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2005-05-22[n年前へ]

技術的思考が欠如した記事 

「日勤」でうまくなるはずない…運転名人が指摘 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) 『「日勤」でうまくなるはずない…運転名人が指摘』という読売新聞の記事を読む。これは、典型的な「技術センスが完全に欠如した記事」である。
 「停止位置は1 cm以内、到着時刻は5秒以内」という、「40年以上も前の」新幹線の許容範囲に対し、「オーバーランし、1分以上も遅れていた尼崎の事故車両とは別世界のような数字」と書き、「特別な列車でなくても、普段からみなさんその程度の誤差で運転していた。現在と比べ、ブレーキやモーターの性能が大きく劣っていた時代」と書く記者の感覚に驚く。現在の毎日の運行の中で「誤差」を生む原因は何だろうか?という考えを巡らせようともしなかった記事に感じられる。

 この記事の書き手には、おそらく「ブレーキやモーターの性能の優劣」と「制御しやすさ」が等しいのだろう。

 野球のノックは木製バットよりも金属バットの方が「当然」打ちやすいと考えているし、ジェット飛行機はプロペラ飛行機よりも操縦しやすいと「当然」考えているのだろう。

 しかし、それは「違う」のである。

2005-06-24[n年前へ]

気温と肌の露出度の関係 

気温と肌の露出度の関係 今日締め切りの原稿のために、こんなグラフを作ってみました。世界各国の色んな都市の色んな季節の「気温とその時期の肌の被覆率」の関係です。もちろん、色んな都市があるわけですが、右のグラフではとりあえず全部一緒にしてプロットしてみました。都市別の違いもわかるグラフはまた後で出すことにしましょう。

 なお、服は何枚も重ね着されたりするわけですから、肌の被覆率は100%以上にもなることがあるわけです。また、「肌の被覆率」を算出する際には、小さな下着(トランクスとかブラジャーとか…)は数に入れてません。そんな小さな面積は誤差の範囲でしょうし…。そんなこともないでしょうか…?

2008-02-25[n年前へ]

「ゴールデン/デッド・クロス」と「ナンシー版画」 

 株とか為替の売買のタイミングの指標である「ゴールデン・クロス」「デッド・クロス」というものを知った時に、対象ジャンルがどんなに違っていても、(専門的でない)基本的な技術はほとんど同じなのだな、と感じたのが「ナンシー版画アルゴリズム」を作った時後に、株や為替売買の指標となる「ゴールデン/デッド・クロス」を知った時だ。

 ゴールデン・クロスとデッド・クロスというのは、何かの価値の「短期的な平均」が「長期的な平均」よりも上になったら(ゴールデン・クロス)、その価値が「上昇中」と判断し、その価値の「短期的な平均」が「長期的な平均」より下になったら(デッド・クロス)、その価値は「下降中」だと判断するやり方である。たとえば、何かの株価の「25日間の平均値」が「75日間の平均値」を上回ったら、その変化はなにかのノイズや誤差でなく「株価が確かに上昇傾向にある」ことを示していると判断し、その株価の「25日間の平均値」が「75日間の平均値」を下回ったら、株価が確かに下がり始めていると判断する、そういったやり方である。言い換えれば、「25日間の平均値」と「75日間の平均値」、すなわち、「短期的な平均」と「長期的な平均」が交差した瞬間が、「上げ」と「下げ」の境界地点だと判断するやり方である。そういった株や為替の上下の境界線を長期平均と短期平均の差分から判断する方法が、「ゴールデン・クロス/デッド・クロス」だ。

 「ナンシー"小"関 風 パッチもん版画」作成ソフトの輪郭抽出アルゴリズムも、「ゴールデン・クロス/デッド・クロス」と完全に同じアルゴリズム(やり方)で作られている。実際のところ、このプログラムは10行に満たないほどの実にシンプルな「境界」検知プログラムに過ぎない。そして、その実現アルゴリズムは「狭い範囲で平均化した明るさ」が「広い範囲で平均化した明るさ」が等しくなる=交差する箇所がモノの「境界」だと判断するだけ、である。つまり、「ガウシアン差分」を行うことで顔や景色の境界線を描画した上で、さらに塗りつぶしを行うだけのアプリケーションが「ナンシー"小"関 風 パッチもん版画」作成ソフトである。

