hirax.net::Keywords::「振動」のブログ



2007-11-15[n年前へ]

「喉越し過ぎるビールの速さ」と「ポタージュスープのトロみ」を味わう 

 料理の美味しさについて調べていたとき、結局のところ「違い」が美味しさを生んでいるんだ、という言葉を聞いた。 それが、居酒屋でビールなら、ジョッキに注がれた黄金色のビールと上に乗る白い泡の違い、飲むうちに変わっていく味や食感のグラデーション・移り変わり・違いがビールの美味しさの大きな要素になっている、なんていう話を聞いた。

 「ビール」「違い」「美味しさ」と言えば、尾崎邦宏氏の「レオロジーの世界」を読んでいるときに、一番気に入ったのが「人が飲み物を飲むときの、液体の粘度と飲むときの速度(抵抗)の関係」を示すグラフだった。 それは、流れの速度で抵抗が変わる非ニュートン液体を被験者に飲ませ、被験者たちが「どのくらいの速度(また、それに応じて変わる抵抗)で飲み物を飲んでいるか」を確かめた結果である。 面白いことに、飲み物の飲み方に関して被験者ごとの違いはなく、誰でも飲み物の粘度に応じて「同じような飲み方」をしていたという。

 粘度が10Pas以上の高粘度の飲み物、たとえばポタージュスープのような飲み物は、10 s^-1 程度の定速度で飲み込む。 非ニュートン液体は流れの速度で抵抗が変わるから、それは、スープの粘度の違いを「飲むときの抵抗の違い」として味わっている、ということになる。 トロトロしたポタージュスープを飲む時はポタージュが喉の中を伝う強い抵抗を味わい、サラサラとしたスープを味わう時には軽めの抵抗を楽しむ。

 その一方、粘度が0.1Pas以下の低粘度の飲み物、たとえばビールなどを被験者たちが飲むときは、飲むときの抵抗値が一定になるように「飲み物の粘度に応じて飲む速さを変え」飲んでいた。 つまり、粘度が低い液体は早い流速で飲み、粘度が高めの液体は若干遅く飲んでいた、ということである。 ジョッキの中のビールを飲み込むときには、人は、そのビールがどのくらいの流速で喉の中を駆け抜けていくかを味わいの「違い」として楽しんでいる、ということになる。

 空気の振動も、それがひたすらに一定単調だったなら、それはただの「音」に過ぎない。 しかし、音の高さが次々と変わっていくとき、それは音楽になる。 口に入れた途端に溶けていくアイスクリームの食感や、舌の上で甘みや辛みや苦みのバランスを複雑に変えていく味噌の味や、渓流下りのように速度を大きく変化させながら喉の奥へ落ちていくビールの喉越し、色んな違い・変化が「美味しさ」や「楽しみ」を作り出している。 色んな物理単位を鍵にして、食感の違いや、味の違いや、喉越しの違いが語られているのを見ると、何だか少し面白い。 そんな物理単位を「味の違い」として眺めることができるようになれば、理科年表を見るだけで思わずよだれが出てくるかもしれない。 そういう人に私はなりたい!?

なぜ液体はドロドロ・サラサラしているのですか?粘性とは液体の粘度と拡散ビールジョッキ






2008-02-06[n年前へ]

走る電車の車両から消える乗客の謎? 

 電車に乗ると、よく運転席を眺める。ガラスの向こうに見える運転席周りの表示計を覗く。面白いのが、「電車の一両に乗っている人の数」の表示計だ。グラフィカルに、そのとき「各車両に乗っている乗客数」が表示されている。

 その「各車両に乗っている乗客数」は、車両重量で推定されているらしく、列車の運転中に少しづつ乗客数が変化したりする。駅と駅の間で、振動や加速度の影響のせいか、表示計上で2・3人の乗客が消えたりする。「走る電車の車両から消える乗客の謎」という言葉だけだと、まるで古典ミステリーのような現象で、何だか少し面白い。

電車電車






2008-05-30[n年前へ]

(加速度センサ対応)体感・実感バストシミュレータを作る 

 体感・実感バストシミュレータを作ってみました。アプリケーションのウィンドーを揺らしたり、(もしThinkpadユーザなら)PCを揺らしたりすると、その振動に応じた変形を計算・表示するというシミュレータです。下の動画はその(Windows上で動作する)アプリケーションを動かしている例になります。マウスでウィンドーを動かすと、その力(加速度)に応じた複雑な変形が生じたりすることが見て取れると思います。
 また、Thinkpadを持ち上げ、傾けてみたり・揺らしてみたりすると、その動きに対応する変形が生じるので、まるでバーチャルリアリティのようにその変形の因果関係を体感できるかもしれません。端的に言ってしまえば、このアプリケーションを動かしつつ胸の前でThinkpadを持って体を動かすと、その動きに応じた変形シミュレーション計算結果を刻々表示(レンダリング)する、なんていう遊びもできるわけです。

