2008-05-03[n年前へ]
■「金玉満堂」と「福来る」
台湾系の中華料理屋の2階で周りを眺めていると、たくさんの「福」の字が飾ってある。たくさんの「福」の字が逆さに貼ってある。福の字を逆さにしてしまうと、何だか「福の正反対」のような気もするけれど、これは「福来る」という意味だ。
中国語で「福が逆さ」は「福倒了」と書き、「福来る」は「福到了」と書く。そして、これら2つの発音は同じだ。そういうわけで、中国語では、逆さの「福」は「福来る」という祈願を意味する言葉になる。
数え切れない逆さ福に混じり、それと同じくらいの枚数の「金玉」という言葉が壁に張ってある。金玉満堂!?キンタマまんどう……と読みたくなり、なぜにキンタマ?と思いたくもなる。
けれど、日本語の「金玉」、男性が2個ほど持つ「球状の物体」という意味は中国語の「金玉」にはない。中国語の玉はたとえば宝石のように貴重で美しいものを表現する言葉であって、「丸いもの=球」ではない。だから、中国語の金玉は金色の球でもなければ、日本語のキンタマでもない。……そんなわけで、「金玉満堂」は「財産が蔵に沢山詰まるほど豊かになりますように」という願い・祈りになる。
「福」の逆さま、まるでキンタマと読みたくなる「金玉」、そんな同じ文字なのに、そんな全然違う色々な意味になるものは多い。
結局のところ、それが「言葉」というものなのかもしれない。
2008-05-04[n年前へ]
■ゴールデンボールズの放熱問題を解いてみる!?
中国語の金玉と日本語の金玉と全然意味が違うという話をしていると(「金玉満堂」と「福来る」)、「日本語の方の語源は何に遡るのか?」「日本語の方が指し示すものの”しわ”は放熱のためか?」という全く別の2つの話題となった。「”しわ”は放熱のためにある」ということの真偽はわからないけれど、もしもその放熱効果を考えてみるならば、”しわ”があることによって、一体どのように効率的な冷却が行われるものだろう?
放熱・冷却の効果は、皮膚の表面における"各領域での(皮膚と空気層の)温度差"を表面積にわたって積分したものに比例しそうに思える。また、皮膚内部における伝熱も重要であるに違いない。大雑把にラクガキしてみれば、それは下の図の「緑色の面積が大きいほど放熱・冷却効果が大きい」というイメージになる。
皮膚の”しわ”の効果、表面積の増加、”しわ”が伸びることによる”皮膚と空気層の温度差"の増加、あるいは、(体の)本体と離れることによる伝熱の違い……などを考えていくと、答えを解析的に解くのは困難であるように思える。
暑い夏になった頃、夏休みの宿題がわりに"エクセルで金玉の放熱問題を数値的に解いてみる"ことにしよう。暑さを吹き飛ばす放熱問題を解いてみることにしよう。
2010-01-30[n年前へ]
■中国で「寡婦年」を前に師走の駆け込み婚が急増している
「「寡婦年」の来年結婚すると夫に先立たれる!師走の駆け込み婚が急増中―中国」 (日中通信社発行の月刊誌:中国NEWS 2010.2月号にも掲載)
2009年12月2日、中国では今、年内に結婚してしまおうという「駆け込み婚」が相次いでいる。来年は「寡婦年」と呼ばれる不吉な年にあたり、結婚してはならない習わしになっているのだとか。
「寡婦年」とは読んで字の如く。中国では昔から、この年に結婚すると「旦那さんに先立たれる」と言い伝えられている。では、なぜ来年が「寡婦年」なのか?その理由は、「立春」が来ないこと。中国人は春節(旧正月)を迎えて初めて新年の幕開けとなるが、来年は2月14日が旧暦の1月1日にあたる。ところが、来年の西暦による立春は2月4日。つまり、新年が来る前に先に立春が来てしまうため、来年は立春がない年になる。中国では古くから「春=若い男性」とされており、立春がないということは「若い男性=夫」がないという意味につながる。(中略)2月14日の春節までに慌てて結婚する若者が増えている。
2010-02-10[n年前へ]
■「激安!中国DTP」と「賃金エントロピー」
「画像切り抜き」「図面(イラスト)トレース」「文字組版」「文字入力」「多言語翻訳」を、格安の値段で行ってくれる 「激安!中国DTP」トレース1点150円~といった価格設定を眺めていると、とても魅力的で使ってみたくなる人たちも多いのではないだろうか。
さまざまな技術躍進を通じて、国と国の間の「距離」が近くなっていく。そのとき、自然と「賃金」は平均化していくのだろうか。世界が変わっていく中で、人が作る世界の「エントロピー」はどのような変化をしてくものなのだろうか。
2010-04-07[n年前へ]
■中国名産「コピー商品」のヒミツ
前に、「純正A-bike より 8インチ空気タイヤ版 A-bicycle の方が断然イイ!の不思議」で、「(パッチモン=コピー商品の)8インチ空気タイヤ版 A-bicycle はさまざまな部分で改善がされていて、純正品A-bikeより(現時点では)遥かに"良い移動道具"になっている」と書きました。その時に感じたこと・その時コピー商品って面白いな、と感じたことを、遠藤健治の「中国コピー商品対抗記 (日経ものづくりの本) 」を読んでいて、思いだしました。
コピー商品の中には、オリジナルの真正品をそっくりそのまま模倣したものだけでなく、そこに造り手のいろいろな意思や、考え、工夫が盛り込まれたものもあるからです。中国でコピー商品を作るたくさんのメーカが、どのようにVE(Value Engineering)を行い、どのように、(開発費や金型や工場建設費をすでに回収しきった)真正品メーカーよりも、必要な性能をできる限り落とさずに、どのように低価格を実現するかといったことや、純正品の足りないところ、たとえば、価格が高いとか、機能が今一つ足りない、といった点をいかに補い魅力的な商品を作りだすための努力を行っているかということが、この本には書かれています。
コピーメーカーは作業性よりも、とにかく低コストになる設計を重視するのです。人件費が低い中国では、作業の効率が多少落ちたとしても、コストが下がるのであれば躊躇せずに部品を削り、その分、人手でカバーする方法を採ることがわかりました。上の文は、そのほんの一例ですが、こんな例が具体的にたくさん書かれていて、「あぁ、なるほどそういうことなのか」と今更ながらに実感させられたのです。
「(パッチモン=コピー商品の)8インチ空気タイヤ版 A-bicycle はさまざまな部分で改善がされていて、純正品A-bikeより(現時点では)遥かに"良い移動道具"になっている」は、たとえば、こんな感じの良い例です。
まず、コピー商品メーカーは、真正品メーカーの手の届かないところや、企業努力が足りずにつくれなかった市場を見つけ出すことに長けており、その「見えない市場」にコピー商品を投入して市場を開拓すること。そして、将来、現在はコピー商品を作っている中国メーカーが、いつかオリジナルの製品を作り、世界を席巻する日を身近に感じたのです。
もう一つは、コピー商品そのものよりも、それで荒稼ぎした利益を再投資するコピー商品メーカーの方が、真正品メーカーにとって脅威であり得るということ。