2001-10-07[n年前へ]
■心の色はどんな色?
見えないものを眺めてみよう
「あなたの色に染めて欲しいの…」とはよく聞くフレーズである。それは実によく聞くフレーズではあるのだけれど、本当のところそんなことを言う人が実際に居るのかどうか私は知らない。それはさておき、私はこのフレーズを聞くたびに心の中で思うのである。「あなたの色って、どんな色やねん?」と。
郵便ポストの色とか、チューリップの色とかならまだ判るのだけれど、「人」なんて実に抽象的なものでは一体どんな色だか判らないではないか、と思うのである。そもそも、そんな「人」なんて抽象的なものに「色」なんてものが対応するのかどうか自体、不思議な話なのである。
「オマエの色が赤以外のわけがあるかぁ」と言いたくなる、もう「あなたの色」丸見え状態のゴレンジャーのアカレンジャー・メンバー(最近流行りの呼び方)とか他のメンバー達ならまだ判るのだけれど、普通の人間で「その人の色」が判るような人がいるわけがないようにも思えてしまう。
まぁ、私の名前は「純」なので「オレの色は純色なのだぁ」とクダラナクも言ってみても良いのだけれど、そんなことを言ったところで「何色の純色やねん?」とツッコまれること間違いなしなのである。「みどり」とかそんな名前を持つ人でなければ、こんなヘリクツは通用しないのである。
しかし、「あなたの色」という抽象的なものの色なんか判るハズもない、とあきらめてしまうのはちょっとクヤシイ。どんな抽象的なものも、目に見えるカタチにして眺めてみたいと感じるのが人の心情だろう。そこで、「抽象的なものの色を見てみる」ことに挑戦し、「人々の心の色」を眺めてみたい、と思うのである。
前回、「色んな心を集めたアルバム」で、WEBの世界に散らばっているさまざまな画像の中から、任意の「キーワード」に関連した画像を収集するために、GoogleImageSearchを利用し収集するアプリケーション「ぐるぐるイメージ」を作成してみた。このぐるぐるイメージとダウンロードツールのIriaなどを組み合わせれば、言葉通りの「何かに伴うイメージ(画像)」を自分の手元のPCのフォルダに集めることができる。例えば「恋」だったり、「心」だったり、あるいは、「科学」や「しあわせ」や「スポーツ」といったイメージに伴う画像、を手元のフォルダにかき集めることができるのである。
通常、「何かに伴うイメージ」というときの「イメージ」という言葉はもちろん「画像」という意味ではない。一般的に想像されるだろう「何かに伴うイメージ」は、「Aという何かに伴って私達が想像する潜在的な何かB」に違いない。それはもちろんそうなのだが、「ぐるぐるイメージ」が集める「Aという何かに伴って登場することの多いBという顕在化したイメージ(画像)」が、必ずしも「Aという何かに伴って私達が想像する潜在的な何かB」と無関係のわけもないだろう、と思うのである。世界中のWebページを作る人々が「何かの抽象的なものを思い浮かべながら貼り付けた画像」達を数多く集めてみれば、それは「何かの抽象的なもののイメージ」であるかもしれない、と思うのである。
ということは、「ぐるぐるイメージ」が私の手元のフォルダに集める「何かに伴うイメージ」というものは、結局のところ「何かの抽象的なもののイメージ」そのもので、その色を調べてやれば「人々の心の色」といった抽象的なものの色だって判るかもしれない、というわけだ。
で、早速「ぐるぐるイメージ」を使って
- 「エロ」 "○×○△"
- 「童話」 "fairy tale"
- 「心」 "heart"
- 「笑顔」 "smile"
そしてさらに、これらの画像に対して「9人の女神はピンク映画の夢を見るか?」で作成した色分布可視化ソフトMosaic(ニセモノ)を使って解析した結果が下のである。「エロ・童話・心・笑顔に伴うイメージ」の色分布をじっくりと眺めてみてもらいたい。まず、最初は「エロ・童話・心・笑顔」をそれぞれ(a*b*平面)に配置してみた。グラフ中の白マルはa*=b*=0の個所を示している。また、L*a*b*の色配置が判るように下にその色配置を大雑把に示してみた。
上の結果を眺めてみると、「エロ」は非常にシャープな分布になっていることが見てとれるだろう。薄いピンク色っぽい辺りに集中していることがはっきりと判る。明らかにそれは人の肌色に基づくものだろう。
また、「エロ」には青とか緑はほとんど含まれていない。「エロ」は青とか緑ではないのである。が、それに対して「童話」はきみどり辺りの比率が多い。
また、「心」はかなり広い分布を示し、色々な色がまんべんなく含まれている(採取枚数も他より多いこともあるが)。しいて言うなら「心」は黄色辺りに中心値があるように見える。なんと、「心の平均的な色」は黄色だったのである。
