1999-12-12[n年前へ]
■色覚モドキソフトを作る(色弱と色空間その4)
五十歩百歩
まず、先に書いておこう。今回は、
で作成したTrueColorと似たようなプログラムを作成してみたい。何しろ関係ない話が以降、長々と続くからである。昔から、科学者は「色」というキーワードに強く惹かれている、と思う。そんなことを私が思うまでもなく、量子色力学(quatumchromodynamics)、色つき空間群(Color-symmetry)等のキーワードにその事実は現れている。これらの言葉は普通に使われる「色」という言葉とは違う性質を表すものである。しかし、科学者が「色」というものを基本的なものであると感じているために、どんなものが対象でも、「性質」の代表的なものとして、「色」という言葉が連想されるのだろう。
私は学生時代の量子力学の授業のおかげで、「色」という言葉を聞くと今でも眠くなってしまうのである。何しろ、私の通う理学部の教室の横は農学部の畑だったのだ。教授の声と共に「モゥーーー」という牛の鳴き声が聞こえてくるのだ。教授の声と牛の鳴き声が絶妙のハーモニーとなるのである。ただでさえ眠くなるのに、そのハーモニーはクロロホルムもビックリの睡眠作用を発揮するのだ。私はそのハーモニーのおかげで何回も記憶を飛ばされた。
また、その牛達のおかげで、授業の中で「匂い」と聞いたりすると、牛の糞の「匂い」しか連想できないのである。困ったものである。あの農学部の畑がなければ、もしかしたら私は量子力学を好きになっていたかもしれない。そして、量子力学を極めていたかもしれないのだ...簡単に言えば私は量子力学の授業では落ちこぼれてしまったわけだ。
ところで、昔の科学者達を考えると、「色」に関わらなかった人を探すほうが逆に難しいように思う。ニュートン、マクスウェル、ヤング、ヘルムホルツなどが代表的である。当たり前である。物理・化学に関わらず、「光」には関わらざるを得ない。当たり前である。さまざまな計測を行ったり、エネルギーを考えたりする上で光は最も重要なモノである。
そして、「色」というものは「光」の大きな性質の一つである。しかも、それは「科学者自身にとっても」目に見える性質である。目に見えるものを無視する科学者は少ないと思われるので、科学者が「色」に関わらないわけにはいかないのだ。
割に最近の科学者でも、意外な分野の人が「色そのもの」の研究をしていることがある。例えば、シュレディンガーなども色空間の提唱をしていたらしい。確かに、量子力学から色空間へはつながりを感じないこともないのではあるが、少し意外でもある。そのシュレディンガーが提唱した色空間がどのようなものであるのか、私は残念ながら知らないのだが、波動を深く研究していたシュレディンガーが提唱する色空間というのは非常に興味のあるところである。また、化学。物理学者であるダルトンは自らも色弱であるため、特にその辺りのことを研究し、報告している。
さて、そのダルトンをinfoseekで検索してみると、
- ダルトンレンズ (http://www2u.biglobe.ne.jp/~ohsaka/index2.html )
もちろん、WEBページは会社の心(色弱と色空間 その2) - WEBページのカラーを考える 3 - (1999.08.10)で作成したTrueColorも同じような目的のために作成したものであるが、あれはあまりにも大雑把なモノだったので、作り直してみたいのである。なお、今回は画像のRGBとL、M、S錐体の反応の間の変換は
そこで、こういったWEB上の画像を読み込んで、
でやったL,M,Sの各錐体の感度が低いときの色覚シミュレーションを行うソフトを作成してみた。ソフトはこれである。前回と同じく、Susieプラグインを用いて画像を読み込んでいるので、「Susieの部屋」などから、Susie本体・あるいはプラグインを入手する必要がある。また、手間を惜しんだためProxy対応にはしていない。さて、動作画面サンプルを以下に示す。初期状態では
