1999-08-25[n年前へ]
■インラインスケートの力学 (初心者編)
つま先立ちの180°ターン
今回は滑る道具の話である。シャレではないが、私はスキーが好きだ。そして、最近インラインスケートを始めた。使っている道具はこんなものである。
- Dynastar AssaultSuperior
- Hart FreeLaunch
- K2 BING AIR
Dynastar AssaultSuperior (右) Hart FreeLaunch (左) | K2 BING AIR |
それぞれの滑走接地部の長さはDynastar AssaultSuperiorが185cm程であり、Hart FreeLaunchが110cmである。K2BING AIRは26cm位だ。
Dynastar AssaultSuperiorの長さを1とすれば、Hart FreeLaunchは長さが0.6程度である。半分とは言わないが、かなり短い。75cmも違う。しかし、この程度の長さにしたくらいではそれほど不安定になるわけではない。特にHart FreeLaunchは安定性が抜群である。私もゲレンデで普通に滑っている限りでは、遅い方ではないと思うが、特に不安定になることはない。不安定だと感じるのは、コブ斜面で、なおかつ、雪が積もってコブの形状が見えない場所を滑る場合などである。それほど、安定感があるのである。
そして、スキー板が短いため、ターンのしやすさといったら素晴らしいものだ。1つのコブの上で、2回3回とターンが出来る。
さて、今回の本題のインラインスケートはと言うと、かなり接地長さが短いため、さすがにスキーに比べて不安定さを感じる。とはいえ、思ったよりも不安定ではなかった。(初心者の頃の)スキーで曲がる時のことまで考えたら、もしかしたら、スキーよりも転びにくいかもしれない。急角度のターンのしやすさといったら、Hart FreeLaunchの比ですらなく、瞬時の180°ターンなども簡単である(私は上手くないが)。
今回はインラインスケートにおける瞬時の180°ターンの力学について考察を行ってみたい。瞬時の180°ターンに必要なことは以下のようなものである。まず、前向きに進んでいる状態から瞬時に後ろ向きになって進む場合を考えてみる。状態の変化は以下のようなものだろう。
- 前向きに進んでいる。
- スケートを瞬時に回転させる。
- スケートが180°回転した、すなわち、反転したところでスケートの回転を停止させる。
- そのまま、後ろ向きになった状態で進行する。
- 前向きに進んでいる。
- スケートブーツの爪先で立つ。
- スケートブーツが勝手に180°回転し、反転したところでスケートブーツの回転が勝手に止まる。
- いつのまにか、後ろ向きになった状態で進行している。
まずは、足を回転させてみると、その回転軸は下の図で紫の円で示したような場所に位置することがわかる。土踏まずと中指の根元の中央辺りである。
誰がなんと言おうとこれは「足」 |
この図を「インラインスケートのブーツを履いた場合」で示したものを以下に示す。
それでは、つま先で立ってみよう。どういうものに近似できるだろうか?
何か見覚えがないだろうか? そう、台車の足部分である。ここまでくると判りやすい。台車の場合で考えれば、良く実感できる筈である。
それでは、簡単な力学計算をしてみる。「足の回転軸」と「地面に接触しているローラ部分」を拘束系の剛体問題と考えてみよう。インラインスケートのローラは「足の回転軸」と「地面に接触しているローラ部分」を結ぶ方向にはいくらでも回転できる。したがって、転がり摩擦を無視すれば、その方向に関しては「地面に接触しているローラ部分」は地面からは何の力も受けない。しかし、ローラは「足の回転軸」と「地面に接触しているローラ部分」を結ぶ方向と直行する方向には回転することができない。したがって、その方向へ地面から力を受けることになる。滑っている人の速度をVとすれば、「地面に接触しているローラ部分」が「足の回転軸」と「地面に接触しているローラ部分」を結ぶ方向と直行する方向に受ける力はVsinθである(シータは文字化けしそう...)。
もうここまでくれば、一目瞭然である。「インラインスケートを回転させる力」であるVsinθ(シータは文字化けしそう...)をグラフにすると以下のようになる。ここで、θ(シータは文字化けしそう...)がPiを過ぎたところで、-Vsinθ(シータは文字化けしそう...)になっていることに注意してもらいたい。
