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1999-11-23[n年前へ]

ミニスカートの幾何学 

32cmの攻防戦


 早朝、東名高速で事故渋滞にはまってしまった。仕方がないので、TVを眺めていると、面白い話をやっていた。それは、ミニスカートの丈の話である。何でも、最近の流行はミニスカートの丈が32cmのものであるらしい。女子高生?などが言うには、

「34cmだと長いしぃ。」
「30cmだと下着が見えちゃうしぃ。」
だから、32cmだと言うのだ。別に、オリンピック選手でもないのだから、ミニスカートの丈の限界まで挑戦しなくても良いだろう、と私などは思ってしまう。しかし、彼女たちはそう考えないらしい。人それぞれである。

  それにしても、スカートの丈が32cmと30cmの間でそんなに、違いがあるものだろうか? 「見える・見えない」を決める分水嶺がその2cmの違いにあるものなのだろうか? 妙に不思議である。 そこで、ミニスカートの幾何学について考えてみることにした。題して「32cmの攻防戦」である。

 何より先に確認しておくが、私は今回は科学的好奇心で動いているのである。そこに、一点の不純な気持ちも存在しないことを、ここで確認しておく。いや、むしろ、女性のためのミニスカート理論の構築を目指しているといっても良いかもしれない。といっても、信用されないとは思うのであるが...

京都の新京極周辺で

 さて、先のTV番組によれば、腰からスカートの先までの長さを「スカートの丈」というらしい。また、先のTV番組により、「腰から下着の一番下の部分(股下を計るときの一番上)までの長さが大体25cmである」という重要な情報を得ることができた。

 それでは、解析を始めてみよう。以下に、今回考えた「ミニスカートの幾何学」を示す。なお、今回使用する長さの単位は全て(cm )である。

ミニスカートの幾何学 (縦軸=鉛直方向、横軸 = 女性からの距離)

 まず、階段の途中に立つミニスカートを履いた女性の下着中央部分とミニスカートの最下部を結ぶ直線を考える。この線よりも下が、下着が見えてしまう領域である。もちろん、階段の下には潜り込めないわけであるから、その線と階段で囲まれた領域内から見た際に下着が見えてしまうわけだ。その線のことを「下着防御ライン」と呼ぶことにする。

 さて、ミニスカートの形状を考えよう、スカートの丈はもちろん入力条件としてわかる。すると、足りないパラメータは幅である。そこで、ヒップ周りが88cmとしてスカート中央から端までの長さ(rcm)を求める。2πrが88cmであるから、

r = 14cm
となる。
 また、駅などの階段というと25度位だろうか。30度というとかなり急な階段である。湘南通商の階段とか急な階段は色々あるが、今回は急な階段の斜度として、25-30度位としておく。ちなみに、京都駅北口のエスカレータで実測したところ、25,6度であった。
 それでは、スカートの丈が32cmで階段の角度が30度である場合の計算をしてみる。女性の股下は仮に70cmであるとしておく。おそらく、身長160cm位であれば、この程度であろう。

 それでは、ミニスカートの丈が32cm、30cmの時の「下着防御ライン」を計算したものを示す。

黒は階段、「緑は丈が32cm、赤は丈が30cm」の時の下着防御ライン
(縦軸=鉛直方向、横軸 = 女性からの距離)

 緑、すなわち、ミニスカートの丈が32cmの時は「下着防御ライン」は階段とほぼ平行である。それに対して、丈が30cmの時の「下着防御ライン」は、ミニスカートを履いた女性から離れるほど階段よりも上に離れていく。ということは、人間の視点位置が「下着防御ライン」を越えるということである。すなわち、下着が見られてしまうということだ。

 階段と「下着防御ライン」の差、すなわち、人の目の高さがこの程度ならミニスカートの下の下着を見ることができる、というものを示してみる。

階段と「下着防御ライン」の差
= 目の高さがこれ以下の人なら、下着防御ラインを突破可能である。
(縦軸=鉛直方向、横軸 = 女性からの距離)

 32cmの丈の場合、10m(1000cm)離れても、目の高さが150以下の人しか「下着防御ライン」を突破できない。すなわち、女性は事実上「下着を見られる恐れがない」といって良いだろう。もちろん、20mとか離れたら別である。しかし、超人的な視力がなければ、そのような条件下で下着を確認することはできないであろう。

