2009-11-08[n年前へ]
■川面の上をゆっくり歩く
通りからは見えない川があった。川を挟む2本の道沿いは家がすべて面していて、そんな家々の下を綺麗な水がゆっくりと滑らかに流れてる。そして、その水面には青空と白雲と、そして、緑の木々が写り込んでいる。水面に映る青空は、頭上の空より遥かに青く、木々の緑も水面を通して眺めると、より強く見える。
水面はさざめき、それはまるで印象派の絵画を見ているようだ。鮮やかな絵の具を素早く走らせたような、そんなマチエールを感じる。不思議なくらい、印象派絵画を思い起こさせる。
川面の上には、小路が作られていて、流れる川の上を歩くことができる。時には、その川を見下ろすようなテラスがあって、ランチを食べている人々もいる。日差しを木陰で遮り、その下で飲むワインは、きっととても美味しいに違いない。
(この町に)実家があるんだ。水がきれいでね。この町に来たら、川面を歩いてみたり、時には川の水に足を少し浸してみる、のがお勧めです。そういう場所が、たくさんあります。
万城目学 「プリンセス・トヨトミ」