2000-12-17[n年前へ]
■9人の女神はピンク映画の夢を見るか?
WEBの画像の色分布を調べよう
「お笑いパソコン日誌」の「2000/12/4 今日のネタ・パッチワーク」で、「エクスプローラーが作るブックマークのサムネイル」の話が書かれていた。「うんうん、そうなのだ。」と思ったネタだったのでちょっと引用してみると、
1日の Dekirukana?? Diary に、favicon.ico のパッチワークという話が書かれていた。実は私も、似たようなネタをだいぶ前から抱えている。ただしこちらはアイコンではなく、左図のような、エクスプローラーが作るブックマークのサムネイルを使うつもりだった。 (中略) そんなわけで、この企画は投げ出したままになっているのだけど、もともとの意図はパッチワークを作ることにはなかった。私がやりたかったことは、ポルノサイト、ニューズサイト、アニメサイト、女性タレントサイトといった具合に、それぞれ代表的な10個ぐらいをサンプリングし、サムネイルの中で使われている色の分布を調べることだった。当然、グラフ化してサイト別の特徴を調べるのが目的である。おお、なんかまるで「できるかな?」みたいなネタやんけ、と思われただろう。まったくその通りである。ただ、大きな違いは、私の場合、ざっとサムネイルを見ただけで、おおむね予想された結果に近いとわかった時点で終わってしまうことであった。わははは(嘆息)。 |
という内容である。そうそう、私もやはり同じようなことをずっとやりたかったのだった。WEBページを小さな画像にして、それを何らかの色空間の中で再配置してみたかったのである。そして、その色空間の中でのWEBページ達の配置を参考にして、大きな画像をパッチワークで作ってみたかったのだ。
結局のところ、私はやはり最終的に一つの画像をパッチワークで作ってみたかったのだ。それはパッチワークという言葉を使うより、モザイクという言葉を使った方がずっと良いだろう。きっと、その方が私の作りたい画像のイメージが伝わりやすいに違いない。そう、私はMosaic等から始まったWEB空間を、「小さなWEBサイト達で点描写することで一つの大きなモザイク画像として描いてみたかった」のである。
ここまで読んで、「それってMosaicとモザイクをかけただけの、ただのダジャレ?」などと言ってはイケナイ。ホントのところは全然知らないのだが、Mosaicを作ったMarkAndreessen達とそもそもMosaicの語源であるミューズ達もきっとそんなモザイク画像を心に思い浮かべていたに違いないのである。全然根拠はないのだけれどそう思うのである。チョットだけそう考えてみれば、誰にだってそんあモザイク画- 一つ一つの点を眺めているとそれらは小さなWEBページだけど、遠く離れてみると何やらぼやけて大きな一つの画になるモザイク画- が見えてくるに違いない、と私は思うわけだ。
さて、お笑いパソコン日誌のおかげでIEのThumbnailsViewを使うという面白い方法が見えてきたわけではあるが、いきなり「WEBページのモザイク画像」に挑戦するのもキツイものがある(いや、私にはね)。そこで、今回はWEBページで使われている画像の色分布を調べてみることにしようと思う。WEBページ内には写真が多く使われているわけで、それらの写真がモザイク画像を作ることができるほど色々な色合いを持っているかどうかを調べてみるのである。
今回行う手順はこんな感じだ。
- WEBサイトから画像をゴッソリと収集する
- 低機能解析ソフトでそれらの画像の色分布を解析する
- とりあえずそれを眺めてみよう
まずはローカルディスクの適当なフォルダに画像ファイルを保存しておく。そして、このMosaic(ニセモノ)でそのフォルダ内の画像を全部読み込んで、それらの各画像の色を調べるのである。本来は、それぞれの画像の特徴色(っていっても意味不明であるが)を抽出したりする方が良いのかもしれないが、今回は簡単のために各画像内で色味をテキトーに平均した結果を用いた。
このソフトの目的はあくまでモザイク作成(しかし未実装)なので、何の役にも立たないボタン(というより動くボタンがLoadFolderボタン一つだけ…)や領域があるが、それはそれいつものことなので気にしないで欲しい。というわけで、これ
である。いつものように、色々な画像フォーマットの画像を読み込むためにはSusieプラグインが必要である。 これを使って、例えばカラフルフリースで絶好調のWEBサイトwww.uniqlo.comで使われている画像をゴッソリとゲットして、それらの画像をMosaic(ニセモノ)で解析してRGB色空間で眺めてみた結果はこうなる。赤い点がいっぱいあるが、その一点一点が一枚の画像の平均の色味なのである。
といっても、三次元のRGTB色空間を平面のグラフでこんな感じで眺めてみてもワケわからん状態なので、Red-Green平面、Red-Blue平面で眺めてみたのが次の二つの図である。