このグラフは縦軸が任意単位の「インラインスケートを回転させる力」を示しており、横軸がインラインスケートの回転軸に対する角度である。ちょっとでも、インラインスケートが回転軸に対して傾くと(θ(シータは文字化けしそう...)=0でなくなると)つま先を後ろへ向かせる方向へ力が働き急激に回転する。そして、つま先が真後ろを向き始めるとその力は弱くなる。つま先が真後ろを向いたところで、その力は0になり、もし回転しすぎると、また、真後ろへ戻す力が働く。そなわち、つま先が真後ろへ向いているのが非常に安定なわけである。
というわけで、インラインスケートで前進中に爪先立ちすると、何も考えなくてもちょうど180°回転してくれるというわけである。もちろん、後ろへ進んでいるときに回転したいならば、進行方向側のかかとで立てば良いわけである。
今回の話はひとまずこんなところである。
1999-09-05[n年前へ]
■ACIIアートの秘密
画像をASCII文字に変換するソフトを作ろう
ASCII文字で描かれたモナリザを初めて見たのは、まだ大型コンピューターしかなかった頃だ。当時、記憶媒体の紙テープをパンチした紙くずと、ラインプリンタから出力されたASCIIアートで遊んでいた。
今回ASCIIアートを用いていくつか実験をしてみたかったので、画像をASCII文字に変換するソフトウェアを探してみた。例えば、
- 清竹's テキスト絵 HPリンク集 (http://www2.nkansai.ne.jp/users/kiyo/ )
子どもである作成したソフトウェアは以下だ。もちろん、フリーウェアだ。ただし、いつものごとくアルファ版の中のアルファ版なので、再配布は禁止である。ここからいくらでもダウンロードできるので、構わないだろう。
さて、このソフトウェアは画像をASCII文字に変換して表示・保存することができる。変換の仕方は、- 白背景に黒文字
- 黒背景に白文字
- 白背景に色文字
- 黒背景に色文字
- Windows Bitmap形式
- Text形式
- Html形式
画像を読みこむには標準ではWindowsBitmapのみであるが、Susieプラグインを用いれば、色々な画像形式に対応することができる。
使用手順は以下の通りだ。
- image2asciiを起動する。
- OpenFileボタンを押して、画像を読みこむ。
- Fontボタンを押して、フォントを選択する。(このソフトは使用するフォントの濃度カーブを計測し、正確な画像再現を狙うのだ!!)
- 画像変換モードを選択する。
- ImageToAsciiボタンを押して、変換を行う。
- 必要であれば、SaveFileボタンから適当な形式で保存を行う。
動作画面例は、例えば以下のようなものだ。
Text形式で保存した場合のサンプルはこんな感じだ
Html形式で保存した場合のサンプルも示しておく。白黒文字への変換モードであればテキスト形式で保存するのが良いと思う。白黒文字の場合にスペースが変換画像中に含まれていると、画像ずれが生じてしまうからだ。これも簡単に直せるのであるが、直すのは次回にしておく。慣れないプログラミングを一気にしたせいで疲れてしまったのだ。もしすぐに使いたい方は、エディターで適当に置換すれば良いと思う。 さてさて、このプログラムを作成した理由は、これを用いて実験を多々行ってみたいからなのである。キーワードは、デバイス、ガンマ、安定性、逆問題、色空間...である。というわけで、続きは次回に...
2000-08-04[n年前へ]
■あなたの声が、すぐそばにある
エジソン式コップ蓄音機の逆襲
前回、
で学研の「大人の科学」の中から「エジソン式コップ蓄音機」を購入して組み立ててみた、という話を書いた。今回はその続編である。前回は組み立ててはみたが、なかなか良い音を録音・再生することができなかった。しかし、「エジソン式コップ蓄音機」の実力はそんなものではないわけで、今回はその「逆襲」というわけだ。 一応念のために、前回組み立てた「エジソン式コップ蓄音機」の写真を下に示してみよう。
蓄音機の上の部分が「マイク兼スピーカのカップ」、そして輪ゴムで押さえた針がそのカップに取り付けられ、録音メディアとしてのプラスティックカップがその下で回転している。何とも素朴な「科学おもちゃ」である。懐かしの「科学教材」なのである。
