2007-06-03[n年前へ]
■カメラ付き携帯電話から画像加工サービスを使う
バージョンアップを行いました。
携帯電話から下記アドレスに写真を添付したメールを送ることで、画像加工ジェネレータ"Imagenerator"(説明など)の機能を携帯電話から利用できるようにするテストを開始しました。下記のアドレスに画像を添付したメールを送ると、10秒ほど後に、処理画像のURLがメールで返信されます。その画像を眺めてみたり、あるいは、携帯電話のデータフォルダに保存したり...といったように遊ぶことができます。送信先アドレスは、つまるところ、imagenerator.mobile+処理名@gmail.comです。今のところは、処理サービス名に日本語が入っているものは動かない状態のまま運用しています。
- イラスト写真: imagenerator.mobile+ComicPolaroid@gmail.com
- ミニチュア写真:imagenerator.mobile+mini0@gmail.com
- 美人加工写真:imagenerator.mobile+bijinphoto@gmail.com
- 超美人処理:imagenerator.mobile+cbijin@gmail.com
携帯電話のカメラを使って撮影した写真を、マンガ風・雑誌の表紙風・ミニチュア写真風…と、自由自在に画像を作り出すことができるようにしたい、と思っています。Imagenerator で気軽に画像で遊ぶうちに、画像加工サイトができあがり、ついでに、携帯電話からもその画像加工サイトの機能を使うことができる、という具合です。たとえば、右の写真は携帯電話で撮影した写真を「ミニチュア写真」「イラスト写真」にメールを送り、処理されてきた画像です。携帯電話のカメラ機能を通して見ると、目の前の世界がミニチュア世界やイラストレーション世界に変化していくことでしょう。携帯電話の料金体系が定額料金でないと、ちょっと使い辛いかもしれませんが‥。それでも、携帯電話のカメラを通して、不思議な世界の姿を眺めることができるかもしれません。
なお、現在はau携帯電話、および、(携帯電話ではありませんが)gmailからの送信でテストを行っています。
2007-06-14[n年前へ]
■画像加工サービスで作られた処理サンプル
「画像処理ジェネレータ・サービス」を作り出すサービス、ケータイで撮った写真で簡単に画像加工をすることができるサービス、"Imagenerator"を使ったサンプル集です。
2007-07-14[n年前へ]
■デッサン技術と画像処理プログラム
画像加工サービス "Imagination You Make"の中に含まれている「画像をイラストレーション風に加工するプログラム」は、割に時間をかけて作った。何しろ、Imagination You Make の1機能として、このイラストレーション化プログラムを作ったのではなく、イラストレーション化プログラム用のフロント・エンドとして、(Ruby on Railsの勉強がてら)Imagination You Makeを作ったのだった。Imagination You Makeが出力する解像度ではわからないが、イラストレーション加プログラムの出力はベクトル化処理もされていて、PostScriptとして出力を保存することもできたりする。…その後、Railsで動くサービス側に興味を惹かれたこともあって、「画像処理ジェネレータ・サービス」を作り出す"Imagenerator"を作ってみたりもしたけれど、やはり、本来の「画像をイラストレーション風に加工するプログラム」を作り直す作業は続けている。
「画像をイラストレーション風に加工するプログラム」の画像処理アルゴリズムを作るために、さまざまな試行錯誤を繰り返した。それと同時に、デッサンやイラストレーションや油絵や似顔絵書きなど、絵画に関するテキストを結構読んだ。「イラストレーション風に加工する」するために、「イラストレーション」がどういうもので、どういう風にすれば描けるようになるかをたくさんのテキストから学ぼうとした。
いろいろ実験してみて、普通 人物画や肖像画を描くときは、写真撮影ではないのですから、陰影とか明暗といったようなことは、あまり考えないでいいと気づきました。 安野光雅 「絵の教室」そういう絵画の教科書を読んでみた結果、試行錯誤の結果として作られた画像処理アルゴリズムが、デッサンやイラストのテキストに載っている「描き方」と瓜二つになっていることも多かった。これが、とても新鮮だった。処理アルゴリズムに正解なんてないだろうが、「そう悪くない答え」をプログラミングすることができたように感じ、楽しく気持ちの良い感覚だった。
2007-07-16[n年前へ]
■創造性とミューズ
世界は限りなく広い。けれど、それと同時に、そんな世界はとても狭い、と感じる瞬間があるのも事実だ。どんなに長く生きていても、地球の上にいる99.999…%の人には一度も会うことはない。けれど、意外なところで、よく知っている名前や顔と再開することがある。
画像処理のプログラムを作るために古今東西の絵画のテキストを読んでいる時に、こんな一節に出会った。
以前クヌースというアメリカの数学者と話したとき、「絵を描くとき、自分の意志というより、頭の中に誰かがいて、わたしの感性を左右するらしく…」森鴎外も、なんだか自分を支配するものが頭の中にいて…などと書いていますが、それはこういうことだったか…」とわたしは言いました。クヌース「という」アメリカの数学者と話したとき、である。(理系であれば知らない人はいないだろう)「ドナルド・クヌースと話した時」ではなく、つまりは「読者はしらないだろうが、あるアメリカの数学者と話したとき」だ。
安野光雅 「絵の教室 」
画像処理アルゴリズムを考えるために、絵画の本を読む。そして、ドナルド・クヌースに出会う。こういった巨人を見ると、世界が実に小さなものに見える。それは、一種の錯覚のであるとも思う。けれど、こうした巨人が世界を繋ぐ高速道路の役割を果たしているのも、また一面の真実であるとも思う。
森鴎外や安野光雅や口にした「頭の中にいる誰か」「感性や自分を支配するもの」の名前を、クヌースというアメリカの数学者は口にする。
はじめ、原因不明のふとした着想から考えを進めるのだが、すると、ひとりでに論証の車がまわりはじめて、論文が楽にできあがる。…思うに背後にいるのは、ミューズだよ。クヌースが言葉にした「頭の中にいる誰か」は、ギリシャ神話で芸術を司る9人の女神"ミューズ"である。私たちの頭の中で9人のミューズたちが踊り、絵画や文芸や論文やプログラムを作らせる。何だか、とても面白い。
ドナルド・クヌース
2007-07-18[n年前へ]
■鈴木英人とマクドナルド的な芸術フローチャート
デジカメ写真のイラストレーション化プログラムを作る時、絵画の本を読みあさりました。もちろん、今でも、プログラミング途中ですから、今も読みあさっているわけです。
そんな風に読んだ本の一冊に、鈴木英人のイラスト教本がありました。鈴木英人という名前を聞いても何も感じない人でも、こんな版画を一目見れば、きっと80年代の空気をナイアガラ・トライアングルの音楽と共に思い出すはずです。
鈴木英人のイラスト教本がまた興味深いものでした。鈴木英人の作画法は、まさに「工房方式」で、鈴木英人本人が不在でも作画を行うことができるように、版画を作るやり方が完全にマニュアル化されていたのです。「誰でも同じように作業をすることができる」というマクドナルドのマニュアルのようで、その手順はまさに、(実際に描くのは手作業ですが)まさに画像処理アルゴリズムのフローチャートでした。ゴルゴ13を量産する「さいとうプロ」のようなアプローチは古いながらも新鮮さと、自分にはない感覚を知ることができて、興味深かったように思います。