hirax.net::Keywords::「イノベーション」のブログ



2005-05-05[n年前へ]

「未来予想図の多数決」と「12人の怒れる男」 

西村 肇氏の言葉は次のように続く。

独創的な仕事とは、みんなで相談して出来るものではなく、傑出した個人がみんなを引っ張って出来るものという点です
12人の怒れる男特集naoyaのはてなダイアリー - 反対の中からイノベーションは生まれる「七割が賛成するプランは時すでに遅く、七割が反対するプランでやっと先手がとれる」という松下幸之助の言葉をひきつつ「周囲が - そんなのうまくいくわけない - と思っていることでもとにかくやってみて、他にないものを生み出していけたら…」と語る「反対の中からイノベーションは生まれる 」を読みつつ、確かに何か新しいことをするような場合には「(未来に)正しそうな考え」は必ず少数派になるものなのだろうなぁと想像する。多数決ではきっと未来予想図を描くことはできないだろう、と想像する(私には想像することしかできないけれど)。映画「12人の怒れる男」ではないが、多数の考えが「正しくなくて」の少数の考えが「正しい」ということは、決して稀ではないように見える。

 もちろん、その未来予想図が「正しい」かどうかは、西村 肇氏の先の言葉「理科人間の議論は一回で論戦を決着できる物証の提示」で決められるべきものだと思う。つまり、人間の頭の中の想像・妄想ではなくて「描いた未来を物証で示す」べきものなのだろう、と思う。つまり、結局のところ「未来を予測する最良の方法は、未来を創りだすことだ(The best way to predict future is to invent it.)」というアラン・ケイ(Alan Kay)の言葉に尽きる、のだろう。「未来の想像・妄想図」を現実のものとして作り出してしまえば、それは想像や妄想の未来ではなく「現実」になるのだろう、と思う。現実に生み出された未来を見れば、そしてそれが実際素晴らしくて受け入れられていくものであれば、その未来予想図は「正しい」ということになるのだろう、と想像する。

2005-09-22[n年前へ]

続「自分を正当化してくれるもの」を好む 

平林 純@「hirax.net」の科学と技術と男と女/Tech総研 Tech総研ブログにエンジニアが選ぶ「座右の書」- 続「自分を正当化してくれるもの」を好む -を書きました。
 ちなみに、他の方が選んだ本で私が手元に持っている本(つまり私も気に入っている本)は「ハッカーと画家」「イノベーションのジレンマ」「「超」整理法」「物理数学の直観的方法」「鉄腕アトム」あたり、ですね。

「座右の書 = いつも自分のかたわらに置いておく本」とはどんな本なのでしょうか? …そこで、いつものように新明解で「座右の銘」という言葉の意味を調べてみると…

2005-10-10[n年前へ]

秋山真之と児玉源太郎 

 旅先で、一年近く前の「歴史街道」を読み直している。日露戦争の前後の秋山真之と児玉源太郎を特集した号だ。何度読み直しても、面白い。

秋山真之と児玉源太郎に共通する特徴として、戦場の戦闘行為だけに目を奪われないということがあります。秋山は、ロジスティックス、つまり戦争の支援業務が重要だといっていますが、児玉はもっと広くて、戦争を総合的にとらえる視点をもっていました。たとえば、戦費調達のための外債公募がうまくいくようにと、日露戦争の緒戦(初めの頃の戦い)で目立つ戦果をあげるべく作戦を考えている…
 「イノベーションのジレンマ」「ピーターの法則」などに興味が惹かれた人であれば、100年以上前にアメリカ留学を経た秋山真之や児玉源太郎のことを読んでみるのも面白いはず。あるいは、「歴史街道」のこの号を騙されたと思って手に入れてみても、損はしないかも…。

2006-09-06[n年前へ]

西村経済学教授へのインタビューまとめ板書 

Title 先日行った、西村和雄 京都大学経済研究所教授へのインタビューの「まとめ」板書です。「選択と未来」「イノベーションのジレンマ」「(16才の頃)知っておきたかったこと」など、なかなか興味深い話が登場しています。

 経済学インタビューは「全6回」ということで始まりました。全6回のうち、すでに3回文が公開されています。後は、すでにインタビューが終わっている第4回"感情で動いてる"友野先生、今回の第5回 西村和雄先生の次となる回でインタビュー自体を終えることになります(さらにもう一回だけ、まとめの回があります)。第2シーズンなんていうものもあったら良いな、と個人的には望んでいたりしますが、とりあえず、第6回目のインタビューはラストになるわけです。というわけで、最後は「希望学」の東大社会学研究所 玄田先生に話を聞きに行きたい、と思っています。

2007-07-08[n年前へ]

「分業・神の見えざる手」と「ワットの復水器・調速機」 

 『国富論』を書き"経済学の父"と称されるアダム・スミスは、蒸気機関を広めたことで有名なジェームズ・ワットと親しかったという。その影響もあってか、経済成長と技術革新、つまり、経済成長とイノベーションの繋がりを強調していた。

 スミスは蒸気機関の改良で有名なジェームズ・ワットのお友達なんです。 だから、スミス自身は蒸気機関を使った産業革命・機械化の時代に先駆けた時代の人ですが、技術革新こそが経済成長の源泉だというような内容のことをものすごく強調しています。 栗田啓子
 ジェームズ・ワットというエンジニアと、哲学者であり経済学者であるアダム・スミスの間にとても深い親交があって、影響を受けあっていたというのは、興味深い。現代の私たちを取り巻いている技術革新が経済成長を生み出しているという事実を、そんな親交からスミスが見いだしたというのは、とても面白い。

 そして、きっとそれだけではない、とも思う。

 ジェームズ・ワットを「蒸気機関を発明した人」と捉えている人も多いだろう。しかし、ワットは決して蒸気機関の発明者ではない。ワットは、すでに存在していた蒸気機関の効率を飛躍的に向上させることで、経済的に引き合う蒸気機関を作り上げた、という存在である。すでにあった複数の技術を上手く組み合わせることで、蒸気機関を効率よく安定に動かすことを可能にし、産業革命を支えたのである。
 産業革命の中で育ったワットは、…1757年にアダム・スミスのはからいで、グラスゴー大学構内で実験器具製造・修理店を開業した。 ここでニューコメン型蒸気機関と出会い、より効率のよい蒸気機関を造るつくるため、熱と力の関係を研究する。 Wikipedia 「ジェームズ・ワット」
 ワットが生み出した「経済的に引き合う蒸気機関」の重要なポイントは、少なくとも二つあるように見える。その一つは蒸気機関への復水器を導入であり、もう一つは、蒸気機関に調速機を採用したことだ。(続く)



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