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2008-11-22[n年前へ]

「探偵ナイトスクープ」と「地表の重力」と「電子天秤の体重計」 

 「探偵ナイトスクープ」を観ていると、北緯45度25分に位置する稚内と北緯25度20分に位置する那覇では(もしかしたらこの数字は「度・分」ではなくて、単に「度」だったかもしれない)、地球の自転の遠心力のために、重力加速度がそれぞれ9.8062273m/s^2と9.7909942m/s^2と、0.155341%ほど違っている。だから、40キログラムの人が稚内から那覇に行くと62.136グラム軽くなる・・・という小ネタを扱っていた。体重40キログラムのマネキン人形を稚内から那覇へ移動させ、電子天秤でその体重を計り、マネキン人形の体重が軽くなるさまを見せていた。

 実際には、緯度によるの違いを生む過程はそう単純でないと思いながらも(参照)、画面を観ていて何より面白かったのが、撮影に使われていた電子天秤だ。40kgを1g未満の誤差で計っていて、つまり、6桁近くの精度を持っているのである。

 その桁数をたとえるなら、「1.6トンの車に、おちょこでお酒を1盃と少しかけた時の重量の違い」がわかるくらい、といことになる。・・・そんな体重計があったら、とても小さな体重の増減に、つまりはとても小さなことに一喜一憂してしまって大変そうだ。体重計に限っては、有効桁数が大きいことが必ずしも良いとは限らないのかもしれない。

2008-11-23[n年前へ]

続 「探偵ナイトスクープ」と「地表の重力」と「電子天秤の体重計」 

 (「探偵ナイトスクープ」と「地表の重力」と「電子天秤の体重計」の続きです)探偵ナイトスクープで「稚内と那覇で(マネキン人形の)体重を計る」回で、電子天秤は地域ごとに校正されているという話をしていた。1キログラムの質量の分銅を乗せたときに、それが1キログラムと表示されるように、電子天秤の方を調整するというのである。

 電子天秤は確かに地域ごとに校正をしそうだけれども、体重計はそんな地域ごとに校正をするものなのだろうか。精度保証のために「生産工場で校正をする」ことは当然あるだろうが、使用場所に合わせて校正をしたりするものなのだろうか。

 さらに、「体重計は何を計りたいものなのか」とい宇疑問が頭に浮かんだきた。私たちは「(体の)質量」を計りたいのだろうか、それとも「(体の)重量」」を計りたいものなのだろうか。将来、月面ステーションができて、さらに月面ホテルができ、月旅行ができるような時代になったなら、その月面ホテルのジムにある体重計はどのような校正がされているものだろうか。

 地球で体重42キログラムの人がいたら、月面ホテルのジムの体重計もやはり42キログラムと表示するのだろうか。それとも、そのおよそ1/6の7キログラムと表示するのだろうか・・・?

 月面の観光地にある体重計なら、きっと旅行気分が味わえる「7キログラム表示」を採用しそうだ。けれど、ホテルのジムならどうだろうか。この場合になると、体重管理をしたい人のために、「42キログラム表示」を採用しそうな気もしてくる。

 未来の体重計はどんな風になっているのだろう。・・・いや、違う。「未来の何かがどんなものか」がわからないと思うくらいなら、それを作ることに力を注いだ方が良いのだった。

The best way to predict the future is to invent it.
Alan Kay

2009-12-28[n年前へ]

NEWS今昔物語「瞳を開いて眺める」編 (初出2005年06月23日) 

5年前のNEWS(未来)を振り返ってみて思うこと

 「未来を予測し・未来を少し操作するような作業」をする、と言えばカメラの赤目防止機能も、考えてみれば、そんな作業です。フラッシュを光らせた時に、瞳が赤く写ってしまわないように、フラッシュを使って写真を撮る前に予備発光を行ない被写体の瞳孔を閉じさせた次の瞬間に、本番のフラッシュを光らせ写真を撮る、というわけです。意外に、そういった技術は、身の回りに隠れていて、私たちはいつの間にか少し操作されているのかもしれません。

