hirax.net::Keywords::「わきめも」のブログ



2000-09-16[n年前へ]

「わきめも」終了 

動物が意識を持っている状態がある意味不自然なのと同じく、個人のWEBが続いていくのはやはりある意味不自然だ。というわけで、少しさみしいけれど、本当に良かった。だけど、あの真夏の飛脚の話は大好きでした。ちなみにロボ鈴木さんは、あの話を読んでものすごく心配そうな顔をしていました。ハイ。(リンク

2000-10-25[n年前へ]

虹の彼方に。 

色覚モドキソフトを作る その7

 今年は好きなWEBサイトがいくつも店じまいしてしまった。「わきめも」もそんなサイトの一つだ。その今はもうない「わきめも」の中で、
 きれいな虹が見えた。だからビールを飲んだ。だけど、目に見えている虹の色は写真のフィルムには写らない。どんなフィルム・CRT・プリンターの出力色空間もとても狭くて、虹の中に見える色は出せないからだ。ビールも虹も「生」に限る。
という話があった。もう元のWEBページがあるわけじゃないから、細かいところは違っていたかもしれないけれど、大雑把な内容はこんな感じだった。- ビールも虹も「生」に限る - なんてとてもシブイセリフで良い感じだ。
 

 このセリフの中の「どんなフィルム・CRT・プリンターの出力色空間もとても狭くて、虹の中に見える色は出せないからだ。」というのを図示してみると、下の図のようになる。
 

 

 例えば、虹の中に見えるスペクトル色はこの図で言うと、黄色の矢印で描いた側の、色で塗りつぶした領域の外枠の色だ。波長の長い単色光、つまり最初は赤色から始まって、波長が短くなるに従い「赤→黄色→緑→青→紫」というようにスペクトル色はつながっている。

 この図中に、とあるCRTとプリンターの出力可能な色空間(CCMファイル中に埋め込まれているプロファイル情報を参考にしたもの)を白点線と白実線で示したが、とても狭い領域の色しか出せず、とてもじゃないが虹の中に見えるスペクトル色はこれらの機器では出ないことが判るだろう。

 だから、「生」の虹を見たときの感じは写真でもCRTでもプリンターの出力でも味わえないわけだ。おいしいビールは「生」に限る(私の趣味では)のと同じく、虹も「生」に限るのだ。
 

 だから、虹の色と同じ

の時に撮影したような太陽光のスペクトルも、こんな風にWEBページの上で眺めても、それはやっぱり分光器を「生」で覗いている感じはとてもじゃないが味わえない。
 
太陽光のスペクトル

 こんな、「赤→黄色→緑→青→紫」というスペクトル色を眺めていると、中学の頃の美術の授業を思い出した。その授業の中で、こんな色相環が教科書か何かに載っていて、「こんな色のつながりは「赤→黄色→緑→青→紫」というスペクトル色に対応しているんだよ」と美術の先生に言われた。それを聞いていた私はよく判らなくなって、「すると、何で紫と赤のところで繋がってるのでしょうか??」と先生に聞くと、その先生も「う〜ん。」と悩み始め、しまいには「いつか調べて答えが判ったら、私にも教えてくれたまえ。」と言うのである。今考えてみると、それはとても素晴らしい言葉だった(間違っても皮肉でなくて、本当に素晴らしいと思うのだ)。
 

色相環

色覚のメカニズム 内川恵二 朝倉書店 口絵より

 だけど、「赤→黄色→緑→青→紫」という単色光のスペクトルが波長としては単に一方向に変化していくだけなのに、グルっと一周する感覚を受けるのはとても不思議である。そこで、色感覚モドキソフトを作ってそこらへんの感覚を眺めてみる、つまり「できるかな?」の常套手段である「その謎を見てみよう」と思うのである。

 この「色感覚モドキソフト」はいつものように極めて大雑把でチャチな作りである。ソフトの流れとしては次に示すように、

1.光源としては二種類の場合
    • RGBのCRTモニタ
    • 単色スペクトル光
    を考える。そして、RGBのCRTモニタのRGBそれぞれのスペクトルを設定する。次に、RGBのCRTモニタを使用する場合には、以下の作業を行う。

