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2009-12-16[n年前へ]

エクセルでシミュレーション Vol.10 二次元非定常熱伝導問題シミュレーション+P(ID)制御エクセルシートを作ってみよう 

 「エクセルでシミュレーション Vol.9 二次元非定常熱伝導問題の温度変化グラフも作ってみよう」で、二次元非定常熱伝導問題を解くシートを使いながら(実用的範囲では三次元問題と大差がない)、ヒーターで回転するベルトを高温にした場合の、その回転ベルトの温度分布がどのように変化していくかを計算し、グラフ化し、さらにベルト中の一部分の温度を時系列的にモニターする機能を付けた、シートで遊んでみました。

 そこで、今回は、センシングしたベルトの温度を用いて、ヒーターの温度を簡単なPID制御を使ってフィードバック制御するエクセル・シートを作ってみることにしましょう。

PID制御とは、調整量を(現在の)出力値と目標値との差に比例=Proportionalした量、その(過去からの)積分=Integralに応じた量、および(その瞬間に次にどのように変化するかという)微分=Differentialに応じた量にしたがって変える制御です。言いかえれば、現在(Proportional)・過去(Integral)・未来(Differential)の挙動に応じて、制御調整量を変えてやろうという制御です。比較的、古典的な制御手法ですが、現在でも、もっとも一般的な制御手法です。

 まずは、前回のエクセル・シートでヒーター部分を単純に(計算をさせ始めてから=回転ベルトに対するヒーターを動かし始めてから)100℃にし続けた場合の計算過程を示してみます。つまり、何の制御もしない場合です。その計算結果が、下の動画です。上の動画で上に示したグラフが、回転ベルトの温度分布を示したグラフです(回転ベルトを切り開いたように温度分布を示しています)。動画中の下の折れ線グラフは(上のコンター図で灰色丸部の温度の時間変化を示したグラフです)。ちなみに、縦軸は0℃から150℃までで、横軸が時間軸です。

 下の折れ線グラフを見れば、上のコンター図で灰色丸で示した部分の、温度が時間に応じて上昇し、やがて100℃近くになっていることがわかります。

 さて、次にPID制御を行ってみることにしましょう。…とはいえ、最初は簡単のために、「灰色丸で示した部分の温度と目標調整温度である100℃との差をヒーターに足す(ネガティブ・日―ドばっく)」という「P=比例成分=現在の違い」だけを利用したP(ID)制御を行ってみます。つまり、現在の出力と目標出力の差異のみをヒーター出力に(適当な比率で)足し合わせてみるのです。言いかえれば、ベルトの温度が0℃なら、ヒーターを200℃くらいにすることで、急激にベルトを温め温度を調整し、目標温度100度と現在のベルト温度の差が小さくなってきたら、ヒーターの温度を110℃くらいに変えてやる・・・というような制御をしてみます。そんなシミュレーション計算を行ってみた結果が、下の計算結果になります。ちなみに、ヒーターの制御温度はエクセルのシートでB32セルで計算されています。また、灰色丸のセンサ取り付け部分(を示した)の温度を示す下の折れ線グラフは、先ほどと同じく、縦軸は0℃から150℃までの温度を示し、横軸が時間軸となっています。

 この結果動画を見るとわかるように、「P=比例成分=現在の違い」だけを利用したP(ID)制御(=積分成分と微分成分を使わない)制御では、ベルトの温度は早く立ち上がりますが、ベルトの温度は振動して、なかなかすぐに安定してくれません。しかも、早く温度を立ち上げようとすると、温度振動は大きくなってしまい、温度振動を防ごうとすると、なかなか温度が早く立ち上がってくれない、という相反する関係になっています。いわば、(ある程度、減衰がある)強いバネと弱いバネの振動と同じような現象が起きてしまいます。

 さて、それでは、一体どうしたら良い制御ができるのでしょうか。・・・せっかく、簡易にエクセルのような(表計算=スプレッドシート・ソフトウェアを使った)熱伝導方程式を使ったシミュレーション計算を行うことができる環境があるわけですから、今回扱ったPID制御のような古典的な制御をもう少し復習してみようと思います。