こんな風にしてみてもやはり同じワケわからん状態かもしれないが、もうひとつGreen-Blue平面を眺めてみると何やら面白い様子が見えてくる。
そう、実は「緑と青」はあまり独立ではないのである。結構相関があるのだ。青が強けりゃ緑も強い、というわけで一緒に動いているのである。ということは、「青も緑も多い青緑」や「青も緑も少ない赤」は多いがそれ以外の色は少ないということである。ユニクロのWEBで使われている写真は実は青緑・赤指向が強いのである。ところで、ユニクロのWEBで使われている写真はユニクロのフリースなどの製品の写真がほとんどである。ということは、ユニクロのフリースは青緑・赤指向が強く、青純色とか緑純色の色は実は少ないということになる。
それが端的にわかるのがa*b*平面で表示させてみた場合である。a*方向すなわち赤色方向は多いのに対して、b*の小さい方向つまり緑方向などには妙に点がないことがわかるだろう。今のユニクロは緑を何故か避けているのである。緑の純色のフリースは人気がないのだろうか?う〜ん、不思議なところだ…
青○は色味のないa*=0,b*=0の点 |
いや、そんなことはどうでもいい。別に私はユニクロのフリースを買う予定があるわけでもないし、ライバル社の社員でもないのである。色と言えばもっと他の種類のサイトを調べてみなければならないだろう。
そう、それはもちろんエロサイトである。カラフルなユニクロももちろん興味深いところではあるのだけれど、色と言えば、何はともあれ色気タップリのお色気サイトを調べなければならないだろう。
そこで、国内某エロサイトからエロエロ画像を根こそぎゲット(収集)してそれを解析してみたのが次の結果である。ハイ、ゲットしまくった結果です。
青○は色味のないa*=0,b*=0の点 |
とりあえず結果を眺めてみると、この国内某エロサイトにある画像では青・緑方向の色はほとんどないのである。ほとんど赤から黄色にかけての色なのである。Lすなわち明度は高いものが多かったので、結局のところは明るい赤から黄色にかけての色が多い、ということになる。
明るい赤と言えば、それはもちろんピンク色というわけで、私は「なるほど!だからピンク映画なのか!」「エロはやっぱりピンクなのか!」とチョット思ったりしたわけである。しかし考えてみれば、英語ではスケベ映画のことをbluefilmて言うわけでこの説には全然説得力がないのだった。
しかししかし、である。もしも、英語圏のエロサイト内のエロ画像では青方向に色味が強いのだったら、英語でスケベ映画のことをbluefilmと呼ぶ理由が説明できるのではないか、と私は考えてみた。もう少し細かく書いてみると、エロと言えばやはりヌードなわけで、それすなわちスケベ色= 肌色である。日本人の場合それが
肌色 = ピンク色で、肌の色が白くて静脈が透けまくりの白人であれば、
肌色 = 青色であるというのもそれほど不自然ではないし、だとしたらピンク映画 = blue filmであっても良いだろう、というわけだ。
もし、白人の場合「肌色 = 青色」だったりするとしたら、英語圏のエロサイト内のエロ画像では「肌色= 青色」を含みまくりというわけで、青方向に色味が強いということがあっても不思議ではない。
というわけで、さらに英語圏某エロサイトからエロエロ画像をまたもや根こそぎゲット(収集)してみた結果が次の結果である。別に私はエロエロ画像をゲットすることが目的ではないので、やましいところはないと思うのだが、やってることは「何だかな〜」状態である。
青○は色味のないa*=0,b*=0の点 |
さてさて、英語圏某エロサイトからエロエロ画像をゲットして解析してみた結果は「英語圏のエロサイト内のエロ画像では青方向に色味が強い」なんてことは全然無くて、むしろ青みは少ないのだった。というよりやたらに黄色が強いのである。とりあえず、エロエロ画像には青色や緑色はほとんど無いといっても良いようである。
ところで忘れている人も多いかもしれないが、今回の目的は「WEBページ内の写真がモザイク画像を作ることができるほど色々な色合いを持っているかどうかを調べてみる」ことだったのである。別にエロエロ画像を根こそぎゲット(収集)したり、それをただひたすらに眺めることではないのである。
というわけで、その観点から見てみると
- ユニクロサイトの画像には緑がなかったり、
- エロサイトのエロエロ画像には青や緑がなかったり、
ところで先に少しだけ書いたが、モザイクすなわちMoisacの語源はギリシャ神話の中の学問・芸術をつかさどる9人の女神Museである。ネットワークを学問・芸術をつかさどるMuse達が動かしているわけだ。Muse達が色々な思いにふけったり、楽しんだりしながら動かすネットワークの中をMosillla= Mosaic Gozilla達が動き回っているなんて考えると、とてもワクワクしたりはしないだろうか?ギリシャ神話は遠い昔の話なのではなくて、今私たちの周りに満ちているような気がしたりするのである。
2001-10-07[n年前へ]
■心の色はどんな色?
