2009-01-26[n年前へ]
■なぜ私は変節したか?、市場原理主義の急先鋒だった中谷巌氏
「構造改革」の急先鋒として知られた三菱UFJリサーチ&コンサルティングの理事長、中谷巌氏。細川内閣や小渕内閣で規制緩和や市場開放を積極的に主張。市場原理の重要性を声高に説いた。小渕内閣の「経済戦略会議」における提言の一部は小泉政権の構造改革に継承されており、構造改革路線の生みの親とも言える存在だ。その中谷氏が昨年12月に上梓した著書が話題を集めている。 タイトルは『資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言』。「構造改革」を謳い文句に登場した新自由主義の思想と、そのマーケット第一主義の結果として現出したグローバル資本主義(米国型金融資本主義)を批判した書である。所得格差の拡大、地球規模で進む環境破壊、グローバルで進む食品汚染、崩壊する社会の絆――。これらはグローバル資本主義という「悪魔のひき臼」がもたらした副産物であると説く。
前書きには「自戒の念を込めて書かれた『懺悔の書』」とありました。中谷教授と言えば、米国型資本主義や市場原理主義の急先鋒というイメージが強い。どうして新自由主義やグローバル資本主義に疑問を持つようになったのでしょうか。
2009-01-28[n年前へ]
■中谷巌「入門マクロ経済学 第三版」
「入門 経済学」といった本の読みあさったので、次はもう少し詳しい本を読んでみることにした。そこで、選んだ一冊目が、中谷巌 「入門マクロ経済学 第三版」だ。「少し詳しい」と言っても、やはり選んだのは「入門本」なのである。
今出ている第五版のことはわからないが、この本(第三版)を読んで一番良いなと思ったのが、数式にも、図にも数値が入っていることが多い、ということだ。「練習問題があって、離れた頁に数字が入っている」というわけでなく、教科書の文章中に数式と数字を同時に見ることができ、あるいは、お金の循環を示す図にも数字が入っていて、その収支をイメージだけでなく、数字で納得することができる。
わかっているか、それとも、わかっていないかが、数字の収支を眺めてみると、あるいは違う例を頭の中で考えてみると、自動的にわかる。だから、納得することができる。
歴史上、バブルは何回もありました。イギリスで起こった南海泡沫事件、米国における192o年代の株式ブームなど、回顧すると「なぜ?」と思われるような異様な事件が繰り返し発生しているのです。南海泡沫事件にはあの偉大な物理学者ニュートンさえ、南海会社に手をだして、多大の損失を蒙ったということですから、・・・・
中谷巌 「入門マクロ経済学」
この本を読みながら、同時に同氏 中谷巌氏の著書を紹介する「なぜ私は変節したか?、市場原理主義の急先鋒だった中谷巌氏」という記事を読む。
2009-01-29[n年前へ]
■「数字で語る」と「プロフェッショナル」
中谷巌 「入門マクロ経済学 第三版」を読んでいるとき、「内容を理解・使うことができるようになっているか、それとも、そうでないかが、数字の収支を眺めてみると、あるいは違う例を用いて頭の中で考えてみると、自動的に明らかになってしまう。
だから、この本をとても本当の意味で「なんて理解しやすいんだろう」と感じたとき、ふと「今井功の「当然!」「○」「?」」を思い出した。
「わからないこと」を無理してわかろうとしない方が良いんだ「わからないこと」というのはたいていどこかおかしい。単独の定性的なことがたくさん集まって、実際の現象は動く。だから、いくつもの項目を組み合わせたことを、定量的に話すことができなければ、きっと何かを作ることはできないのだろう。
今井功
数値で語れなければ、プロとは言えない。
今井功
2009-03-02[n年前へ]
■入門マクロ経済学の経済循環のベースモデルをSimulinkで作る
再び、中谷巌 「入門マクロ経済学」を読みながら、その中にある経済循環の図をなぞりながら、Simulinkで経済循環モデルを作ってみました。作ったSimulinkのmdlファイルは、ここ(macromodel_basic.mdl 49kB)に置いておきます。あくまで、単純なラフスケッチ・叩き台用のモデルです。
