれない、と返事を出した。また、「ところで、私自身は特許はあまり好きではないです。といっても、個人としてはですけど。それに、特許を申請するXXさんの考えも良く理解できます。」と書いた。で、メールの最後に
 「それで、少し知りたいのですが、私は自分で作ったプラグインなどもいつもそうしているように何かの話のネタを作って、ソフト自体はフリーで配布すると思います。で、私以外にも自分で画像処理やプログラミングをしている人は多いので、そんなこともあるだろう、と思いますが、そういうときにXXさんはどうされるつもりでしょうか?」
 と書いた。それへの返事は来ていないが、もう少し調べてみた。構成としては、特開平08-241407や特開平09-130609が近いか。で、昔に遡れば公知資料もあるかしらん。しかし、特許調査で公知資料探しなんてまるで仕事みたいでイヤだな。
SUB 画像ボケが「非線形変換→畳み込み→非線形」で表されるとの記述は昔の教科書に載ってた。SUB 特開平09-181966畳み込みでボケ味を出す、複数画像を撮影することで任意の距離のボケを実現。 by オリンパスSUB 特開平09-130609等LUT→ローパスフィルター→LUTで画像ボケ信号を作成 by 富士写真フィルムSUB 特開平07-200817フィルタリングによりボケ画像を作成する ダイキン工業SUB 特願平09-542474対数変換をした上で畳み込みを行う画像変換 サイエンスアンドテクノロジーSUB 特開平08-285726畳込みによるカメラなどの光学系シミュレーション ホーヤSUB 特開平08-241407非線形変換→畳み込み→非線形変換の画像変換 IBMSUB 特開2000-20691非線形変換+デコンボリューションによるぼけ復元、背景の説明中に、非線形変換+畳み込みによるボケ計算を説明 キヤノン

2002-03-06[n年前へ]

紙飛行機に乗ってた人達 

Fair is foul, foul is fair II

 先日、hirax.netの検索エンジン「ぐるぐる」宛にこんなメールが届いた。

 私たちが折り紙を覚えるとき、一番最初に折ってみたのは紙飛行機だった気がします。もしかしたら、私だけでなくて多くの人たちもそうであるのかもしれません。そこでふとこんな疑問が浮かびました。よく、時代劇で折鶴、紙風船がでてくることがあるのに、なぜ紙飛行機は出てこないのでしょうか?折り方は一番簡単なのに…。
 昔は、飛ばして遊ぶ折り紙はなかったのでしょうか?もしそんなものが何かあったとしたら、それを一体なんと呼んでいたのでしょうか。折り方でいちばん簡単な三角翼、いわゆるジェット機に似た形のものが有ったとしたら、それを何と呼んでいたのでしょうか?
この答えを探しに行った「ぐるぐる」はまだ帰ってこない。きっと何処かで「紙ひこうきの歴史」を調べているところなのだろう。あるいは、何処かで道草でもしているのかもしれない。

  きっといつか「ぐるぐる」も戻ってきて、上の検索結果も判るとは思うのだけれど、今回はこのメールで思い出した「ある紙飛行機に乗ってた人達」の話をメモしておこうと思う。それは、昔から語り継がれているらしい少し不思議な紙飛行機の話である。

 先日、スキーに行った帰りの車中で、私の会社の先輩にあたる人が「この話は二十年くらい前に大学の先輩から聞いた」と言って、私達にこんな話をし始めた。


 「これは不幸にも墜落した紙飛行機に乗っていた人達の話です」と言って、ある人が聞き手の前でこんな風に紙飛行機を折っていく。
 

紙飛行機を折る
まずはこんな紙を用意して
片側を三角に折る
もう片側も折り込む
真ん中で折る
一方の翼の部分を折り返す
逆側の翼も折り返す
よくある紙飛行機ができあがる
普通に飛ぶ紙飛行機である

 そして、話し手は、「ある日、この飛行機に過酷な運命が訪れる。その飛行機は、いつもと同じように乗客を乗せて、いつもと同じように飛行場を飛び立った。しかし、この飛行機は不幸にも翼の自由を奪われてしまう」と言いながら飛行機の翼を折り畳む。そしてさらに、「翼の自由を奪われたこの飛行機は何処かの場所に激突してしまう。紙飛行機には多くの乗客が乗っていたが、その人達を乗せたまま紙飛行機は真っ二つに割れてしまった…」とゆっくりと語り、その飛行機の胴体を二つに切ってしまう。
 

翼の自由を奪われた紙飛行機の胴体を二つに切ってしまう…
紙飛行機の翼を折り畳んだ状態で
胴体を真っ二つに切断する

 次に、話し手は「そしてこの不幸な飛行機の胴体は、紙飛行機に乗っていた人達と共にバラバラに散らばってしまった…」と言って、紙飛行機のカケラを散らばらせる。目の前で、全部で九つある紙のカケラはバラバラになっていく。

 そして、その散らばったカケラの中の一番大きな一つを拾い、折り畳まれたカケラをゆっくりと開きながら、「飛行機に乗っていたほとんどの人は天国に行った」と呟く。すると、確かに話し手の掌の中で拡げられていく紙のカケラは、いつの間にか十字架の形に変わっていく。
 

