2009-08-25[n年前へ]
■「ナナ」と「ハチ」という分身の物語
小倉千加子と中村うさぎの「幸福論 」から。矢沢あいのマンガ「NANA 」に関する、中村うさぎの鋭い言葉の羅列。
私は、あの作品が若い女の子に支持される理由がわかる。だって、自分のことを本当にわかってくれて、ずっと一緒にいたいのは恋愛相手じゃないって、皆思っている。
私はあれを「分身」の物語だと思いました。
そして、自分のことをすごくわかってくれるというのは、自分の分身なわけですよ。違う生き方ができる分身ね。
2009-08-27[n年前へ]
■課題解決の結果生じた次課題を解決することが小説を書くということ
児玉清が25人の作家にインタビューした児玉清の「あの作家に会いたい」 から角田光代の言葉。
Aという小説で私なりにあることができたと思った時に、(その結果)Bという課題が生まれたとします。すると、次にBの課題を入れ込んだ小説を書くというふうに、「読み手に向けて」よりは、「自分の中にある課題を片付けていく」というのが近いですね。
この言葉は、「ひとつの疑問をべつのかたちの疑問に有効に移し替える作業」に書いた、村上春樹の言葉と合わせて読むと興味深い。
2009-10-16[n年前へ]
■「帝国主義のモットー」と「近代科学」の共通点
河合隼雄「物語をものがたる―河合隼雄対談集 」から。分厚いこの本は、この後、「続 物語をものがたる―河合隼雄対談集 」「続々 物語をものがたる―河合隼雄対談集 」と二冊続く。
帝国主義のモットーとして使われる「divide and rule」(分割して統治せよ)は、少しもじって使うと、そのまま科学の標語にもなるところが面白い。つまり、物事を区別(分類)して、その間の法則(ルール)を見出して秩序付ける、と読み換える。これは近代科学の行っているところである。
近代の科学・技術的思考法は人間関係にも持ち込まれて混乱を生じせしめているように思う。
2009-11-02[n年前へ]
■「マンガ」と「物語」
「ニッポンのマンガ (アエラムック―AERA COMIC) 」に収録されている、萩尾望都×浦沢直樹×夏目房之介という3名による座談中から。下の言葉は、その中にある萩尾望都によるもの。
ではなぜ、人間は物語に魅かれるのか。なぜ物語を求めるんでしょう。生きてると、矛盾したことがいろいろと起こる。「どうして生きてるの」とか、(中略)…ということが日常的にある。
そこに正しい答えはない。でも、物語の中ではさまざまなことが一応整って見えてくる。答えがあるわけじゃないんだけど、道筋は分かる。
2009-11-06[n年前へ]
■メルヘンというものが物語っているもの
「教養の役割」という問題を考える時、ノーマ・フィールドが「教養の再生のために―危機の時代の想像力 」において、話した言葉。
(ドイツのジャーナリストで映画評論家であったジークフリート・クラクカウアーは)御伽話(おとぎばなし)、つまりメルヘンについてとても印象的なことを言っています。メルヘンとは奇跡を描いているのではなく、正義の奇跡的到来を物語っているのだ、と。
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