そして、最後の「笑顔」は黄色から緑辺りに向かう鋭い分布があることが見て取れる。それは人の顔色であるようにも思えるが、そうだとすると人の肌色を中心とする「エロ」との分布の違いにも着目したいところである。
また、(L*a*平面)で「エロ・童話・心・笑顔に伴うイメージ」の色分布を眺めてみたのが下のグラフである。見事なくらい「エロ」には青とか緑が含まれていなくて、暗からず明るからずといった明るさの色が多くて、ということが判ると思う。また、童話が比較的明るいみどり辺りに集中していたり、「心」はやっぱり広い色分布なんだ、ということが判るのである。
最後に、上の結果を大雑把ではあるがL*a*b*空間に配置してみたのが下の結果である。むちゃくちゃなやり方ではあるが、色空間の中で「エロ・童話・心・笑顔」といった抽象的なものの色が配置され、それぞれの色が何色であるかが判ると思う。「心」が「童話」と「エロ」の間に位置するなんて、何か意味深な気もするし、「エロ」と「笑顔」が結構離れているなんて、なんか笑っちゃう話のような気もするけれど、そういう想像は各人それぞれがする方が、きっと面白いに違いない。
というわけで、なにはともあれ今回の結果は
- エロ -> 薄明るいピンク
- 笑顔 -> みどり
- 童話 -> 明るい薄緑
- 心 -> 黄色
さて、余談ではあるが、ここのところ各社からインクジェットプリンターの新製品が発表されている。単に「いろいろな色が出せる」ということだけでなくて、「オレは心がこもった画像を出すから、黄色の表現性が良くなきゃこまるのだぁ」とか「オレはやっぱりエロ一筋だから、薄明るいピンクの階調性だね」とか、の基準を持ってみる、つまり自分が出す画像の色基準で機種を眺めてみるのも面白いかも、と思った。
ところで、今回の最初の疑問「心の色」については、答えはひとまず「黄色」ということになった。が、これはもちろん平均的には、という話にすぎない。色分布のグラフでも、「心の色」は幅広く分布していたことが判ったし、実際人の心なんてとっても幅広い分布をしているに違いない、と思うのである。一人一人の中だけでもそうだろうし、色んな人がいればもちろん色んな色があるだろうし。十人十色というくらいだしね。
2002-09-03[n年前へ]
■紙・かみ・カミ
そういえば、先週は「紙」がつきまとう一週間だった。ビッグサイト「プリンテック」で紙の商売をいろいろ眺めたり(それにしても、サカタインクスは技術マニアだなぁ…、なんていうか…)、「電子ペーパー」の合宿セミナーに参加したり、「紙でやる意味のあるモノを」という打ち合わせをしてみたり…。
2002-11-23[n年前へ]
■プリント・お値段鑑定団
ポッキリ価格で「書式設定」
年末も近くなると、色々な報告を行う機会が多い。で、PowerPointなどのソフトウェアで適当に発表用の資料を作ることになる。最近だと、発表自体は液晶プロジェクターを使って行われることが多い。とはいえ、たいていの場合、紙の資料も一応配布されることになる。準備期間も十分にあるような報告会の場合だと、発表に使うPowerPointのファイルと配布用の資料は別々に作るわけだけれど、そんな準備時間が無い場合には、発表に使うPowerPointのファイルをそのまま配布用の資料として使ってしまうことが多くなってしまう。そして、報告会の前夜にその資料をひたすらプリントアウトすることになる。
ところが、発表資料の背景にカラフルなものを使ってしまうと、例えば上のようなPowerPointの発表資料を使ってしまうと大変なことになる。配布用の資料を印刷している最中に、「○×色のインクがもうほとんどありません」とか「○×色のトナーを補充して下さい」といったメッセージをプリンターが表示するようになるのだ。つまり、あっという間にインクやトナーが無くなってしまうのである。単にそんなメッセージを表示するだけならばいいのだけれど、もちろんインクやトナーの補充をしてやらなければならない。しかも、そんな消耗品はとても高いのである。本体が15万円位で、消耗品も15万円位なんていうものだってあるくらいなので、つまりはお金に翼が生えて飛んでいってしまうのである。
しかも、インクカートリッジには「5000枚印刷できます」なんて書いてあったとしても、何故かたいていの場合あっという間にインクなどが無くなってしまうのだ。で、不思議に思ってよく眺めてみると、小さく(画像比率5%の場合)なんて書いてあるわけである。上に挙げたような配付資料の場合、画像比率(紙の中のインクが使われる領域の割合)は5%どころでなくて、ほとんどの部分にインクが使われているわけで、それではあっという間にインクが無くなってしまうのは当たり前なのである。
