2008-01-29[n年前へ]
■"We have learned to live with this stupidity"
1925年に生まれた 菊池誠が1990年に書いたのが「若きエンジニアへの手紙」(ダイヤモンド社)だ。65才になった半導体研究者の著者が、若きエンジニアに対し、真摯に優しく語りかけるように言葉を重ねた本だ。時が過ぎて、企業の中央研究所や大学の姿が変わっていったことを考えれば、この「エンジニア」という言葉は、今では、もう少し「研究者」寄りととらえた方が良いかもしれない。
この本はとても良かった。「若きエンジニア」という部分で、手に取ることをためらう中年エンジニアや研究者もいるかもしれないけれど、65才になった優れた著者が言う「若き」なのだから、どんな年齢でも、恥らわずに手にとって読んでみるといいような気がする。
たくさんの文章をメモしたけれど、20ページ目にある「トランジスタの父」ショックレーの論文の一部をここに書き写そう。
“What I say about myself-and I am sure most creative people would say the same thing is that, when we look at how long it took us to get certain ideas, we are impressed with how dumb we were- on how long it took us, and how stupid we were. But We have learned to live with this stupidity, and to find from it what relationships we should have seen in the first place. This recongnition that we aren't perfect but that persistence pays is a very important factor, I think, in giving one the "will to think"-you don't need to worry so much about the mistakes you make.
2008-08-10[n年前へ]
■サンデー毎日で「金・出世・女」を読む
かつて、サンデー毎日の編集長が『ウチの雑誌には「金・出世・女」が詰まっていればいい』と言ったという。しかし、内容からすれば、それはSPA!あたりも、「マネー」や「モテ」に満ちているような気がする。…で、(女性雑誌はさておき)男性向け雑誌のほとんどは、結局その三つの割合が変わり、さらに「他の世界」が入ってくるだけなのじゃないだろうか、という話になった。
下の画像は、その時描いたホワイトボードのコピーの一枚である。横軸は「金・出世・女」の割合で、縦軸が年齢だ。SPA!・サンデー毎日・男の隠れ家・ラピュタといった雑誌名をこんな二次元マップ上に描いてみたわけである。
縦軸の上の方に行くと、「妄想」や「桃源郷」が増えてくる。増えてくる「金・出世・女」は「妄想」であるし、ラピュタなんかは「桃源郷」の世界になる。ちなみに、LEONなんかは、中央上部に位置するように思う。
とても大雑把な「雑誌マップ」であるけれど、比較的自然な地図であるようにも感じられてくる。この「大雑把」で「単純」というところが、「男性雑誌」の一番の特徴なのだろう。
2008-08-31[n年前へ]
■雑誌流行L!ves 「年齢 v.s. 購買力」散布図
ファッション(流行)といったものを映し出しているに違いない…と思い作ってみた「雑誌流行L!ve」では、(どの画面でも)視点=Viewをさまざまに変えることができます。それが、一番の特徴かもしれなせん。たとえば、トップページ「雑誌流行L!ves » 雑誌 » 一覧(最新号)」で視点を「読者年齢 vs. 購買額」にしてみた例が下の画像になります。
何かを表現するのに2つの軸を作るなら、どんな軸があると思いますか?と色々な人たちに繰り返し尋ねてみました。出てきた答えは「自分と他人」「満足と不満足」など…さまざまな軸がありました。そういった中で出てくることが多かったのが、「年齢・世代」という軸です。その他の軸はなかなか上手く言葉にできないものが多かったように思います。そこで、「よくわからないもの」を値にするものの一つである「お金」という軸を使い、「年齢・世代」 v.s. 「お金(購買力)」という2次元散布図を描いてみたのが、上の画面になるわけです。ちなみに、雑誌読者の「購買力」は適当なアルゴリズムで推定しています。