いつの間にか十字架に形を変えた紙飛行機のカケラ

 そして、まだ目の前に散らばっている残りの八つのカケラを話し手は拾い、それをゆっくりと並べながら「残りの罪ある悪しき人々は地獄へ行く」と話す。すると、その言葉のままに、残りの紙飛行機のカケラはいつの間にか姿を変えて"HELL"という文字に変わっていくのである。
 

残りの八つのカケラが形作る言葉…「罪ある悪しき人々は地獄へ行く」

 そして、最後には話し手と聞き手の間には、紙飛行機が姿形を変えた「十字架と地獄」だけが残り、「紙飛行機に乗ってた人達」は「善き人々と悪しき人々」に分けられて「天国と地獄」へそれぞれ別れていく、という話なのである。
 

バラバラになった紙飛行機が姿を変えた「天国と地獄」

 この話を聞いたときに、その「一見普通に見える」紙飛行機がバラバラになって、そしてそのカケラを並べ直すといつの間にか「十字架の形」と「"HELL"という言葉」に形を変えるなんて、とても不思議で少し不吉な話だなぁと小心者の私は思った。

 そして、この話がどんな風に作られて、どんな風に語られているかを知りたくなった私は、この話に関連しそうな話を探してWEBサイトを辿ってみた。すると、キリスト教の説法の一つとして、この「十字架と地獄」という話をいくつもWEB上で見かけることができた。そのほぼ全ては「天国と地獄」「十字架と地獄」といった「善と悪」の話だった。また、その話は「天国へのチケット」という風に、もとの形が飛行機でないものも多かった。
 

 そして、さらにいくつかの情報源を辿っていると、他とは少し変わった終わり方の話を見かけた。その話の中でも、全部で九つの紙のカケラの内の一つはやはり十字架になり、「飛行機に乗っていたほとんどの人は天国に行く」というところまでは他の話と全く同じだった。しかし、その話の中では残りの小さな八つのカケラが形作る文字が"HELL"という文字ではないのだった。
 

やはり残りの八つのカケラが形作る言葉…「残りの敬虔な人々も深い愛で包まれる」

 その残りの八つのカケラは並べ直すと、姿を変えてこんな風に"LOVE"という文字を綴るのである。そして、語り手はその文字を指しながら「残りの敬虔な人々も深い愛で包まれる」と終わるのだった。この形で終わる話を眺めて、ようやく、この「紙飛行機に乗っていた人達」の話は「とても不思議で少し不吉な話」から「とても不思議な話」だと私は思えるようになったのである。

 紙飛行機が何処かに激突して二つに分かれてしまう。ある人が語る話の中では「紙飛行機に乗ってた人達」は「善き人々と悪しき人々」に分けられて「天国と地獄」へそれぞれ別れていくと語られる。そして、また違う人は「紙飛行機に乗ってた人達」は「飛行機に乗っていたほとんどの人は天国に行き」「残りの敬虔な人々も深い愛で包まれる」と語られる。同じカケラが、語り手次第で「地獄へ行く罪ある悪しき人々は」だったり、「深い愛に包まれる敬虔な人々」だったりする。

 マクベスの冒頭の"Fair is foul, foul is fair."という言葉ではないけれど、何が善で何が悪かはほんの少しの視点の違い次第だ。それはもちろん、この八枚の紙のカケラに限らない。
 
 

2002-03-24[n年前へ]

パズルのカケラ 

ジグゾーパズル的プラグインを作る

  hirax.netが誇る超手動検索エンジンぐるぐる(旅に出たっきり戻ってこないが)宛に、先日こんな依頼が届いた。
 大きな写真を20ピクセル四方くらいで分割して、それをタイルのように並び替えてくれて、分割したカケラを自分であとで自由に移動できたり、個別に画像調整もできて…、そんなPhotoshopのプラグインが欲しいので探して下さい。 もしなかったら、作ってくれてもいいです。
 今回のような、こんな具体的な依頼であれば、何を探したら良いか実にわかりやすい。よくある「ぐるぐる宛のメッセージ」はあまりに短くて、何を探したら良いのかぐるぐるが困ることも多い。何しろ、「愛」とか「幸せ」とか一言で言われても超手動なので困ってしまうのである。「愛」や「幸せ」を探してくれって言われても、そんなのこっちが知りたいつーのー、ってこぼしたくなるのである。まれに「バスト90cmでDカップ超の巨乳」というような超具体的な検索キーワードが送られてくることもあるのだけれど、そんなこと言われてもなー、とぐるぐるは頭を抱えるばかりなのである。

 それはさておき、今回の依頼も実に判りやすいのだが、もしなかったら作ってくれてもいいです、とは優しい口調でとんでもない依頼だ。いや、実際のところ依頼というよりほとんど命令である。人を(いや違った、ぐるぐるを)ドラえもんか何かと間違えているんじゃないかー、と聞き返したくなったりするのである。