- ダルトンレンズ (http://www2u.biglobe.ne.jp/~ohsaka/index2.html )
この画面例では各錐体の感度は全て100%になっている。
それでは、以下に適当に錐体の感度パラメータを変化させた場合のサンプルを示してみる。
こうしてみると、これまで見てきたものとは違う数字が浮かび上がることがわかる。89,52などである。こういう仕組みを用いたのが、石原式などの色覚検査のやり方である。つまりは、異なる色を識別できないこと、すなわち、混同色を用いているのである。混同色を用いて文字を描くことにより、色弱であるかどうかを判断しようとするものだ。
さて、こういった書き方をすると、色を混同してしまうのが色弱の人だけと勘違いされてしまいそうであるが、そんなことはない。全ての人が「色を混同してしまう」のである。どんな人でも、異なる波長の光であっても、例えばRGBなどの(多くても)三色を混合すれば同じ色に見えてしまう。つまりは、混同色だらけなのである。健常者と呼ばれるヒトも色弱と呼ばれるヒトもたかだか数種類の錐体を持つにすぎない。
色々な光の波長分布を認識できる生物がいたとすると、彼らがからすればヒトは全て色弱ということになるのだろう。つまりは、五十歩百歩といったところなのかな、と思うのである。
2000-02-24[n年前へ]
■「モナリザ」の自己相似形
48x48の「世界への微笑」
以前、
で、ASCII文字で描かれたモナリザを初めて見たのは、まだ大型コンピューターしかなかった頃だ。当時、記憶媒体の紙テープをパンチした紙くずと、ラインプリンタから出力されたASCIIアートで遊んでいた。と書いた。
私がモナリザを見たのはこのASCIIアートのモナリザが初めてだった。何故か住宅の天井裏にASCIIアートをモチーフにしたカレンダーが貼られていた。天井裏に貼られたモナリザはとても趣があった、と思う。
そういうわけで、初めて見たモナリザは、カラーではなくて白黒の、しかもASCIIアートのモナリザだったのである。
もちろん、そのモナリザはもうどこにもいない。そこで、
の時にバージョンのIMAGE2ASCIIでモナリザをASCIIアートに変換したのが下の画像だ。 こんなに縮小してしまうと、ASCIIアートに見えない。そこで、顔(特に目)の辺りの部分の拡大図を下に示してみる。
こうしてみると、ASCII文字であることはわかる。しかし、全体像は全く見えなくなる。「これが、モナリザの目の辺りだ」と言っても全く信用されないことだろう。
こういう画像を考えるときは、全体像と拡大図の両方を感じなければいけない。拡大図しか感じられないと、「木を見て森を見ない」状態になる。そして、全体像しか見ない場合には「実際の所をなにも知らない」状態になる。
さて話を戻す。私が眺めていたASCIIアートをのモナリザを初めとして、モナリザほど「本歌取り」の「本歌」に使われているものもない。「モナリザの微笑」からは、沢山の人が色々なものを引き出してきた。「モナリザ」の微笑はどうにも奥深く見えるから不思議である。その微笑の先に何があるのかを深く考えさせる。その答えはなかなか見つけられない。
そういうわけで、東京都美術館で開催されていた「モナリザ100の微笑」を先日見に行ってきた。
特に、私が見たかったのはこれである。福田繁雄の「世界への微笑」だ。
もう、おわかりだと思うが、これは切手によるコラージュである。このモナリザの顔(特に目)の辺りの部分の拡大図を次に示してみる。
拡大すると、全体像が全く判らなくなるというところは、ASCIIアートと全く同じである。こういった、離れてみると、やっと何が描かれているかわかる、という画像はとても面白い。
そこで、今回はそういう画像を作成してみたい。つまり、「小さな画像の集合が集まって一つの画像になる」ようなものだ。