下の図が、そのモデルになります。各サブシステムの中身も、一応「それなり」の配線になっていますので、シミュレーションして動かすこともできます。とはいえ、やはり、教科書に書いてあることも、実際に自分で作って動かして、そして納得・実感してみようと思うと、これがなかなかできません。「シミュレーションで学ぶ経済学」なんていう教科書がどこかに転がっていないものでしょうか…。
2009-03-07[n年前へ]
■静的・動的/連続・離散化、経済循環モデルの実装は難しい…
まだまだ、中谷巌 「入門マクロ経済学」のページをめくりつつ、その中にあるマクロ経済循環の図をなぞりつつ、Simulinkモデルを作っています。作っているSimulinkのmdlファイルは、ここ(今日時点での最新版はmacromodel_basic_20090307.mdl)に逐次置いてます。
ラフスケッチ的なモデルであったとしても、全体像を形作ろうとすると色々な勘違いや、まったく理解できていない点にたくさん気づかされます。「入門マクロ経済学」のイントロダクションに書かれている
経済学の難しさは、細部についてかなりの理解に到達したとしても、全体像がつかめないと、なかなか論理の一貫した議論ができないという点にあります。という言葉だけがイヤというほどよくわかるようになります。しかも、よほど素早く物事を納得することができる人でないと、「細部についてかなりの理解」すら難しいのです。なんだか、全体像がつかめないと、「細部」すらわかないのではないだろうか…と頭を抱えたくなくるくらい、全然わかりません。
教科書のページをめくりながら、Simulkinkでモデル実装しようとすると、まず読んでいる頁に書かれている事項が「静的(静学的)」なのか「動的(動学的)」なのか、ということが今ひとつわかりません。どうも静的・動的の区別がつかないと、モデル実装のしようがありません。
さらに、動的な場合、連続的なものなのか離散化されたものなのか、という点についてもよくわからず悩みます。さらに、離散化されたものの場合には、その時間ステップについて、異なる時間ステップのものが混在していないか、どう切り分けるか…といった点について悩むわけです。また、何かの値を使うとき、その値をどういった微分・積分の階層で整理・実装するかなども、悩むところです。
何だか「機械・制御システム」を作る時に感じるだろう課題が、この経済循環モデル実装作業には、てんこ盛りに詰まっているように思います。入っていないのは浮動小数点から固定小数点や整数処理に変える際の精度保証・オーバーフロー対策の苦労くらいではないか、と思うくらいです。逆に言えば、その難しさが魅力的だということも言えるかもしれません。
Simulinkで今日作ってみたSinmulinkモデルが、下図になります。各市場部分の内部は(mdlファイルを眺めればわかるように)比較的単純な分配サブシステムになっています。そして、オレンジ色で囲んだ部分を見るとわかるように、これは計算時間ステップがほぼ1週間(Time=0.25)という動的離散化モデルで実装されています。そして、「Time=0~11(単位は月)=1年間」の計算終了時に、その1年間の国民総生産(GNP)などが計算される、というイメージで作ってみました。
前回作ったモデルとサブシステム配置はよく似ていますが、信号線を流れている値は一階層”微分”されたもの、が流れているという具合にした「つもり」です。あくまで、「つもり」なので、間違っているところも多々ありそうです。
それにしても、本当に「一部を説明した文章・式」を納得することはできても、そういった一部が組み合わさった全体の実装は、とても難しいということをつづく感じさせられます。
なぜか、以前書いた「長い文章を書くと言うこと」を思い出したのです。
一言ふと漏らすコメントは非常に的確なものなのが普通です。だって、そのクローズアップされた狭い景色の中では特に「歪み」も「矛盾」もないのが普通ですから。だから、短い言葉・文章というのは、見事なまでに「その狭い世界」を写し取っているはずだと思います。
ところが、もう少し広い世界を写し取ろうとすると、もう少し長い文章を使って大きなものを書こうとすると、途端に色んな「食い違い」が見えてきます。