2000-10-13[n年前へ]
■Plin Limark
ムードスティックの秘密
五年くらい前に、こんな口紅がアメリカみやげとして流行ったらしい。塗ると、色の変わる口紅である。下の写真はCOSMOCOSMETICS(http://ferity.com/)のMOOD LIPSTICKという名前のやつだ。あなたの気分次第で口紅の色が変わる、という謳い文句の口紅である。
気分次第で唇の色が変わってしまったら、それは気分じゃなくて体調が悪いんじゃないかとか考えてしまうが、気分次第で口紅の色が変わるくらいだったらそれは面白いのだろう。もっとも周りの人にこの口紅について聞いてみると、おみやげとしてはよくもらったけれど実際に使ったことはないというから、やはり単なる「面白グッズ」なのかもしれない。
さて、このMOOD STICKを使った様子を見てみよう。例えば、この黄色・緑・青・黒の四色の口紅を適当な白い紙の上に塗ってみると、とたんに色が変わる。下の写真が、それぞれの口紅を紙の上に塗って色の変化する様子を見てみたところだ。黄色の口紅はピンクっぽい色に変わっているし、緑色の口紅はマゼンダっぽい色になっている。青色や黒色の口紅も感じとしてはマゼンダっぽい色に変わっている。
もっとも色が変わる様子はケースバイケースであって、例えば手元にあったティッシュペーパーなんかに塗ってみると、確かに色は変わっていくのだがずいぶん時間がかかる。
この色の変わる仕組みは一体どうなっているのだろうか?周りの男性と、「口紅を塗るときに厚さが変わると、それで色の見え具合が変わるんじゃないの。」とか、「この口紅の成分は実はカプセル状のものになっていて、塗りつけられるときの圧力でそのカプセルが壊れて中から出てくるもので色が変わるんじゃないの。」とか、「大体、唇に塗れる色材には、そんなに色が変わるようなへんな材料は使えないだろう?」などと不毛な話をしていた。
ところが、女性がこの話を聞くとすかさず「pHで変わるんじゃないの。」と言った。なるほど、確かに酸性かアルカリ性かで色が変わる材料なら身の回りに溢れているし、食材にだっていっぱい含まれているから安全性もお墨付きだ。しかも、体調次第で皮膚表面のpHも変わるだろうから、「あなたの気分次第で口紅の色が変わる」というのもあながち嘘でないと言えるだろう。
そこで、それを確認すべく私はトイレにかけこみ、化学兵器を持ち出した。それがこれ、酸性溶液サンポールとアルカリ性溶液ドメストである。
白い紙にMOOD LIPSTICKを塗った後に、その口紅の上にサンポール水溶液とドメスト水溶液をふりかけてみた。その様子が下の写真である。ちなみに、ここで使った白い紙では、紙の上に塗った段階では口紅の色はあまり変わらなかった。
さて、下の写真では、上から青、緑、黒、黄色の口紅を塗ってあり、向かって左の青線で囲まれた範囲にはアルカリ性溶液ドメストを振りかけ、右の赤線で囲まれた範囲には酸性溶液サンポールを振りかけてみた。
すると、見事なまでに色が変わる。アルカリ性溶液ドメストをかけた部分はマゼンダ色に変化し、酸性溶液サンポールを振りかけたところは青、緑、黒、黄色のままである。何もかけないところの色も青、緑、黒、黄色であるところを見ると、この白い紙は酸性紙なのだろう。口紅を紙に塗る時に、紙によって発色が違うのも酸性紙か中性紙かとかそういうことで違いがでるのなら、それはとても自然である。
さて、口紅の色が変わる様子をよ〜く見ていると、2種類の材料が個別に発色しているように見える。どうも文才の様子が違うようで、それが判るのだ。結局、一番下の黄色の口紅の場合で言うと、次の表に示すようになっているようである。確かに、こういう複数の色材の組み合わせの方が楽だし安全なのだろう。
アルカリ性 | 酸性 | |
色材 A | 無色 | 黄色 |
色材 B | マゼンダ | 無色 |
全体での発色 | マゼンダ | 黄色 |
少なくとも私は、有色から有色へ変化する材料って口にするには、何かイヤな気がする。それが、有色→無色や無色→有色ならまだマシな気分である。
