hirax.net::Keywords::「道具」のブログ



2008-07-30[n年前へ]

「道具」と「文化」 

「道具」は「文化」の要素の一つだ。しかも、それは比較的大きな要素である。「2001年宇宙の旅」で棒という道具を手にした猿が、その棒をついには宇宙ステーションという道具に変えたシーンが象徴的であるように、道具は人の生活スタイルに大きな影響を与え、そしてその生活スタイルは考え方・感じ方にさらに大きな影響を与える。つまり、道具は文化に影響を与える。

 「フレームワークと異文化論」が面白い。

「Railsって一本道のイメージなんでしょうか。これにそって作ればWebアプリケーションが不安定にならずに完成するんでしょうか」
「私にとって“レイルズ”のイメージはこれなんです」といいながら、東京近郊の複雑な路線図を大写しにすると、会場は大爆笑に包まれた。
この会場に来るためにどの路線を使ったら良いのかを考えたときに、さまざまな選択肢があったと思います。……そんなにレイルに縛られなくてもいいんじゃないでしょうか

 「線路」と「人生の方程式」ではないけれど、レール(線路)なんか一本じゃないし、だいたい設計した線路は実際の線路とは全然違ったりする。それが人生ではとても普通のよくあることで、それが大変さでもあるし、楽しさでもある。

 多少なりとも他の文化を知らないと、ひとつの文化の姿を実感することはできない。他のものとの差異を見て、初めて自身の特徴が見えてきたりするからだ。道具の特徴を知るためには他の道具を知ることが役立ち、道具が文化に強く影響を与えるのだとしたら、そして文化が人の生活そのものだとしたら、(一つの道具を使えるようになった上で)他の道具を眺めてみることは、人の生活に大きな影響・大きな広がりを与えるに違いない。

2008-08-06[n年前へ]

エクセルでシミュレーション Vol.7 「吉野家の法則 編」 

 「安い」「早い」「旨い」を兼ね備えたものは売れる、というのが「吉野家の法則」の第1法則である。けれど、それら3つのことは相反することが多いために(「吉野家のジレンマ」)、それら3つのうち最低2つのものがあれば売れることが多い、というのが「吉野家の法則」の第2法則だ。

 「表計算でシミュレーション」というお題で、この吉野家の法則の「安い」「早い」「旨い」を考えてみよう。

 まずは「安い」である。それを言いかえれば、「簡単に手に入れることができる」ということだ。まず、「表計算でシミュレーション」はこの「安い」という条件を非常に上手く満たしている。

  • 表計算ソフトウェア・エクセルを持っている人は多いから、必要な道具を手に入れることが簡単である。
 また、必要なものは決して道具だけでなく、その作業をするための理解力なども必要とされる。その理解に払うための労力・コストも、「表計算でシミュレーション」では安い。なぜなら、離散化された空間が表計算ソフト上のセルとして実感・体感できるからだ。これは非常に納得しやすい。だから、「表計算でシミュレーション」というお題では、「必要な道具をお金を出して手に入れる必要がない」「理解に必要な労力がさほど大きくない」という意味で、非常に「安い」。

 そして、次の「早い」である。これを言い換えてみると、「すぐにできる」ということだ。「表計算でシミュレーション」をする場合には、たとえば、時間的に変わらない(定常な)問題であれば、比較的簡単に計算シートを作ることができる。だから、すぐにできるようなシートを作ることができる範囲内では、「表計算でシミュレーション」というものはとても「早い」のである。ただ、あくまで「比較的簡単に計算シートを作ることができる範囲内では」ということが少し尾を引くのである。

 問題は、最後の「旨い」である。これは、多分、2つの意味がある。ひとつは単純に「実利的なメリット」だ。つまり、たとえば「すぐに仕事に使える」というようなことになる。そして、もう一つは「心としてのメリット」である。それは、たとえば「面白い」「意外だ」「へぇ~」といったような感覚を得ることだと思う。

 先の「比較的簡単に計算シートを作ることができる範囲内では」という先の制限は、これらふた種類の「旨い」と相反することが多い。それが、「表計算でシミュレーション」における吉野家のジレンマなのである。すぐに仕事で使うためには、「定量的に計算結果が正確である」ようなことが要求される。しかし、そうしようとすると、シートを作るのが面倒だったりして、「早い=すぐにできる」ではなくなりがちになってしまう。
 また、「早い=すぐにできる」ようなものは、比較的「当たり前」の計算結果が出てくる。たとえば、等方・等質的な空間でラプラス方程式で解いた静電界計算結果などは、「見た目にいかにも”自然”なもの」になる。それが”自然”なのだから、それでいいではないか、とも思う。しかし、その一方で、それでは意外性も何もなく、「へぇ~」「面白い」という感じを受けないのである。