 不可思議に見える動きでも、案外こんな実験をしているうちに、その因果関係を実感・納得できるかもれいません。それが、「体感バストシミュレータ」だったりすると、ナニな感じは漂いますが、そんなクダらなさがこのサイトの一つの特徴でもあるので、(色々な視点から眺めた下の動画でも)適当に流し見しつつ・楽しんで頂けたら幸いです。

 このアプリケーション(バイナリ実行ファイル)はここに置いてあります。計算部はC++で適当・速攻で作り、(皮膚からの表面張力を働く)弾性・塑性的な性質を持つPartcleクラスを多数保持するBodyクラスにより、変形状態が計算される、という具合です。書き飛ばした部分を整理し、C++ Bodyクラスのソースも近々置いてくことにしようと思っています。

2008-06-13[n年前へ]

「爆乳でなくなったら歩けない」を科学する 

 「爆乳」という言葉の名付け親と「メガ乳」という言葉の名付け親と話をした時に、「新鮮に聞こえるが普遍的にも聞こえる」話を聞き、面白さを感じた。そんなことを感じた話のひとつが、こんなことである。

 (IとかKカップとかいった爆乳の女優さんの多くが言うことには)「バストが小さくなったら、歩き方がわからない」「もう歩けなくなってしまうかもしれない」

 2kgほどの重量物を胸部に二つも可動する状態で歩こうとしたなら、「重量物の揺れ・振動」を抑えつつ、それでも抑えきれない重量物の揺れと共存した歩き方にならざるをえないはずだ。つまりは、大きなバストがあること前提の歩き方になっているに違いない。だから、「バストが小さくなったら、歩き方がわからなくない」ということになるのだろう。

 ところで、可動する重量物、端的に言えば・揺れるバストは、下に描いたようなバネ・ダンパモデルとして単純にモデル化することができるだろう。つまり、その図の下に書いた微分方程式で表されるダイナミック・システムである。あるいは、それを伝達関数モデルにまでしてしまえば、つまりはさらに下に描いた「2次遅れ要素」である

 電気のRLC回路(発振回路)なども、上の微分方程式と同タイプの式で表現される。そして、発振回路でコンデンサの容量(C)がいきなり小さくなってしまった場合などは、当然ながら発振周波数も変わり、その結果、回路の動きは大きく姿を変えることになる。つまり、「容量が小さくなってしまったら、(それまでの動かし方では)回路が動かなくなってしまう」という状態になるわけだ。

 つまり、上に描いた「メガ(爆)乳」を表現したダイナミック・システムと電気回路の間には、類似性(アナロジー)があって、それらは共通の普遍性を垣間見せるわけである。

 だから、実は、電気工学や機械工学のエンジニアたちこそが「爆乳の女性人たちが経験的に会得した歩き方の工夫」の一番の理解者になったりするかもしれない、と思ったりもするのである。「そうそう部品の定数がいきなり変わったら困っちゃうよね」と大いに共感できそうなきもするのだ。……もちろん、そんな妄想に「そんなわけない」とすぐに突っ込みたくもなるのだが。

バスト・ダイナミックモデル






2008-06-17[n年前へ]

バスト体感モデル「システム同定」用自動振動シミュレータ 

 「粒子法」バスト体感モデルの「システム同定」用自動振動シミュレータを作ってみました。「粒子法」バスト体感シミュレータに対して、縦方向に任意周波数の揺れを強制的に与えたとき(ウィンドーを”そのものズバリ”強制的に揺らし)の振動状態を観察し、バストモデルの「システム同定」が行える!?というわけです。なお、揺らす入力振動周波数は、カーソルの「左」「右」キーで変えることができるようになっています。「右」キーを押していくと振動周波数が速くなり、「右」キーを押していくと逆に振動周波数が遅くなっていきます。

 このアプリケーション、つまり、「粒子法」バスト体感モデルの「システム同定」用自動振動シミュレータを動かした時のようすは、下の動画のようになります。揺らす周波数を変えてみると、バストの揺れが(まるで波が打ち消しあっているかのうように)全然起きない周波数や、あるいは大きく揺れが加速していく共振周波数がある、ということを体感することができる、かもしれません。




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