hirax.net::Keywords::「北村薫」のブログ



2001-12-15[n年前へ]

スキップ 

 「スキップ」北村薫 新潮文庫。主人公は17歳の運動会の夜に眠り、目覚めた時には42歳になっていた。そして、夫と17歳の娘がいた。高校の教師をしている主人公の周りには、将来の進路に悩む生徒達や、卒業して大人になっていった生徒達や、そして、42歳の主人公を恋し見つめる17歳の生徒がいた。
 「三十数年に一度訪れるという獅子座流星群を待ちながら…」という「リセット」と共に星がきれいな夜にでも読もうかな…。(リンク

2002-02-03[n年前へ]

映画のフィルムを並べたスクラップ 

映画大好きの「元」少年少女達へ

 先日、「お笑いパソコン日誌」で3次元画像ブラウザ「みょう絵」というものを知った。画像ファイルを日付や色の特徴などで三次元空間に並べてみる、というソフトだ。下の図がその「みょう絵」の動作画面だけれど、こんな風に三次元空間に配置された画像が散らばる中を「みゅぃーん」と動く感覚が結構気持ち良い。
 

「みょう絵」

 で、その「みょう絵」をいじって

 欲を言えば画像だけでなくて、色んな文章や音楽や気持ちとか、世の中のありとあらゆるものをこんな風にして眺めてみたいなぁ、と思った。あのころ撮影した写真や、眺めた景色や、読んだWEBサイトや…、とにかくありとあらゆるものを。
と思った。すると、「お笑いパソコン日誌」のChic氏が
 余談ですが、Windows XP はムービーファイルをサムネイル化してくれるんですが、あらゆるファイルをそうしてくれればいいのにと思ったり。
と書いていた。それを読んで、「みょう絵」で一本の映画の中を覗いてみたいなぁ、と思ったのである。

 映画が展開していくそのストーリーの時系列と、その中の色々な各舞台を三次元的に眺めてみたいと思ったのだ。そして、さらにはその映画の世界の中を三次元的に散策してみたいと思ったのである。

 もちろん、それは映画の動画ファイルを静止画に展開して、それを「みょう絵」で開けばよいだけの話である。以前、動画ファイルを静止画に展開するアプリケーションを作ったこともある。

 とはいえ、それを使って映画をキャプチャーしたファイルをそのまま静止画に展開するわけにはいかない。そんなことをしたら、ものスゴイ数の静止画ができてしまうからだ。1秒あたり約30枚もの静止画を含む動画をそのまま静止画に全部落としたら、一体どれだけのファイルができるだろうか?たった2分位の映画の予告編だって、展開したら何と3600枚である…。これだけの画像を読みこませたら、少なくとも私の遅いPCでは「みょう絵」がストライキを起こすことは確実だ。

 そこで、映画の動画ファイルの中から、場面が変わるごとに一枚づつ静止画を抽出してみることにした。そうすれば、映画の中の色々な場面をそれぞれ一枚づつの画像として眺めることができる。そして、その画像を集めれば、その映画の色々な場面を一枚のノートにして見ることができるわけである。

 というわけで、作ってみたのがこのAVI2Stillsである。いつものように、テキトーに仕立て上げただけだ。下の図がAVI2Stillsの動作画面である。ちなみに、この画面中で、TrigerLebelは場面変化を検出する感度を示すパラメータで、多分60位が適当だと思う。そして、SkipFrameは動画ファイルの中を何フレーム毎に調べていくかを示すパラメータである。展開スピードが気にならなければ1でも構わない。

AVI2Stillsの動作画面

 このソフトができたところで、試しに - ロケット制作に憧れる少年達を描いた「遠い空の向こうに」"OctoberSky"( = 原作 "Rocket Boys"のアナグラム) - の中の各場面を抽出してみたのが下のスクラップである。予告編の中の各シーンが絵コンテのように抽出され、並べられていることが判ると思う。
 

October Sky ( 遠い空の向こうに )

 こんな風に自分の好きな映画の場面を全部テキトーに抽出して、あとは「みょう絵」で眺めてみれば、その映画の世界を三次元的に散歩できるのである。というわけで、北村薫原作の映画「ターン」の予告編の世界を「みょう絵」で眺めてみたのが下の図である。
 