それに加えて、先ほど
「モナリザ」の微笑はどうにも奥深く見えるから不思議である。と書いた。「モナリザの微笑」を眺め考えると、その先には結局「モナリザ」しか見えてこない。答えが見えないのである
まるで、それはタマネギのようで、自己相似形という言葉さえ思い起こさせる。
そういうわけで、小さな「モナリザ」が集まって一つの「モナリザ」となるような画像を作成してみることにした。逆に言えば- 「モナリザ」を見つめていくと、その先にさらに小さな「モナリザ」が見えてくる- という画像である。
そういう画像を作るために、簡単なアプリケーションを作成してみた。それが、これである。
名前はjoconde.exeだ。画像を読み込み、その画像をその画像自身の縮小画像(48x48個)で表現するのである。福田繁雄は切手や国旗で「モナリザ」を表現した。私は48x48個の「モナリザ」で、さらなる「モナリザ」を表現するのである。いつものごとく、色々な画像のフォーマット対応のためにはSusieプラグインを必要とする。もちろん、言うまでもないと思うが信用度はアルファ版以下である。
さて、作成した画像 - 題して、48x48の「モナリザ」 -を次に示そう。「モナリザ」の微笑は「モナリザ」でしか表現し得ない、という私の気持ちの表れである。この画像をクリックすれば、元のサイズの- 48x48の「モナリザ」 - を見ることができる。
この画像では、48x48個の「モナリザ」でできていることはわかりづらい。そこで、上の画像のモナリザの目の辺りを拡大したものが以下である。
この - 48x48の「モナリザ」 - を眺めていると、「モナリザ」の微笑について色々と考えてしまう。どこが、一体魅力となっているのだろうか? いくら考えてみても、よくわからない。
さて、モナリザと言うと、夏目漱石と「モナリサ」にも言及しなければならないだろう。しかし、それは次回のココロだ。
2000-03-18[n年前へ]
■Dilay WEB's True Colors
WEBの本音 (色弱と色空間その5)
本屋でMookの辺りを眺めていると、「できるWEBデザイン」というようなタイトルがついた書籍が沢山ある。WEB上の情報でも「ホームページ」AND「配色」で検索をかけたりすると、これも山のように検索結果が出てくる。「WEBページの色使い」というのは、見た目ですぐわかるだけに気にする人が多いのだろう。もちろん、本「できるかな?」でも、これまで
- WEBページは会社の鏡- WEBページのカラーを考える 1 - (1999.04.24)
- WEBページは会社の顔色- WEBページのカラーを考える 2 - (1999.04.26)
- WEBページは会社の心(色弱と色空間 その2) - WEBページのカラーを考える 3 - (1999.08.10)
ところで、辞書で"color"をひくと、「立場、姿、見せかけ、口実」と載っている。そういうこともあってか、どうも「色」というものもなかなかに苦いものでもあるように思う。それが、シンディ・ローパーの歌でも有名な"truecolors"になればなおさら、である。「色」というのは実に不思議で、面白いものである。
そして、色を見る力である"vision"も辞書をひくと、光景、想像力、洞察力、予言力、未来像…など、とても興味深い言葉が多く、とても不思議である。
"color"=立場、姿が百人百様であるのと同じく、"color vision"=色覚にも多様性がある。WEBの「配色」、そして、色覚にも多様性と言えば、とても役に立つ情報がある。以前、
- からーふぃくしょん( http://sun.endless.ne.jp/users/tanafic/ )
- Webの色についてのアンケート1998/05/**
- http://sun.endless.ne.jp/users/tanafic/ank/ank_fr.htm