(記事を書いた時の)ひとこと

 液晶画面をペンで操作することができる(もちろん、キーボードでも操作できる)Tablet PCを使い始めた。すると、「マウスで操作する」という作業が「ペンや自分の手を使う作業」のフェイク(偽物)に過ぎなかった、ということに今さらながら気づかされた。未来のPC、そのPCを扱うユーザ・インタフェースは一体どんな風に変化していくのだろうか

トランプ・カード透視術

 6月1日、(自分から見るた時に)裏向きのトランプのカードを透視し、どんなカードであるかを見分けてしまうことができる技術がNewScientist.comに掲載された。7月31日から開催されるSIGGRAPH2005で発表予定の資料(">全文PDF)を読むとわかるように、他の物体に跳ね返る(自分からは見えない)カードの表面からの反射光の色や量を逆算することで(結果として)カードの表を透視できる、という技術である(日本語参考記事)。

 デモンストレーションの動画(MP4形式 63MB)の後半(4分20秒辺りから)を眺めてみれば、その技術の楽しさ・面白さに見とれてしまうと思う。

みんなが笑顔の「ベストショット検出技術」

 大学生の頃、写真館でアルバイトをしていた。仕事の大半は、結婚式の記念写真を撮影する仕事である。結婚式の集合写真を作成する時、(気をつけて何枚か写真を撮るのだが)瞳を閉じ気味であったり、閉じてしまった人がいることがある。そんな時には、極細筆を使い目を閉じている人の瞳を(他の写真を参考にして自分の手で)描いたものである。

 そんな新技術が5月末から、各種メディアで紹介された。電気通信大学院 電子工学専攻の金子研究室の「ベストショット検出技術」は、デジカメで連続撮影した十数枚の画像中から、その中で撮影された人たちの瞳検出・抽出を行い、すべての人が目を開いている写真があれば、その「ベストショット写真」を出力する、という技術である。さらに、もしも目を閉じている人がいれば、その人の「目をつむっていない部分画像」を他の写真から探し出し、「ベストショット写真」を合成することで、造り出してしまおうというものである。

 こういった技術は以前から開発されている。例えば、まばたき検出から目を閉じている写真を防止するだけでなく、さらに笑顔検出も行って笑顔の瞬間の写真を出力しようというような技術もある。

 写真館でのバイト中、「被写体の気持ち・動きをいつも予測するようにしろ」というアドバイスを受けることが多かった。「(例えば何か面白いものを見て)次の瞬間に笑顔を見せる、(例えば何かに気づき)次の瞬間にふと考えごとをする、(歩く先にライトが当たっていたら)眩しくて目を閉じる、そんな未来の被写体の動きを予測しながら映す瞬間を考えろ・そしていい瞬間になるようにして待ちかまえろ」と言われていた。

 そんな作業、未来を予測し・未来を少し操作するような作業も、デジタル信号処理が肩代わりするようになる時代が、近く来るのだろうか。

実は3倍の大きさだった「アンドロメダ座大銀河」

 先月末、地球から200万光年先にあるアンドロメダ座大銀河の大きさがこれまで知られていたよりも実は3倍も大きかった、という報告がされた(日本語記事)。以前は、直径がおよそ7~8万光年と見積もられていたが、今回周辺の天体の動きを観測した結果、実は22万光年以上の大きさであることがわかった、という。

 アンドロメダ銀河の直径が8万光年なら地球から眺めた時の大きさは2.3°程であるが、もし直径22万光年ならば6.3°にもなる。6.3°というと、11cmの直径のものを1m離れて眺めたときの大きさである。

 両手を伸ばして、左右の親指と人差し指をで「大きな円」を作ってみよう。それが、今回判明したアンドロメダ銀河の大きさだ。もうすぐ始まる夏からは、アンドロメダ銀河を眺めるのに良い時期になってくる。夜空に向かって両手を伸ばし、自分の指越しに「大きな銀河」の姿を思い浮かべてみよう。直径22万光年もの大きさのアンドロメダ銀河を、自分の指で作ったリングの中で眺めてみれば、きっと奇妙で不思議な感覚に襲われると思う。

2010-12-01[n年前へ]

「地球の大きさ」と「ウェスト周りの脂肪」の不思議!? 