    2.画像を読み込み、画像の任意の場所のRGB値を元に光全体としてのスペクトルを計算する。

    3.錐体の分光感度を適当に設定し、Boynton色覚モデルをもとに

      「赤<->緑」チャンネル
      「青<->黄」チャンネル
      「輝度」チャンネル
    のそれぞれの応答値を計算する。
という感じになっている。自分自身でいじることのできるパラメーターはRGBそれぞれのスペクトルと錐体の分光感度である。少し前に「からーふぃくしょん」のwebmasterと話している時に、錐体の分光感度が違う場合には、その違いに応じた「自然な色のつながり」があるんじゃないか、という話になったことがあったので、今回はそれを考慮して錐体の分光感度を自分でいじれるようにしてみた。

 ここに今回作成したtruecolor7を置いておく。細かい使い方は今回は割愛したい。が、多分少し使えば(使う人がいるともそうそう思えないが)、使い方はすぐに判ると思う。

いつものようにα版なのは言うまでもない。

 truecolor7の動作画面はこんな感じである。
 

truecolor7の動作画面

 左上から下に向かって、RGBそれぞれのスペクトル設定、全体でのスペクトル、読み込んだ画像、右上から、錐体の分光感度、反対色応答の出力値である。

 画像の任意の場所を調べたければ、BMP画像を読み込んでマウスで好きな場所をなぞるなり、クリックすればよいし、「赤→黄色→緑→青→紫」という単色光のスペクトル色の場合を計算したければ、右下にある「SpectrumColor」ボタンを押せば良い。

 さっそく、赤→黄色→緑→青→紫というスペクトル色の反対色応答「モドキ」を見てみたのが次のグラフである。縦軸が「輝度チャンネル」で、向かって左の軸が「青<->黄」チャンネルで、向かって右の軸が「赤<->緑」チャンネルである。この「輝度チャンネル」・「青<->黄」・「赤<->緑」という「感覚的」3次元空間で波長が一方向に変化するスペクトル色を連続的にプロットしてみると、見事に円状につながっていることが判る。「赤<->緑」チャンネルの計算が基本的にはL錐体出力からM錐体出力の差分をとって、さらにS錐体の出力をほんの少しだけ引いてやるという計算をしているため、短波長側でL錐体の感度がM錐体の感度を上回っている(ように実は設定した)のでこんな風になるのだ。単純に波長が短くなるだけなのに、見た感じ何故か紫と赤が近く見える。あくまで、大雑把な話だけれど。

 中学の頃の私がこれで納得するとは思えないが、少なくとも今の私はこの円環構造を目にすることができればこれで満足である。
 
 

赤→黄色→緑→青→紫というスペクトル色の反対色応答「モドキ」

 ちなみに、つぎに示すのは輝度が一定になるようにした画像の周辺部をグルッと計算してみたものである。このグラフでは縦軸の「輝度チャンネル」の値はずっと同じで、「青<->黄」チャンネル・「赤<->緑」チャンネル平面内で円環状にグルッと一周しているのがわかると思う。自分自身が下の画像を眺めたときに、つながりが自然だなぁ、あるいは自然じゃないなぁ、と感じる感覚と重ね合わせながら見てみると面白いのではないだろうか。
 

輝度が一定になるようにした画像の周辺部をグルッと計算してみたもの

 さて、興味がある方がいらっしゃれば、このバッタもんソフトを使って、ぜひ色々なパラメータを振って色々な画像を読み込んで試行錯誤をしてみてもらいたいと思う。そして、その結果を私に教えていただければとてもうれしい。もちろん、このソフトを使うという話に限らず、面白そうなアイデアがあれば大歓迎である。
 

 さて、虹というとミュージカル「オズの魔法使い」の中でジュディ・ガーランドが歌っていた"OverThe Rainbow"を何故か思い出す。実は、このソフトを作っているときも「ふ〜ん、ふ〜ん、ふ〜んふんふふふ〜ん」と歌詞が判らないまま鼻歌を歌いながら作業していた。歌詞が判らないまま、というのも何なので、せっかくなので調べた歌詞で今回の話を終わらせたいと思う。虹の彼方には…
 

 Somewhere, over the rainbow, skies are blue.And the dreams that you dare to dream really do come true.