 それに対して、30cmの丈の場合には6m離れた時点ですでに視点が2mの位置にある人でも「下着防御ライン」を突破できてしまう。これでは、「全ての人に下着を見られてしまう」ということになる。

 もし、女性の身長が20cm程度高く、180cm程度であったら、どうなるだろうか。おそらく、股下長さは10cm程度長くなる。すると、上の図(階段と「下着防御ライン」の差)の緑、赤ラインは10cm程度高くなる。それでも、緑の32cmスカートの「下着防御ライン」はやはり安全圏といえるだろう。

 また同様に、厚底サンダル・ブーツなどを履いた場合には股下長さが20cm弱高くなると考えられる。この影響を考えると、長さとしては身長の影響よりも大きいわけである。それは、身長の1/2が股下長さの増加に繋がるのに対し、厚底靴の長さはそのものずばり股下長さの増加に繋がるからである。しかし、それでもやはり緑の32cmの「下着防御ライン」は安全圏である。

 すなわち、32cmと30cmのスカートの丈の長さの間には、「下着が見える・見えない」に関する分水嶺が確かに存在するのだ。先の、

「30cmだと下着が見えちゃうしぃ。」
という発言は理論的に裏付けられたのである。

 それでは、次に階段の角度が25度である場合の計算をしてみる。

階段の角度が25度である場合
黒は階段、「緑は丈が32cm、赤は丈が30cm」の時の下着防御ライン
(縦軸=鉛直方向、横軸 = 女性からの距離)

 緑の線、すなわちスカートの丈が32cmの場合の「下着防御ライン」が階段にどんどんすり寄っているのがわかると思う。すなわち、「下着防御ライン」はより強固なモノとなっているのである。階段と「下着防御ライン」が女性から離れるほど近づくのである。次に、階段と「下着防御ライン」の差を見てみよう。

階段と「下着防御ライン」の差
= 目の高さがこれ以下の人なら、下着防御ラインを突破可能である。
(縦軸=鉛直方向、横軸 = 女性からの距離)

 緑線、すなわちスカートの丈が32cmの場合に注目する。 女性から、離れても、近づいても、何人たりとも、下着を見ることはできないのだ。下着がシュバルツシルト半径の中に隠されるといっても良い。女性の安全を確保する「完全安全条件」を満たす「下着防御ライン」が完成されているのだ。

 これは階段と「下着防御ライン」が平行である条件を境として、そのような条件が達成される。その条件よりより「下着防御ライン」が強固になると、誰も「下着防御ライン」を突破することはできない。すなわち、「完全安全条件」が達成されるのである。

 この絶対に下着を防御可能(「完全安全条件」)な「完全安全条件」とは、階段と「下着防御ライン」が平行である条件であるから、ミニスカートの丈(xcm)をパラメータとして、

Tan[階段の角度] = (x-25)/14
で計算することができる。ここで、14は腰回りの半径(cm)であり、Hip88cmの人の場合である。もちろん、極端な安産体型の場合には、その14という値を適当に補正する必要がある。

 さて、この条件には女性の身長(股下長さ)は関係しないところが面白い。もちろん、厚底サンダルなどを履いても同じである。もちろん、若干の影響はあるが、あまり影響はない。

 さて、今回の「ミニスカートの幾何学」の考察により、判明した結果をまとめてみよう。
ミニスカート内部の下着が「見える・見えない」には

  • ミニスカートの丈が30cmと32cmの間に、分水嶺が確かに存在する
  • 絶対に下着を防御可能(「完全安全条件」)なミニスカートの丈(x cm)とは、Tan[階段の角度]= (x-25)/14 により決定される
  • ここで、14は腰回りの半径(cm)であり、Hip88cmの人の場合である
  • 極端な安産体型の場合には、その14という値を適当に補正する必要がある
  • 一方、ミニスカートを履いている人の身長はほとんど影響を及ぼさない
  • 厚底サンダルの方が身長よりは影響を及ぼすが、それでもほとんど影響はない
という面白い結果である。私は今回の「下着防御ライン」に関する理論を、しかるべき学会に提唱したい気持ちでイッパイである。 

 ミニスカートを身につける女性の経験に基づく、「30cmだと下着が見えちゃうしぃ。」理論はなかなか正しいことがわかる。経験というものを軽んじてはいけない、という良い?例かもしれない。結果の伴わない理論に価値はない、ということだろうか。