「みょう絵」で眺める「ターン」の世界

 静止画では判りにくいけれど、立体的に配置された「映画空間」の中を散策してみるのは、やはりちょっと面白い。これで、欲を言えば各場面に近づくとその場面で流れていた音楽やセリフが聞こえてきたら、面白いと思う。それは、ムソルグスキーの「展覧会の絵」のようで気持ちが良いはずだ。そして、そうすれば気持ちが良いだけではなくて、今の「みょう絵」に足りない「画像だけではない何かをも眺めること」ができるわけだ。
 

 またせっかくだから、「みょう絵」で眺めて終わりにするのも少しもったいないので、以前作った写真アルバム風のスクリーンセーバー"FilmStrip99"(手元のWindows2000では手直しが必要みたいだが…)で、白黒写真のコンタクトフィルム風のスクリーンセーバーを動かしてみた。それが下の画像である。映画のフィルムでなくて、写真のフィルム風だというところはご愛敬で許して欲しい。ちなみに、下の一連の画像は"SomeoneLike You"「恋する遺伝子」の予告編から変換したものである。

 こんな風に自分の好きな映画の予告編などを使って自分用のスクリーンセーバーを作ってみるのも面白いと思う。今なら、たくさんの映画の予告編にオンラインでアクセスできるし、その予告編の動画ファイルがもしmov形式ならmov2aviを使って、それがもしrealvideo形式ならTinraを使えば、AVIファイルに変換できる。そして、今回のAVI2Stillsを使えば良いだけなのである。
 

Someone Like You ( 恋する遺伝子 )

 ところで、こんな切り取った映画のフィルムを繋いだ一連のシーンといえば、ニューシネマパラダイスのラストシーンを思い出す。アルフレードの遺品、「主人公が覗き見ていた一連の場面」を繋いだシーンのフィルム、に主人公が涙したように、かつて少年少女だった映画大好きの人達がそれぞれ自分用のそんなスクラップフィルムを作ってみるのも面白いかも、と思う。そして、ふと思うことがあった時に眺めてみるのも、趣があるかも。

2003-01-04[n年前へ]

キャッチボール その2 

「(菊池寛の)真珠婦人は読みました」
「今時、千人に聞いても(真珠婦人なんて)読んでいないわよ」
 こんな会話が交わされているのは、北村薫の『六の宮の姫君』の中だ。ここで語られている菊池寛の「真珠婦人」は今では文庫本となって本屋で平積みになっている。北村薫も驚いているに違いない。時代の流れなんてそうそう予想はできないものだ。とはいえ、その後に
「テレビの原作にぴったりの本だと思いました。波瀾万丈ドラマが流行っていますけれど、新しく作らなくても『真珠婦人』をやればいい筈です」
と語られているのだから、決して北村薫の書いたことが的外れというわけではない。むしろ、的確だったと言うべきかもしれない

 この『六の宮の姫君』は芥川龍之介の「六の宮の姫君、あれはキャッチボォルだ」という(仮想の)言葉から、芥川龍之介と菊池寛の「キャッチボール」を描いていく文学・人生ミステリだ。鎌倉時代に生まれた「沙石集」を起点として、投げ返されていったボールの軌跡を遡っていくミステリだ。

 時に強い反発であったり、時に強い共感であったり、とにかく色んな理由で私達(少なくとも私は)は色んなボールを投げ返すわけだけれど、好きで曖昧でそのくせ直接的に投げ返すことができるぶん、掲示板よりはこんな「いろいろ」風のひとりごとが好きかも。

2003-05-10[n年前へ]

生活の記録 

 たにしの殻をrefererから知ったのはずいぶん前のこと。北村薫のスキップを読んだときも、このページを思い出していた。ちらほらとこの名前を見かけたから、メモしておこう。もちろん、「最初に読むべきところ」を最初に読むべき。

2003-05-11[n年前へ]

Skip 

 JHの三日目には行きます?
 さて、スキップは…、北村薫の書く「私シリーズ」の「私」が女子大生には思えないくらい年寄りじみているのと同じく、スキップの主人公もあまりに年寄りくさい判断をします。男性のあなたでしたら違う人の視点から眺めることになる、かも。

わたしは、ひとつの物語である。誰もが一冊の本であるように。しかし、その本が落丁だったら、誰に取り替えてもらえばいいのか。交換不可能なら、道は二つだけ。本を投げ捨てるか、読み進めるか、だ。ただ一冊の本は捨てられない。となれば、つじつまが合わなかろうとページをめくるしかないではないか。
 If you can, or if you could, という感じでしょうか?



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