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2010-03-25[n年前へ]

笑いを止められない”怪作”「大河ドラマ入門」 

 地下鉄大江戸線の中で、新書を読みながら、不気味に笑い声を発する人を見かけたとしたら、それは私だったかもしれない。

 私が手にしていた本は、小谷野敦「大河ドラマ入門 (光文社新書)」というもので、一言で言うなら、これはまさに「怪作」である。著者人による大河ドラマ出演者たちのイラストが最高に面白い。そのイラストを見て「大笑いする」というのが、まずは、この本を一番楽しめる読み方だと思う。

 本屋に並ぶ本、あるいは、同人誌として売られる本、どんなイラストを基準にしても「ここまでヒドいイラストを見たことはないかも!?」と思わせるほどの超異次元の「イラスト」を眺めていると、「笑い」を堪えることは到底できないはずだ。(6点ほど、他の人によるイラストがある。それらは、それは素人にしては、なかなかに巧いと思う)。このイラストを眺め、そして、大笑いするためだけにでも、この本を手に取ってみる価値はあると思う。

 たとえば、下の写真はそんなイラストの一部である。この4人が誰だかわかるだろうか。確かに、冷静に眺めてみれば、それぞれの人に似ているようにも見える。しかし、これは人間というより河童か何かの妖怪を描いた図に見えてくる。そこが、無性に面白い。基本的に、この本のイラスト群は、妖怪大図鑑である。

 ちなみに、上の写真のイラストは、左から「斎藤洋介」「榎本明」「草刈正雄」「小池栄子」である。こういったイラストを、疲れた深夜に眺めたら、もう笑いが止まらなくなると思う。

笑いをこらえることができない怪作「大河ドラマ入門」






2010-03-28[n年前へ]

「聴き手の興味をひく、魅力的な内容」 

 「論理的にプレゼンする技術 聴き手の記憶に残る話し方の極意 (サイエンス・アイ新書) 」の「はじめに」から。

 あなたの手元にある「カード」が、聴き手が欲しいカードと完全に同じという奇跡は、現実にはまず、存在しないのです。
 「聴き手にとって、自分の手の中にある材料には、いったい何が足りないのだろう?」「そもそも、自分が話をしようとする聴き手は、いったいどんな人たちなのだろう?」ということを考え、考え抜いて、自分の手元にある材料やカードをそろえなおす作業を繰り返すことで、初めて「聴き手の興味をひく、魅力的な内容」が、あなたの手の中に現れてくるのです。

 (下に)この記事の「関連お勧め記事」として出ているだろう、『「わかりやすい」=「正しい論理」という大きな勘違い』も、合わせて読んで頂ければ幸いです。

2010-04-09[n年前へ]

アントレプレナー(起業家)の単純明快な凄さ 

 上阪徹の「600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書) 」を読んだ。その中で語られている「クックパッド」創業者 佐野氏の言葉。

 これは起業するときにも思ったことだったんですが、日本って餓死する人はほとんどいないんです。豊かな国ですから。こんなラッキーな国に生まれたのに、その幸運を使わない手はない、ということです。
 この言葉と、ほとんど一時一句同じような言葉を、ずっと前に株式会社はてなの近藤社長の口から聞いた記憶がある。アントレプレナー(起業家)の凄さは、たぶん、こういう風に話すことができる強さなんだろう、と思う。

 「クックパッド」のような、作り手が間違いなく「本当に価値がある」と確信できるサービスを提供する会社が、どのようにできあがったのか、いつも知りたいと思っていた。何か他のサービスを真似したわけでなく、オリジナリティを感じるサービスとを作り上げたその過程を知りたい、とずっと感じていた。この本を読んで、その内側のひとかけらでも知ることができ、本当に良かったと思う。

 そして、上阪徹氏が、「はじめに」と「おわりに」で語る言葉も、自分のノートに書き写した。せめて、この「はじめに」と「おわりに」を本屋の店頭で読むだけでも、この本を書店の棚の中から探してみる価値があると思う。

2010-04-18[n年前へ]

「努力が必要です」くらいのノウハウ 

 森博嗣の「自由をつくる自在に生きる (集英社新書) 」から。

 この頃、書店に行くと、ビジネス書というのか、ジャンルの呼び方を僕はよく知らないのだけれど、どう生き抜くか、仕事をどう展開するのか、あるいは、発想や思考、判断のし方から、人間関係の築き方などなど、あらゆるノウハウに関する本が並んでいる。
 はっきりしていることは、あらゆる人や場合に共通するような成功の秘訣、といったものは具体的には存在しないという点である。
 抽象的になら、ある程度は共通事項を引き出せるだろう。たとえば、「努力が必要です」くらいのノウハウである。

2010-12-04[n年前へ]

ドッグイヤーに生きる「文明人」は近視眼的な発想に陥りがちだ 

 縣 秀彦「天文学者はロマンティストか?—知られざるその仕事と素顔 (生活人新書) 」から。

 純粋な科学の追究は、その成果を応用することで、人々の生活を豊かにしたり、(中略)人類の歩みや個人個人の生活と深く繋がってきました。そして二十一世紀を迎えた今、科学の成果は、タイムラグなく直接人々の生活と関わりを持つようになってきています。
 これはとりもなおさず、今を生きる文明人たちが、近視眼的な発想に陥りがちだということを意味します。その結果、愚かなことだとわかっていながらも、私たちは無意識のうちに、「役に立つ」「立たない」という評価軸のみで人の営みを測ってしまいがちなのです。
 「役に立たない」「知っていても得しない」ことに、人類は古くから取り組んできました。文化とはそういうものです。



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