2010-12-13[n年前へ]
■一年に二度、札幌の街にはとても素敵な景色が訪れる。
碁盤の目のように道が走る街というと、北海道の札幌を挙げる人もいるかもしれません。札幌の街も、几帳面に直角に道が刻まれています。
しかし、札幌の街を走る道は、東西南北を向いているわけではありません。地図を眺めてみればわかるように、9度ほど回転しているのです。だから、「どの交差点からも、道の先に沈む夕日が見える」のは、春分の日や秋分の日ではありません。たとえば、そんな一日は秋分の日を過ぎた10月8日あたりです。10月8日の午後4時40分に、札幌 時計台前に立つと、こんな素敵な景色を見ることができます。
一年に二度、札幌の街にはこんな素敵な景色が訪れます。その一日が、10月8日だとしたら、あともう一日は何月何日でしょうか?雪景色の向こうに沈む夕日を、道の先に赤く輝く太陽を眺めることができるのは、何月何日でしょうか?
その日の16時40分、札幌 時計台の前に行けば、とても美しい風景を眺めることができるかもしれません。時計の針が午後4時40分を指す瞬間の景色を眺めてみたい、とは思いませんか?
2010-12-20[n年前へ]
■私たちの頭上では「太陽と雲」が逆に動いてる。
北極や南極にいるわけでない私たちが太陽を見上げる時、太陽はいつも東から西へと動いています。そしてまた、日本列島にいる私たちが空を見上げれば、頭上の雲は偏西風の影響で、ほとんど多くの場合、西から東へと移動して行きます。私たちを上から眺める太陽と雲は、逆方向に動いて行くのです。太陽は東から西へ進み、雲は西から東へ走る、私たちを包む時間はそんな風に動いているのです。
日本の空は偏西風に支配されています。西の空から東の空におよそ時速40km程度の風が吹き、雲もそして天気も、空に浮かぶものたちは、その速度で移ろって行くのです。
「虹のトンネル」を時速40kmで追いかける。
そんなこと、太陽と雲が逆に動くことを確かめたくて、iPhoneを空に向け2時間ばかり微速度動画を撮影してみました(参考:「iPhoneで微速度動画を撮影するアプリケーションを作ってみた」)。それが、下に張り付けた動画です。私たちの頭上にある空の中を、太陽と雲が逆方向にそれぞれ動いて行くようすがわかるかと思います。太陽はゆっくりとゆっくりと東から西へと動いていき、そして、雲は西から東へと素早く走り去っていくのです。
明日の夕暮れには、雲が晴れていれば皆既月食を見ることができる、と聞きます。もしも、明日、晴れない天気になったとしても、その時は頭上の雲をただ眺めてみるのも良いかもしれません。地球の陰に隠されて翳る月、雲の彼方にある月は、その雲とは逆の方向へ、東から西へとゆっくりと動いているのです。そんな月の姿を、西から東へと動く雲の向こうに想像してみる、のも良いかもしれません。
ガンバレ、みんなガンバレ、月は流れて東へ西へ。
ガンバレ、みんなガンバレ、夢の電車は東へ西へ。
井上陽水「東へ西へ」
2012-05-20[n年前へ]
■「太陽(日食)観察」と「黒マルチ(黒色マルチフィルム)」
日食観察をするための「黒色メガネ」がコンビニや100円ショップに並んでいます。強い太陽の光を直射した際に、目を痛めることがないように、光を弱めるメガネです。
小学校低学年の頃、理科の授業で「太陽観察」がありました。太陽観察をするための「黒色メガネ道具の選び方・作り方」の説明を受けている時、こんな会話がありました。
「黒マルチじゃダメ?」(生徒)
「ダメです」(先生)
黒マルチというのは「黒色マルチフィルム」の略です。 畑の土の上に貼ってあったりするアレです。 当時、高原野菜の産地に住んでいたので、学校(分校)の周りには、黒マルチがたくさん貼られていたのです。
「黒マルチ」と言っても、特性はものによって違います。 共通点は、「(人が眺めることができる)可視光波長を吸収するので、黒く見える」ということだけです。
「可視光」は波長がおよそ400〜700μmです。 植物が育つには、波長400〜500μm・600〜700μm程度の光が必要です。 …ということは、育てたい植物を植えた周りの土を覆うように黒マルチを貼ると、雑草などが生えてくるのを防ぐことができるわけです。
