2000-04-22[n年前へ]
■怪しいレーダー・マン
コウモリの発する音を聴け
最近、帰りが遅い日が続いていた。しかし、今日は7時過ぎには家へ帰ってきた。4月も中程になると、この時間でも薄暗いほどに、日が長くなってきた。さて、駐車場で車を止めて空を眺めていると、蝶々のようなものがさかんに近所を飛び回っている。あれ、もう蝶々が飛び回る季節だったかな、それにこんな時間に蝶々って飛び回るのかな、それともこいつらは蛾かな、などとボンヤリ考えながら眺めていた。すると、それは蝶々でも蛾でもなく、コウモリだと教えられた。
それを聞いた瞬間、当然私は家の中に駆け込み、そして秘密道具を手にして戻ってきた。もちろん、その秘密道具とはこれである。
の時に手に入れた超音波の音波を可聴域に変換する「バットディテクター」である。こいつを使えば、コウモリが発する超音波を自分の耳で聞くことができる。イヤホンを耳に差し、コウモリに超音波マイクを向けると、聞こえる聞こえる。コウモリの発する超音波が聞こえる。「コッコッコッコッ…」というような音が聞こえるのである。
「コッコッコッコッ…」という音がどんどん大きくなってくるとき、すなわちコウモリが近づいてくる時は恐怖すら感じる。外が暗くてよく見えないために、なおさら怖いのである。目の前にいきなりコウモリが突然現れたらどうしようかと思うと、トイレへ走り込みたくなる。
さて、録音してみたコウモリの声をここにおいておく。とりあえずは、WAVファイルとMP3ファイルである。
この声を可視化してみたものが次の画面である。音声波形とスペクトログラムである。パルス上の「コッコッコッコッ…」という音が連続的に繰り返されているのがわかる。さて、コウモリの発する音を録音している内に真っ暗になってしまった。しかし、一応コウモリの写真も撮影しておきたい。
普通であれば、真っ暗な中で被写体(コウモリ)がどこにいるかわからないのであるから、撮影は結構難しいだろう。しかし、私には「バットディテクター」がある。耳にイヤホンを差し、超音波マイクを空に向ければ、例え真っ暗でもコウモリがどこを飛んでいるかはわかるのだ。超音波によるレーダーが私の味方なのである。カッコイイ言い方をすれば、私は超能力を持つレーダー・マンなのである(あまり格好良くない気もするが…)。
そういうわけで、「バットディテクター」を頼りに「真っ暗な中を飛び回るコウモリ」をデジカメで撮影してみた。残念ながらピントがなかなか合わないのが難点であるが、とりあえず撮影してみた。それが、次の写真である。
この写真を撮るために、私は真っ暗な中でデジカメのシャッターを押しまくった。当然、真っ暗闇の中でフラッシュだけが光り続けたわけである。考えてみれば、怪しさバツグンである。耳にイヤホンをつけて、変な器具(実は「バットディテクター」)を空に向けて、延々とフラッシュを光らせまくるヤツ、それが私である。これを見た誰かが警察に通報するのではないかと、と真剣に心配になった程である。いや、もちろんパトカーがもし来たとしても、その音も素早くキャッチできるハズである。しかし、自宅の前では逃げようがない。
作業が終了した今は、ただ、近所で悪い評判がたたないことをただ祈るのみである。
2000-06-24[n年前へ]
■「色っぽい声」の秘密
キャバクラ嬢は英語が上手い!?
以前、
で私は鈴が鳴るような綺麗な声がとても好きなのである。いつか、そういう声の秘密について調べてみたい、と思う。と書いた。今回は「男を惑わす魔性の声」について考えてみたい。
「男を惑わす魔性の声」といっても色々ある。私の場合、「鈴が鳴るような声」も好きだし、森本レオの声も大好きである。両極端であるが、本当なのだからしょうがない。それは他の人も同じで、その人ごとに好きな声と言うのは違うはずだ。などと言い出すと、どんな声が「魔性の声」なのかわからなくなる。そこで、「魔性の声」を出すプロに注目してみよう。「男を惑わすプロ」の出す声に注目してみるわけだ。
「男を惑わすプロ」と言えば、例えばキャバクラそれともキャバレー?(どちらも、残念ながら行ったことないけど)で男性を手玉にとるキャバクラ嬢ははずせないだろう。彼女らの声はまさに「魔性の声」としか、言いようがない(行ったことないから、想像で書いてるけど)。例えば、