- KRISTALL+ クリスタル・プラス( http://homepage1.nifty.com/kristall-plus/ )
さて、この「からーふぃくしょん」で行われた「アンケートで用いられた色の組み合わせ」は次のようなものである。
この25種類の「できるかな?」の中で読みにくい色はどれだろうか? といっても、これでは「これ」と言いづらい。そこで、「からーふぃくしょん」ではこれらに番号付けがなされており、
となっている。私などは、この中ではNo.17(緑背景に赤文字)とかNo.23(紫背景に赤文字)などはいまひとつ読みにくいので好きではない。そういう自分の好みははっきりとわかるのだが、他の人の感性に沿って考えるということは、なかなか私にはできない。いや、全然できない。そこで、
の時に作成した「色覚モドキソフト」により、この「色の組み合わせ」を解析してみることにした。それによって、色々な人の感覚を想像してみることにしたのである。ソフトで人の感覚を想像するというのも情け無い話ではある。まぁ、自分で作るソフトで想像するのであるから、自分で想像した気にも、少しはなれるというものである。 前回作成した"truecolor2.exe"ではInternet上の画像ファイルのみに対応していたのみであった。インターネット上のファイルは解析できても、自分のPCの中のファイルは解析できなかったのである。だから、使い勝手がかなり悪かった。そこで、今回バージョンアップしたtruecolor3.exeを作成してみた。
この"truecolor3.exe"は、そうそう役に立つとは思わないが、一応ここにおいておく。
この"truecolor3.exe"は、ローカルのファイルを開いて処理する機能を持っている(本来、当たり前の機能であるが…)。なので、上に挙げたような表を画像ファイルに落とした後に、この"truecolor3.exe"で解析してみるのである。
一例を以下に示してみよう。これは、truecolor3.exeで上の画像を処理(Lを50%程度にしたもの)したものである。その処理の意味は「色覚モドキソフトを作る(色弱と色空間その4)- 五十歩百歩 - (1999.12.12)」を読めば判るであろうから、ここでは特に言及しない。あえて、(変な風に)言うならば色々な情報を引いてみたときに、それでも情報をちゃんと伝えられるか考えてみる、といった所である。
使い方であるが、
下の左のボタンを押す -> ローカルファイルを開く、
そして、
下の右のボタンを押す -> インターネット上の画像ファイルを開く
ようになっている。その後に、L,M,Sの各スライダーを上下させることで、画像に変換をかけるわけである。
一体、この画像変換例の画像中で読みにくそうな番号はどれだろうか?No.1,No.3, No.4, No.19, No.23といったものだろうか? このような変換画像と先の「からーふぃくしょん」のアンケート結果と見比べてみると、面白いと思う。No.23などは私も見づらいことでもあるし、「あまり使って欲しくない色使い群」だ、と言えるのかもしれない。また、ここでは画像変換の一例のみを示したが、自分のWEBページ画像に対して色々と処理をしてみると面白いと思う。
色々な処理をした時に、どれが「本当の色」="true colors"であるかは判らない。そして、そんなものが本当にあるのかどうかも怪しいものである。しかし、そういったことを考えてみるのは、とても興味深いことだと思う。そして、その色を認識する"vision"についても、もっと考えてみるべきだと、思う。
さて、現在のHIRAX.NETのトップページ(http://www.hirax.net/)の基本色はNo.8とNo.16である。先の「カラーフィクション」におけるアンケート結果を見ると、そんなに悪い配色ではないようだ。ひとまず一安心である。
2000-12-17[n年前へ]
■9人の女神はピンク映画の夢を見るか?