 それにしても、厚底ブーツにミニスカートを履いた女性達は、ロールプレイングゲームの主人公達のようだ。色々なアイテムを手に入れ、冒険を続けている主人公達のようである。ほんの少しだけ、うらやましいような気もする。

 さて、こういう話題を書くと少し不安がある。もちろん、私もミニスカートを見ると、妙に心が落ち着かないのも確かに事実ではある。しかし、だからといってことさらに興味津々というわけでもない、と思う。多分。ということで、「できるかな?」の女性読者の数が減少しないことを、ただ祈るのみである。

2000-09-26[n年前へ]

高鳴る鼓動は何のせい!? 心電図編 

力尽きた時はその時で、笑い飛ばしてよ。


   「人間は生まれた時は自由である。しかし、いたるところで鉄鎖に繋がれている。」といったのはルソーである。確かに、その通りだ。生まれたばかりの赤ちゃんの全裸ヌードは、朝からテレビで放送されているのに、大人の全裸ヌードには必ずと言って良いほどモザイクなどが掛けられてしまうのである。どちらも同じ全裸ヌードにも関わらず、生まれたばかりの時と大きくなってからでずいぶんと扱いが違うのである。「人間は生まれた時には自由なのに、大人になると規制がかかってしまう」のである。ルソーの言った通り、映倫やビデ倫が大人になった人間には規制をかけてくれるのだ。
 

 ところで、少なくとも昔の私はこんな規制が全く不必要であった。といっても、聖人君子のような悟りを開いていたわけではもちろんなくて、それには深い事情があったのである。
 

 高校時代の体育の授業で体操をしていた時のことだ。確か前宙か何かに失敗して私は頭からマットの上に真っ逆さまに落ちた。ちょうど、横溝正史の描く「湖面の上に足だけを付き出した死体」のように私はマットに突っ込んだのである。いや、その時は冗談で無しに一瞬自分が死んだかと思ったくらいだった。「どうせ死ぬならもっと格好良い死に方をさせてくれぇ」と思うくらいのヒドイぶつかり方だった。その時は、ズキ・ズキ・ズキ…と死ぬかと思うほどのヒドイ頭痛に襲われたが、それも結局30分位でなんとか治まったのである。少なくとも、その時には「治まった」と思ったのである。
 

 ところが、その後遺症はすぐに(?)私の目の前に現れたのである。何とも、その後遺症はイヤな再登場をしたのであった。

 深夜TV、いや11PMか何かだったか、とにかく何かのテレビを私が眺めていると、大胆な水着の女性が登場した。私の「血圧も心拍数も心持ちアップ(従来比)」した、と思った瞬間、ズキ・ズキ・ズキ…とあの死ぬかと思ったヒドイ頭痛が再登場したのである。別にアンコールをしたわけでもないのに、勝手に頭痛が再登場したのである。全然大胆な水着の女性を眺める暇なんかもなくて、私はただ頭を抱えて転げ回るだけだった。

 この頭痛はこの一回ポッキリでなくて、私が少しでもエロを感じるたびに再登場した。もうエロビデオ何か見ようなどととしたらもう大変である。映倫のモザイクが登場するより早く、私の頭の中の倫理協会の拒否権が発動されるのである。映像美に私の心臓が「ドキ・ドキ・ドキ…」とときめいたりするとモウ大変、悪さをした孫悟空が三蔵法師に緊箍(きんこ)を小さくされて苦しむように、私も同じく七転八倒しなければならないのである。映倫やビデ倫のモザイクはただ見えないだけであるが、私の心の中の倫理協会は肉体的な制裁まで加えてくれるのであった。真夏のただでさえ暑くて心臓がドキドキしている時なんかに、エロビデオを見ようなんて思ったらもう大変、百発百中病院行きだったのである。

 その後、私は頭痛に苦しめられるたびに病院へ行った。医者はその度「どうしました?」と聞くわけであるが、そう言われても私も困ってしまうのである。まさか、「テレビのエロシーンに興奮したら、ひどい頭痛に襲われました。」などと答えるわけにはいかない。いや、もっとはっきり言ってしまえば「宇宙企画のビデオに興奮して、頭痛に襲われました。」などと言うわけにはいかないのである。

 そんなことを言ったら最後、「宇宙企画のビデオに興奮って、アンタそれでは変態ロリ野郎ですよ。」等と医者に言われかねない。それどころか、「頭痛ってアンタそりゃ、天罰ですよ。ヘッヘッヘ…」などと医者に言われかねないのである。しょうがないので、私は「いや、なんか急にちょっと頭痛がして…」などと体中にダラダラと汗をかきながらウソをつくしかなかった。当然だとは思うが、間違っても

