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1999-11-05[n年前へ]

草迷宮・空間'99 

ネコの目から見た世界




 「猫の視点から世界を眺める」という本や漫画は実に多い。漱石の「我輩は猫である」を始め、大島弓子の「綿の国星」がそうだ。そして、今回のタイトルになっている内田善美の「草迷宮・草空間」もそうだ。

 犬を擬人化して語られる物語もある。例えば、「のらくろ」を始めアニメの「名探偵ホームズ」もそうだ。しかし、私としては「猫の視点」で語られる物語に軍配を上げたい。どうも、犬の視点から語られる物語には、主観性が感じられないのである。好きではないのだ。

 その猫と犬の違いは、ドラえもんとヤッターワンの違いといっても良いだろう。このニュアンスが伝わるかどうかは多いに疑問であるが。

 さて、HOT WIRED JAPAN に

という面白い記事があった(技術的には)。感覚的な部分としては、何故かツマラナイと感じる部分もあるのだが、技術的には興味を感じる。

ネコの視床にある177の神経細胞に電極を取り付け、神経細胞の興奮パターンからネコが見ている画像を再構成した、という研究報告である。

 そのオリジナルの報告は

で読むことができる。ネコ好きの人には絶対できない実験だろう。

 せっかくなので、「できるかな?」でもネコが見ている世界モドキの画像を作成してみることにした。先のWEBを参考にして、モドキを作ってみる。以下の手順を納得する(あるいは納得しない)ためには、先のWEBを読むことが前提となる。

 まずは、ネコの神経細胞の視野に対応する電極位置を確認してみる。

オリジナルの神経細胞の電極位置
 視野に対応する電極の位置。赤はその内部に正の反応を持ち、青はその外部に正の反応を持つ。(ここらへん、私の理解は少しアヤシイ)

 この画像から、赤と青に対応する部分を抽出してみる。

赤と青(正の反応を持つ電極と、負の反応を持つ電極)の位置を抽出する

Red

Blue

 うーん、Blueの方はずいぶんと取りこぼしが多い。それは、赤は丁寧にやったんだけど、青は雑にやったからである。青は、あまり重要でない(と私が考えた)からである。その理由は赤と違ってあまり狭い空間分布を持たないからである。

 次に、Redと(Blueを反転したもの)を足して(黒を正として)、ガウス分布のぼかしをかける。青で示された電極を反転させたのは、それが負の反応を持つ電極であるからだ。
 その計算結果がネコの視覚モドキのフィルターである。

Redと(Blueを反転したもの)を足して(黒を正として)、ガウス分布のぼかしをかけたもの

 この画像と任意の画像をPhotoshopで「スクリーン演算」するのが、「できるかな?」的ネコ視覚フィルターである。

 ためしに、適当な画像を見てみよう。海沿いにいる人物を「もしネコが見ていたら、どう見える?」という場合である。

オリジナル画像と「できるかな?」的ネコ視覚フィルターをかけた画像

 こう見えるのだ(保証はしないけど)。

 「ネコが私を見るとどうなるか?」と思ったことは、何回かあるが、まさかその答が手に入るとは思わなかった。科学、恐るべし、だ。




2000-09-02[n年前へ]

もうすぐ二歳の「できるかな?」 

初心に帰ってみましょうか?


  「できるかな?」が始まったのは二年近く前の秋のことだった。

でも触れたが、当初(実は今も続いているが)は某社内の某サーバー内でこっそりと始めてみたのだった。それから二年あまりでずいぶんと色々な話が増えた。某社サーバー内でしかアップしていない
  • プリンタドライバーは仮免
  • 続 電子写真プロセスを分数階微分で解いてみよう
  • 続々 電子写真プロセスを分数階微分で解いてみよう
等の外部未公開の話も含めれば、もうすぐ200回近くになる。そして、公開場所の変化もあってずいぶんと話の傾向も変わってきた。最近では「ここのところの話題は何か変じゃないですか?hirabayashiさんどうかしたんですか?」とか、「大丈夫?hirabayashiくん?」などと言われる始末である。

 そして話が増えてきたせいか、自分自身でも「アレッ、あの話はどこにあったけ?」というように迷ってしまうことが多々ある。迷うどころか、最後まで見つからないこともしばしばあるのだ。そして、それは私でもない他の人であればましてやそうだろう。というわけで、

では簡単にそれまでの話の紹介をしたし、ではhirax.net内の全文検索機能を付けてみた。

 今回は、これまでの話題をもう一度自分で読み直して、その中から「自分のお気に入り」を調べてみたいと思う。そして、最近少し話題が変になってしまっている反省をして、もう一度初心に帰ってみようと思うのだ。