ところで、人間の皮膚は弱酸性だから、何かこの発色だと実際に皮膚に塗ったときの発色(基本的にはピンク・マゼンダっぽい色になる)と逆になってしまうように思えるが、それは次回以降(果たしてそんなのがあるかどうかは大いに疑問であるが)で気にすることにして、今回はそんな細かいことは気にしないことにしよう。とにかう、MOODLIPSTICKの秘密は複数材料がpHで色が変わるところにあって、それは簡単に言うなら格好いいリトマス試験紙みたいなものなのである。
参考までに「色が変わる口紅」の特許も調べてみた。下に示すのが二つのUSP(UnitedStates Patent = アメリカ合衆国の特許)である。上に示してあるのが「pHで色の変わる化粧品」で、下に示したのが「カプセル式の色材を使って、塗るときに色が変わる化粧品」である。さっきの雑談の中で出てきた「この口紅の成分は実はカプセル状のものになっていて、塗りつけられるときの圧力でそのカプセルが壊れて中から出てくるもので色が変わるんじゃないの。」というのもあながち嘘八百ではなかったようである。
「pHで色の変わる化粧品」の方の中身をみると、色材がpHによって色が変わるようすが示されている。
また、実験をした後にインターネットで資料を探してみると、
- GeneralChemistry Online
- ( http://antoine.fsu.umd.edu/chem/senese/101/consumer/faq/mood-lipstick.shtml)
さて、このムードスティックを調べていて、ある友人から聞いたとある話話(実話)を思い出した。その話はアラン・ドロン演じる青年が犯罪を行い、それを隠し通そうとする姿を描いた「太陽がいっぱい」- Plein soleil - によく似ている話だった。
彼は結婚していたが、ある晩他の女性と会った後に家に帰ろうとしていた。ところが、彼は帰宅直前に自分のワイシャツにピンク色の口紅が付いていることに気付いた。いつその口紅が付いてしまったか、心当たりがあった彼は狼狽した。そして、結局彼は駅のトイレに入って、何とかそのピンク色の唇マークが見えないようになるまで、ワイシャツを石鹸を使ってきれいにした。
その晩、家に帰ってから彼は無事妻には何も気付かれないまま、ワイシャツを洗濯機に入れて寝てしまった。そして、次の朝彼が会社へ出かけたあと、彼の妻はいつものように洗剤と漂白剤を使ってワイシャツを洗った。そして、ワイシャツを外に干した。
ところが、ワイシャツを洗うのに使った漂白剤のせいか、それとも洗剤のせいか、あるいは日光のせいか、何が原因だったのかは判らないがワイシャツの表面で徐々に何かの反応が起こった。もしかしたら、漂白剤で酸化されて逆に発色してしまいうような材料が入っていたのかもしれない。とにかく、彼のワイシャツの上では、昨夜と同じ口紅のあとが同じ形で、だけど色だけは違う青色となって姿を現し始めていた。
太陽が高くなる頃には、そのワイシャツは日に照らされながら鮮やかな青い唇マークをはっきりと浮かび上がらせていた。その頃同じく太陽の光を浴びていた彼は、彼の秘密がもうすぐばれることをまだ知らない。
2001-03-25[n年前へ]
■WEBページがキオスクになる日 前編
東スポ・レイアウトでいこう
以前、「WEBページを検索した時、その検索結果を小さな画像(サムネイル)で表示してくれるのって便利だと思わない?(というかやってみない?)」とアドバイスされたことがあった。目的のキーワードで検索をかけた結果が一覧で表示されても、そのテキストのみの結果からは全然イメージが湧かない、というのである。なるほどなぁ、と私は思いながらも、その「WEBページの検索結果をサムネイル表示する」というアイデアを簡単に実現するにはどうしたら良いかがなかなか思いつかなかった。どこかの検索エンジンを利用して検索を行って、その結果に対してさらにサムネイル表示を加えてみようなどとも挑戦してみたのだが、サムネイル表示のために利用しようとしたThumbnailsViewのThumbCtlを使ったプログラムが何故かWindows2000上では上手く動作しなかったりして、なかなか進まないままだった。