 このように、「安い」「早い」「旨い」という吉野家提供の三つの評価軸から、「表計算でシミュレーション」を眺めてみると、「表計算でシミュレーションをする講習」が持ちがちな悩みが見えてくる。「早い」と「旨い」の兼ね合いの難しさが見えてくる。

 昨日の『エクセルでシミュレーション Vol.6 「夏にフライパンで卵焼き 編」』の場合は、腕が良いシェフ(I講師)吉野家の法則の3評価項目を見事に上手く兼ね備えているのである。

安い・旨い・早い






2008-08-25[n年前へ]

Googleマップのストリートビューで五山送り火ベスト鑑賞ポイントを探す 

 京都の五山送り火を全部眺めることができる場所はあるのだろうか?と考えながら、Google Earthの旅 > 五山送り火のページを見る。地図を眺める限りでは、もしも、河原町七条の辺りに高台があったなら、五山六文字の全部を眺めることができそうだ。…けれど、河原町七条の辺りに自然の丘なんてないわけで、実際には京都タワーの上からでもなければ、五山送り火の6文字を全てみることができる場所はないのかもしれない。

 ところで、左大文字は右京区にあって、大文字(右大文字)は左京区にある。そして、(北を上とする)地図上では、左京区は右にあり、右京区は左にある。ちなみに、そんな地図上で上京区は上で、下京区は下にある。標高で言っても、京都は緩やかな斜面の街なので、上京区は上にあって、下京区は下になる。

 最近、Googleマップのストリートビューが話題になっている。それが良いものなのか、悪いものなのか論じられたりする。けれど、「科学やロボットは使う人次第だ」という言葉は、ずっと昔から言われ続けた言葉だ。Googleを単純に褒めたたえる人がいたら、その人は単なるマーケッターにしか感じらない。その一方で、危険性だけを訴える人がいたならば、一つの道具も使わずに生きていけばいい、とも思う。

 Googleマップのストリートビューで五山送り火ベスト鑑賞ポイントを探してみたいと思う。実際には行くことなどできない五山送り火ベスト鑑賞ポイントを、五山送り火を眺めてみたいと思う。


大きな地図で見る

2008-09-08[n年前へ]

大きな大きな「ミニチュア鉄道」 

 ミニチュア写真風な景色を見て連想したのが、大きな大きな「ミニチュア鉄道」です。たとえば、下に貼り付けた動画のような、ミニチュア模型なのだけれども、その小さなミニチュア世界が驚くぐらいの大きさに広がっていて、その広い世界の中を小さな人や馬や牛や列車が動きまわっている・・・というようなものです。

 動き続けているこの広いミニチュアの世界をメンテナンスし続けている人がいます。小さな模型を清掃したり・修理したりする専用の道具がたくさん置いてある部屋があって、そこでは魔法使いのように人や木々を作り直し続けている人がいます。魅力あるミニチュア世界を眺めるとき、人知れずそんなメンテナンスをしている「小人さん」を眺めているのがとても楽しい、と思います。

2008-10-21[n年前へ]

ThinkPad x60/x61用高級本革モバイルスーツ 

 ThinkPad x60/x61用高級本革モバイルスーツが、とても良い感じだ。こんなPCカバーを軽量小型PCに装着すれば、モバイルスーツで守られたそいつをバックに無造作に放り込み、脳と指に直結したノートPCという名の道具をいつでも持ち歩いて、何かを思いついたら、その瞬間から「そのアイデア」を形にする作業をすることができそうな気持ちになる。

 「モバイルスーツ」は、表記を変えれば、つまりはモビルスーツだ。ひとことで言えば、「機動戦士ガンダム」のモビルスーツである。

 この「ThinkPad x60/x61用高級本革モバイルスーツ」を使えば、通常のPCの3倍の早さで作業ができそうだ。とはいえ、人の体感というものは対数的なのが一般的なので、「3倍の早さ」というのは「少し普通より早い」という具合になるのが普通なのだろうが。

見えるぞ。
私に見える

by シャア・アズナブル



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