エロビデオに興奮 -> 心臓ドキドキ -> 頭痛ズキズキ
という、うれし・恥ずかしフローチャートを告白するわけにはいかなかったのである。
 

 結局、何回か脳波検査等を受けたりはしたのであるが、結局よく判らないままだった。どんなときに頭痛が起きるかを正直に言わず、ウソばかり喋る患者だったのだからしょうがないかもしれない。それでも、数年の内にいつの間にか直ってしまった。ともあれ、一時は心臓がドキドキと打つ心拍音を気にしながら、11PMを見たりしていたのであるが、いつの間にか堂々心拍数を気にせず見ることができるようになったのである。
 

 そんな過去を思い出したのは夜の仕事場でだった。その時、私はとあるセンサ用の回路をせっせと組み立てていた。その時にBURR-BROWNのINA118という石を使ったのであるが、このデータシートには何とこんな使用回路例が載っていたりするのである。もともと、微小電位増幅用の石だからとても自然な応用回路例ではあるのだが、やはり回路図の中に人間が登場すると何故か笑ってしまう。疲れてハイになっていた私は大笑いすると共に、心電図や脳波検査を受けた昔を思い出したのであった。
 

結構笑えるINA118のデーターシート

http://www.burr-brown.com/WebObjects/BurrBrown/download/
DataSheets/INA118.pdf

 この回路は人間の体の微小電位を増幅して計測してやる回路であるから、この回路を使えば人間の体の電気的な活動を見てやることができる。この手のことが詳しくやりたかったら、やはり「今日の必ずトクする一言」とか「魅惑の似非科学」といったところを眺めると良いと思う。

 ともあれ、かつて私は

エロビデオに興奮 -> 心臓ドキドキ -> 頭痛ズキズキ
という「うれし・恥ずかしフローチャート」に苦しめられていたわけであるが、逆にこの石を使って「心臓ドキドキ」を計測して、逆に「私の興奮度合い」を眺めてやろう、私は決意したのである。そして、私の興奮度合いだけでなくて他の人の興奮度合いも覗きまくろう、と考えた。

 そこで、早速この回路図を元に組み立ててみたのがこの「Heartbeat1000」だ。安定性なんか無視しまくりのブレッドボード使用でそのくせGainは1000倍に変更という、無意味なエアロパーツを付けたヤンキー車のような仕様である。製作時間は本体が15分、さらに電極部分が30分というお手軽装置だ。
 

これが「Heartbeat1000」

 一応、電極部はこんなベルト固定式にしてあるので「誰でも簡単に使える」ようになっている。しかし、このベルトで体に電極を張り付けた状態というのはかなりサイバー(よく言えば)であり、他のもっと正直な言い方で言うとかなりアブナイ状態である。これを付けていると、それだけで受けが取れるのではないかと思えるほどだ。
 

「Heartbeat1000」の電極部

 それでは、早速この電極を胸に張り付けた状態でWEBサーフィンでもしてみることにしよう。自分の興奮度合いが丸見え状態での「うれし・恥ずかしWEBサーフィン」である。

 まずは、自分のWEB「hirax.net」を眺めてみた。その時の「Heartbeat1000」の出力がこんな感じである。これが私の心電図というわけだ。左上の時間・電位レンジを見ると、

横軸が一マス一秒
縦軸が一マス5V
で、心拍が大体一秒間に一回で、その時に「Heartbeat1000」の出力にして5V程度のパルス(ゲインが結構高い)が出ていることが判る。この画面中では、13回心臓がドキドキしている。この画面は十秒間の記録画面であるから、一分当たりに直すと心拍数は78回ということになる。
 
自分のWEBを眺めている時の心電図

 当たり前と言えば当たり前だが、自分のWEBを眺めてもそうそうドキドキはしない。とんでもないミスを見つけたりすると、ものすごくドキドキすることもあるが今回は軽く眺めただけなのでそんなドキドキは幸運ながらなかった。せっかくだから、自分のWEBを眺めて楽しくてドキドキしてみたいものではあるが、不幸なことにそんなことも全くなかった。実に残念なことだ。