とはいえ、これではまるでボッタクリバーのようではないだろうか。店の看板に「飲食料金1980円」と書いてあるくせに、実は小さく(小食・下戸の方の場合)なんて書いてあるようなものだ。いや、もちろん飲み食いした分だけ支払いをするのは当たり前なのだけれど、その料金の目安くらい先に教えて欲しいわけだ。支払いをする段になって、イキナリ「トータルで3万円になります」と言われても困るのである。それなら最初から、「ビール一本二千円、ポッキー一本二百円」とちゃんと書いて欲しいわけなのである。プリンターだって同じように、やはりプリント前に、「これを印刷するとこの位インクを使います。だから、○×円位になります。」と教えて欲しいわけだ。
というわけで、「プリント・お値段鑑定団」ソフトウェアというものを作ってみた。これは、画像ファイルを読み込んで、その画像を出力したときに、どの位インクを使うかを調べ、それを出力した時の大体の値段を計算してくれるものなのである。例えば、PowerPointからTIFFファイルに印刷結果を出力するTIFFプリントドライバーや、Bitmapファイルに印刷結果を出力するBitmapプリントドライバー、あるいは、PDFプリントドライバー+PDF2BMPのようなもので、前もって印刷画像を画像ファイルにしてみて、それを読み込んで、カタログに記載されているインクや紙の値段を設定すれば、「これを印刷するとお勘定はこの位になります」と教えてくれるわけなのである。
例えば下に示すように、左のPowerPointのファイルを出力してみると、右に示したように「どの位インクを使用するか」「この一枚で印刷のお値段はいくらになるか」を教えてくれるわけだ。ここでは、インクの使用量はトータルで110%(インクは重ねて使用されるから当然トータルでは100%を超える場合も多い)程で、ここではちょっと高めのカラーLBPの消耗品価格を使って計算してみた場合、一枚60円程になることが判る。資料が10ページだと×10で600円ナリ、それが20人分だとさらに×20で一万二千円ナリと判るわけだ。ムチャクチャ高いのである。
で、こんなお値段を意識してしまうと当然こんな書式で印刷なんかできなくなってしまう。というわけで、最近ではPowerPointで使う書式といえば、下に示すもちろん背景は白のこの書式になってしまったのである。ちなみに、この書式で計算してみると、印刷のお値段は「一枚で10円ほどナリ」ということで、×10ページ×20人でも二千円ナリで格安お値段に抑えられているのである。
「PowerPointは書式は後で変えることができる」と言っても実はその機能は不十分なので、実際には一度作ってしまった資料の書式を変えることは難しい。だから、PowerPointで資料を作る際には、もう最初からこの「この書式は印刷すると、この程度のお値段になります」というのを見ながら書式を選んでみるのも良いのではないだろうか。
下に二つほど例を示したように、「目に優しかったり」「一見エコロジー風」な書式が、財布にはあまり優しくなかったり、ほとんどボッタクリバーのようなお値段設定になっていたりするので、ぜひぜひこれからのPowerPointにはこの「書式・お値段プロパティ」も実装して欲しいと思うのである。ポッキリ価格で「書式設定」をできるようにして欲しいものなのである。
さて、年末が近づくと、年賀状をせっせとプリンターで印刷する人も多いに違いない。そんな人は、印刷するといくらぐらいかかるかをこの「プリント・お値段鑑定団」ソフトウェアでも使って大雑把にでも計算してみるのも面白いと思う。最近では、自分でデザインした年賀状をとても安い値段で印刷してくれるサービスもあるし、年賀状作成からポストへの投函までも全部やってくれるサービスもある。さてさて、いつまで自分の家でプリンターを使って年賀状を印刷する人たちがいるのだろうか。そこら辺のことはとても知りたいところなのである。
2002-12-07[n年前へ]
■私たちの手で全てを描く
ATOK数式処理プラグインを作る
大雑把に言えば、「ノートや本で使われている紙」を使うときには「読む(表示する)」「書く(記録する)」という大きな二つの目的がある。もちろん、紙自体には「拭く」とか「包む」とかいった重要で欠かせない役割がある。しかし、トイレットペーパーじゃあるまいし、「本のページでお尻を拭く」なんてのは何かが差し迫ったよほどの非常事態でなければ、絶対しないに違いないのである。とりあえず、「読む・書く」というのが二つが重要なところに違いない。
しかも、もう少し考えてみると、結局のところそれらの目的・用途は
- 自分で何かを書く・描く
- 他人の何かを読む・見る