下の写真はこの「エジソン式コップ蓄音機」で「音を再生しているところ」である。この写真もまた、前回のページに載っけていたものである。
ところが、「エジソン式コップ蓄音機」の開発者の方がこの写真を見てこんなアドバイスを下さった。
さて、拝見した「エジソン式コップ蓄音機」の溝写真から判断すると、針先が痛んでいるように思えます。ちなみに、切削音はほとんどしないはず(削りかすもあまりでないはず)です。確かにこの写真には削りかすがずいぶん写っているし、ガーという切削音のノイズも凄かった。再生音に対する前回の私の感想は、普通に針先を見てもなかなか判りませんが、顕微鏡で見るとイッパツです。
大きい声で歌っても、再生される「歌声」はとても小さい。いや、再生される「音」はうるさいくらいに大きいのだけれど、「歌声」はかすかにしか聞こえない。と書いてある。しかし、これはどうやら私が作ったものが上手く動かなかっただけのようである。話を伺ってみると、普通は簡単にキレイな音が再生されるものらしい。おそらく、雑に組み立てた私が、どこかで針先をダメにしてしまったのだろう。
なるほど、確かに学研のサイト
- エジソン (http://kids.gakken.co.jp/kit/otona/edison/edison_index.html )
そして、なんと心優しい開発者の方は新品の針まで送って下さったのである。
そして、実は私の手元にはこんな素晴らしい顕微鏡まである。そう、4年の科学2000/04付属の科学教材である。もう、針先を調べないわけにはいかないだろう。というよりは、「この顕微鏡を使って針先を調べないと、怒るよ怒るよ。」と言っているかのような素晴らしいシチュエーションである。もう、調べないわけにはいかないだろう。
というわけで、この素晴らしい顕微鏡を使って針先を見てみたいと思う。早速、「二本の針先」を顕微鏡を使って見てみたものが次の写真である(ホントは違う顕微鏡を使った)。
実はこの針先というものは、あまり鋭くないことがわかる。「付属していた針」も「送って頂いた針」の方も針先は実は平らになっているのだ。もしかしたら、繊維の中に針を通す時には、あまり針先は鋭くない方が実は良いのかもしれない(実はK氏のアイデア)。例えば、繊維の隙間に針を通すようにするために、針先をわざと丸めているなどの理由があるのではないだろうか?木の繊維にそって曲がっていく釘があるように、この針先も繊維を避けながら進むために先を丸めていたりはしないのだろうか?
また、この写真は左右とも同じ倍率である。ということは、ずいぶんと「付属していた針」と「送って頂いた針」で太さが違うことが判るだろう。また、太さと同様に針先の形状も若干違うこともわかる。「付属していた針」の方は円錐の先をスパッと切り取ったような形状をしている。そして、針先には若干のバリがある。一方、「送って頂いた針」の方は円錐の先を丸めたような形状になっている。針先に鋭い部分やバリなどはあまりない。この差は非常に気になるところだ。
ちなみに、「同倍率で撮影したカッターの刃先」はこんな感じだ。もうメチャクチャ鋭いのである。
さて、すぐに送って頂いた針先に交換して録音をし直してみたいところだが、今回は針先は変えなかった。先ず、現時点でどのような現象が起きているかを、調べておきたかったのである。そこで、
- 針先がカップに接触する角度を寝かせる
- 録音時は針を支持するアームがぶれないように固定する
「ノイズがある場合」と「ノイズがない場合」では、ずいぶんと録音溝の様子に違いがあることが判る。もう「ノイズが多い場合」の方では見るからにノイズが多そうであるし、録音溝が無数の傷がついてしまっている。そして、「ノイズがない場合」の方は見るからに「クリアな音」が出そうである。おそらく、「ノイズがある場合」には針先が妙に引っかかりやすくなっているために、こんな無数の傷ができてしまうのだろう。
参考までに、「ノイズが無い場合」の録音溝の断面を撮影したものが次の写真である。写真では判りにくいと思うが、録音溝は中央部がえぐれ、その周囲が盛り上がっている。
(倍率がもう少し高い) |
また、直感的に想像できるように、この録音溝は針先の平らな部分とほぼ同じ大きさであった。判りやすいように、
- 針先 - 「ノイズがない場合の録音溝」 - 「ノイズがある場合の録音溝」 - 録音溝の断面
