2009-02-15[n年前へ]
■バブルと不況とフィードバック
一頃前は、本屋には株式の本が平積みされていた。そして、株で莫大な利益を出した人たちの本や、それに右へ倣(なら)えしたようなが並んでいた。
そんな書店の話をしながら、「今、バブルですよね」「このバブル感・高景気感は異常だと思いませんか?」というようなことを、新橋で飲みながらよく話した。
景気が良くなり、その高揚感がさらに消費や株への投資を増やしていく……そんな「バブル」な風景が、本屋に並んでいる書籍から見えていた。
こういった現象、たとえば「景気が良くなると、消費が増えて、さらにもっと景気が良くなる」といった現象は、ポジティブ・フィードバックと呼ばれる。「ある方向に何かが動いたとき、さらにそれを強める方向に力が働く」ことをポジティブ・フィードバックというのである。
ポジティブ・フィードバックと反対に、「ある方向に動いたとき、それと逆方向に力が働くこと」をネガティブ・フィードバックと呼ぶ。下に描いたように、谷底のボール(あるいは登山者)にはネガティブ・フィードバックが働くわけである。
ポジティブ・フィードバックからは安定な状態は生まれない。上がり続けるか、下がり続けるかで、結局は「発散」してしまうことになる。
次に平積みされる本が、もしも「節約ライフ」的な本だとしたら、景気にはまさにポジティブ・フィードバックが働いていることになる。それらの書籍は、不況への後押しをするポジティブ・フィードバックである。「ポジティブ」という名前が付けられた、しかし、それは同時に不況への案内図なのかもしれない。
2009-02-16[n年前へ]
■「機械制御工学」のススメ
制御工学の本は、読んでいて面白いものも多い。もちろん、そんな本の数は半分以下ではあるけれど、制御に関するさまざまなエピソードを紹介しつつ、制御の理論と実践を解説してくれる本がある。
金子敏夫の「機械制御工学 」はそんな本の一つで、これまで読んだ制御工学本の中でも、特に「フィードバック制御の発祥から発展と解析」を説明する数章に関しては、一番面白かった。
たとえば、実に充実した制御技術発達の経緯についての年表もあり、水洗トイレのタンク水量調整に使われる浮子を用いたタンク液面制御は1750年に作り出されたことがわかったり、1776年にはアダム・スミスが国富論の中でフィードバックの考えを記述し、さらに次の年、1787年には蒸気機関の調速機と同じ原理の、製粉用ガバナ付リフトテンダが発明されていることがわかる。
情けない話だが、この本を読んでようやくラプラス変換のS空間が頭の中に直感的にイメージできるようになった。もしも、ラプラス変換が「公式としてはわかるけど…」と思う人は、立ち読みしてみても損はないと思う。
2009-03-12[n年前へ]
■新幹線のアクティブ制御の設計解析手法
以前「鉄道車両の設計と制御におけるシミュレーション技術」という川崎重工の技術紹介を聞いたことがある。これが、実に様々な点で面白かった。
新幹線の振動/揺れが気になることが多かったので、たとえばこういった記事をはじめとして、新幹線の振動抑制制御について、とても気になっていた。特に血液中の鉄分が多い方、いいかえれば、鉄っちゃん(鉄道おたく)ではないと思うのだが、新幹線の制御をどのような考え方で、どのようなやり方で設計/開発を行っているのか に興味があった。
新幹線の振動抑制に関しては、
- 台車の左右加速度を計測する
- 加速度をフーリエ変換しパワースペクトル密度にする
- 人間の振動に対する各周波数に対する感度をかけ、さらに積分することで「乗り心地」指数(レベル)を算出する
ちなみに、このような「乗り心地」評価値を用いながら、客車を支える空気バネの電磁弁を開閉することでセミアクティブ制御したり、客車下中央に位置する動揺防止制御用アクチュエータでアクティブ制御を行っている、という。
ちなみに、加速度センサからのFB制御だけでなく、ATCの地点情報を用いてFF制御を行っている、というあたりも面白い。…鉄道もなかなか面白い。鉄っちゃんの気持ちが、少しわかるような気がしてきた。
この講演の面白さ/興味深さは「(シミュレーション)ソフトウェア開発/管理における課題」「異種技術分野のソルバ/ツール連携」に関する現状の問題を、講演者が整理した上で、聴衆になげかけた部分にもあった。実に勉強になった。
2009-07-26[n年前へ]
■Immersion,ノートPCやタブレット向け触覚フィードバック技術を披露へ
Immersion,ノートPCやタブレット向け触覚フィードバック技術を披露へ
米Immersionは米国時間2009年7月23日,米FORTUNE誌主催のカンファレンス「Brainstorm:Tech」において,同社の触覚技術をパソコンのアプリケーションに応用したデモを行うと発表した。次世代のノート・パソコンやタブレットなどに,触覚フィードバック技術を組み込むことで,よりリアルなユーザー体験を提供することを目的としている。
2009-08-30[n年前へ]
■NI/SolidWorksのメカトロ・バーチャル・プロトタイピング・ツール
「日本NI、SolidWorksと共同開発のメカトロニクスの バーチャルプロトタイピング・ツールを発売」
NI LabVIEWは、設計の段階で機械的なサブシステムと電気的なサブシステムの相互作用をシミュレーションでき、LabVIEW 2009 NI SoftMotionモジュールプレミアムはセンサーからのフィードバックに基づく高度なモーション制御を扱う関数を備えている。