 株や為替の売買の判断も、目に見えている画像の認識・判断も完全に同一のアルゴリズムで判断することができたりする。それは、対象とする現象(のジャンル)は違えども、どちらも「境界線」「分水嶺」判断をするという同じ作業に過ぎないのだから、至極当たり前の話であるのかもしれない。…けれど、それはやはり少し面白い話であると思う。全然違うように思える事柄が、完全に同一の処理で解決することができたり、一つの道具で全く違う(ように見える)世界を描くことができたりするのは面白いと思う。

ゴールデンクロスとデッドクロス「ナンシー






2008-02-27[n年前へ]

「1bit変調」と「誤差拡散法」 

 「ゴールデン/デッド・クロス」と「ナンシー版画」と同じように、一見違う分野の技術に見えても、実は全く同じ仕組みで動いている技術のペア(対)はたくさんある。そんな技術ペアの一つが「ΔΣ変調」と「誤差拡散法」である。ΔΣ変調の方は「1bit変調」といったキャッチフレーズとともに、オーディオ機器のAD(アナログ→デジタル)・DA(デジタル→アナログ)変換において使われることが多く、誤差拡散法はアナログ画像をデジタルの離散階調(多くの場合1bit=2値)で表現する場合によく使われる技術である。どちらも、結局のところ、離散的に表現した結果の誤差を、「将来」にフィードバック(ズレの帳尻合わせ)をするだけである。そうすれば、ちゃんと帳尻が合う、という技術である。

 それは、変な例えかもしれないが、一日1200kcalのカロリー制限をしているのに、今日は「天丼詰め合わせの一杯(たとえば、1800kcal)」食べてしまったから、明日は絶食しよう、(そして、それとは逆に)必要カロリーがもしも足りなければ、次の日は天丼一杯食べよう…そういうことを続けていれば長期的には「必要カロリーと摂取カロリーの帳尻」はきちんと合うよね、というような仕組みだ。つまりは、「ただそれだけ」の仕組みである。

 と書きながら、「ただそれだけ」の単純なやり方だからこそ、色々な分野に応用が利くのかもしれない、と考えた。きっと、基本的なことは色んな応用ができる、ということなのだろう。たぶん、そういうことなのだろう。

ΔΣ変調誤差拡散法






2008-05-11[n年前へ]

腹部全脂肪面積減少のヒミツ 

 こんなキャッチフレーズの新聞広告を見た。

 「コーヒー豆マンノオリゴ糖」には、腹部全脂肪面積を減少させる効果がみられました。
そこには、(成人男女が)缶コーヒーを一日一回飲むことで、12週間のうちに20cm^2ほど「腹部全脂肪面積」が減少しているグラフが掲載されていた。そのグラフによれば、「比較対照のコーヒー飲料」を一日一回飲んでいた場合には、-4cm^2ほど「腹部全脂肪面積」が増加している結果が示されている。

 「腹部全脂肪面積」とは一体どのようなものだろうか?……単純にそれを想像するなら、それは「腹巻で腹部を巻くようにしたときの円筒状の部分の表面積」に思える。もし、そうであるならば、このグラフは次のような結果に見えてくる。

 「腹巻で腹部を巻くようにしたときの円筒状の部分の表面積」は

高さ(cm)×2×3.14×腹部の半径(cm)
である。腹部の高さは、成人男女であれば20cmほどだろう。そこから逆算して見ると、20cm^2ほどの「腹部全脂肪面積」減少は、0.16cm=1.6mmほどの腹部の半径(脂肪厚み)減少を示すことになる。たった、1.6mmの変化である。

 と書くと、いかにもの「数字のマジック」でしかないようにも思える。しかし、「(腹部に巻く)ベルトの長さの変化」でそれを表現すると、それは1cmほどになる。そう考えて見ると、今度はこの脂肪減少量が結構大きいものに感じられてくる。何しろ、ベルトの穴一個分ほどの量である。

 ちなみに、「比較対照のコーヒー飲料」を一日一回飲んだ場合の「4cm^2ほどの腹部全脂肪面積増加」は、30μmほどの腹部の半径(脂肪厚み)増加を示している。30μmでは髪の毛の太さにも満たない程度の変化である。ここまでくると、誤差としか言いようのない範囲に思える。

 結局のところ、「よくわからない」としか言いようがないが、次にコーヒーを買うときには、この広告が気になって(この)「体脂肪が気になる方に」のコーヒー飲料を買ってしまいそうな気がする。もっとも、「20cm^2ほどの腹部全脂肪面積減少」よりは、「一月でベルトの穴1つウェストが細くなる」という売り文句の方が実感できそうな気もするのだが。

腹部全脂肪表面積減少グラフ








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