 そこで、次にZAKZAK(http://www.zakzak.co.jp/)でスポーツニュースを眺めてみた時の心電図が次の結果である。
 

ZAKZAKでオリンピックニュースを眺めてみた時の心電図

 こちらは、画面中の心拍数が14回であるから、一分に直すと84回である。さっきよりは幾分興奮しているようである。あくまで、ZAKZAKのスポーツニュースであって「ギャル満載」のコーナーでないということは、データの正確さの為にここに宣言しておきたい。

 そして、最後に興奮しそうなスケベサイトということで、かつて一世を風靡し、インターネットの牽引役ともなった(言い過ぎか?)TokyoTopless(http://www.tokyotopless.co.jp/)を眺めてみた
 

Tokyo Toplessを眺めてみた時の心電図

 こちらも、10秒間の心拍数が14回で一分当たりでも同じく84回だ。つまり、私はエロサイトを見ても「心頭滅却し火もまた涼し」状態で、何の興奮もしていないのである。少なくとも、私はZAKZAKのスポーツニュースと同じ程度にしか興奮しないようだ。私は正に聖人君子なのである。さすが、

エロビデオに興奮 -> 心臓ドキドキ -> 頭痛ズキズキ
という「うれし・恥ずかし聖人君子養成ギブス」で何年も鍛えただけある。もう、清廉潔白を絵に描いたような状態である。えっ、何やら「Heartbeat1000」の出力が何か不安定になっているって?どうみても興奮しているって?本当はこのあと興奮しすぎたせいで、データ取得ができなくなったんだろうって? いいじゃないの、そんなことは…
 

 ところで、こんな風にオシロスコープの画面で自分の心臓が動くようす、自分の生きているようすを自分の目で見ているととても不思議な気持ちになる。私が興奮すれば、オシロスコープに描かれていく画面は高鳴る鼓動を見せてくれるし、何かに苦しめばやはり同じようにその変化を見せてくれるだろう。ただ規則正しくパルスを描くオシロスコープの画面を見ながら、色々なことを考えてしまうのだ。もし、このオシロスコープの軌跡が停止したら、どうなるだろうか?その時何を思うだろうか?
 

2002-04-06[n年前へ]

文字が飛び出すステレオグラム 

愛の言葉とハートマーク

 いつだったか、アスキーアート関連を調べてみるときに、下のような3Dアートを見つけた。単に無意味なの文字の羅列に見えるかもしれないが、ぼんやりと遠くを見る要領でこの英文字の羅列を眺めていれば、いつしかピラミッド状の形状が浮かび上がってくるハズである。
 

ピラミッドを描いた"ASCII art stereogram"
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HTHE\JXLNQLGHTHE\JXLNQLGHTHE\JXLNQLGHTHE\JXLNQLGHTHE\JXLNQLGHTHE\JXLNQLGHTHE\

 これはAA-projectのAA3D- ASCII art stereogram generatorを用いて作成された"ASCII art stereogram"だ。一世を風靡したランダムドットステレオグラムのアスキー文字版である。

 言うまでもなく、ランダムドットステレオグラムは潜在意識でのパターン自動認識を利用して両眼視差を生じさせることにより立体感を得るものであるが、この"ASCIIart stereogram"では「パターン」として、ランダムドットでなくて「アスキー文字」を使ってやるものであって、考え方としてとても面白いアートだと思う。ランダムドットよりも、「謎の暗号っぽい」ところがちょっと楽しい感じになる。

 人間はこんなランダムドットやこのアスキー文字のようなパターンを眺めるときに、目にするその全ての領域に対して「あぁココとココは同じパターンだなぁ」と無意識の内に判断できるわけで、何ともスゴイとしか言いようがない。オリンピックなどを眺めていてもよく思うことだが、人間の能力はとてもスゴイのである。

 が、とはいえ太陽が西から昇ってもワタシがオリンピック選手にはなれないのと同じく、やはりスゴイ能力にもピンからキリまであるわけで、ワタシなどは実はこういう英語のASCIIart stereogramを眺めていても、一瞬で立体に感じたりはしないのである。なぜだか、左右の目が位置対応が一瞬では判らないのだ…。どうもワタシはアルファベットのパターン認識に時間のかかるニブイヤツであるらしい。もしかしたら、いやもしかしなくても、日本語ネイティブで英語が苦手なワタシはアルファベットに対するパターン認識能力が今ひとつ低いに違いないのだ。だから、この手の「英語」を使ったstereogramだと、左右で眺める映像間のパターン相関認識に時間がかかって、なかなか立体感を得ることができないのだろう(根拠はないけど)。ワタシのように異文化コミュニケーション能力が低いとステレオアートの観賞すらろくにできないに違いないのだ。