 前から不思議に思っていることがあります。それは、同じ現象であっても、その対象次第で(それが)「とても小さく思えたり」「とても大きく思えたり」する、ということなのです。

 その不思議が一体どんなことかといえば、それは「円の直径がn増えたとき、円周はどれだけ増えるか」というお題なのです。

 たとえば、ウェスト周りの脂肪の厚みが1cm増えただけで(つまり、太れば)、ウェストに巻くベルトは約6.3cmほども長いものが必要になります。脂肪の厚みがたった1cm増えただけで、6cm強ほどもベルトの穴の位置や、スカートのウェスト周り長さが増えてしまうのです。それは、
円周=2×π(パイ)×r(半径)
という公式を考えてみれば当たり前の話ですが、それは意外なほど大きく感じる変化ではないでしょうか?

 その一方で、それがこういう話ならどう感じるでしょうか?「地球の半径が1m大きくなったら、地球一周分の長さは一体どう変わるでしょう?」・・・さて、あなたは一体どんな風に感じたでしょうか?

 もちろん、それは先ほどのお題と同じく、
円周=2×π(パイ)×r(半径)
なのですから、地球一周の長さは6m強ほど長くなります。・・・たった、地球の半径が1m増えても地球の周りは6mしか増えないのです。この変化を意外なほど小さく感じる、という人も多いのではないでしょうか。

 ウェスト周りの脂肪と地球の大きさ、どちらも同じ話しなのに、一方はとても大きく感じ・一方はとても小さく感じます。この違いは一体何が生み出しているのでしょう?

 人の感じ方、「どれだけ細かなものを気にするか」というようなことは、眺める対象の大きさ次第で変わるように思います。「地球の大きさ」と「ウェスト周りの脂肪」の不思議も、そういう観点から考えてみれば、とても自然に思える現象なのかもしれません。そんなことを考えてみれば、意外に面白いことを見いだせるように思うのです。

2010-12-20[n年前へ]

私たちの頭上では「太陽と雲」が逆に動いてる。 

 北極や南極にいるわけでない私たちが太陽を見上げる時、太陽はいつも東から西へと動いています。そしてまた、日本列島にいる私たちが空を見上げれば、頭上の雲は偏西風の影響で、ほとんど多くの場合、西から東へと移動して行きます。私たちを上から眺める太陽と雲は、逆方向に動いて行くのです。太陽は東から西へ進み、雲は西から東へ走る、私たちを包む時間はそんな風に動いているのです。

 日本の空は偏西風に支配されています。西の空から東の空におよそ時速40km程度の風が吹き、雲もそして天気も、空に浮かぶものたちは、その速度で移ろって行くのです。

「虹のトンネル」を時速40kmで追いかける。

 そんなこと、太陽と雲が逆に動くことを確かめたくて、iPhoneを空に向け2時間ばかり微速度動画を撮影してみました(参考:「iPhoneで微速度動画を撮影するアプリケーションを作ってみた」)。それが、下に張り付けた動画です。私たちの頭上にある空の中を、太陽と雲が逆方向にそれぞれ動いて行くようすがわかるかと思います。太陽はゆっくりとゆっくりと東から西へと動いていき、そして、雲は西から東へと素早く走り去っていくのです。


 明日の夕暮れには、雲が晴れていれば皆既月食を見ることができる、と聞きます。もしも、明日、晴れない天気になったとしても、その時は頭上の雲をただ眺めてみるのも良いかもしれません。地球の陰に隠されて翳る月、雲の彼方にある月は、その雲とは逆の方向へ、東から西へとゆっくりと動いているのです。そんな月の姿を、西から東へと動く雲の向こうに想像してみる、のも良いかもしれません。

ガンバレ、みんなガンバレ、月は流れて東へ西へ。
ガンバレ、みんなガンバレ、夢の電車は東へ西へ。

井上陽水「東へ西へ」



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