で、重要なことは紙はこれらの目的の中で「書かれたり、描かれたり」はしているけれど、決して「書いたり、描いたり」はしていないのである。紙の上には文字や言葉やあるいは絵がスラスラと書かれていくわけだけれど、それらの文字や言葉や絵といったものを描いているのは決して紙ではないのである。それらを実際に描いているのはペンであり、そのペンを持っている私たちの手なのである。紙の上に色んなものが描かれていくけれど、それらは単に紙の上に描かれているだけで、全てを描いているのはペンを持った私たちの手なのである。
だから、アランケイが提唱したダイナブックに近づきつつあるタブレットPCなんかものを眺めていると、それはあまりに多くの役割を「ブック=紙」に求めすぎているんじゃないのかなと感じてしまう。「読む(表示する)」「書く(記録する)」という役割を全部求めようとすると、私たちの「手」で使う道具にしては「重く」なってしまうんじゃないだろうか、と思ったりするのである。それでは、私たちの手で持つ軽いペンではなくて、まるで手で抱える重くて厚い本になってしまうんじゃないだろうか、と思うのだ。あるいは、もしかしたら「読む」ことに重きをおいていて、「書く」ことを無意識に軽んじているのかもしれない。
だから、「ペンが紙の上でどういうものを描いたり動いたりしたかをペン自身が覚えていて」「必要なときに、無線でPCにそれらが描いたものやペンを持ったての動きを転送する」というアノトの電子ペンなどを見ると、逆にとても面白いなと感じるのだ。こういうものだったら、自分で何かを書いたり描いたりする際にとても役に立つ「私たちの手の一部としての賢いペン」になるかもしれない。
ATOK数式処理プラグイン
そういえば、PC上で動いてはいるのだけれど「IMEなどの日本語入力システム」だって「私たちの手の一部としての賢いペン」に違いない。例えば、それらの日本語入力システム無しには、「自分で何かを書く」際に難しい漢字を書くことはきっとできないと思う。私たちが曖昧に頭の中に思い浮かべた日本語をタイプすると同時に日本語入力システムがちゃんとした漢字に変換することで、私たちの言葉が次々ときちんとした漢字でタイプされていくのである。つまりは、日本語入力システムは私たちの手の一部としての「辞書内蔵の賢いペン」なのである。
ところで、事務処理や技術的な仕事に携わる人であれば何かの計算のために電卓を使うことも多いに違いない。PCを使いながら、そんな計算をしたいときにはどうするだろう?私はこれまでコマンドラインクイック起動のバーでcalcとタイプして電卓ソフトを起動していたのである。そして、電卓ソフトに数字を入力して計算をしていた。
しかし、こんなことをしているとちょっと何だか変な気分になるのである。どうして、電卓の進化した姿であるハズの二十一世紀のコンピューターで、わざわざ電卓ソフトを立ち上げなければいけないのだろう?しかも、その電卓ソフトは昔ながらの電卓そのまま(なおかつホンモノよりもちょっと使いにくい)なんてとても変じゃないだろうか?何でもっと、楽に手軽に計算ができないのだろうか、とワタシは思ったりするのである。
というわけで、試しに日本語入力システムであるJUSTSYSTEMのATOKに「数式処理機能を追加するプラグイン」を作成してみた。通常の日本語入力システムは「辞書内蔵の賢いペン」であるわけなのだけれど、このプラグインを追加すれば、ATOKは「高機能関数電卓内蔵の賢いペン」に早変わりするのである。
- ATOK11以降に数式処理機能を追加するプラグイン(変数代入機能付き(Win98対応版) お勧め)
- ATOK11以降に数式処理機能を追加するプラグイン(変数代入機能無し 一番最初に作ったバージョン。軽いのが好きというなら)
これを使えば、文章作成中に計算をしたくなった時には、例えば
1/year= 0.00273972602739726と表示されるわけだ。sin()やcos()といった関数やpiなどと言った定数も使えるので、普通に使われるような計算であればタイプすると同時にすぐに答えを得ることができるのである。通常の日本語変換システムが「私たちがタイプすると同時に漢字に変換する」のと同様に、「私たちがタイプすると同時に数式計算をしてくれる」のである。これで、やっとPCを「計算機内蔵の賢いペン」として使うことができるわけだ。
とはいえ、こういう色んな「賢いペン」を使ったところで、結局のところそれらを描いているのはそのペンを持っている私たちの手であり、私たち自身である。書かれたり描かれていくものはペンが描いているわけではなくて、私達自身が描いたものなのである。私たち自身の心が何かを感じ、私たちの頭が何かを考え、そして、私たちの手が全てを描くのである。
2002-12-14[n年前へ]
■リフィル(詰め替え)インクについて考えるのページ
Rechargerの定期購読者でもあるワタクシ。もちろん、リフィル(詰め替え)インクについて考えるのページにはとても興味を惹かれるのである。