 まずは、1998年の話題からいくと

というあたりが、良い感じだ。京都の風物詩である「鴨川カップル」達が人目を気にしながら寄り添う合う姿を考えてみたものだ。後の「恋の力学」シリーズなどはここらへんから始まっていた、といっても良いだろう。そしてこの頃の[Scraps]系の話題としては、がある。少し前に、この「さなえちゃん」を描いた漫画の作者からメールを頂いたのがとても私には印象深かった。

 そして、1999年の上半期から選んでみると、まずは

というところだろう。ハードディスクの情報を可視化することで情報圧縮・エントロピーを考えてみた一話である。そして、同じような「可視化シリーズ」の一つであるはこの後「感温液晶はどこで売っていますか?」という質問メールを多々頂くことになった。そして、[Scraps]系のが私の「お気に入り」でもある。ここら辺から「できるかな?」の中に全然技術的な話題でない物が登場し初めたような気がする。

 そして、1999年の下半期はもう自分で言うのも何だが傑作揃いである。大体、書いているペースが自分でも驚くくらいのハイペースだ。月当たりの話の数を数えてみると、

  •  7月 9話
  •  8月 9話
  •  9月 8話
  • 10月 8話
  • 11月 11話
  • 12月 9話
という感じでいやもうビックリしてしまう。平均すると三日に一話である。どうも、本業が忙しいとそれに比例して制作ペースが増加するという、「恐怖の睡眠時間減少の法則」が成り立つようだ。

 この頃の「お薦めの話」はいっぱいある。例えば、

に始まった「文章可視化シリーズ」や、で始まった「ASCIIアートシリーズ」だろう。から始まる「江戸五色不動シリーズ」は江戸にロケまで行ったので、とても思い出深い話の一つである。しかも、妙な偶然のせいでまるで小説の中に迷い込んだような気持ちになったものだ。

 そして、WEBページを作る上では

などもどうしても外せない。そして、この後結構続くことになるという「恋の力学」シリーズもこの時期に始まっている。そして、この頃の一番人気が何と言ってもだろう。この「ミニスカート」系の話の流れは以降も続くことになるのが自分では意外でもあり、残念でもある。それはさておき、ナンセンス系ではなんてのも面白い話だと思う。そして、1999年の終わりはやはりこれが「お気に入り」の話である。また、[Scraps]系の話がこの時期にはやたらいっぱいあるのが面白いところだ。その内からいくつかピックアップするとこんな感じだろうか? さて、2000年上半期にもなると、すいぶんとペースも内容も落ち着いてしまう。その中でも、「恋の力学」シリーズに夏目漱石をトッピングしてみたという辺りは「文学と科学が合体」した話で、自分の中では書いてて結構面白かった話である。そして、ナンセンス系のもクダラナイところところが外せないと思う。そして、この辺りで始まり未だ継続中のは最近の変な流れを予感させるのが哀しいところである。

 さて、今回は2000年上半期までの話の中から「私の好きな話」を振り返ってみた。とはいえ、私の好きな話=他の人の好きな話ではないようだし、他の話も適当に眺めて頂いたら良いかなぁ(私が)、と思うのだった。
 

2001-03-04[n年前へ]

漫画の時間 いしかわじゅん 

 この本(漫画の時間 )は頻繁に読み直している。何がいいって、いしかわじゅんの漫画に対する気持ちがもう溢れまくっていて、とても気持ちが良いのである。本当に気持ちが良くなるのだ。ここまでくると、これは単なる漫画評論ではないと思う。

2001-05-05[n年前へ]

できる、できない? パート2 

 「ぼくは、進歩しようとしない人を好きではない。自分の土俵の中だけでひたすら闘おうとする人を、評価しないのだ。」from いしかわじゅん 「漫画の時間」。

2001-05-12[n年前へ]

愛がなくちゃね 

 「高岡凡太郎の作品の典型のような、このぼんやりと暖かい連載漫画を、ある日読んでいて、ぼくは、ふいに感動してしまった。
 --- 赤ん坊だった娘がだんだん大きくなり、初めて幼稚園にいく日、一緒についていった、娘しか目に入らない高岡は、娘が先生から呼ばれて大きな声で返事をしたので、嬉しくなってしまう。
 彼は、こう書いている。
    それでも少しだけ周りを観察すると…
    教室の外でハンカチで目元をふいているお母さんを見つけました
    きっとあのお母さんの子供も大きな声で返事をしたのだと思います
 そして、廊下で、ほかのお母さんたちと離れて、そっと涙をふいているお腹の大きい若い母親の絵が描いてあった。 ---
 ぼくは、突然、心動かされて、泣きそうになってしまった。
(中略)
そうだ。高岡凡太郎には、愛がある。ぼくがずっと彼を好きだったのは、きっとそれが理由だったのだ。」
from いしかわじゅん 漫画の時間



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