2000-11-19[n年前へ]

間違いだらけのカラープリンター選び 

もういくつ寝るとお正月


 今年はずいぶんと夏が長かった。もう11月になっているにも関わらず、ほんの数日前まで少し暑いくらいでは夏の終わりといっても良いような天気が続いていた。ところが、数日前に急に寒くなった。もう正真正銘の冬が訪れたようである。

 冬が始まり今年もあとわずかとなれば、安いインクジェットのカラープリンターが飛ぶように売れる季節だ。もちろん、家で年賀状をせっせと印刷し始める人達が多いからである。安いカラープリンターを買って、家が小さな小さな印刷工場に変わるのである。それはまさに家庭内手工業だ。

 家庭内手工業という響きを聞くだけで、誰しも「安い賃金で汗水流す家族」が頭の中に浮かぶことだろう。もちろん、この正月を控えた「小さな小さな印刷工場」もその例外ではないのである。子供が家にいる家庭であれば、子供達に宛名書き(最近なら宛名入力か?)やプリントアウト作業をほとんどタダのような賃金でやらせている親は多いのである。例えば、一枚プリントアウトするごとに10円というくらいの賃金で子供に作業をやらせていたり、それどころか一枚数円位の賃金体系の家庭だってあるハズである。それは、企業が安い賃金で雇える労働力を求めてアジア・アフリカ諸国へ工場を移していくのと瓜二つである。

 実際のところは、子供の方も「そんなタダのような賃金」でも何も考えずに喜んでやるとは思うのだが、親からすればそれは実に便利なパシリなのである。もちろん、そのタダのような賃金の値上げを求めてスト決行する子供がいても面白いと思われるかもしれないが、そんな向上心溢れる子供達には親から教育的指導がすかさず入ってしまい、賃金値上げはそうそう行われるわけはないのだ。現に私も幼い頃にはそんな内職をしていたわけだが、少しは知恵がついて向上心に突き動かされ(もう少しおゼぜが欲しくなって)

「これっぽっちじゃぁ〜働けないなぁ〜。」
と幼心に純粋に賃上げ交渉をすると、
「じゃぁ、クビ。」
「アンタ以外にも働きたい人はいるの。」
と言われたのである。そう、私の妹や弟達がいたのである。私よりももっと安賃金・ホント〜にタダのような賃金で働いても文句を言わない労働力が育っていたのであった。正月間近の家庭内手工業は、まさに安い労働力を求めて海外を移動していく日本企業なのである。冷酷な吉本興業と瓜二つなのである。

 話が脱線した。とにかくこの時期には、年賀状印刷のためにカラープリンタの購入を考える人達は多く、プリンター関連の情報が集まる場所、例えば

などのような場所では、「プリンターは何が良いですか?」とか「エプソンとキヤノンとhpのどのプリンターが良いのでしょう?」というような質問を数多く見かけるようになる。そして、その質問の中でもよく登場するカラープリンターがこの二機種である。エプソンPM900CとキヤノンF870だ。もちろん、もうひとつメジャーどころとしてhpもあるわけだが、写真画質を重視していないのと、日本ではまだそれほど強くないこともあって、年賀状プリントなどの用途ではあまり選択肢には入らないようである。
 
エプソンPM900CとキヤノンF870
エプソンPM900C

http://www.i-love-epson.co.jp/products/
printer/inkjet/pm900c/img/pm900c.jpg
キヤノンF870

http://www.canon-sales.co.jp/
Product/BJ/img/f870.jpg

 この二機種はパンフレットも何か対照的で、少なくとも私はキヤノンF870のパンフレットは好きではない。夏までのラルクを表紙にあしらったパンフレットの方がずっと華やかで良かったと思う。寸前までGlayを使う予定だったのに、わざわざラルクに変更したというくらい(名前を考えれば実に賢明な選択である)だったのに何故「黒ずくめ」の中田に変えたのだ…
 

エプソンPM900CとキヤノンF870
エプソンPM900C
キヤノンF870

 まぁ、そんな気持ちはさておきパンフレットを眺めていると、あることを確かめたくなった。それは、エプソンPM900Cの売り文句の一つである"EpsonNatural Color"である。エプソンのWEBの情報によれば、

  エプソンのカラー技術が目指すべきもの。それは、ナチュラルな色の再現でした。新カラリオは、モニタ上の色域制限(sRGB)にとらわれずに、自然界の色により近いカラープリントを実現する新画像処理技術「EPSONNATURAL PHOTO COLOR(エプソン・ナチュラルフォトカラー)」を搭載。モニタに映る色ではなく、あくまで人の目に映る自然の色をプリントすることにこだわりました。写真に収めた美しい思い出を、あの時の感動を、カラリオなら記憶のままに忠実に再現。
と書いてある。つまりは、「CRTモニタや液晶モニタでは出ない色(の一部)をPM900Cでは出力するようにしましたよ」ということである。「これまではモニタで見た色と同じような色を出力するようにしていたから、モニタで出ない色はプリンターでも出力していなかったのだけれど、モニタと同じでなくても自然の生の色に近い方を出力するようにしましたよ」ということだ。ビールも色も「生」に限る(byわきめも)わけで、結構カッコ良い割り切りかたである。あくまで「人の目に映る色」がホントの色で、「モニタ上で表されるRGBの色」なんかニセモノなのだぁ(少し大げさ)、という主張が込められているようで面白いと思う。「モニタで確認した色が出ない」とか言われることはもう覚悟の上なのだろう。
 