もちろん、自分のサーバーでもあるhirax.netの中の全文検索結果にサムネイル表示を加えることは簡単にできるだろう。しかし、hirax.netにある「できるかな?」の各ページはあまりグラフィカルというわけではないのである。ほとんどのページで、少なくとも先頭近くはほぼ文章だけで占められている。すると、サムネイル表示すると下のような感じになってしまう。
このような表示だと、テキストのみの検索結果に対して「結果からイメージを湧かせる」という点ではさほど優位に思われないのである。hirax.netは比較的画像を多く使っているサイトであるとは思うのだけれど、それでもやはりページの内容が文字主体であるため、サムネイル表示を上手く活用する方法が考えつかなかったのである。
実際のところ、私が頻繁に見に行く他のサイトでも文字主体のところが多いので、自分自身の用途としてはなかなかWEBページのサムネイル表示は活用できそうになかった。
しかし、周りを見わたして考えてみればそんなWEBサイトばかりではないのだった。もしかしたら、「文字主体の読み物」を読んでいる人は実は少数派で、そうじゃない人やそうじゃないサイトの方が圧倒的に多いのかもしれない。少なくとも、企業のWEBサイトは良くも悪くもグラフィカルなページの方が圧倒的に多い。そして、そんなサイトに対して「検索結果をサムネイルで表示する」ことでどんなに「結果からイメージが湧くか」を実感させてくれたのが、お笑いパソコン日誌経由で知ったgirafa(http://www.girafa.com/)である。実際の例を示してみると、化粧品(cosmetics)というキーワードで検索をかけた時
この二種類の結果から受けるイメージの違いはやはり大きい。girafaを使って化粧品をキーワードにして検索結果をサムネイル表示させた場合は、もう化粧品のパンフレットのような感じで文字なんか読まなくても、イメージが頭の中に入ってくるのである。言葉の壁もなんのその、文字を読む必要もないのである。なるほど、私のように文字主体のWEBサイトばかり読んでいるものには判らなかったが、ファッション関係のWEBサイトを検索する女性にとっては、「検索結果のサムネイル表示」はとても必要とされそうである。
もちろん、それはコスメ用品を検索しまくる女性だけでない。エロ・エロ・キーワードを片手に検索をしまくるエロゾンビたる男性達にもとてもありがたいものとなるに違いない。例えば、こんな風にエロ・エロ・キーワードで検索をかけたりすると、その結果なんてもうイメージ湧きまくり状態になる。もちろん、この検索結果もここに張り付けて、その効果とイメージを共に分かち合いたいくらいなのであるが、そんなことをしたらこのページまで18禁扱いされないし、私を誤解する人も出てきそうなので、残念ながら止めておく。(いや、違った。全然残念ながらではないか。)
このgirafaは検索結果をサムネイルで表示してくれるだけではなくて、InternetExplorerのサイドバーとして自分の好きなリンク集をサムネイル表示させておくこともできる。例えば、下の画面左に表示されているのがgirafaのサイドバーである。
さて、冒頭で「文字主体のサイトではサムネイル表示では効果が少ないのではないか」と書いた。しかし、それは実はサムネイルの画像が粗い場合の話であって、実は文字主体のサイトでもサムネイル画像の情報量が多い場合には、それは必ずしも正しくない。実際、girafaの作成するサムネイル画像はかなり高品質なので、WEBページの頭に大きな文字があれば、それもちゃんと読むことができるのである。
試しに、girafaとThumbnails Viewの作成するサムネイル画像の違いを並べてみると、下のようになる。