「年齢・世代」(横軸) v.s. 「お金(購買力)」(縦軸)という散布図は、基本的に右上がりの分布になります。ちなみに、「ちょい悪オヤジ」のLEONは実は、このグラフの中では、とても標準的な場所に位置しています。この散布図で一番角度が急なのが、つまり年齢の割に購買力が高いのが「おしやれな小中学生のためのファッション誌 "nicola"」になっています。
2008-09-13[n年前へ]
■「雑誌DE流行マップ」始めました
先日作ったWEBアプリケーションに少し手を入れたアップデート版を動かし始めました。下の動画は、WEBアプリを操作している時の画面をキャプチャしてみたものです。
ファッション・ライフスタイル雑誌は、私たちの毎日を映し出したり、作り出したりする媒体のひとつです。同じ雑誌を毎号必ず買って読む人もいれば、特集記事・掲載モデル・付録など内容に応じて、「つまみ食い」のように時によって違う雑誌を買う人もいます。どんな雑誌を選ぶかということの積み重ねが、私たち自身や私たちの毎日を作り出していきます。
「どんな雑誌のどの号にどんな情報が載っているのかを、特集記事・キーワード・掲載モデル・流行度比較・読者年齢や読者層といったポジショニングマップ・読者分布地図…といったさまざまな視点から眺めることができる」のが「雑誌DE流行マップ」です。あなたが「知りたいこと」「なりたいもの」「手に入れたいもの」が載っている雑誌を「雑誌DE流行マップ」を使えば楽しく見つけ出す・眺めることができます。
2008-09-15[n年前へ]
■雑誌の「読者年齢vs.購買力」マップを眺めてみると!?
右に貼り付けた説明スライドのように、「雑誌DE流行マップ」の狙いは雑誌や流行りというものを色々な見方で眺めたいということです。 だから、たとえば、雑誌タイトルの一覧ページでは10種ほどの眺め方ができるわけです。
さまざまな軸で雑誌を眺めたり、言葉を眺めたり、あるいはそこに登場する人たちを眺め直してみることで、流行りや流行らないことの全体像を見てみたい、あるいはその全体の中に各部分がどう位置しているかを眺めてみたい、と思いました。そこで、そんなことができるツールを作ってみたのです。
ツールを作ってみたので、まずは「読者の年齢」「読者の購買力」「読者の数」という三つの軸で雑誌や流行を眺めてみることにしました。ここで、「読者の年齢」というのは「その雑誌を買っている読者の平均年齢」で、「読者の購買力」というのは「その雑誌を買っている読者がファッション・余暇などに費やしているお金の量」で、「読者の数」というのは「その雑誌を買っている人たちの数」です。
右の散布図は、雑誌の「読者の年齢vs.読者の購買力」チャート表示をしてみたところです。横軸が「読者の年齢」で、縦軸が「読者の購買力」です。バラツキはもちろんありますが、大雑把には右上がりの傾向を示しています。つまり、「年齢が高い方が購買力も高い」という単純な傾向です。ただ、そこにはバラツキもあって、そのバラツキこそが「読者の年齢vs.読者の購買力」というポジショニングマップから見えてくる雑誌読者層、雑誌の読者の姿、ということになります(いずれの値も独自の適当ロジックで算出している推定値ですから、正確な姿からはほど遠いとは思います。ただ、「読者の購買力」推定と「読者年齢推定」は独立に推定していることは付記しておきます)。
このグラフを見ると、non-no・JJ・LEONが一直線に並んでいたりして、少し面白いです。年齢が高くなっても若い頃のままの購買力の増加を保ち続けているのが、LEONなんだろうかとか想像したくなります。また、同じ赤文字・女子大生系でも、JJよりCanCamの購買力が低い!?なんていう姿が見えたりします。さらに、CanCamとAneCanもほぼ一直線上に並んでいて、その先にはSTORYがいます。つまり、「CanCam → AneCanという道を真っ直ぐにそのまま進んでいくと40歳を過ぎる頃にはSTORYを読んでいるかもしれない!?」というような想像ができたりするわけです。