この写真を眺めていると、「針先のバリがマズイのではないか?」という想像が強くされるだろう。「針先のバリ」が引っかかることが不安定性の全ての原因であり、この針先の平らな部分を丸めてバリをとってみた場合には、キレイな音が出るようになるのではないかという気がしてくる。そこで、針先のバリを取ってそして新しい針との比較をするとどうなるか、それを次に調べてみたい。
とはいえ、このページもずいぶんと写真が多く、思いページになってしまった。そこで、この続きは次回行うことにしたい、と思う。
さて、今回「エジソン式コップ蓄音機」を使って録音実験を繰り返すために、私は近所の100円ショップで10個100円のプラスティック・コップを山のように買った。何しろ、この録音作業はやり直しがきかない。一回、ミスったらそのカップはもう使い物にならないのである(録音用には。もちろん、通常の飲み物の入れ物としては使える)。
100円で10個、つまり1個10円だから、録音可能な時間あたりのカップ単価を考えてみると
- 10円/0.5分
- 10円/7.4分
さて、今回「エジソン式コップ蓄音機」に録音してみた音の再生音はこんな感じだ。ちょっとサイズが大きいが、是非聞いて頂きたいと思う。開発者によれば、「普通に作れば肉声に近いほどのハイファイ音が聞こえる」とのことなので、この再生音は上手く作れなくてもこの位の音は聞こえるという例として考えて欲しい。
こんな「エジソン式コップ蓄音機」のとても素朴な作りの見かけにしては、結構再生音はきれいに聞こえるものだ。まだ、針先を変えていないので、まだまだ変な音であるが、ぜひぜひ静かな部屋で耳をすまして聞いてみてもらいたいと思う。鈴木祥子歌う「あなたを知っているから」の最後のリフレインがあなたの耳にも聞こえるだろうか?耳を澄ませば、こんな言葉が聞こえてくるはずだ。あなたの声がすぐそこにある。
心の中のすぐそばにある。
2000-09-26[n年前へ]
■高鳴る鼓動は何のせい!? 心電図編
力尽きた時はその時で、笑い飛ばしてよ。
「人間は生まれた時は自由である。しかし、いたるところで鉄鎖に繋がれている。」といったのはルソーである。確かに、その通りだ。生まれたばかりの赤ちゃんの全裸ヌードは、朝からテレビで放送されているのに、大人の全裸ヌードには必ずと言って良いほどモザイクなどが掛けられてしまうのである。どちらも同じ全裸ヌードにも関わらず、生まれたばかりの時と大きくなってからでずいぶんと扱いが違うのである。「人間は生まれた時には自由なのに、大人になると規制がかかってしまう」のである。ルソーの言った通り、映倫やビデ倫が大人になった人間には規制をかけてくれるのだ。
ところで、少なくとも昔の私はこんな規制が全く不必要であった。といっても、聖人君子のような悟りを開いていたわけではもちろんなくて、それには深い事情があったのである。
高校時代の体育の授業で体操をしていた時のことだ。確か前宙か何かに失敗して私は頭からマットの上に真っ逆さまに落ちた。ちょうど、横溝正史の描く「湖面の上に足だけを付き出した死体」のように私はマットに突っ込んだのである。いや、その時は冗談で無しに一瞬自分が死んだかと思ったくらいだった。「どうせ死ぬならもっと格好良い死に方をさせてくれぇ」と思うくらいのヒドイぶつかり方だった。その時は、ズキ・ズキ・ズキ…と死ぬかと思うほどのヒドイ頭痛に襲われたが、それも結局30分位でなんとか治まったのである。少なくとも、その時には「治まった」と思ったのである。
ところが、その後遺症はすぐに(?)私の目の前に現れたのである。何とも、その後遺症はイヤな再登場をしたのであった。
深夜TV、いや11PMか何かだったか、とにかく何かのテレビを私が眺めていると、大胆な水着の女性が登場した。私の「血圧も心拍数も心持ちアップ(従来比)」した、と思った瞬間、ズキ・ズキ・ズキ…とあの死ぬかと思ったヒドイ頭痛が再登場したのである。別にアンコールをしたわけでもないのに、勝手に頭痛が再登場したのである。全然大胆な水着の女性を眺める暇なんかもなくて、私はただ頭を抱えて転げ回るだけだった。
この頭痛はこの一回ポッキリでなくて、私が少しでもエロを感じるたびに再登場した。もうエロビデオ何か見ようなどととしたらもう大変である。映倫のモザイクが登場するより早く、私の頭の中の倫理協会の拒否権が発動されるのである。映像美に私の心臓が「ドキ・ドキ・ドキ…」とときめいたりするとモウ大変、悪さをした孫悟空が三蔵法師に緊箍(きんこ)を小さくされて苦しむように、私も同じく七転八倒しなければならないのである。映倫やビデ倫のモザイクはただ見えないだけであるが、私の心の中の倫理協会は肉体的な制裁まで加えてくれるのであった。真夏のただでさえ暑くて心臓がドキドキしている時なんかに、エロビデオを見ようなんて思ったらもう大変、百発百中病院行きだったのである。