「あァ〜ン、もう社長さんたらァ。」の「ァ〜」の部分なんて、どうだ。これぞ、まさに「男を惑わす魔性の声」だという気がしないだろうか。この声に惑わされて、路頭に迷った彷徨える(エロ)子羊達の数は数え切れないはずである(多分)。今回はこの「色っぽい声」の秘密に迫ってみようと思う。
↑ココ
さて、、まずはデータ収集が必要である。何より一番良いのは本物のデータを手に入れることである。すなわち、夜のキャバクラへ出撃するのが一番良いわけだ。私も「データの精度」にこだわる意味でも、ぜひそうしてみたい。使命感すらあると言ってもいいくらいである。しかし、残念ながら諸事情がそれを許さないのである。
そこで、infoseekで「色っぽい声」で検索をかけて見つかった高等遊民氏のVOICE.WAVを使ってみることにした。聞いてみればわかると思うが、この色っぽい声は先の「ァ〜」と同じような種類の声なのである。
今回はこの声に注目してみることにしよう。次に示すのが、高等遊民氏の「色っぽい声」中で解析を行った部分である。
その部分を拡大してみると次のような音声波形である。この音声波形に「色っぽい声」の秘密が隠されているのである。
さて、この音声波形に不思議なところはあるだろうか?「色っぽい声」の秘密の鍵となるところはないだろうか?そう考えながら、この音声波形を眺めていると不思議なことに気づいた。
果たして、これは「あ」と言って良いのだろうか?これが「あ」であるという思い込みを私はしていたのではないだろうか?今回、一番最初に
例えば、次に私の声で「あ、え、お」を示してみよう。上の魔性の声「あァ〜」は下の波形で言えば、むしろ「お」とか「え」に近いのがわかるはずだ。
え お |
もちろん、別人の声であるから音声波形が異なるのは当たり前だろう。そこで、フォルマントを調べてみることにした。それが下のグラフである。赤丸部分が「あァ〜ン」の秘密を解くポジションである。「あァ〜ン」のフォルマントと日本語の母音がどういう位置にあるかを表示したものである。
何と、そもそも日本語にはこの「色っぽい声 = 魔性の声」「あァ〜ン」を示すべき音がないのである。日本語にとってこの「色っぽい声= 魔性の声」は未知の音なのである。
考えてみれば、それはそうかもしれない。人間誰しもよくわからないものには「恐れ」と同時に「好奇心」を刺激される。例えば、異性というよくわからないものに惹かれる気持ちだってその一例だろう。だから、少なくとも日本人にとっての未知の音であるものが「色っぽい声= 魔性の声」に感じられるようになったのは、ある意味当然と言えるのではないだろうか?
「男を惑わすプロ」であるキャバクラ嬢が日本語の音の領域図を知った上で、この「色っぽい声= 魔性の声」「あァ〜ン」を発しているとは私も考えないが、少なくとも日本語の音の分布からすれば、「まさに男を惑わすツボを抑えている」ことがわかる。恐るべし、キャバクラ嬢である。
日本語の母音だけではなんなので、英語の母音の領域も参考までにこれに重ねてみよう。それが下の図である。
なんと、英語ではこの領域は「未体験ゾーン」ではないのである。「色っぽい声= 魔性の声」「あァ〜ン」の音は発音記号で言うとVの上下がひっくり返ったやつの領域に重なってしまうのだ。英語圏の人にとってはこの「あァ〜ン」は未体験の音ではないのである。私は英語の発音は涙が出るほど、上手くできないのであるが、もしかしたら「魔性の女性」達にとってはいともたやすくその発音ができるのかもしれない。
ところで、先程の「知らない音 = 魔性の声」理論からすれば、英語圏の人にとってはこの「あァ〜ン」はそれほど「色っぽい声」ではないということになりそうだが、残念なことに私は生粋の日本人なのでそれを確かめることはできない。それに調べたら、きっとこの「知らない音 = 魔性の声」理論は崩壊してしまうだろう。
さて、最後に色っぽそうな音を数学的に合成してみた。
あなたの感性が豊かであるか、想像力が豊かであれば、このいかにも人工的な音の中のにも「色っぽい声= 魔性の声」「あァ〜ン」のエッセンスが感じられ、心惹かれるはずである。今回は簡単にやっただけなので、この音の内容については詳しく説明はしない。次回(いつものごとく何時になるかは全然わからないが)、
- Mathematicaで「あァ〜ン」- 色っぽい声を合成しよう - (仮題)
2000-10-19[n年前へ]
■Evey little thing we ee is magic.