 といっても、エプソンPM900Cがホント〜にそんな出力をしているのかどうか、実際に確かめてみなければよく判らないだろう。といっても、私の家には実はプリンターは一つもない(家でプリンターを触るのはちょっとイヤだから)ので「実際に」確かめるわけにはいかない。そこで、

の時と同じくプリンタードライバーが使う、「カラープロファイルファイル」の中を覗いてみることで、それぞれのプリンターが出力する色の範囲を調べてみることにした。出力できる色空間が広いことを謳うPM900Cがホント〜に多くの色を出力できるかどうかを確かめてみるわけだ。「実際に機械を使わずしてどうするのか」と言われるような気もするが、ネットで手に入るモノだけを使ってプリンターの性能を推理してみるのもたまには良いのではないだろうか。
 

 というわけで、エプソン・キヤノン各社のドライバーをダウンロードしてきて、それぞれのICCファイルの中に書かれている出力可能な色空間をab平面で表したのが次の結果である。
 

それぞれの出力可能な色空間をab平面で表したもの
PM900C
BJ F870

 この結果を見ると、確かに若干ではあるがPM900Cの方がF870よりも出力できるab色平面が広いように見える。といっても、この図では見づらいと思うので、この二つを重ねて、

  • PM900Cの方だけが出力できる範囲を白
  • F870の方だけが出力できる範囲を黒
で塗りつぶしてみたのが下の図である。この図では比較のためにsRGBの色空間も表示してみた。
 
PM900C、F870の色空間をsRGB(標準的なCRT)の
色空間と比較した結果

 ナルホド、確かにエメラルドグリーンというような色の辺りでPM900Cには出力できるけど(少なくともICCファイル上は)、sRGB・F870にはその色は出せないという領域もあるようである。そして、さっきのパンフレットをもう一度眺めてみると、確かにその色をパンフレットのメインの色としてあしらっていることがよくわかるだろう(ホントかいな?)。このエメラルドグリーンの服は伊達ではないのである。黒ずくめの男を表紙に使ってるのとは大違いの素晴らしさである。
 

パンフレットの主題色は?

 さて、もちろん言うまでもないと思うが、今回の色空間の広さ競争はまさに「間違いだらけのカラープリンター選び」である。何しろ、実際のプリントアウトをしていないのである。いや、もちろんこれらのプリンターを使ったこともちゃんとあるのではあるが、事情によりその出力結果はここでは言うわけにはいかないのである。きっと、それを書いたらX○△×(以下省略)

 ところで参考までに、、写真画質がある程度固まった機種のエプソンのPM750Cと最新機種であるPM900Cの比較を比較してみた。PM750Cに比べて、着実にPM900Cの出力できる色空間が広くなっている。プリンターの技術の進化具合がちょっと実感できたりするのではないだろうか?(ホントかウソか知らないけれど)
 

PM750CとPM900Cの比較

 ここまでテキト〜に書いてみたが、これを読んでいる人の中でホントにちゃんと選びたいというような人がいるのなら、何より自分で実際に使ってみるのが一番だと思う。そうすれば、自分の必要と経験に応じた機種が必ずや手に入るハズだ。あと、広告が入りまくりのPC雑誌の評価はあまり参考にならないと思うなぁ。
 

2001-01-10[n年前へ]

想定読者 第2回(多分) 

   「わきめも」から。

 サーバー上へのバックアップにもなるし、なにより自分で読み返すのにとてもいいのです。つまり自分の為ですね。
 うちもそうです。なので、WEB用の文書は想定読者が自分自身ということもあり、結構すぐ書けます。 けれど、人に書く「メール」は書くのに時間がとてもかかります。

2001-02-04[n年前へ]

日記写真リンク 

 色々な人の文章による日記ではなくて、写真による日記のリンクをしてみたいな、と思ったりして。と、思ったら削除されてるし。 > わきめも。



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