見えないものを眺めてみよう
「あなたの色に染めて欲しいの…」とはよく聞くフレーズである。それは実によく聞くフレーズではあるのだけれど、本当のところそんなことを言う人が実際に居るのかどうか私は知らない。それはさておき、私はこのフレーズを聞くたびに心の中で思うのである。「あなたの色って、どんな色やねん?」と。
郵便ポストの色とか、チューリップの色とかならまだ判るのだけれど、「人」なんて実に抽象的なものでは一体どんな色だか判らないではないか、と思うのである。そもそも、そんな「人」なんて抽象的なものに「色」なんてものが対応するのかどうか自体、不思議な話なのである。
「オマエの色が赤以外のわけがあるかぁ」と言いたくなる、もう「あなたの色」丸見え状態のゴレンジャーのアカレンジャー・メンバー(最近流行りの呼び方)とか他のメンバー達ならまだ判るのだけれど、普通の人間で「その人の色」が判るような人がいるわけがないようにも思えてしまう。
まぁ、私の名前は「純」なので「オレの色は純色なのだぁ」とクダラナクも言ってみても良いのだけれど、そんなことを言ったところで「何色の純色やねん?」とツッコまれること間違いなしなのである。「みどり」とかそんな名前を持つ人でなければ、こんなヘリクツは通用しないのである。
しかし、「あなたの色」という抽象的なものの色なんか判るハズもない、とあきらめてしまうのはちょっとクヤシイ。どんな抽象的なものも、目に見えるカタチにして眺めてみたいと感じるのが人の心情だろう。そこで、「抽象的なものの色を見てみる」ことに挑戦し、「人々の心の色」を眺めてみたい、と思うのである。
前回、「色んな心を集めたアルバム」で、WEBの世界に散らばっているさまざまな画像の中から、任意の「キーワード」に関連した画像を収集するために、GoogleImageSearchを利用し収集するアプリケーション「ぐるぐるイメージ」を作成してみた。このぐるぐるイメージとダウンロードツールのIriaなどを組み合わせれば、言葉通りの「何かに伴うイメージ(画像)」を自分の手元のPCのフォルダに集めることができる。例えば「恋」だったり、「心」だったり、あるいは、「科学」や「しあわせ」や「スポーツ」といったイメージに伴う画像、を手元のフォルダにかき集めることができるのである。
通常、「何かに伴うイメージ」というときの「イメージ」という言葉はもちろん「画像」という意味ではない。一般的に想像されるだろう「何かに伴うイメージ」は、「Aという何かに伴って私達が想像する潜在的な何かB」に違いない。それはもちろんそうなのだが、「ぐるぐるイメージ」が集める「Aという何かに伴って登場することの多いBという顕在化したイメージ(画像)」が、必ずしも「Aという何かに伴って私達が想像する潜在的な何かB」と無関係のわけもないだろう、と思うのである。世界中のWebページを作る人々が「何かの抽象的なものを思い浮かべながら貼り付けた画像」達を数多く集めてみれば、それは「何かの抽象的なもののイメージ」であるかもしれない、と思うのである。
ということは、「ぐるぐるイメージ」が私の手元のフォルダに集める「何かに伴うイメージ」というものは、結局のところ「何かの抽象的なもののイメージ」そのもので、その色を調べてやれば「人々の心の色」といった抽象的なものの色だって判るかもしれない、というわけだ。
で、早速「ぐるぐるイメージ」を使って
- 「エロ」 "○×○△"
- 「童話」 "fairy tale"
- 「心」 "heart"
- 「笑顔」 "smile"
そしてさらに、これらの画像に対して「9人の女神はピンク映画の夢を見るか?」で作成した色分布可視化ソフトMosaic(ニセモノ)を使って解析した結果が下のである。「エロ・童話・心・笑顔に伴うイメージ」の色分布をじっくりと眺めてみてもらいたい。まず、最初は「エロ・童話・心・笑顔」をそれぞれ(a*b*平面)に配置してみた。グラフ中の白マルはa*=b*=0の個所を示している。また、L*a*b*の色配置が判るように下にその色配置を大雑把に示してみた。