 しかし、これまで「できるかな?」では「たくさんのカケラを並べて、一枚の絵にするモザイク」で遊んでみることが多かったが、そんなこれまでとは逆のアプローチ、「一枚の絵をたくさんのカケラにばらばらにしてみる」という、まるで一枚の絵をジグゾーパズルのピースに分解してしまうような遊びをしてみるのも面白いかも、ともふと思った。そこで、今回はこの依頼に応えてそんなPhotoshopのジグゾーパズル的プラグインを作ってみることにした。名付けて、Midinette(= 女性店員,、針子さん)プラグインである。「糸のこで切り抜いたパズル」はJjigsawpuzzleだけれど、そんなジグゾーパズルを切り張りしたり繋げあわせたりする賢い女性店員・針子さんという気持ちを込めてみた。
 

 さて、普通なら、Photoshopのプラグインと言えば、普通はフィルター・プラグインなのだろうけれど、今回は「分割したカケラを後で動かしたい」という注文がついているので、アクション・プラグイン(通常のアクションではなくて、あくまでもプラグイン)で適当にちょちょいと作ってみることにした。まずは、このプラグインを使った場合のサンプル画像を下に示してみる。
 

Midinetteの処理画面をちょっとだけ加工したもの
オリジナル画像
変換画像

 アクションプラグインはPhotoshop5.0以降に導入されたものであるが、今回のプラグインは6.0以降の機能も使っているので、Photoshop56.0以降が動作環境となる。また、Windows2000でしか動作チェックしていないので、もしかしたらその他の環境では動かない場合があるかもしれない。その場合はその旨知らせてもらえれば、コンパイルし直したものを作る予定だ。で、いつもと同じようにアルファ版のものをここに置いておく。これをPhotoshopのPlug-Insディレクトリに置けば、ファイル→自動作業からMidinetteが使えるようになる。


 この手のジグゾーパズル系のプラグインとしては他にAVBros. Puzzle Proなどがあるが、ピースの形状の自然さはともかく、各ピースを(それぞれレイヤーに変換することで)自由に後で動かすことができるという点で今回のこのプラグインは面白いのではないか、と思う。

 ちなみに、下の画面がMidinetteのダイアログである。現時点で設定可能なパラメータの内容は

  • Horizontal Division  : 横方向の分割数
  • Vertical Division    : 縦方向の分割数
  • Inclination          :長方形からの変形量 (3〜5)
  • JigsawPuzzle         : 丸い突起部の大きさ(6〜7)
  • Scattering          : ピースをバラバラにするかどうか
  • LayerEffects         : ピースの立体効果をつけるかどうか
となっている。Midinetteは背景レイヤーの画像を各ピースに分解して、そのピースに対してそれぞれレイヤーを作成して立体効果を付加したりする、という仕組みになっている。だから、各ピースの表示・非表示などは各レイヤーの設定を変えてやれば良いわけである。また、オリジナル画像は背景レイヤーにそのまま保存されている。だから、上のサンプル画像の場合は、Midinetteで変換をした後に、背景レイヤーをグレイ化して、あといくつかのピースを非表示にしたり回転させたりしてみたのである。
 
Midinetteのダイアログ

 パラメータを変えると、ピースの形がある程度変えられるので例えば、こんな風にもなる。ここでは各ピースをバラバラにしている(ちゃんとバラバラにしていないのはご愛敬だが…)。
 

Midinetteの処理画面をちょっとだけ加工したもの パート2

 ところで、このプラグインが作るパズルのカケラは、本来のジグソーパズルのカケラの形とは違う。本来、ジグゾーパズルでは各のピースはどれも違う形だけれど、このプラグインではどれも同じ形になる。今回のプラグインでは、それぞれのカケラ、ピースを並べ替えたあとでも、どのピースも形の上ではきちんとはまって、きれいに一枚の絵になる方が便利だろうと考えてどのピースも同じ形にしてみた。

 だから、今回のMidinetteが作るパズルのカケラはどの場所に置いてもきちんとはまってしまう。だから
どのピースをどこに置くかはユーザー次第だ。もちろん、元画像がちゃんと再現するように並べてみても良いけれど、それでは元画像そのままだ。それは全然面白くない。せっかくばらばらのカケラにする意味がない。やっぱり、ここは自分の好みにまかせて、それぞれのパズルのカケラを好きな場所に置くべきだろう。

 一旦、元の画像を頼りにならないとなってしまえば、あとはもう別に一つの答えがあるわけじゃないし、もう気の向くまま風の向くまま、「自分の感覚」だけを頼りにして、色々いじればきっと面白いはずだ。頭の中で色んな思考のカケラを並べてみるように、このMidinetteでパズルのカケラを自分の好きなように並べて遊んでみてもらえたら、とてもうれしい。 byぐるぐる
 

2002-04-19[n年前へ]

FMペンラジオ 

 東京駅の「王様のアイディア」で買った。で、まだまだ超小型FMラジオを探していますので、何かこんな商品があるという情報をお持ちの方、ご一報を。(リンク

2002-04-27[n年前へ]

視線のベクトルは未来に向くの? from jun hirabayashi 

という二つの意見が面白かったので載せてみました。「BSマンガ夜話」は見たことがないのですが、本屋にその本が置いてあるので今度その回を探して買いってみます。



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