その後、私は頭痛に苦しめられるたびに病院へ行った。医者はその度「どうしました?」と聞くわけであるが、そう言われても私も困ってしまうのである。まさか、「テレビのエロシーンに興奮したら、ひどい頭痛に襲われました。」などと答えるわけにはいかない。いや、もっとはっきり言ってしまえば「宇宙企画のビデオに興奮して、頭痛に襲われました。」などと言うわけにはいかないのである。
そんなことを言ったら最後、「宇宙企画のビデオに興奮って、アンタそれでは変態ロリ野郎ですよ。」等と医者に言われかねない。それどころか、「頭痛ってアンタそりゃ、天罰ですよ。ヘッヘッヘ…」などと医者に言われかねないのである。しょうがないので、私は「いや、なんか急にちょっと頭痛がして…」などと体中にダラダラと汗をかきながらウソをつくしかなかった。当然だとは思うが、間違っても
エロビデオに興奮 -> 心臓ドキドキ -> 頭痛ズキズキという、うれし・恥ずかしフローチャートを告白するわけにはいかなかったのである。
結局、何回か脳波検査等を受けたりはしたのであるが、結局よく判らないままだった。どんなときに頭痛が起きるかを正直に言わず、ウソばかり喋る患者だったのだからしょうがないかもしれない。それでも、数年の内にいつの間にか直ってしまった。ともあれ、一時は心臓がドキドキと打つ心拍音を気にしながら、11PMを見たりしていたのであるが、いつの間にか堂々心拍数を気にせず見ることができるようになったのである。
そんな過去を思い出したのは夜の仕事場でだった。その時、私はとあるセンサ用の回路をせっせと組み立てていた。その時にBURR-BROWNのINA118という石を使ったのであるが、このデータシートには何とこんな使用回路例が載っていたりするのである。もともと、微小電位増幅用の石だからとても自然な応用回路例ではあるのだが、やはり回路図の中に人間が登場すると何故か笑ってしまう。疲れてハイになっていた私は大笑いすると共に、心電図や脳波検査を受けた昔を思い出したのであった。
http://www.burr-brown.com/WebObjects/BurrBrown/download/ DataSheets/INA118.pdf |
この回路は人間の体の微小電位を増幅して計測してやる回路であるから、この回路を使えば人間の体の電気的な活動を見てやることができる。この手のことが詳しくやりたかったら、やはり「今日の必ずトクする一言」とか「魅惑の似非科学」といったところを眺めると良いと思う。
ともあれ、かつて私は
エロビデオに興奮 -> 心臓ドキドキ -> 頭痛ズキズキという「うれし・恥ずかしフローチャート」に苦しめられていたわけであるが、逆にこの石を使って「心臓ドキドキ」を計測して、逆に「私の興奮度合い」を眺めてやろう、私は決意したのである。そして、私の興奮度合いだけでなくて他の人の興奮度合いも覗きまくろう、と考えた。
そこで、早速この回路図を元に組み立ててみたのがこの「Heartbeat1000」だ。安定性なんか無視しまくりのブレッドボード使用でそのくせGainは1000倍に変更という、無意味なエアロパーツを付けたヤンキー車のような仕様である。製作時間は本体が15分、さらに電極部分が30分というお手軽装置だ。
一応、電極部はこんなベルト固定式にしてあるので「誰でも簡単に使える」ようになっている。しかし、このベルトで体に電極を張り付けた状態というのはかなりサイバー(よく言えば)であり、他のもっと正直な言い方で言うとかなりアブナイ状態である。これを付けていると、それだけで受けが取れるのではないかと思えるほどだ。
それでは、早速この電極を胸に張り付けた状態でWEBサーフィンでもしてみることにしよう。自分の興奮度合いが丸見え状態での「うれし・恥ずかしWEBサーフィン」である。
まずは、自分のWEB「hirax.net」を眺めてみた。その時の「Heartbeat1000」の出力がこんな感じである。これが私の心電図というわけだ。左上の時間・電位レンジを見ると、
横軸が一マス一秒で、心拍が大体一秒間に一回で、その時に「Heartbeat1000」の出力にして5V程度のパルス(ゲインが結構高い)が出ていることが判る。この画面中では、13回心臓がドキドキしている。この画面は十秒間の記録画面であるから、一分当たりに直すと心拍数は78回ということになる。
