hirax.net::Keywords::「立体テレビ」のブログ



2002-01-29[n年前へ]

「モーニング娘。」を立体にするのだ! 

時間と空間の遠近感ソフトを作る

 京都にいた頃、いくつかのホテルでバイトしたことがあった。都ホテル、鴨川沿いのホテル、あるいは、蹴上の辺りにあるホテルなどでベッドメイクやら、会場設営のバイトなどをした。有数の観光地である京都の街中はもう色んな旅館やホテルが数多くあふれているのだから、そんなバイト口は一年を通してあった。

 そのバイトに行った色んな旅館の中でも、京都へ行ってすぐにバイトしたホテルは凄かった。その旅館の入り口には「暖簾」がかかっていた。京都の旅館なら、入り口に暖簾がかかっているのは当たり前じゃないの、と言われるかもしれない。しかし、その旅館の「暖簾」はその旅館への車の出入り口に設置してあったのである。

 ニホンに憧れ、"A Book of Five Rings"に憧れるスティーブン・セガールのような外国人であれば、「日本人は車ですら暖簾をくぐり、それほどまでに日本人にとって礼節とは大切なものなのデスカ!」と感嘆するかもしれないが、それは少々違う。何しろ、その旅館、いやホテルは名神高速の京都インターチェンジのすぐ横にあった。つまりは、京都インターチェンジの周りのホテル街にあったのである。

 いや、ここまで書いても、先のニホンに憧れる外国人なら(今でもそんな人がいたら良いのだが…)、「なるほどなるほど、高速道路と言えば江戸時代の街道デス。ツマ〜リ、高速のインター周りのホテル街は江戸時代で言えば街道の宿場町なのデスネ!」とやはり感嘆するかもしれない。そんな感嘆と感動が的を射ているかどうかはともかく、とにもかくにも一風変わったバイト先だった。

 そして、そのバイト先にはいくつも私の好奇心をくすぐるものがあったのだが、そのうちの一つが「立体テレビ」だった。その旅館ホテルには、離れのような作りの特別室という部屋が二部屋ほどあり、特別室には「立体テレビ」なるものが設置してあったのである。といっても、その「立体テレビ」は何か部品が足りないのか、あるいは二十四時間故障中だったのかよく判らないのだけれど、とにかくその「立体テレビ」が動いてるのを見たことはなかった。動いているのを見たことが無く、どんなものだか判らなかったから、なおさら想像力を刺激したのである。もちろん、そのホテルの業種がらどんな番組がテレビから飛び出してくるのかも興味があったのも確かだ。
 

 で、先週どこかで流れていた「モーニング娘。」の音楽を聞いて、何故かその「立体テレビ」のことを思い出した。何故かは判らないのだけれど、思い出してしまったのだからしょうがない。しょうがないから、そんな「立体テレビ」を自分で作ってみることにした。といっても、立体テレビで表示するための特殊なビデオ素材などしか見ることができないのもツマラナイ話なので、普通のビデオ(= 2Dビデオ)を勝手に立体化して、その立体ビデオを見ることができるようなものを作ってみることにした。

 ビデオの立体化の原理はとても簡単、単に「時間軸と空間軸を少しばかりシャッフルするだけ」である。

人間が視覚から立体感を得る原因の一つが左右の目で見る景色の違い、すなわち両眼の視差である。その両眼視差を利用して、立体感を付加してやるのである。つまり、動画の各瞬間の画像を右目用と左目用の二つの画像に分けて、その二つの画像に少しばかり差をつけてやることで、両眼視差を人工的に与えれば良いのである。

といっても、「動画の中のある瞬間の画像」を右目用と左目用に分けた二つの画像の間に「少しばかりの差をつける」といっても、そんな画像を作るのはそんなに簡単ではない。そこで、ちょっとこんな風に考えてみるのだ。「動画の中のある瞬間の画像」と「少しだけ差がある画像」はどこかにないだろうか?もし、そんな画像が何処かにあるならば、その画像をちょっとばかり拝借すれば良いだけの話なのである。そんな画像は果たしてあるのだろうか?

