2002-08-04[n年前へ]
■キラキラ光る景色を描く
「木漏れ日」プラグイン「リン」を作る
夏の休日には、朝早く起きて西伊豆の松崎の先にある「雲見・岩地・石部」辺りへ行って、海の中でお魚と戯れてみたり、海辺の温泉に長々とつかってみたりする。例え休日であっても朝早く行けば混雑とは無縁だし、海に照りつける太陽と温泉とビールの三点セットが揃えば、夏の景色としてはとても素敵なのである。
とはいえ、今日は朝寝坊したので、松崎までは行かずに「無名だけれどとても良い感じの場所」へ行った。海辺に車を止めて、景色を眺めて、ほんの少しの時間泳いでみた。下はその西伊豆の某所で眺めた「今日見た景色」だ。
「雲見、岩地、石部」であれば温泉も海も最高だけれど、西伊豆の辺りには他にも「海水が綺麗で、人も全然いなくて、トイレも水もある」ような場所はいくつもある。これはそんな場所の一つ。 県道から海辺の集落に向かう道沿いには素晴らしい滝もあって、まるでプレイステーション2のゲームソフト「ぼくのなつやすみ2海の冒険篇」の世界に迷い込んだかのよう。 実際に眺めていた景色はもっとキラキラしていたハズなのに、その片鱗も残っていない…。それはひとえに写真を撮ったワタシのウデが悪いから。 |
海辺でワタシが実際に眺めていた景色は、もっとずっと「キラキラ」していたハズなのに、残念なことに上の写真を眺めてみても、その片鱗すら残っていない。揺れてる波間も、足下の濡れている岩も、眩しい太陽だってもっとずっとキラキラしていたハズなのに、上の写真はただボンヤリした写真になってしまっている。それは、ひとえに写真を撮ったワタシのウデが悪いからである。もちろん、それが一番の理由である。クヤシイ話ではあるが、確かにワタシのウデは悪いのである。
とはいえ、言い訳を少しばかり書くならば、実際に眺めていた景色がもっとずっとキラキラしていた理由は他にも考えられる。例えば、ワタシ達が景色を眺めるときには、目の前にかかる髪の毛や、睫毛や、目の水晶体を通して景色を眺めているわけで、それらの中で光が回折したりして、キラキラとまるで虹のように光が輝いて見えたりするからだ。そのため、例えば夜空の星の形、本来は丸いはずの星の形、が星型に見えたり、木漏れ日が虹のように輝いて見えたりする。
そんな様子をもしカメラで再現しようとするならば、ケンコーが出しているクロスフィルターのようなものをつけることになる。しかし、手軽さが取り柄のデジタルカメラでわざわざそんなフィルターをつけるのは面倒くさいし、第一人によって見え方は違うから、「ただ一つのフィルター」で写真を撮ってしまうのは少しばかりイヤな気がする。例えば、「私は目の前に髪の毛がたくさんかかってしまって邪魔なのー」という人もいれば、「最近、抜け毛がハゲしーなぁ…、目の前に髪の毛がたくさんかかっていたあの頃が懐かしぃ…」という人もいるわけで、そんな二人が眺めた景色はきっと全然違うハズなのである。「百人の人がいれば百人百葉様の景色を眺めている」わけで、写真を撮る時点でただ一つのフィルターをデジカメにはめて写真を撮ってしまうのも面白くない。フィルターに限らず、何事も一つの枠にはめてしまうのは良くないのである。
デジカメの便利なところは、何より撮った後の画像加工が自由自在、というところなわけで、撮った後に「眺めた景色」を再現するように画像を加工してやれば、「写真を撮るときには素直な景色を撮って」「その後で自分が眺めたキラキラ光る景色を蘇らせる」ということができる。そこで、今回はそんな「キラキラ光る景色を描く」Photoshop用のプラグインを作ってみることにした。そして、ワタシの写真の腕の悪さを「技術の力」で誤魔化そうと思うのである。
といっても、基本的には、「ボケ」た背景で包み込めの時の処理を基にして、
- 色々な畳み込みの演算カーネル形状を用意し
- 演算カーネルのサイズを強度やアルファチャンネルの情報を元にしてピクセル単位で可変にし
- カーネル演算を対数変換有無などに対応する
RINgの出力サンプルを少し眺めてみると、下の画像のようになる。まず最初のサンプル画像は、クローバーの写真に「虹十字状」の畳み込みの演算カーネルを用いて、処理をしてみたものだ。左のオリジナル画像では、朝露を載せて光るクローバーを眺めるときに私達が感じる「キラキラしたようす」がほとんど写っていないが、右のフィルター後の写真では私達が睫毛などを通して景色を見るときに感じる虹色のキラキラした自然?な景色が映し出されている。