WEBの画像の色分布を調べよう
「お笑いパソコン日誌」の「2000/12/4 今日のネタ・パッチワーク」で、「エクスプローラーが作るブックマークのサムネイル」の話が書かれていた。「うんうん、そうなのだ。」と思ったネタだったのでちょっと引用してみると、
1日の Dekirukana?? Diary に、favicon.ico のパッチワークという話が書かれていた。実は私も、似たようなネタをだいぶ前から抱えている。ただしこちらはアイコンではなく、左図のような、エクスプローラーが作るブックマークのサムネイルを使うつもりだった。 (中略) そんなわけで、この企画は投げ出したままになっているのだけど、もともとの意図はパッチワークを作ることにはなかった。私がやりたかったことは、ポルノサイト、ニューズサイト、アニメサイト、女性タレントサイトといった具合に、それぞれ代表的な10個ぐらいをサンプリングし、サムネイルの中で使われている色の分布を調べることだった。当然、グラフ化してサイト別の特徴を調べるのが目的である。おお、なんかまるで「できるかな?」みたいなネタやんけ、と思われただろう。まったくその通りである。ただ、大きな違いは、私の場合、ざっとサムネイルを見ただけで、おおむね予想された結果に近いとわかった時点で終わってしまうことであった。わははは(嘆息)。 |
という内容である。そうそう、私もやはり同じようなことをずっとやりたかったのだった。WEBページを小さな画像にして、それを何らかの色空間の中で再配置してみたかったのである。そして、その色空間の中でのWEBページ達の配置を参考にして、大きな画像をパッチワークで作ってみたかったのだ。
結局のところ、私はやはり最終的に一つの画像をパッチワークで作ってみたかったのだ。それはパッチワークという言葉を使うより、モザイクという言葉を使った方がずっと良いだろう。きっと、その方が私の作りたい画像のイメージが伝わりやすいに違いない。そう、私はMosaic等から始まったWEB空間を、「小さなWEBサイト達で点描写することで一つの大きなモザイク画像として描いてみたかった」のである。
ここまで読んで、「それってMosaicとモザイクをかけただけの、ただのダジャレ?」などと言ってはイケナイ。ホントのところは全然知らないのだが、Mosaicを作ったMarkAndreessen達とそもそもMosaicの語源であるミューズ達もきっとそんなモザイク画像を心に思い浮かべていたに違いないのである。全然根拠はないのだけれどそう思うのである。チョットだけそう考えてみれば、誰にだってそんあモザイク画- 一つ一つの点を眺めているとそれらは小さなWEBページだけど、遠く離れてみると何やらぼやけて大きな一つの画になるモザイク画- が見えてくるに違いない、と私は思うわけだ。
さて、お笑いパソコン日誌のおかげでIEのThumbnailsViewを使うという面白い方法が見えてきたわけではあるが、いきなり「WEBページのモザイク画像」に挑戦するのもキツイものがある(いや、私にはね)。そこで、今回はWEBページで使われている画像の色分布を調べてみることにしようと思う。WEBページ内には写真が多く使われているわけで、それらの写真がモザイク画像を作ることができるほど色々な色合いを持っているかどうかを調べてみるのである。
今回行う手順はこんな感じだ。
- WEBサイトから画像をゴッソリと収集する
- 低機能解析ソフトでそれらの画像の色分布を解析する
- とりあえずそれを眺めてみよう
まずはローカルディスクの適当なフォルダに画像ファイルを保存しておく。そして、このMosaic(ニセモノ)でそのフォルダ内の画像を全部読み込んで、それらの各画像の色を調べるのである。本来は、それぞれの画像の特徴色(っていっても意味不明であるが)を抽出したりする方が良いのかもしれないが、今回は簡単のために各画像内で色味をテキトーに平均した結果を用いた。
このソフトの目的はあくまでモザイク作成(しかし未実装)なので、何の役にも立たないボタン(というより動くボタンがLoadFolderボタン一つだけ…)や領域があるが、それはそれいつものことなので気にしないで欲しい。というわけで、これ