 そう、そんな画像はとても近くにある。答えは簡単、「動画の中のある瞬間の画像」の「少しだけ時間的に差がある瞬間の画像」が探している答えなのである。「動画の中のある瞬間の画像」と「その次の瞬間の画像」は「ほんの少しだけ色々な位置が違ってはいるけれど、だけど全体的にはほとんど同じような画像」なのである。そんな画像を両眼で別々に眺めてみれば、適度の両眼視差により立体感を得ることができるハズなのである。

 というわけで、普通の動画像に対して、「時間的に前後に並んだ二つの画像を空間的に左右に並べて」、平行法で眺める動画像に変換するソフトウェアを作ってみた。それが、これperspective.exeである。もちろん、いつものように動作保証一切無しのアルファ版ソフトだ。

perspective.exeの動作画面は下のようになる。"File Open"で動画像を開いて、"Make3D File"で立体動画像を作成・保存することができる。
 
perspective.exeの動作画面

例えば、まずは素材として以前作成した「モンローウォークの動画」を再生している画像を下に示してみよう。Real形式で圧縮したオリジナル動画はこちら(original.rm 9kB )である。
 

モンローウォークの動画のワンシーン

この動画をこのperspective.exeで処理するとあらあら不思議、なんと下のように、二つの画像が並んだ「平行法で眺める立体動画像」が作成されるのである。ちなみに、この立体化した動画像のreal形式動画像はこちら(perspective.rm 11kB )である。
 

上の動画を立体化した動画の1シーン

 この交差法で眺める動画像を上手く立体視するコツは、遠くを眺めるようにして、ぼんやりと動画像を眺めてみれば良いだろう。そうすると、立体動画像で眺めるモンローウォーク(半裸)を眺めることができるハズだ。
 

 ところで、先のこのソフトの立体化の原理を読んで、「いや、それだと動きによってはとても不自然になるに違いない」という人も数多くいることだろう。そんなアナタのその理屈は非常に正しい、と思う。しかし、まずは動画像を変換して自分の目で確かめてみてもらいたい。人間の感覚は時にとても簡単に騙されるのである。いや、あるいは人間の想像力の処理がスゴイのかもしれない。とにかく、本来不自然なはずの「立体動画像」も実際に眺めてみるとかなり自然な立体感を感じさせるのである。

というわけで、この原理の是非は次回以降に回すとして、まずはこのperspectiveを使って色々な動画像を立体化して眺めてみるべきと、私も色々な動画像を眺めてみたわけなのだけれど、試しに下のような「モーニング娘。」のライブビデオなんかも立体化してみた。
 

飛び出す「モーニング娘。」

 で、この立体動画像を眺めながら、ちょっと私は考え込んでしまった。動画像中を走り回る「モーニング娘。」のメンバー達が手の届きそうな近くへ飛び出して見えたり、またあるいは、手の届かない遙か向こうの後ろにふと見えたりするのだ。それは確かに遠近感のある立体画像なのではあるが、ただの遠近感のある立体動画というわけだけでもないような気がしたのである。

 何しろ、その走り回り、飛び出したりするメンバー達が今はもう実は「モーニング娘。」ではなかったりするのだ。何かそんなことを考えると、今眺めている動画像の奥行きが単に空間的な奥行きだけではなくて、何か時間的な奥行きを感じさせるような気がしたのである。時間的な距離を何か感じさせるような気がしたのである。

 そう、そういえばこのperspective.exeが作る立体動画像は「時間的に前後に並んだ二つの画像を空間的に左右に並べて」みたものであった。つまりは、ビデオテープに記録された時間軸と空間軸をほんの少しばかりシャッフルすることで、遠近感を作り出しているのである。だから、perspective.exeが作る遠近感・奥行きは、実は「時間的な遠近感・奥行き」なのである。それを人間が勝手に「空間的な遠近感・奥行き」であるかのように錯覚していただけなのである。

 だから、私がこの「モーニング娘。」の立体動画を眺めて、そしてもういなくなったメンバーなどを眺めて、何か時間的な奥行きを感じたりしても、それも実は結構正しかったりするのかもなぁ、なんて思ったのである。そんなことを考えながら辞書を引くと、遠近法を指す"perspective"は同時に「時間の向こう、見通し,展望,前途」なんてふうにも書いてあって、それを読みながら、ふ〜ん…としみじみ納得してみたりしたのである。
 

2003-07-10[n年前へ]

5mも飛び出す眼鏡不要の立体視 

 微小凸レンズを並べたレンズアレイでつくる3次元ディスプレイこんなディスプレイの話題が懐かしの「物理の散歩道」で書かれていたのはもう三十年前。こんなディスプレイを使って、どんなコンテンツができるのだろう?
 そういえば、ずっと昔にラブホテルでバイトしていた時に「特別室」にだけ置いてあった「立体テレビ」って観てみたかったな。ずっと、故障中で観ることができなかったのだけれど。ちょっと観てみたかったな。

2007-07-10[n年前へ]

いろいろ 

 from n年前へ.