この記事のタイトルが読めることの効果は非常に大きい。例えば、誰しも駅のキオスクで実際の新聞を買おうとする場合には、一面のトップの記事のタイトルを見て、どの新聞を買うかを決めるということも多いはずである。少なくとも、私の場合はそうだ。目を引く記事のタイトルがあれば、その新聞を買い、そうでなければ買わないというやり方である。
それと同じで、girafaでニュースサイトのリンク集を表示させているような場合には、興味がある記事がトップにあればそのリンク先へ飛んで、そうでなければわざわざそのサイトへ飛んだりはしない、という風な使い方になってしまいそうなのである。つまり、girafaでサムネイル表示されているリンク集というのは、ほとんどキオスクで折り畳まれた新聞の一部が見えているだけの状態と非常に良く似ているのである。girafaのサイドバーとキオスクに並んでる新聞はとても感覚的に近いのだ。そういう感覚的な近さというのは、きっととても大事なことだとも思うのである。
このgirafaみたいな便利なモノはきっと普及することだろう。girafaがベータ版でなくなって、ちゃんと動作するようになれば普及しないわけがない。そして、誰もがそんなサムネイル表示された新聞社のWEBサイトを見るようになった暁には、新聞社のWEBページは絶対東スポ方式にすべきだと私は思う。サムネイル画像には大きく、「川崎麻世・カイヤ、離婚」という文字が見えるのだが、それをクリックしてそのページに飛ぶと、その下に「回避」という文字があって、実は「川崎麻世・カイヤ、離婚回避」という記事だったというようなやり方だ。あまりやりすぎるとオオカミ少年になってしまう恐れもあるが、まぁそんな新聞WEB記事も面白くていいんじゃないのかな、と思ったりするのである。二十一世紀は東スポスタイルが大流行するハズなのだ。
しかし、ホントのところ二十一世紀になってもやっぱり東スポや噂の真相ってあるんだなぁ。当たり前かもしれないけど、鉄腕アトムの時代もやっぱり東スポや噂の真相ってあるんだなぁ。ちょっと不思議な感覚だなぁ。
2001-10-07[n年前へ]
■心の色はどんな色?
見えないものを眺めてみよう
「あなたの色に染めて欲しいの…」とはよく聞くフレーズである。それは実によく聞くフレーズではあるのだけれど、本当のところそんなことを言う人が実際に居るのかどうか私は知らない。それはさておき、私はこのフレーズを聞くたびに心の中で思うのである。「あなたの色って、どんな色やねん?」と。
郵便ポストの色とか、チューリップの色とかならまだ判るのだけれど、「人」なんて実に抽象的なものでは一体どんな色だか判らないではないか、と思うのである。そもそも、そんな「人」なんて抽象的なものに「色」なんてものが対応するのかどうか自体、不思議な話なのである。
「オマエの色が赤以外のわけがあるかぁ」と言いたくなる、もう「あなたの色」丸見え状態のゴレンジャーのアカレンジャー・メンバー(最近流行りの呼び方)とか他のメンバー達ならまだ判るのだけれど、普通の人間で「その人の色」が判るような人がいるわけがないようにも思えてしまう。
まぁ、私の名前は「純」なので「オレの色は純色なのだぁ」とクダラナクも言ってみても良いのだけれど、そんなことを言ったところで「何色の純色やねん?」とツッコまれること間違いなしなのである。「みどり」とかそんな名前を持つ人でなければ、こんなヘリクツは通用しないのである。
しかし、「あなたの色」という抽象的なものの色なんか判るハズもない、とあきらめてしまうのはちょっとクヤシイ。どんな抽象的なものも、目に見えるカタチにして眺めてみたいと感じるのが人の心情だろう。そこで、「抽象的なものの色を見てみる」ことに挑戦し、「人々の心の色」を眺めてみたい、と思うのである。