である。いつものように、色々な画像フォーマットの画像を読み込むためにはSusieプラグインが必要である。 これを使って、例えばカラフルフリースで絶好調のWEBサイトwww.uniqlo.comで使われている画像をゴッソリとゲットして、それらの画像をMosaic(ニセモノ)で解析してRGB色空間で眺めてみた結果はこうなる。赤い点がいっぱいあるが、その一点一点が一枚の画像の平均の色味なのである。
といっても、三次元のRGTB色空間を平面のグラフでこんな感じで眺めてみてもワケわからん状態なので、Red-Green平面、Red-Blue平面で眺めてみたのが次の二つの図である。
こんな風にしてみてもやはり同じワケわからん状態かもしれないが、もうひとつGreen-Blue平面を眺めてみると何やら面白い様子が見えてくる。
そう、実は「緑と青」はあまり独立ではないのである。結構相関があるのだ。青が強けりゃ緑も強い、というわけで一緒に動いているのである。ということは、「青も緑も多い青緑」や「青も緑も少ない赤」は多いがそれ以外の色は少ないということである。ユニクロのWEBで使われている写真は実は青緑・赤指向が強いのである。ところで、ユニクロのWEBで使われている写真はユニクロのフリースなどの製品の写真がほとんどである。ということは、ユニクロのフリースは青緑・赤指向が強く、青純色とか緑純色の色は実は少ないということになる。
それが端的にわかるのがa*b*平面で表示させてみた場合である。a*方向すなわち赤色方向は多いのに対して、b*の小さい方向つまり緑方向などには妙に点がないことがわかるだろう。今のユニクロは緑を何故か避けているのである。緑の純色のフリースは人気がないのだろうか?う〜ん、不思議なところだ…
青○は色味のないa*=0,b*=0の点 |
いや、そんなことはどうでもいい。別に私はユニクロのフリースを買う予定があるわけでもないし、ライバル社の社員でもないのである。色と言えばもっと他の種類のサイトを調べてみなければならないだろう。
そう、それはもちろんエロサイトである。カラフルなユニクロももちろん興味深いところではあるのだけれど、色と言えば、何はともあれ色気タップリのお色気サイトを調べなければならないだろう。
そこで、国内某エロサイトからエロエロ画像を根こそぎゲット(収集)してそれを解析してみたのが次の結果である。ハイ、ゲットしまくった結果です。
青○は色味のないa*=0,b*=0の点 |
とりあえず結果を眺めてみると、この国内某エロサイトにある画像では青・緑方向の色はほとんどないのである。ほとんど赤から黄色にかけての色なのである。Lすなわち明度は高いものが多かったので、結局のところは明るい赤から黄色にかけての色が多い、ということになる。
明るい赤と言えば、それはもちろんピンク色というわけで、私は「なるほど!だからピンク映画なのか!」「エロはやっぱりピンクなのか!」とチョット思ったりしたわけである。しかし考えてみれば、英語ではスケベ映画のことをbluefilmて言うわけでこの説には全然説得力がないのだった。
しかししかし、である。もしも、英語圏のエロサイト内のエロ画像では青方向に色味が強いのだったら、英語でスケベ映画のことをbluefilmと呼ぶ理由が説明できるのではないか、と私は考えてみた。もう少し細かく書いてみると、エロと言えばやはりヌードなわけで、それすなわちスケベ色= 肌色である。日本人の場合それが
肌色 = ピンク色で、肌の色が白くて静脈が透けまくりの白人であれば、
肌色 = 青色であるというのもそれほど不自然ではないし、だとしたらピンク映画 = blue filmであっても良いだろう、というわけだ。
もし、白人の場合「肌色 = 青色」だったりするとしたら、英語圏のエロサイト内のエロ画像では「肌色= 青色」を含みまくりというわけで、青方向に色味が強いということがあっても不思議ではない。
というわけで、さらに英語圏某エロサイトからエロエロ画像をまたもや根こそぎゲット(収集)してみた結果が次の結果である。別に私はエロエロ画像をゲットすることが目的ではないので、やましいところはないと思うのだが、やってることは「何だかな〜」状態である。
青○は色味のないa*=0,b*=0の点 |
さてさて、英語圏某エロサイトからエロエロ画像をゲットして解析してみた結果は「英語圏のエロサイト内のエロ画像では青方向に色味が強い」なんてことは全然無くて、むしろ青みは少ないのだった。というよりやたらに黄色が強いのである。とりあえず、エロエロ画像には青色や緑色はほとんど無いといっても良いようである。