縦軸が一マス5V
当たり前と言えば当たり前だが、自分のWEBを眺めてもそうそうドキドキはしない。とんでもないミスを見つけたりすると、ものすごくドキドキすることもあるが今回は軽く眺めただけなのでそんなドキドキは幸運ながらなかった。せっかくだから、自分のWEBを眺めて楽しくてドキドキしてみたいものではあるが、不幸なことにそんなことも全くなかった。実に残念なことだ。
そこで、次にZAKZAK(http://www.zakzak.co.jp/)でスポーツニュースを眺めてみた時の心電図が次の結果である。
こちらは、画面中の心拍数が14回であるから、一分に直すと84回である。さっきよりは幾分興奮しているようである。あくまで、ZAKZAKのスポーツニュースであって「ギャル満載」のコーナーでないということは、データの正確さの為にここに宣言しておきたい。
そして、最後に興奮しそうなスケベサイトということで、かつて一世を風靡し、インターネットの牽引役ともなった(言い過ぎか?)TokyoTopless(http://www.tokyotopless.co.jp/)を眺めてみた
こちらも、10秒間の心拍数が14回で一分当たりでも同じく84回だ。つまり、私はエロサイトを見ても「心頭滅却し火もまた涼し」状態で、何の興奮もしていないのである。少なくとも、私はZAKZAKのスポーツニュースと同じ程度にしか興奮しないようだ。私は正に聖人君子なのである。さすが、
エロビデオに興奮 -> 心臓ドキドキ -> 頭痛ズキズキという「うれし・恥ずかし聖人君子養成ギブス」で何年も鍛えただけある。もう、清廉潔白を絵に描いたような状態である。えっ、何やら「Heartbeat1000」の出力が何か不安定になっているって?どうみても興奮しているって?本当はこのあと興奮しすぎたせいで、データ取得ができなくなったんだろうって? いいじゃないの、そんなことは…
ところで、こんな風にオシロスコープの画面で自分の心臓が動くようす、自分の生きているようすを自分の目で見ているととても不思議な気持ちになる。私が興奮すれば、オシロスコープに描かれていく画面は高鳴る鼓動を見せてくれるし、何かに苦しめばやはり同じようにその変化を見せてくれるだろう。ただ規則正しくパルスを描くオシロスコープの画面を見ながら、色々なことを考えてしまうのだ。もし、このオシロスコープの軌跡が停止したら、どうなるだろうか?その時何を思うだろうか?
2001-08-31[n年前へ]
■モンロー・ウォークの伝説X
努力、天性、それともそれとも?
世の中には二種類の人間がいる。「オッパイ星人」と「ヒップ星人」だ。いやもちろん、そんな風に人間を二種類に分けられるハズもなくて、これは口からデマカセの大ウソである。とはいえ、そんなホラを吹く根拠が必ずしも無いわけでもない。
何故ならば、「オッパイ星人」シリーズの話を書くたびに、「胸のことなんかいいから、お尻のことを考えてるべきではないでしょうか?」というメールが届くのである。「私は揺れる(時には揺れない)胸よりも、プリプリ揺れるお尻にこそ断然目が引き寄せられます!」との意見も多いのだ。しかも、それが男性ばかりからというわけでもなくて、女性からも(もしかしたら、女性の方が多いかもしれない)そういったメールが届くのである。つまりは、男女を問わず、「お尻(ヒップ)星人= 」という異星人もまた地球上には生息しているらしいのである。
これまで、本「できるかな?」ではそんな異星人達を識別すべく、日夜戦いを続けてきた。ぼくの地球を守るべく、そんな異星人達の特徴を見つけ出してきたのである。例えば、オッパイ星人であれば、「オッパイ星人」達は「揺れ動くオッパイ」に目を常にロックインさせているという特徴を利用し、「視線が妙に上下・左右に揺れ動くエイリアン」達を見つけ出してきた。ブレードランナー(アンドロイドは電気羊の夢を見るか?)でアンドロイドを見つけ出す主人公さながらに、私は戦い続けてきたのである。そして、その主人公と全く同じく、最終的には私までもオッパイ星人であるかのような気さえするほどだったのだ。
私のことはさておき、それでは同じような戦法で「ヒップ星人」を識別できるものだろうか?「オッパイ星人」達は「揺れる胸の動き」に目をロックインさせていたが、「ヒップ星人」達はもちろん「揺れ動くヒップの動き」に目をロックインさせているハズだ。その揺れるくヒップの動きさえ調べてしまえば、「ヒップ星人」達特有の「奇妙に揺れ動く不自然な目」を見つけ出すことができるに違いないのである。結局は、揺れ動くヒップを調べさえすれば良いのである。