前回、「色んな心を集めたアルバム」で、WEBの世界に散らばっているさまざまな画像の中から、任意の「キーワード」に関連した画像を収集するために、GoogleImageSearchを利用し収集するアプリケーション「ぐるぐるイメージ」を作成してみた。このぐるぐるイメージとダウンロードツールのIriaなどを組み合わせれば、言葉通りの「何かに伴うイメージ(画像)」を自分の手元のPCのフォルダに集めることができる。例えば「恋」だったり、「心」だったり、あるいは、「科学」や「しあわせ」や「スポーツ」といったイメージに伴う画像、を手元のフォルダにかき集めることができるのである。
通常、「何かに伴うイメージ」というときの「イメージ」という言葉はもちろん「画像」という意味ではない。一般的に想像されるだろう「何かに伴うイメージ」は、「Aという何かに伴って私達が想像する潜在的な何かB」に違いない。それはもちろんそうなのだが、「ぐるぐるイメージ」が集める「Aという何かに伴って登場することの多いBという顕在化したイメージ(画像)」が、必ずしも「Aという何かに伴って私達が想像する潜在的な何かB」と無関係のわけもないだろう、と思うのである。世界中のWebページを作る人々が「何かの抽象的なものを思い浮かべながら貼り付けた画像」達を数多く集めてみれば、それは「何かの抽象的なもののイメージ」であるかもしれない、と思うのである。
ということは、「ぐるぐるイメージ」が私の手元のフォルダに集める「何かに伴うイメージ」というものは、結局のところ「何かの抽象的なもののイメージ」そのもので、その色を調べてやれば「人々の心の色」といった抽象的なものの色だって判るかもしれない、というわけだ。
で、早速「ぐるぐるイメージ」を使って
- 「エロ」 "○×○△"
- 「童話」 "fairy tale"
- 「心」 "heart"
- 「笑顔」 "smile"
そしてさらに、これらの画像に対して「9人の女神はピンク映画の夢を見るか?」で作成した色分布可視化ソフトMosaic(ニセモノ)を使って解析した結果が下のである。「エロ・童話・心・笑顔に伴うイメージ」の色分布をじっくりと眺めてみてもらいたい。まず、最初は「エロ・童話・心・笑顔」をそれぞれ(a*b*平面)に配置してみた。グラフ中の白マルはa*=b*=0の個所を示している。また、L*a*b*の色配置が判るように下にその色配置を大雑把に示してみた。
上の結果を眺めてみると、「エロ」は非常にシャープな分布になっていることが見てとれるだろう。薄いピンク色っぽい辺りに集中していることがはっきりと判る。明らかにそれは人の肌色に基づくものだろう。
また、「エロ」には青とか緑はほとんど含まれていない。「エロ」は青とか緑ではないのである。が、それに対して「童話」はきみどり辺りの比率が多い。
また、「心」はかなり広い分布を示し、色々な色がまんべんなく含まれている(採取枚数も他より多いこともあるが)。しいて言うなら「心」は黄色辺りに中心値があるように見える。なんと、「心の平均的な色」は黄色だったのである。
そして、最後の「笑顔」は黄色から緑辺りに向かう鋭い分布があることが見て取れる。それは人の顔色であるようにも思えるが、そうだとすると人の肌色を中心とする「エロ」との分布の違いにも着目したいところである。
また、(L*a*平面)で「エロ・童話・心・笑顔に伴うイメージ」の色分布を眺めてみたのが下のグラフである。見事なくらい「エロ」には青とか緑が含まれていなくて、暗からず明るからずといった明るさの色が多くて、ということが判ると思う。また、童話が比較的明るいみどり辺りに集中していたり、「心」はやっぱり広い色分布なんだ、ということが判るのである。
最後に、上の結果を大雑把ではあるがL*a*b*空間に配置してみたのが下の結果である。むちゃくちゃなやり方ではあるが、色空間の中で「エロ・童話・心・笑顔」といった抽象的なものの色が配置され、それぞれの色が何色であるかが判ると思う。「心」が「童話」と「エロ」の間に位置するなんて、何か意味深な気もするし、「エロ」と「笑顔」が結構離れているなんて、なんか笑っちゃう話のような気もするけれど、そういう想像は各人それぞれがする方が、きっと面白いに違いない。