 じゃぁ、ワタシのような異文化コミュニケーションに欠ける人々は「このステレオアートを日本語で作って眺めてみれば良いじゃないか」と思うわけだけれど、このAA3Dは「アスキー文字」にしか実は対応していないのである。名前からして、ASCIIArt Projectという位だから当たり前と言えば当たり前でしょうがないのではあるけれど、異文化コミュニケーション的には「日本語にだって対応して欲しい〜」と思ってしまうのである。火星人だって大阪弁をしゃべる今日この頃なのだから、AA3Dにも日本語を喋って欲しいところなのであるが、そんなことを言ってもしょうがないわけで、日本語を使ってステレオグラムを作るプログラムを早速自分で作ってみることにした。

 とはいえ、2バイト文字と1バイト文字、全角と半角の混在文章に対応するのはメンドくさかったので、結局2バイト全角文字のみに対応ということにしてしまった。つまり、日本語と英語の混在文章などには対応していないわけで、これでは「日本語に使えないAA3D」と全く同じく、「他の言語のことなんか考えていない」という異文化コミュニケーション能力に欠けた、「作った親の顔が見たい」と言われそうなソフトが生まれただけだったのである。が、何はともあれ、これがそのできあがったNihogo3Dである。

動作画面は下のようになる。使用手順は
  1. 左上の画面に日本語を入力するか、LoadTextボタンで日本語を読み込む
  2. Load Heightボタンで立体マップ(Bitmapファイル)を読み込む(それは0〜255の高さマップに自動変換される)
  3. Make 3D Textボタンを押して、ステレオグラムを作成
という具合である。そして、ステレオグラムができあがったら、その結果をコピーペーストで好きなように使えば良いのである。また、立体マップ(Bitmapファイル)は普通のビットマップを作って読み込むだけで、明るさが高さに自動変換される。ここで、あまり明るい画像では立体度が大きすぎて、キレイな画像にならないので、最初の内はほとんど真っ暗な画像を使った方が良いと思う。つまり、ほとんどの領域の明るさは0で、少し薄暗いところがある、というくらいの画像の方が最初は良いハズだ。下の動作画面に小さな黒い長方形が見えているが、この程度を目安にしてもらいたい。
 
Nihongo3Dの動作画面

 例えば、上の動作画面は左上のテキストウィンドーにラブレターに使うようなちょっと恥ずかしい文字をただ無意味に入力して、そして右上の立体マップ(Bitmapファイル)にハートマークを読み込んで、ステレオグラムを作成しているところである。そして、その出力結果が下のテキストだ。一見意味不明の「読むだけで恥ずかしくなるような文字」がただ並んでるか、あるいはキョーフのデンパ系メールか、と思いきや、実はその言葉を背景にして「ハートマーク」が自分の方に浮かび上がってくる、という趣向なのだ。「愛の言葉を背景に相手の心にハートマークを浮かべさせる」という超マニアックでハイブロウなラブレター(イヤがられる可能性も超高し)なのだ。
 