ところで忘れている人も多いかもしれないが、今回の目的は「WEBページ内の写真がモザイク画像を作ることができるほど色々な色合いを持っているかどうかを調べてみる」ことだったのである。別にエロエロ画像を根こそぎゲット(収集)したり、それをただひたすらに眺めることではないのである。
というわけで、その観点から見てみると
- ユニクロサイトの画像には緑がなかったり、
- エロサイトのエロエロ画像には青や緑がなかったり、
ところで先に少しだけ書いたが、モザイクすなわちMoisacの語源はギリシャ神話の中の学問・芸術をつかさどる9人の女神Museである。ネットワークを学問・芸術をつかさどるMuse達が動かしているわけだ。Muse達が色々な思いにふけったり、楽しんだりしながら動かすネットワークの中をMosillla= Mosaic Gozilla達が動き回っているなんて考えると、とてもワクワクしたりはしないだろうか?ギリシャ神話は遠い昔の話なのではなくて、今私たちの周りに満ちているような気がしたりするのである。
2001-10-24[n年前へ]
■笑顔で作った一枚の写真
メルヘンなワタシとエロエロなワタシ
先日、「瞬間写真コレクション」という何とも楽しい遊びに参加してみた。2001年の10月の6日のある瞬間、同時に写真を撮ってみよう、という遊びである。このページに並べられている多くの写真を眺めていると、何故かワクワクしてくるのである。そこにキャッチコピーのように書かれている「道ですれ違う人はホントのホントにどこかで暮らしているのだろうか」というフレーズも何やらとても良い感じだ。
で、そんな遊びは眺めているだけでは面白くないので、自分でもそんなたくさんの写真が並べてみるような遊びをしてみることにした。というわけで、まずは下の写真を見てみよう。来年の1月からTRICK2の放映が決まった仲間由紀恵の写真である。現代のビーナスである。
さて、どう思われるだろうか?「仲間由紀恵って、オレは好きじゃないだけど」などと言う人がいれば、そんなアナタは間違っている。仲間由紀恵の良さが判らないヤツは間違ってる。心の底から間違っている。大体、ワタシは今そんなことを聞いているわけではないのだ。仲間由紀恵の良さは何をいまさら聞くような内容ではないのである。そんな輩は胸に手を当てて、もう一度自分の胸に問い直して欲しいのである。
となると、残りのほとんど大多数の見る目を持つ人々であれば、「仲間由紀恵って、やっぱり良いなぁ」と言うハズであって、さらにはこの写真をもう一度ばかり眺めた時には「何だかモザイクがかかったような感じ」と思うハズなのである。
そう、そんなあなた方はとても正しい。この仲間由紀恵の写真は実は小さな画像を寄せ集めたモザイク画なのである。この写真を拡大してみれば、それがよく判ると思う。念のため、右目部分を拡大したものを下の写真に示してみよう。たくさんの人達の「笑顔」がいっぱい並んでいることが判るはずだ。
以前、「色んな心を集めたアルバム」で、世界中から「何かのキーワード」に関連した画像を根こそぎ集めるソフトGuruguruImageを作成したが、GuruguruImageを使って世界中から集めた「笑顔」を敷き詰めて作ったモザイク画がこの仲間由紀恵というわけなのである。つまりは、この写真は「世界中の笑顔で作った仲間由紀恵」というわけだ。
もちろん、この素晴らしき仲間由紀恵のモザイク画像(ヘンな想像をする輩は即刻レッドカードのココロだ)は手作業でせっせと作ったわけではない。何しろ、この画像はほぼ一万枚の写真が敷き詰められているのである。いわば、一万ピースのジグゾーパズルなのだ。一秒につき一枚のペースで並べていったとしても、なんと三時間もかかるという大作なのである。めんどくさがりやのワタシがそんなものを作れるわけがない。そのためのテキトーなアプリケーションを仕立て上げただけなのである。
それがこれ、以前「9人の女神はピンク映画の夢を見るか?」で作成した色分布可視化ソフトMosaic(ニセモノ)にちょこちょこっとコードを書き加えて、読み込んだ多数の画像を並べて一枚のモザイク画像を作る機能を加えてみたHiraxNetMosaicMakerだ。モザイク・メーカーという名前でヘンなオプションを思い浮かべる人もいることだろうが、残念ながらこれは実にマトモなモザイク画を作成するプログラムである。