(畳み込みの演算カーネルは虹十字状) |
そして、また下の写真は、新宿から初台へ歩く途中で眺めた木漏れ日の向こうのビルの景色だ。左のオリジナル写真はクッキリ・ハッキリ写っているのだが、ただ「それだけ」である。太陽の光を遮る木々の葉っぱも、そこから降り注ぐキラキラする木漏れ日も写ってはいない。しかし、右のRINgが描いた景色の方では、ボンヤリと、だけど強く光る初夏の「木漏れ日」が確かに写っているのである。夏の空気が写っているかのようなのだ。
(畳み込みの演算カーネルは円状) |
もちろん、このRINgは「ボケ」た背景で包み込めの時の処理を基にしているので、写真のボケも再現することができる。例えば、六角形の畳み込みの演算カーネルを用いて、画面全体に同じ演算カーネルで処理をかけると下の右の写真のようにピンボケの写真を再現することができる。
また、アルファチャンネルも選択してフィルタ処理を行うと、自動的にアルファチャンネルの情報を基に畳み込みの演算カーネルサイズを画素毎に変化させる。だから、例えばアルファチャンネルに距離の情報を入れておいてやれば、下の写真のように距離に応じたボケなども再現することができる。この写真では画面中央下の領域はピントが合ってていて、そこから離れるに従って、ピンボケの具合が大きくなっている。もっとも、現在のバージョンでは大雑把に計算してみただけなので、空の部分などに疑似輪郭などがずいぶんと発生してしまっている。きっと、それはいつかのバージョンで直すつもりなのである。
(畳み込みの演算カーネルは円状) |
今回のRINgプラグインは光が広がる様子を保存した「畳み込みの演算カーネル」を基に画像にフィルタをかけるだけなので、使う演算カーネルの形状・様子によって色んなフィルタに早変わりする。
例えば、デフォルトでつけてある三日月型の"Moon"カーネルを使えば、色んな灯りが三日月型に光る景色に早変わりする。もし、星空の写真に"Moon"カーネルでRINgプラグインをかけたら、いきなり全ての星が三日月に早変わりだ。また、"Smile"カーネルであれば、いきなり光が大小様々な「笑顔」に早変わりする。そんな風にして、色んな画像ファイルを演算カーネルにして見ると、色んな景色が見えてくるはずだ。例えば、「星はなぜ星型に見えるのか」のグループが作成した「星型シミュレーションソフトウェア」の出力結果を演算カーネルにすれば、目の前の景色が星空の向こうの景色に早変わりするだろう。そしてまた、水で満たしたコップの向こうに浮かぶ光の画像を使えば、RINgはデジカメで撮った色々な写真を水槽の向こうの景色であるかのように描き直したりするかもしれないし、あるいはまたまるで瞳に涙を浮かべながら景色を眺めてみたかのように描き直したりするかもしれない。
2002-11-29[n年前へ]
■仮想細胞プロジェクト
仮想細胞プロジェクト。いつか新宿駅も電気羊の夢を見るのかな。
2003-07-23[n年前へ]
■ビルの一部屋で休むカメラオブスキュラ
スラッシュドットのでっかいカメラに登場するキャンピングカーみたいなサイズのカメラ。以前、新宿のNTTのICSの一部屋で一休みしていたことがあった。なんだか所在無さげだったけれど、色々な場所で子供たちやいろんな人たちと撮った写真が飾られていて少し面白かった。
そのカメラが居座っていた部屋の窓からは新宿のビルが見えて、それは何とも不思議な景色だったけれど、あの景色を見た人たちはいったい何人くらいいたのだろう?まだ、覚えている?のかな。私は昨日のように思い出せる気がする。
2003-08-06[n年前へ]
■今日見た景色
昨日は「台湾風玉子焼き」や「新宿駅の地下」が、そして今日は仲良し親子が作った?「粘土細工のピザ」や「地下鉄の駅の風景」や「出張先の風景」といった景色を何処かで誰かが眺めています。全然違う場所で、共通点はhirax.netを眺めに来た人ということだけ、というところが少し面白いかもしれません。
というわけで、いつでも今日見た景色」を募集中です。p@hirax.netではいつでも写真(絵だってもちろん結構です)貼付メールをお待ちしております。
2004-06-04[n年前へ]
■早稲田・新大久保・新宿
ふと気づけば、お茶の水からタクシーで早稲田。早稲田大学の古い校舎の中で打ち合わせをした後、「何だか面白い」という新大久保経由で新宿へ。歩いていると、周りの声も匂いもなんだかアジアの何処かの国みたいだ。確かに、これはとても面白く、気持ちが良い。本当に気持ちがよくなる。