ちぇっ、ちぇっ、ちゅっ。 Love Letter from hirax.net
いつの間にか「ハートマーク」が浮かび上がる
 

愛しい。ちゅっ。ちぇ愛しい。ちゅっ。ちぇ愛しい。ちゅっ。ちぇ愛しい。ちゅっ。ちぇ愛しい。ちゅっ。
っ。スキ。大好き。愛っ。スキ。大好き。愛っ。スキ。大好き愛っっ。スキ。大好き愛っっ。スキ。大好き
しい。ちゅっ。ちぇっしい。ちゅっ。ぇっしい。。ちゅ。ぇっしい。。。ちゅ。ぇっしい。。。ちゅ。ぇっ
。スキ。大好き。愛し。スキ。大好。愛し。スキ。大好。愛し。スキ。。大好。愛し。スキ。。大好。愛し
い。ちゅっ。ちぇっ。い。ちゅっちぇっ。い。ちゅっちぇっ。い。ちゅゅっちぇっ。い。ちゅゅっちぇっ。
スキ。大好き。愛しいスキ。大好。愛しいスキ。大好。愛しいスキ。大大好。愛しいスキ。大大好。愛しい
。ちゅっ。ちぇっ。ス。ちゅっ。ぇっ。ス。ちゅっ。ぇっ。ス。ちゅっっ。ぇっ。ス。ちゅっっ。ぇっ。ス
キ。大好き。愛しい。キ。大好き愛しい。キ。大好き愛しい。キ。大好好き愛しい。キ。大好好き愛しい。
ちゅっ。ちぇっ。スキちゅっ。ちぇ。スキちゅっ。ちぇ。スキちゅっ。。ちぇ。スキちゅっ。。ちぇ。スキ
。大好き。愛しい。ち。大好き。愛い。ち。大好き。愛い。ち。大好好き。愛い。ち。大好好き。愛い。ち
ゅっ。ちぇっ。スキ。ゅっ。ちぇっ。キ。ゅっ。ちぇっ。キ。ゅっっ。ちぇっ。キ。ゅっっ。ちぇっ。キ。
大好き。愛しい。ちゅ大好き。愛しい。ゅ大好き。愛しい。ゅ大好好き。愛しい。ゅ大好好き。愛しい。ゅ
っ。ちぇっ。スキ。大っ。ちぇっ。スキ。っ。ちぇっ。スキ。っっ。ちぇっ。スキ。っっ。ちぇっ。スキ。
好き。愛しい。ちゅっ好き。愛しい。ちゅっ好。愛しい。ちちゅっ好。愛しい。ちちゅっ好。愛しい。ちち
。ちぇっ。スキ。大好。ちぇっ。スキ。大好。ちっ。スキキ。大好。ちっ。スキキ。大好。ちっ。スキキ。
き。愛しい。ちゅっ。き。愛しい。ちゅっ。き。愛い。。ちゅっ。き。愛い。。ちゅっ。き。愛い。。ちゅ
ちぇっ。スキ。大好きちぇっ。スキ。大好きちぇっ。スキ。大好きちぇっ。スキ。大好きちぇっ。スキ。大

 

 同じステレオグラムでもランダムドットの方はあくまでも画像なので、メールに貼り付けようとするとどうしても添付ファイルになってしまって嫌がられることも多い。しかし、この「文字ステレオグラム」であれば、こちらは完全に「文字」なのであるから、いくらでもメールに貼り付けることができる。というわけで、e-mail時代の昨今にはとても使いやすいハズなのである。もしかしたら、今年の年末には「2002年度のラブレターe-mailの半分はこのNihongo3Dを用いて作成されました」という驚愕の事実が判明しても不思議でないくらいなのである。
 

 また、「言葉を紡いで-何か-を描く」のが小説であるが、このNihongo3Dを使えばまさに「言葉を並べて-何か-を浮かび上がらせる」ことができる。例えば漱石の草枕の冒頭の文章で「角張った人の世」を描いてみたものが下の文章である。この文章をぼんやりと眺めてみれば、

 人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
という文章を背景にして、「角張った人の世」が何と浮かび上がってくるのが判るハズだ。
 