というわけで、なにはともあれ今回の結果は
- エロ -> 薄明るいピンク
- 笑顔 -> みどり
- 童話 -> 明るい薄緑
- 心 -> 黄色
さて、余談ではあるが、ここのところ各社からインクジェットプリンターの新製品が発表されている。単に「いろいろな色が出せる」ということだけでなくて、「オレは心がこもった画像を出すから、黄色の表現性が良くなきゃこまるのだぁ」とか「オレはやっぱりエロ一筋だから、薄明るいピンクの階調性だね」とか、の基準を持ってみる、つまり自分が出す画像の色基準で機種を眺めてみるのも面白いかも、と思った。
ところで、今回の最初の疑問「心の色」については、答えはひとまず「黄色」ということになった。が、これはもちろん平均的には、という話にすぎない。色分布のグラフでも、「心の色」は幅広く分布していたことが判ったし、実際人の心なんてとっても幅広い分布をしているに違いない、と思うのである。一人一人の中だけでもそうだろうし、色んな人がいればもちろん色んな色があるだろうし。十人十色というくらいだしね。
2001-12-02[n年前へ]
■ウィルスメールとアスキーアート
Photoshop用ASCIIアート出力プラグインを作る
風邪が大流行するのは日本の冬の風物詩の一つだ。11月の中旬頃から、私の職場の周りでもかなりの人がゴホゴホ咳をしている。人間というよりほとんどロボットのような人(でないかもしれない)でさえ、カゼをひいている。何故、そんなロボットのような人までも風邪をひくのに、このガラス細工のように繊細な私がカゼをひかないのかと首をひねったりすることもあるのだけれど、その答えを考え出すと、何故かイヤ〜なことわざが頭に浮かんでしまって、そんなことわざにちょっとムムッとしてみたりするのである。
そういえば、ここ何週間か人間がかかる風邪だけでなくて、それに加えてPCの間でもウィルスが大流行している。次から次へと添付ファイル付きのウィルスメールが送られてくる。その送られてくるウィルスメールだけでも面倒くさい話だけれど、面倒くさいのはそれだけではない。メーリングリストなどにウィルスメールが送られてしまうと、「MS製品を使うやつは…」とか「添付ファイルつけんな」とかのメールが飛び交って、フレーム寸前になってしまうこともよくある話だ。実に不毛だ。
私宛に、「自分で撮影した画像」をメールに添付して送って下さる方も多いのだけれど、こんな御時世では、そんな人達も画像を添付して送ることに躊躇してしまうかもしれない。そんな色々な街中の写真が大好きな私は、それではとても寂しくなってしまう。それに、恥ずかしながらOutlookExpressを使う(UIが好きで)私としては、このご時世は非常にマズいのである。
そこで、私は考えた。時代は再度アスキーアートを要求しているのではないだろうか?添付ファイル無しで、アスキー形式で画像を送ることができる、という素晴らしきアスキーアートを時代は欲しているのではないだろうか?やはり、画像をメール本体にそのまま貼り付けるのがやっぱり一番いい、ということになるのではないだろうか。そう、時は巡り、またしてもアスキーアートの時代が訪れた、と私は考えたのである。
そして、そんな時代のために、私も何かできることはないだろうか?ウィルスメールに恐れおののく「か弱き人」がもしもこの世にいるのであれば、この私に一体何ができるだろう?と救世主のような気分に(ビールのせいで)なった私は、再度「アスキーアート出力プログラム」を作成することにした。というわけで、「ASCIIアートの秘密」シリーズ番外編の始まりである。
今回は、Photoshopで開いている画像データをアスキーアート形式で「データ書き出し」をすることができるエクスポートプラグインを作成してみた。名づけて、AsciiExportプラグイン(そのまんま)である。言うまでも無く、いつもと同じ動作保証無しバージョンである。なお、Windowsのバージョンで二種類あるので、気をつけてもらいたい。(ありがとー >麗美さん、CHICさん)