「ヒップ星人」達の憧れる「揺れ動くお尻」と言えば、それはもちろんマリリン・モンローに違いない。何しろ、お尻フリフリの象徴たるモンロー・ウォークの開発者なのだ(多分)。お尻フリフリ=マリリン・モンローと言っても良い位であるし、マリリン・モンローは「歩くお尻」と言っても良いくらいのハズなのである。
というわけで、今回は何はともあれモンロー・ウォークを調べてみることにした。まずは、下の写真が「有名なお尻フリフリのモンローウォーク」の後姿である。
もちろん、静止画ではその揺れ動くヒップを実感できるわけもない。なので、モンロー・ウォークのバイブルとも言われているらしい映画「ナイアガラ」の1シーンを抜き出してみた。上がそのままの速度で再生したモンロー・ウォークで、下が奇数・偶数フィールド分離処理をして、半分の再生速度に変換したものである。
何とも私には表現しづらいのだけれど、足の動きよりちょっと遅れてついてくる感じのお尻の動きが何とも言えずセクシーである。そのヒップの動きの素晴らしさ、じゃなかった不思議さをつらつらと考えてみたいのではあるけれど、それより先にちょっと不思議な話を考えてみる。まずは下調べ、とモンロー・ウォークで検索をかけると、例えばこんな情報がそこらかしこに見つかるのである。
<モンローウォーク/「ナイアガラ」ヒールの秘密>何と、マリリン・モンローはンローウォークのために右のヒールの高さを左のヒールより低くしていた、というのである。"Herfamous sexy walk was said to be aided by wearing very high-heeled shoes,with one heel a quarter-inch lower than the other"とか"shesawed a quarter-inch off the right heel of all her shoes to create thatswivel-hipped walk"という風に、どうやらその話は有名な話らしい。1/4インチだから、6mm程度マリリン・モンローの右のヒールは左より低い、というわけか。しかもそれは、先の「ナイアガラ」の歩くシーンを眺めれば確認することができる、というのである。スクリーンで見るモンローの魅力のひとつにモンローウォークがあります。ちょっと赤ちゃんみたいにヨチヨチ歩く感じ。それとボディのきれいなラインと豊かなバストがちょっと揺れるアンバランス感が魅力的な歩き方。「ナイアガラ」のワンシーンで、永遠とつづく道を歩いていく後姿のロングショットで、よく見るとハイヒールの高さが左右ちょっとちがうんです。どっちかが擦り減ってるとかじゃなくて、ちゃんと演出されているんだと思うんです。だから、靴の片方にだけ中敷をいれればモンローウォークの真似ができると思いますよ。
そこで、目を皿にして、マリリン・モンローの揺れ動くお尻(じゃなかったヒール)に目をロックインさせてみたのではあるが、速いしブレるしで、全然判らないのである。そこで、その走査線の狭間に隠された真実を暴くべく、奇数フィールドと偶数フィールドを分離してみたりしたのではあるが、やっぱり判らないのである。ちなみに、下の画像がフィールド分離をした上での静止画例である。果たして、あなたは右と左のヒールの高さの違いが判るだろうか?右のヒールの方が左よりも短い、と断言できるだろうか?
少なくともこの写真からは、私にはマリリン・モンローの右のヒールの高さが低いとは判断できない。まぁ、そもそも6mm程度の短さというのは、この動画から判断するのは無理なような気がしないでもない。
そこで、他の判り易そうな画像をGoogleのImage Searchを使って調べてはみたが、やはり実際のところよく判らなかった。比較的判別しやすそうな下の写真を参考までに挙げておく。ぜひ、じっくり目をこらしてヒールの高さを判断してみてもらいたい。
ナイアガラなどのシーンを自分の目で眺めて、片方のヒールが短くカットしてあると判断した人は本当にいるのだろうか?巷にはモンローの片ヒールカットの伝説が溢れていて、「ナイアガラを見れば判る」とその伝説は言うのだけれど、本当のところその伝説を確かめた人がいるのだろうか?それはまさに幻の都市伝説なのではないだろうか?