山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。 by 漱石 with hirax.net
世の中は「角がたってる」
山路(やまみち)を登山路(やまみち)を登山路(やまみち)を登山路(やまみち)を登山路(やまみち)
さお)させば流されるさお)させば流されるさお)させば流されるさお)させば流されるさお)させば流さ
みにくさが高(こう)みにくさが高(こう)みにくさが高(こう)みにくさが高(こう)みにくさが高(こ
、詩が生れて、画(え、詩が生れて、画(え、詩が生れて、画(え、詩が生れて、画(え、詩が生れて、画
ない。やはり向う三軒ない。やはり向う三軒ない。やはり向う三軒ない。やはり向う三軒ない。やはり向う
「人の世」に傍点]が「人の世」に傍点]が「人の世」に傍点]が「人の世」に傍点]が「人の世」に傍点
の国へ行くばかりだ。の国へ行くばかりだ。の国へ行くばかりだ。の国へ行くばかりだ。の国へ行くばかり
住みにくかろう。 越住みにくかろう。 越住みにくかろう。 越住みにくかろう。 越住みにくかろう。
、束(つか)の間(ま、束(つか)間(ま、束(つか)間(ま、束((つか)間(ま、束((つか)間(ま
に画家という使命が降に画家という命が降に画家という命が降に画家家という命が降に画家家という命が降
が故(ゆえ)に尊(たが故(ゆえ)尊(たが故(ゆえ)尊(たが故((ゆえ)尊(たが故((ゆえ)尊(た
かど)が立つ。情(じかど)が立つ情(じかど)が立つ情(じかど))が立つ情(じかど))が立つ情(じ
とかくに人の世は住みとかくに人のは住みとかくに人のは住みとかくくに人のは住みとかくくに人のは住み
ても住みにくいと悟(ても住みにくと悟(ても住みにくと悟(ても住住みにくと悟(ても住住みにくと悟(
作ったものは神でもな作ったものはでもな作ったものはでもな作ったたものはでもな作ったたものはでもな
ある。ただの人が作っある。ただのが作っある。ただのが作っある。。ただのが作っある。。ただのが作っ
人でなし[#「人でな人でなし[#人でな人でなし[#人でな人でななし[#人でな人でななし[#人でな
[#「人の世」に傍点[#「人の世に傍点[#「人の世に傍点[#「「人の世に傍点[#「「人の世に傍点
をどれほどか、寛容(をどれほどか寛容(をどれほどか寛容(をどれれほどか寛容(をどれれほどか寛容(
こに詩人という天職がこに詩人とい天職がこに詩人とい天職がこに詩詩人とい天職がこに詩詩人とい天職が
のどか)にし、人の心のどか)にし人の心のどか)にし人の心のどかか)にし人の心のどかか)にし人の心
う考えた。 智(ち)う考えた。 智(ち)う考えた。 智(ち)う考えた。 智(ち)う考えた。 智(
とお)せば窮屈(きゅとお)せば窮屈(きゅとお)せば窮屈(きゅとお)せば窮屈(きゅとお)せば窮屈(
所へ引き越したくなる所へ引き越したくなる所へ引き越したくなる所へ引き越したくなる所へ引き越したく
 人の世[#「人の世 人の世[#「人の世 人の世[#「人の世 人の世[#「人の世 人の世[#「人
どな)りにちらちらすどな)りにちらちらすどな)りにちらちらすどな)りにちらちらすどな)りにちらち
らとて、越す国はあるらとて、越す国はあるらとて、越す国はあるらとて、越す国はあるらとて、越す国は
「人でなし」に傍点]「人でなし」に傍点]「人でなし」に傍点]「人でなし」に傍点]「人でなし」に傍
世が住みにくければ、世が住みにくければ、世が住みにくければ、世が住みにくければ、世が住みにくけれ
の間でも住みよくせねの間でも住みよくせねの間でも住みよくせねの間でも住みよくせねの間でも住みよく
あらゆる芸術の士は人あらゆる芸術の士は人あらゆる芸術の士は人あらゆる芸術の士は人あらゆる芸術の士

 疲れたときにCRT画面の遙か遠くを眺めるようにして、漱石の言葉をボンヤリと眺めてみれば、その言葉が見る見る立体的に立ち上がって、角張った世界が起きあがってくるのである。疲れたとき、ボンヤリした時には、ぜひこの「草枕2002by 漱石フューチャーリングhirax.netを眺めて、そして楽しんでみてもらいたい。もしかしたら、バラバラに並べられたこんな文字が心の中で不思議に立ち上がってくるのかもしれない、と思うのである。
 

 飛び出せぬ「この世が」住みにくければ、少しはそれを住みよくせねばならぬ。だから詩人という天職と、画家という使命ができる。あらゆる芸術は「この世」をのどかにし、人の心を豊かにするがゆえに尊とい。

2003-10-08[n年前へ]

「東京大学教育用計算機センターの真実」 

 内容あるいはその真偽については読む人各自が判断するべき、と断り書きをした上でリンクする「東京大学教育用計算機センターの真実」 個人的には「東大がiMacを大量導入/アップル原田社長に聞く」の記事を読んだときに、その中の「カリフォルニア・クパチーノの本社にも行ってもらって、弊社のデータセンターを見てもらいました」という辺りを読んでオリンピックの会場の誘致を連想したのである。

2004-08-29[n年前へ]

ドーピング検査の尿採取 

 ここ何日かオリンピックのドーピング疑惑が報道されている。ドーピングのチェックで尿検査をどのように行うかのイメージが湧きやすいこんな図。これはツライ…。

 これまでに私が一番ツラかった状況が、中学生の頃に経験した渋滞中の首都高速で「観光バスの窓から眺める(男女色々の)同級生達を背にして」した立ち×ょ○。あれは…、キツかった…。カラダは排出したいハズなのに、全然出ないし…。今考えてみれば、あれは何かのトラウマになっているのかも。…なっていないのかも。



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