そして、可視光より(波長がさらに長い)領域を考えてみると、波長が700μm以上の光、近〜遠赤外光を吸収してしまうタイプ「黒マルチ」は、日傘を差しているようなものですから、陽光で土が暖まることを防ぎます。 つまり、赤外光を透過させないタイプの黒マルチは、「地温上昇を防ぐ」のです。
その一方で、その逆の黒マルチ、赤外光を透過させるタイプの「黒マルチ」は、土を多少暖める効果を持つということになります。 多少、というのは「可視光を遮っている分の損失」があるからです。 「地温を上昇させること」を第一優先にするならば、「(可視光も吸収せず・透過させる)透明フィルム」を畑に貼れば、つまり畑をビニールハウス状に包んでやれば良いわけです。
「黒い色」の特性にも色々あって、植物を育てるためにも、どんな植物を何処で育てるかといったことにしたがって、どのような「黒マルチ」が使われるかが変わるのです。
それと同じように、太陽(日食)観察をするにも、目には同じ黒色に見えたとしても、目を守るために必要とされる「黒色」があったりもします。
紫外線の影響を考えなければ、日食観察には「地温を上昇させないタイプの黒マルチ(黒色マルチフィルム)」を探し・使えば良かったのだろうか?などと考えつつ、「太陽(日食)観察をするための道具選びという”入り口”からでも色々なことが見えてくる・考えさせられるなぁ…と思うのでした。
2013-01-04[n年前へ]
■2013年「”残り少ない”明けの明星」を目に焼き付けろ!?
金星は水星の次に太陽の近くを回る惑星です。 だから、地球から見ると、いつも太陽の近くに見えることになります。 太陽が地平線より高く昇っている昼間には、星を見ることはできませんから、私たちが金星を見ることができるのは、「金星の後を追いかけるように太陽が昇ってくる夜明け前の東空」か「太陽が地平線に隠れた後、まだ少し地平線より上に金星がいる夕暮れを過ぎた頃の西空」になります。 前者が「明けの明星」で、後者が「宵の明星」と呼ばれます。
昨年、2012年は、前半が「金星が宵の明星として見える時期」で、後半は「金星が明けの明星として見える時期」でした。 下の図は、2012年の「日の出・日の入りの時間」と金星が見える時間帯(緑色で塗りつぶした部分)を描いたものです。 前半(下半分)は夕暮れを過ぎた頃が緑色になっていて、つまり金星=宵の明星が見える状態で、後半(上半分)は日の出前の時間帯が緑色(金星=明けの明星)が見えることがわかると思います。春が終わり・夏が始まる頃、宵の明星は姿を消して、明けの明星が見えるようになったのです。
今年、2013年はどうかというと、今月中は(昨年後半に引き続き)明けの明星が見えるけれど、それ以降はほぼ宵の明星しか見ることができなくなります。 次に明けの明星をみることができるのは、ほぼ1年後、2014年が始まる頃、です。
今月過ぎから、日の出時刻が次第に早くなっていきます。 そんな朝の時間に東の空に光る金星を、2013年には”もう残り少ない”明けの明星を眺めてみるのはいかがでしょうか。
2013-10-08[n年前へ]
■空に浮かぶ氷プリズムが見せる「幻の7色太陽」
午後、「幻日 (げんじつ)が出てますよ!」と言われ、南空を眺めると、本当に大きな幻日 (げんじつ)が浮かんでいました。
雲中にある六角板状の氷晶が(落下の際の空気抵抗のために)地面に対し水平に浮かぶと、氷晶が頂角60度のプリズムとして働き、氷晶により屈折した太陽光が幻日を作り出す。上空の温度と、風の状態と、そして太陽の差し込む条件が重なり生み出された幻灯が写す風景は、少しばかり綺麗です。
ここ数年、可能な限り、11月の満月の夜はチェンマイで過ごすことに決めています。その夜は、お祭りが開かれて、たくさんの灯籠が上空へ浮かび流されて行き、その祭り景色を眺めてる瞬間は「何だか、今この瞬間なら、向こうの世界に行っても後悔しないかも…」と考えたりします。逆に言えば、そんな景色を見ることができなかった年には、あの景色を(来年)眺めるまでに何かあったら地縛霊になってやる~と思ったりします。