上の結果を眺めてみると、「エロ」は非常にシャープな分布になっていることが見てとれるだろう。薄いピンク色っぽい辺りに集中していることがはっきりと判る。明らかにそれは人の肌色に基づくものだろう。
また、「エロ」には青とか緑はほとんど含まれていない。「エロ」は青とか緑ではないのである。が、それに対して「童話」はきみどり辺りの比率が多い。
また、「心」はかなり広い分布を示し、色々な色がまんべんなく含まれている(採取枚数も他より多いこともあるが)。しいて言うなら「心」は黄色辺りに中心値があるように見える。なんと、「心の平均的な色」は黄色だったのである。
そして、最後の「笑顔」は黄色から緑辺りに向かう鋭い分布があることが見て取れる。それは人の顔色であるようにも思えるが、そうだとすると人の肌色を中心とする「エロ」との分布の違いにも着目したいところである。
また、(L*a*平面)で「エロ・童話・心・笑顔に伴うイメージ」の色分布を眺めてみたのが下のグラフである。見事なくらい「エロ」には青とか緑が含まれていなくて、暗からず明るからずといった明るさの色が多くて、ということが判ると思う。また、童話が比較的明るいみどり辺りに集中していたり、「心」はやっぱり広い色分布なんだ、ということが判るのである。
最後に、上の結果を大雑把ではあるがL*a*b*空間に配置してみたのが下の結果である。むちゃくちゃなやり方ではあるが、色空間の中で「エロ・童話・心・笑顔」といった抽象的なものの色が配置され、それぞれの色が何色であるかが判ると思う。「心」が「童話」と「エロ」の間に位置するなんて、何か意味深な気もするし、「エロ」と「笑顔」が結構離れているなんて、なんか笑っちゃう話のような気もするけれど、そういう想像は各人それぞれがする方が、きっと面白いに違いない。
というわけで、なにはともあれ今回の結果は
- エロ -> 薄明るいピンク
- 笑顔 -> みどり
- 童話 -> 明るい薄緑
- 心 -> 黄色
さて、余談ではあるが、ここのところ各社からインクジェットプリンターの新製品が発表されている。単に「いろいろな色が出せる」ということだけでなくて、「オレは心がこもった画像を出すから、黄色の表現性が良くなきゃこまるのだぁ」とか「オレはやっぱりエロ一筋だから、薄明るいピンクの階調性だね」とか、の基準を持ってみる、つまり自分が出す画像の色基準で機種を眺めてみるのも面白いかも、と思った。
ところで、今回の最初の疑問「心の色」については、答えはひとまず「黄色」ということになった。が、これはもちろん平均的には、という話にすぎない。色分布のグラフでも、「心の色」は幅広く分布していたことが判ったし、実際人の心なんてとっても幅広い分布をしているに違いない、と思うのである。一人一人の中だけでもそうだろうし、色んな人がいればもちろん色んな色があるだろうし。十人十色というくらいだしね。
2002-08-17[n年前へ]
■絵画から学ぶイメージング技術 肌色の表現
吉田ら。「好み的には」好きな話。定量的な話としては難しそうなところもあるんじゃないかと思うが。
2003-03-20[n年前へ]
■24色肌色クレヨン
人それぞれみんな違う、十人十色、よりどりみどり、と言えばこんな「24色肌色クレヨン」黒・茶色・薄オレンジ・赤色…24色がどれもみんなそれぞれ違う、だけど「どれもみんな同じ肌色」だと知ることができる肌色クレヨン。
今日みたいな日だから、そんな肌色クレヨンを眺めてみるのも良いかもね。
2004-05-22[n年前へ]
■視覚素子ハッキングソフト
「視覚デバイス(USBカメラなど)をリアルタイムでハッキングし、顔の肌色領域を自動抽出して顔の部分におなじみの笑い男マークを表示する」という視覚素子ハッキングソフトCatcher in the Rye。 from 骨ニュース
ちなみに、笑い男とはTVアニメ「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX」に登場する、人の電脳に侵入し視覚情報を改ざんするほどの凄腕ハッカー。もちろん、「笑い男」"Laughing Man"も「ライ麦畑でつかまえて」"Catcher in the Rye"もサリンジャーの小説の題名。