WEBページで作るOscylinderscope
先日、The Reuben H. FleetScience Centerという科学館に遊びに行った。そこで面白いものをみかけた。それはOscylinderScopeという名前のもので、下の写真のようなものだった。
Oscylinderscopeの作者のNorman TuckのWEBサイト
- A Catalog of Kinetic Sculpture byNorman Tuck
- ( http://www.normantuck.com/ )
- TheOscylinderScope
- ( http://www.normantuck.com/catalogPages/oscylinderScope.html)
電気的な変化する信号に合わせて、光の点をsweepさせることで波形を描き出すのがオシロスコープだが、このOscylinderScopeもドラムをい回転させて、ドラム上に描かれた白い線が振動するギターの弦の後ろをsweepして、ギターの弦の振動する様子を描き出すのである。
参考までにNorman TuckがOscylinderScopeに関して取得しているUnites StatesPatent 5,975,911から判りやすそうな図を下に示しておく。揺れる棒の様子がSin波状に見えている、という説明図である。
このOscylinderScopeにはとっても単純だけど素敵な科学的なアイデアと、展示物としてのセンスと、そして何故かちょっとうれしくなるようなバカバカしさが感じられて私はとっても大好きだ。そこで、一ファンとして私も「WEBページで作るOscylinderscope」というのをやってみることにした。
といっても、やることは単純に単なる速く移動する白い線をパソコン画面に映し出すだけである。そして、その前で何かを振動させてその振動の様子を可視化するのである。
まずは、Oscylinderscope風アニメーションGIFだ。おそらくInternetExplorerではゆっくりとしか再生されないと思うが、NetscapeCommunicatorであればプラットホームにもよるが高速に再生することができると思う。少なくとも、Linux上のNetscapeNavigatorではかなり速く再生されるハズだ。
このアニメーションを再生できない環境の人のために、動画ファイル版にしたものもここにおいておく。
- oscylinderscope.avi ( 145kB )
このアニメーションGIFや動画ファイルを再生して、部屋の電気を暗くしてみる。すると、CRTの画面というのはとても明るいので、部屋を暗くしてCRTだけをつけておくと、CRT画面に映し出されている色に部屋が染まる。部屋がそんな風にチカチカした状態で、画面の前で何かを振動させると、アラ不思議その物体の振動の様子が何やら変な風に見えてくる。例えば、真っ直ぐな細い棒を「Oscylinderscope風AVIファイルの前で棒を揺らしてみたところ」である。写真では判りにくいと思うが、真っ直ぐな棒がウニョロウニョロと曲がって見えるだろう。とにかく、真っ直ぐな棒が振動する様子を静止したイメージで目にすることができるのだ。
ところで、私はこんなOscylinderscopeを見ていると、ナポレオンズの「首グルグル・マジック」を連想してしまう。一カ所だけ穴の開いた筒を頭にかぶる。そして、穴の部分から顔を覗かせる。筒を回転させ始めると、なんと顔がずっと見え続ける、つまりエクソシストの少女のように首が回転しているのだ!これがマジックかぁ?と言う人も多いかもしれないが、私はこれこそ本当にmagicそのものだと思う。このマジックには、目に見えていない瞬間に起きていることは結局想像するしかない、という本当の真実と、何故かもう嬉しくなるくらいのバカバカししさが同居していて私は大好きなのだ。他の人はどう思うか知らないけれど。
2001-10-11[n年前へ]
■NCH Tone Generator Ver.1.2
PCベース音声波形ジェネレータ。(リンク)
2005-09-07[n年前へ]
■「appleのビデオ機能」
先日、末広町で飲んでいた時に、appleのビデオ出力のメカニズムの話題に一瞬なった。忘れている箇所も多かったので、もう一度そのメカニズムを追いかけてみた。
apple回路では、14.32MHzのオシレータ出力を2分周した7.12MHzの信号がビデオ信号のドット・クロックとなる。回路上はあくまで、(基本的には)1ドットが1bitの単純な構成である。
ところで、NTSCのビデオ信号のカラー情報は「ビデオ信号に重畳した3.58MHz波形」の位相で表すが、この3.58MHzはappleのビデオ・クロック(7.12MHz)のちょうど二倍である(もちろん単にそう設計したわけである)。ということは、2ドット分のビデオ・信号を"on""off"として出力した場合と、"off""on"して出力した場合では、NTSC信号でのカラー情報(位相)が180度ずれたもの(=補色)を表すことができるのである。
ということは、基本的にはハイレゾ1bit=1dotとして、まるで二値的に思えるシステムであっても、少なくとも白(on.on)と黒(off.off)と紫(on.of)と緑(off.on)という四色が生成できることになる。もちろん、単純に言ってしまえば、(7.12MHz単位の)2ドット毎(=NTSCのカラー信号3.58MHzの周期)に対して2bit使っているということになるので当たり前と言えば当たり前の話になる。そして、連続する2ドットのon-offの組み合わせでNTSCのカラー信号を生成(疑似表現)するので、「連続する2ドットの関係で色が決まる」というappleのカラー・グラフィックの掟がここにできるわけだ。
さらに、(ある時期以降の)appleの場合ビデオ・データの特定の(=横7ドット, 縦8ドットのテキストモードとの兼ね合いで使われていなかった最上位の)bitを立てると、フリップフロップ回路で70nsだけ信号を送らすことができる。その70nsのずれは、NTSCのカラー信号3.58MHzのドット・クロック幅の25%に相当する(角度で言うと90度)。ということは、NTSC信号でのカラー情報(位相)が0, 180度の色だけでなく、90, 270度の色も出力(疑似生成)することができるようになる。すなわち、黒・白・紫・緑に加えて青・橙という計6色が出力することができるようになる。
そして、これらの出力機能は結局のところ、二値出力の高低信号の位置を「ドット配置やドットの位置ずらし」といった操作で変化させているにすぎない。ということは、こういった出力をモノクロ・ディスプレイに対して行えば、(ClearTextなどの技術の祖先とも言える)「基本ドットの位置を25%だけ横にずらして、(位置出力として、あるいは階調出力として)滑らかな出力を行う」なんていうこともできるわけである。(出力デバイスがもしもカラー・デバイスであれば)「色のにじみ」が結果として出現するところも全く同じと言えば、同じである。
単純明快な回路ではあるが、こういう単純なシステムをなんだか忘れてしまっているような気がする今日この頃、だ。