2005-12-19[n年前へ]
2009-07-22[n年前へ]
■占いに頼る人々
小倉千加子「シュレーディンガーの猫―パラドックスを生きる 」の「占いに頼る人々」から。
この世は偶然性に満ちている。(中略)早く気づく人ほど占いに頼る。それが、女性である。男性であれば芸能人や政治家などの「他者依存的」職業の人である。そして男女を問わず「親」である。親は、自分の能力や努力や意志でコントロールできない、自分よりも寿命の長い存在を産むため、世界の不確定性をより強く実感するからである。
すなわち、占いに頼る人々とは、被暗示性の強い非科学的精神の持ち主というより、むしろ合理性のない社会に、獣道を探すように合理性を探求しようとしている人々なのである。だからこそ、占いは、ありとあらゆる方法で科学的合理性を身にまとおうと、科学的根拠を謳う。
2009-11-08[n年前へ]
■合理と非合理、客観と主観というふたつのまなざし
「河合隼雄―こころの処方箋を求めて (KAWADE夢ムック)」で、鏡リュウジが書く一節。
合理と非合理。客観と主観。このふたつのまなざしを両立させてゆくことは容易なことではない。
非合理なはずの占い師の多くは、簡単に疑似科学者に堕してしまっているからだし、あまりに合理的な生き方をしようとしtも、人生の意味を見失い、ニヒリズムに陥ってしまうことがある。近代の抱える病とは、そんなところにあるのではないだろうか。
2010-03-23[n年前へ]
■「自分ならできるというその自信。」
角田光代・鏡リュウジの「12星座の恋物語 」を読む。
そうだあのとき、あたしは彼をうらやましいと思ったんだ。…でかいことをしたいと公言できるそのシンプルさ。自分ならできるというその自信。そして実際、自分の手のひらで、自分の足で、未知の世界にぐんぐん分け入っていこうとする、その強さ。あたしにはないものばかり内に秘めている彼。
「こんなものを作りたい」と思ったなら、自分一人で作る。いつも、そうすることができれば、それが一番気楽でよいと思う。
けれど、自分一人では作れないものがある。そんな複合的なものを、そんな大きなパズルを、もしかしたら作れるかもしれない、と思ったこともある。けれど、そんなものを、きちんと作ることができなかったことを、思い出すたび、いつも後悔する。パズルのピースを失くしたことを、いつも情けなく悔しく思う。
2010-03-25[n年前へ]
■「個性の差異」や「感情や思考」と「行動」と
十二の星座、それぞれの男女、全部で二十四人を主人公にした二十四の物語 角田光代・鏡リュウジの「12星座の恋物語 」から。
すべての人が星座によって十二パターンの性格に分類できる、とは私も信じていません。(中略)私が書きたかったのはむしろ、人の差異でした。十二人集めたら十二通りの個性があり、二十四人集めたら二十四人分の個性がある。自分の思考回路や行動原理がいつも正しいわけはなく、まったく異なる人もいる。また、頭では正しいことがわかっているのに、いつもいつも正しいことばかりできるはずもない。という、そのことを、この短い小説で書けたらいいなあと思っていました。
男性、女性、それぞれの星座の色々な人たち、そんな二十四人の物語を、読みたい星座の読みたい性別から適当に読み進めていくと、「あぁ、これが物語というものなんだ」と実感させられます。
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