2009-02-16[n年前へ]
■「機械制御工学」のススメ
制御工学の本は、読んでいて面白いものも多い。もちろん、そんな本の数は半分以下ではあるけれど、制御に関するさまざまなエピソードを紹介しつつ、制御の理論と実践を解説してくれる本がある。
金子敏夫の「機械制御工学 」はそんな本の一つで、これまで読んだ制御工学本の中でも、特に「フィードバック制御の発祥から発展と解析」を説明する数章に関しては、一番面白かった。
たとえば、実に充実した制御技術発達の経緯についての年表もあり、水洗トイレのタンク水量調整に使われる浮子を用いたタンク液面制御は1750年に作り出されたことがわかったり、1776年にはアダム・スミスが国富論の中でフィードバックの考えを記述し、さらに次の年、1787年には蒸気機関の調速機と同じ原理の、製粉用ガバナ付リフトテンダが発明されていることがわかる。
情けない話だが、この本を読んでようやくラプラス変換のS空間が頭の中に直感的にイメージできるようになった。もしも、ラプラス変換が「公式としてはわかるけど…」と思う人は、立ち読みしてみても損はないと思う。