と、ここで終わってしまうといくら何でも私としても面白くないので、頭の整理も兼ねて、モンロー・ウォークの歩行模型を作ってみることにした。何しろ、映画の中にモンロー・ウォークのシーンがそれほどあるわけでもないし、それを眺めながらいろいろと考えるというわけにはいかないのである。ゆっくり動かしたり、色んな方向から眺めたりするには歩行模型を作るのが一番だろう。
となれば、人間の歩行模型と言えばやはりコイツだろうというわけで、Poserの歩行シミュレーションを使って、ちょっと遊んでみることにした。モデルのヒールの高さ(実際には足底の厚さ)を変えてみた場合と、普通の場合とを比べてみるのである。左が普通?の場合で、右が片ハイヒールカット(マリリンモンローの場合とは反対であるが左足)の場合である。
ふむふむ、確かに片ハイヒールカットの場合にはセクシー度がアップしているような気がする。なんと言うかプリップリップリップリッ…というか上品にオノマトペで言えば、プリップリップリップリッ…というか(全然変わってない)、
しかし、片ハイヒールカットをすればセクシーさが増すと言っても、実際のところマリリン・モンローのハイヒールの高さが左右不ぞろいになっているかは確認できていないのである。このままでは、砂上の楼閣ならぬ砂上のモンローウォークなのである。もしかしたら、マリリン・モンローの歩き方が特にセクシー度がアップしているのは他の原因があるのでは無いだろうか?果たして、他に可能性は無いのだろうか?それを少し考えてみることにしたい。
マリリン・モンローは比較的ぽっちゃり型であって、もともとお尻が少し大きいように私には思われる。言い換えれば、マリリン・モンローは安産型で骨盤が広いのである(多分)。腰の横幅が広いということは、どうしても左右の水平安定性に欠ける訳で、どうしても左右の腰の高さがユラユラとゆれてしまうのに違いないと私は思う。しかも、左右の腰自体の幅が長ければ、それが揺れたときの存在感もやはり大きいわけで、骨盤の長さが長くなると二つの独立した理由によりセクシー度がアップするハズなのである。ということは、骨盤の長さの二乗に比例してそのセクシー度はアップするハズなのだ。
そこで、そんな安産型の女性が普通に歩いた場合の後姿を同じくPoserで眺めてみることにしよう。ちなみにここでは腰の幅を10%程普通の場合よりも広くしてみた。すなわち10%アップの安産型お尻の場合である。
やはりお尻部分の横幅が10%アップしている分だけ揺れるお尻の存在感もアップしている。そして、さらにはお尻の動きが少し遅れているのか、こちらも方ヒールカットの場合と同じく、通常のフリッフリッフリッフリッ…に比べてセクシーなプリップリップリップリッ…のテイストを感じざるをえない。セクシー度は10%アップどころではなくて、30%くらいはアップしているような感覚さえ受けるのである。やはり、骨盤の長さの二乗に比例してそのセクシー度はアップする説は正しいに違いないのだ。
この歩行模型ではないけれど、マリリン・モンローの場合もやはり骨盤が通常よりも広く、ただでさえ歩くときに左右の腰の高さ、いやはっきり言えば左右のお尻の高さが大きく変わりやすく、通常のフリッフリッフリッフリッ…がセクシーなプリップリップリップリッ…に変化したのではないだろうか?方ヒール説も面白いが、この単に安産説だってとても自然だと思う。
ところで、もちろん先の片ハイヒールカット作戦をこの安産型プリップリップリップリッ…にさらに加えてやれば、もちろんもっと効果的なセクシー歩行になるわけで、それを実際に眺めて見たい!というわけでやってみたのが、次の比較である。何と言うか、普通の場合に対しても、さらには単なる片ハイヒールカットを行った場合よりも、安産型+片ハイヒールカットでセクシー度がますますアップしているように思われる。通常のフリッフリッフリッフリッ…が見事なまでに官能的なプリップリップリップリッ…に昇華していることが判ることだろう。
さらに 片ハイヒールカット を行った場合 |
本当のところ、今回映画や画像を眺めた範囲内では、マリリン・モンローの片ハイヒール伝説が本当なのかはよく判らなかった。「色々なことを考えている女性だった」というイメージにモンロー自身がしたかったり、あるいは周りがしたかったせいで生まれた伝説でないかとも思ったりする。もしかしたら、モンローは単にとっても安産型の女性だったせいで、あの歩き方になったのではないだろうか、とつまらなくも想像したりもする。
とはいえ、私も浪花節の好きな日本人であるので、単なる偶然のお話でなくて「そこに隠された物語」のある方を気に入ってしまうタイプである。なので、モンローは生まれ持った安産型の体型を、つまりモデルや女優にはウィークポイントになりがちな欠点を、苦悶の末に片ハイヒール作戦によって長所へと変えて、あの有名なモンロー・ウォークを開発したとプロジェクトX(もういいかげん止めて欲しいと切に願っているのだが)風に考えておくことにしたいと思う。あぁ、何てキレイなまとめ方だろう…。