- AsciiExport9x.8be (をLHA圧縮したもの AsciiExport9x.lzh 14kB) Win9x,NT4用
- AsciiExport.8be (をLHA圧縮したもの AsciiExport.lzh 14kB) Win2000,XP用
何しろ、よく汎用のRAWデータで画像を保存する時など、「再度ファイルを開いたとき、画像が正確に再現されない恐れがあります」なんて表示されたりするけれど、このAsciiExportプラグインはそれどころではないのだ。アスキーアート形式で保存してしまうと、その画像ファイル(いや、すでにテキストファイルなのだ)を開いても、もう絶対に「正確に再現されるわけがない」のである。ダブルクリックしたところで、立ち上がるアプリケーションはPhotoshopでも他のお絵かきソフトでもなくて、エディターとかワードとかなのだ。大事な画像をこの形式だけで保存してしまった日には、後悔すること間違い無しなのである。しかも、ファイルサイズだってRAW形式で保存した場合より、改行コードのぶんだけ(ほんの少しだけど)大きくなってしまう、という踏んだり蹴ったりの保存形式なのだ。
これでは、Exportプラグインというより、エクスポート機能付きフィルタープラグインと言った方が良いかもしれないが、何となく漂う「無意味っぽい」テイストを楽しんで欲しい、そしてお願いだから、「こんなのを作っているから風邪をひかないんじゃないの」なんて言わないで欲しいと切実に願っているのである。
このAsciiExportプラグインの使い方はとても簡単で、AsciiExport.8beをPhotoshopのPlug-Ins\Import-Exportディレクトリの中に入れて、Photoshopを起動すれば、ファイルメニュー-> データ書き出し -> Ascii Exportというメニューが使えるようになる。グレイースケール8bit画像を開いている状態でこのメニューを選択すれば、アスキー形式で画像ファイルを保存することができる。
使用の際に、8bit画像であることは必須である。また、グレイスケールでない場合には、あまり意味の無い出力がされてしまうので、とりあえずはグレイスケール8bit画像で使った方が良いと思う。
試しに、上の画面で開いている深田恭子のセクシーショット(いや、こんなファイルを開いているわけではないですよ、ハイ)をAsciiExportプラグインで出力したテキストファイルのスクリーンショットが下の画面だ。
画像が正確に再現されるわけもない様子が端的に見て取れると思う。が、そこはそれ心の眼で「深田恭子のセクシーショット」を思い浮かべて欲しいと思うのだ。人間、想像力と言うのは極めて大事である。想像力育成のためにも、このAsciiExportプラグインはきっと役に立つハズだと思う。モロモロ・セクシー画像を集めまくっているようなヤカラはぜひこのアスキーアート形式を標準形式にして、想像力を根本から鍛えなおして欲しい、と思うのである。
参考までに、「出力されたテキストファイル(7kB)」と「整形済みのWORD形式ファイル(34kB)」も一応置いておく。どうしても普通のエディターは行間がアスキーアート用には広すぎるので、MSWORDの整形済みの方を眺めるのが良いかもしれない。
このようにして保存したテキストファイルの内容をコピーしてメールに貼り付ければ、昔懐かしいアスキーアート貼り付けメールの完成だ。ウィルスメールを送ってしまうことが怖くて、ビクビクしているような繊細な心の人が「もし」いるのであれば、ぜひAsciiExportプラグインを活用して安心してもらいたい、と思う。画質が無意味に落ちたり、ファイルサイズを無意味に大きくなって限られた地球のリソースを無意味に使ったりしはするけれど、それはそれご愛嬌ってことで。想像力も養えるしね。ほら、眼を半開きにして眼と想像力をこらせば、見えてくるでしょう?