2004-01-16[n年前へ]
■マイナスを探してしまう自分
「自分でいろんなことを解決して、前向きにがんばる人はすばらしいと思う。そうなりたいと思う。でも、その人の言葉を聞いてもあまり共感できないのはなぜなんだろう。文章に、苦しみ、悲しみ、嘆き、迷いなどのマイナス面が含まれていたほうが、素直に共感できる気がするのだ。
…
活躍しているからこそ、前向きな人だからこそ、その裏が知りたい。悩み苦しんだ時期を知りたい。弱さが知りたい」 from 「マイナスを探す自分」
2004-01-29[n年前へ]
■11ぴきのネコ
演劇に興味を持ったのは、少し前。少し、と言ってもそれは二十年近く前のこと。春休み近くの高校で、演劇部が上演していた井上ひさしの「11ぴきのネコ」を見て、とても感動したのが演劇に興味を持つきっかけだったと思う。 いつも、合唱部やブラスバンド部の音楽に負けないくらい大きく、いつも屋上から「あめんぼ赤いな…」という声を響かせていた演劇部の上演会を観に行ったのだった。
北の空の大きな星あの星の下には幸せな場所があるそんな場所を11ぴきのネコが探しに行って…幸せな場所を見つけたその後は…、という話を見ていて、少し、いや正直に言えば、とても感動して少し泣きそうになったのだった。
その演劇部を(次の年に)率いていたのが、今ではGaucheの作者としても有名な川合さんだった。だから、私はGaucheという文字を見るたびに、あるいはSchemeという文字を見るたびに、高校時代に校舎の中で見た「11ぴきのネコ」を思い出して、なんだか少し切なくなってしまう。Gaucheという音を聞くと、一人何処かへ旅立った「11匹目のネコ」の姿が何故か目に浮かんでしまう。
2004-03-01[n年前へ]
■広い世界は狭い世界
昨日の川上弘美のインタビューの続き。
インターネットは時々、知り合いに見せてもらっています。(中略)こんな調子ですから、私は、すごく狭い世界というか、従来どおりの普通の世界で生活しています。これはやはりインターネットが広い世界、というニュアンスだろうか。「(特にインターネットを指すわけではなく)広くて色んな人がいる場へ行ってみたつもりが、ふと気づくと周りはなんだか似たような人達。広い世界を探しに出たハズがいつの間にか、自分と似た人ばかりの少し狭い世界に入り込んでしまっているような…」ということはよくあるように思う。
広い世界はえてして狭い世界を作る。似たようなものを集めようとする力がある限りは、母集団が多い場の方が純粋に似たものが数多く集まってしまう。とはいえ、もちろん狭い世界はやっぱり狭い世界なんである。ただ、さらに狭くなるのが難しい、というだけで。
2004-03-19[n年前へ]
■「変わらないことは、変わるということ」
「変わらないことは、変わるということ」の一節。
人の「ものさし」というのは、当然人によって違う。人を評価しようと思ったとき、絶対的な評価をするのは難しい。たとえ「絶対的な基準」があったとしても、その基準さえ、時とともに変わっていってしまうことが多い。(中略)人間は基本的に変化していくものだ。何年かたてば、その間にいろいろな人と出会ったり、経験をしたり、考えたり思ったりする。そうすると「ものさし」が変わる。自分は変わっていないつもりでも、気づかないうちに変わっている。そんな状態の中で、「昔と変わらない人」と出会ったということは、「今のものさし」に合うように、その人も変化をしたということだ。
とても良い一節だなぁと思いつつ、こんなことも連想する。色んな「変わってゆく」があるだろうから、「頂点」を見る変化もあれば「裾野」を見る変化もあるだろうから、そんな時「絶対的な基準」や「時とともに変わっていってしまわないもの」を探したくなる気持ちだって、人によっては(あるいは誰しも時には)あることだろう、とも思う。もちろん、そんな連想はBGMの荒井由美の卒業写真のせいに違いないのだが。
2004-04-20[n年前へ]
■ナンシー関に会いに行こう。
ナンシー関が今もテレビを見ていたならば、一体どんな一言を書くだろうか。どんな番組のことを書くだろうか。そして、誰を消しゴムに刻むだろうか。哀しいことに、どんなにそう思ってみても、そんなコラムを読むことができない。そして、もちろん消しゴムに刻まれた誰かの顔ももう眺めることができない。
もしも恐山に行ったなら、どこかのイタコが彼女になりかわって何か言葉をはいてくれるのだろうか。そして、消しゴムに彫刻刀で何かの姿を映し出してくれるのだろうか。そうだ、ゴールデンウィークには恐山に行こう。消しゴムと彫刻刀を持参して、誰かのもとに降りてくるかもしれない、ナンシー関を探してみよう。ゴールデンウィークにはただひたすらに北上し、恐山に行ってみよう。故郷の青森に戻っているかもしれないナンシー関に、会いに行こう。