 そして、せっかく熱伝導方程式を計算してみたりしているわけですから、そういった微分方程式(つまり現在から未来を示す式)を使うことで実現できる、最適化制御についても考えてみることにします。

2009-12-22[n年前へ]

○×△っていうらしい 

 スガシカオ/~ kokua の「Progress 」から。

ぼくが歩いてきた 日々と道のりを
ほんとは“ジブン”っていうらしい
誰も知らない世界へ向かっていく勇気を
“ミライ”っていうらしい

2009-12-31[n年前へ]

NEWS今昔物語 「Back to the Future」編 

 「NEWS今昔物語」は、5年ほど前にYukiWikiを介して編集者に渡し、さらに編集者の方の手直しを経て、公開していたものです。

 その元原稿の再公開作業を、昨日で終えることができました。ある程度自動でYukiWikiのバックアップ・データを自動変換処理はしたものの、やはり、少しの手直し作業が発生してしまいました。

 けれど、大晦日を前にしてようやく、このサイトにデータ統合させ、「NEWS今昔物語」という形で、このサイト上で公開させ終えることができました。

Roads? where we're goin'to, we don't need...roads.

2010-01-03[n年前へ]

過去記事を読む時に使う「メニュー・バーの説明図」 

 明日から仕事始め、という人も多いと思います。あるいは、少し長めの冬休みがまだ続いている学生さんの方も多いかもしれません。だから、この記事を読むのは、そんな冬休みが明けた後の職場や学校から、という人も多そうです。あるいは、正月の忙しさが過ぎた後の平日の昼に読みにきた方などもいらっしゃるかもしれません。

 その冬休みの間、あるいは、少し前、はたまた、さらにはもっと前に書いた記事は、画面上部辺りに付けたナビゲーション・メニューから、読むことができます。ただ、一見しただけではわかりにくそうにも思いますし、書いたものがただ消えていくのもなんなので、下に「ここをクリックすると読めるんですよ」という、説明用ラクガキを付けてみました。

 下図のオレンジで囲った辺りから、指定年月の記事を読むことができます。(一か月当たりの記事数が多い)過去分に関しては、もしかしたら、その月後半の記事が読めない場合がありそうですが、そういう辺りについては、適当なタイミングで、サイト側のアプリケーションの作りを直しておくようにします。

過去記事を読む時に使う「メニュー・バーの説明図」






2010-01-08[n年前へ]

”今”を生きる私たちに向けて発せられた「ひとこと」 

 ほとんどすべての本で、単行本と文庫版の間には、あとがきの部分に大きな違いがある。単行本ではあとがきがないが文庫版ではある、というものも多い。また、その逆に、単行本では長い解説がついていたりすることもある。だから、単行本と文庫本の両方を読んでみると、新鮮に感じることがある。

 北村薫の「街の灯 (単行本) 」には、田中博による、「北村薫論」と「北村薫スペシャル・インタビュー」が掲載されている。このスペシャル・インタビューが、良い。

(昭和初期を舞台とした「リセット 」「街の灯」に関して)
北村薫:その時代の人には結局、”今”は見えないもんだなと。われわれの時代にしても、五十年経って、どう評価されるのかなんて分かりませんよね。どんなに頭のいい人でも”今”っていうことは評価はできないだろう。それなら、別のかたちで”今”を書いてみたらどうかという気持ちもありますね。
(「街の灯」の続編はあるのですか?という問いに対して)
 一応、予定として、この人はこうなるというのは、ぼやっとは浮かんでいるんですがね。一番最後の場面、ベッキーさんの言う台詞もわかっています。
 シリーズ最後の「鷺と雪 」で、ベッキーさん(別宮さん)は登場人物2人に、それぞれある「ひとこと」を言う。一人は、その言葉を聴き「護符をいただいたかのような表情で、そっと頷き」、もう一人は、「この言葉を胸に刻んでおこう」と思う。

 これらの小説は、昭和初期という舞台上に、”今”という瞬間が描かれている。だから、小説に登場する登場人物たちは、”今”を生きる私たち自身である。

 この、”今”を生きる私たちに向けて発せられた「ひとこと」に、少しばかり、目を通してみるのも良いと思う。



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