- hiraxnetmosaicmaker.lzh (692kB)
- 画像を
こっそりごっそり置いてあるフォルダーでLoadFolderを押して、画像を読み込む - Make Mapボタンを押して、色空間 - 使用画像の対応テーブルを作成する(画像の数に応じて、かなりの時間がかかるので、計算している間はコーヒーでも飲みに行くべし)
- モザイク画の元画像をLoad Imageボタンを押して読み込む。読み込んだ画像はアプリケーション下部のOriginalImageに表示される
- Make Imageを押せば、はいモザイク画像の出来上がり(アプリケーション下部のMosaicImage部)
また、つまらないTipsではあるが、きれいな出力を得ようと思う場合には、モザイク画像の元画像は「出力画像の階調を落とさないために」彩度を落とし、擬似輪郭を防ぐために少々ノイズを加えておくのがコツである。そして、出力されたモザイク画像の彩度を好みに応じて大きくするという処理をするのが良いと思う。
さて、上の画像は世界中の「笑顔」を集めて仲間由紀恵を描いてみたのだけれど、「心の色はどんな色?」で考えてみたように、色々なイメージにはそれぞれ独特の色々な色というものがある。例えば、前回考えた中では「笑顔」と「エロ」はけっこうかけ離れた色のイメージがあって、そのくせ「エロ」と「心」は結構近い色をしている、なんて結果になった。いや、別にワタシの「心」が「エロ」に近いと言っているのではなくて、世界中の心を集めると、それは結構色的には「エロ」のそれと近い、というだけの話である。
それでは、そんなそれぞれのイメージを並べてそれぞれ仲間由紀恵のモザイク画を作るとどうなるか、という疑問が当然のごとく湧くことだろう。というわけで試しに「心」をキーワードに集めてみた多数の画像と、「エロ」をキーワードに集めた画像とで仲間由紀恵を描いてみたのが下の二枚の写真である。
そう、「エロ」をキーワードに集めまくった画像で作った仲間由紀恵は、実に肌の辺りの滑らかさが素晴らしいのである。違いの判らない人には何の区別もできないかもしれないが、私には判る。なんと言うかエロチックというまでに妖しく素晴らしいのである。あぁ、素晴らしき哉仲間由紀恵のモザイク画像としか言いようがないのだ。もっとも、この仲間由紀恵をさらに拡大してゆくと、それはもう単にエロとしか言いようがない画像達がイヤでも目に入ってくるわけで、その拡大写真は残念ながらここでは見せられないのである。
とはいえ、ココロのこもった仲間由紀恵だって、肌の滑らかさには少しばかり欠けるけれど、十分に滑らかでキレイなのである。結局のところ、仲間由紀恵が良いのであって、別に「エロエロ」な仲間由紀恵だから良いと言ってるのではないということは強調しておこう。
という感じで、このHiraxNetMosaicMakerを使えば色々と遊ぶことができる。自分の写真をもとに「メルヘンなワタシ」と「エロエロなワタシ」を作ってみたりすることもできる(「エロエロなワタシ」の方がなんか生き生きとしているぞ、などと言うような輩は見る目を持たない人なのである)。また、前に作成した動画を静止画に展開するavi2stillと組み合わせれば、例えばドラマ「トリック」の色々なシーンを並べて仲間由紀恵のモザイク画を作ったりすることもできる。「お笑いパソコン日誌」で番宣のポスターという話題が出ていたが、こんな色々なシーンを並べたモザイク画なんて結構良いと思う。そして、きっと他にも色々な遊び方があることと思う。
さて、冒頭の「瞬間写真コレクション」では、色んな人たちが撮った写真が整然と並べられているのであって、何かの景色が意図的にモザイク画として表現されているわけではない。それは今回作ったようなモザイク画とは違う。
それでも、この瞬間写真コレクションのようなものを眺めている時だって、何やら一つ、あるいは、たくさんの景色が心の中にやはり同じように浮かび上がってくる。だから、もしかしたら先の「道ですれ違う人はホントのホントにどこかで暮らしているのだろうか」ということの答えは、そのたくさんの写真の中に確かに写っていて、たくさんの写真から浮かび上がってくる景色はその答えを素直に描いたものであるようにも思ったりするのである。