 それは、まさに「"高学歴"な人たちが、各種技術を使いこなす一方で、安易な考え・物語を信じる」という「オウム的な構図」を生んだ土壌にそっくりな風景が見え隠れてしている気がしたからです。
対象に触発され、知覚・感情・理性・意志活動・喜怒哀楽・愛憎・嫉妬となって現われ、その働きの有無が、「人間と動物一般」、また「敬愛・畏怖の対象となる人と憎悪・軽蔑すべき人間」を区別するものと考えられる。
 正義の女神ジャスティス は目隠しをして、右手に持った剣でバッサバッサと人を切り捨てる。そう言われてみれば、キャッチフレーズ通り「座頭市」は"Justice is Blind"に違いない。
ずっと昔にラブホテルでバイトしていた時に「特別室」にだけ置いてあった「立体テレビ」 故障中で観ることができなかったけれど。ちょっと観てみたかったな。

2010-05-23[n年前へ]

「目の前に飛び出す立体映像」は…老眼にはツラい!? 

 3時間ほど液晶シャッター眼鏡をかけ、スクリーンに映し出された立体画像を見ながら打ち合わせをした。最初は、画面から目の前に飛び出す物体を新鮮に感じていたのだが、ふと恐ろしいことに気がついた。目の前に物体が飛び出してくるたびに、どうも頭を後ろに持っていこうとする自分がいる。飛び出す物体を眺めようとするとき、その物体との距離を、無意識に離そうとしている自分に気がついた。

 近くのものを見ると、目が疲れるように感じる・・・つまり、老眼が入ってきていると感じている。しかし、そんな老眼というものは眼のピントを合わせる筋肉が老化し、近くのものにピント合わせをすることだけがツラいのだと思っていた。だから、立体テレビのような「実際には遠くに映し出されているものを」眺めるのであれば、たとえ老眼が入ってきても全然関係ないと思っていた。しかし、哀しく、恐ろしいことに、「目の前に飛び出す立体映像」も…老眼にはツラいようだ。立体映像は、そんなところは真に迫らなくとも良いのに、悲しいかな、「近くにくると見えづらい」というところまで真に迫っているのである。

 「目の前に飛び出す」けれど、老眼の眼に優しい、眼の筋肉に優しい「立体映像」ができないものだろうか。

2011-02-02[n年前へ]

3Dアダルトビデオの「モザイク処理」のナゾ!? 

 少し前、技術系サイトの老舗「Fast&First」の掲示板で、立体テレビがこれからどうなっていくか、ということについて書かれていました。

 新しいテクノロジーを動かす駆動力の大きなもののひとつが、「エロ」です。過去の「立体」ブームの際もそうだったように、三度目の正直の今回でも、やはり立体動画の主要コンテンツのひとつがアダルトビデオであるに違いありません。

 ところで、「モザイク処理」がかかった3D AVというものはあるのでしょうか。・・・もしも、あるとしたら、立体AVの中の「モザイク処理」はどのようにかけられるのでしょうか?

 立体動画に単純にモザイクをかけてしまったとしたら、女優や男優の体の真ん中へんに、奇妙に薄っぺらい「平面モザイク」が突き刺さったように見えてしまうように思えます。・・・かといって、モザイクを立体的に見えるような処理をかけたとして、・・・下腹部を不自然極まりない人工的なレゴブロックが覆うような具合になってしまいそうで、それもまた変な映像に見えてしまうような気がします。二次元の映像世界でも、「モザイク」というものは不自然極まりないものですが、それが三次元の世界になると、さらに不自然に感じられてしまいそうな気もします。

 3Dアダルトビデオの「モザイク処理」は「ある」のでしょうか、それとも「ない」のでしょうか? 「ある」としたら、それはどんな風なものなのでしょう?



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