2008-04-16[n年前へ]
■「二百三高地/八甲田山」と「ドラクエ3 黄金の爪取っちゃった状態」
大変な状況を表現する時、どんな言葉を使うだろう?たとえば、イライラするクライアントのもとに何人かで立ち向かわなければならない状況で、あなたなら、どういった言葉で「そんな状況を」描くだろう?
ある時、「まるで、二百三高地か冬の八甲田山みたいな状況だよね、これ」と、30歳ほどの人に囁くと、「えっ、何ですか、それ?」と言われショックを受けた。そこで、二十~三十歳くらいの人たちに聞いてみると、誰も二百三高地も八甲田山を知らない、という。
「それなら、どんな言葉がピッタリくる?」と聞いてみると、「うーん、バイオハザードのラクーン・シティでケルベロスが出てきた感じですかねぇ」という。
今度は、逆に……全然わからない。そこで、さらに「他には何か表現があったりしない?」聞いてみると、「あっ、ドラクエ3で、黄金の爪取っちゃった状態ですね!」ということになった。その言葉が出た途端、若い人たちはみな「そうそうそんな感じ」と納得しあっている。ドラクエ3 黄金の爪取っちゃった状態……って、どんな状態だったっけ……?
結局、40代~30代~20代のどの世代でも納得できる言葉は「デスマーチ」だということになった。日清~日露戦争とドラクエ3とバイオハザードが、そんな言葉を鍵にして重ね眺め直してみるのも、一興かもしれない。歴史年表を広げながら、「この時は、そうドラクエ3 黄金の爪取っちゃった状態だったんだよ」というような自由な授業があったとしたら、少し聞いてみたいような気がする。
2008-05-23[n年前へ]
■『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く! 』
「個性溢れる11人の経済学者の方々に話を聞く」という趣旨の本、『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く! 』が発売されました。大竹文雄・玄田有史・友野典男・松原隆一郎・小島寛之・奥村宏・西村和雄・森永卓郎・中島隆信・栗田啓子・中村達也という、11人の経済に関わる方々が、ものわかりの悪い生徒に実に丁寧に教えてくれたこと、その内容が本になりました。
本書には、一般の方々や経済学者の方々のアンケートから、「経済学者」「一般のひと」がそっくりだけれど、ほんの少しだけ違う姿が浮かび上がり、「豊かになるために必要なもの」をクラスタ分析した結果から、「希望とか自由とか愛」といった見えないものの繋がりを眺めたりすることができるオマケもついています。また、産業・科学や芸術・宗教といった歴史背景と、経済学の世界地図の上に時系列で並べた「歴史年表」もついています。
豊かになるために、小島先生はたくさんのものを選び、(「若い頃は時間があるけれど金がなかった。今は時間だけが必要…つまりは年をとったということです」といった言葉とともに)大竹先生と友野先生は時間だけを必要とし、森永先生は「愛」だけを選びました……
一般の方々や経済学者の方々へのアンケート結果、そこに記された言葉を眺めていると、不思議なほど私たち自身(そして私たちの分身のような経済学者の方々)の姿が見えてきます。そんな私たち自身の姿・私たち自身が望むことを眺めつつ、経済学者の先生方が話すこと読むのも、一興かと思います。
2008-06-12[n年前へ]
■自分なりの「年表」を作って眺めて、納得してみよう
『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く!』で、経済学者の先生方に話を聞く中で、よく歴史を辿りながら話を聞いたように思います。「株式会社」の歴史、「消費」の歴史、「社会」の発展の歴史……色んな歴史を描き辿りました。そこで、単行本を作る時に、世界の社会背景変化や技術発展や文化の歴史などを、自分なりの歴史年表を描きながら眺めなおし、そして、講義の中で聞いた話や経済学者や事件などをその歴史に重ねつつ、読み直してみたのです。その年表を綺麗にしたものが、単行本の末尾にオマケで付けたものです。
自作年表のドラフト版が下の画像で、その一部を拡大してみたものが右の画像になります。「年表」を作りながら、歴史の中で起きた大きなことの多くは、その時代を眺めてみると、どれも何だか当たり前で必然のことなのだなぁ、と今更ながらに感じました。
たとえば、グーテンベルグが活版印刷を「発明」し、聖書が印刷され、プロテスタント系の人たちが印刷機で宣伝ビラを大量に作り、そして、宗教革命が起きていく。そんな歴史の中では、経済活動も科学技術も絵画などの文化も、どれも密接に繋がっていたんだなぁ、などと色んな事象の因果関係をとても自然に納得することができました。
私たちは、因果関係を頼りに納得することが多いように思います。ということは、自分なりの「年表」を作り、その年表を作る過程で因果関係を納得することで、よくわからないこと・苦手なことも理解しやすいのかもしれない、と思ったのでした。
2008-09-26[n年前へ]
■Pop-Eye と anan別冊 POPEYE
雑誌サイトを作ってみようとした時、まずはいつものように図書館に通って雑誌文化の下調べをした。色んな雑誌の特徴や創刊時のエピソードを読んでいて面白かったことがいくつもある。たとえば、POPEYEがananの別冊として始まった、といったそういう雑誌の生まれから、雑誌が続いていくうちにどのようにポジショニングが変化していったか、ということだ。
当初は月2回女性誌の「anan別冊・Men's an an POPEYE」として、コラム・マガジンとしてスタートした。アニメポパイの主人公ポパイをキャラクターに、1976年6月に、当時の平凡出版(現在のマガジンハウス)より、「Magazine for City Boys」というサブタイトルで創刊された。
Wikipedia
そして、POPEYEはPop-Eyeだったことに気づく。ウォーホルが口にしたPop-Eyeのような60年代の空気と視線をまとわって、あぁ生まれてきたんだなぁ、と思うと「頭の中の世界年表パズル」中のピースがコトリとはまる感じで小気味よい。
2013-09-17[n年前へ]
■「的を得る・的を射る・当を得る」年表を作ってみよう!?
「的を射る」を正しいとする”的を得る”は誤用だ!派による「的を得る」狩りを見かけます。しかし、言葉の語源・使われ方の流れを眺めると、単純に「正しい」も「間違ってる」も一概に言うことはできそうにない(参考:【まとめ】「的を得る」と「的を射る」の誕生と成長の歴史)…というわけで、「的を得る・的を射る・当を得る」年表を作ってみました。つまり、過去の文献に登場する「的を得る」や「的を射る」や「当を得る」や「正鵠を得る」や…といったものを「使われた時代」にマッピングしてみた年表です。
昭和が始まった頃から(それまで使われていた、正鵠を得る・当を得る、から)「的を射る」が使われるようになり、太平洋戦争が終わった頃から、的を得るが使われるようになった…などと、その時代に重ねて(その時代に使われた)言葉を眺めてみるのも面白そうです。
この年表に、その時代毎の出来事を書き入れてみると、そんな時代を実感できるかもしれませんね。