hirax.net::Keywords::「小説」のブログ



2000-04-21[n年前へ]

オレにはヤツらが見える 

スギの花粉は「見える?見えない?」



 少し前まで、スギ花粉が飛びまくっていた。スギ花粉症の人にとっては、とても苦しい季節だろう。私の家族も結構スギ花粉症にかかっている。ということは、私もいつか苦しむことになるのだろう。いや、むしろブタ草を主因とする小児喘息で酸素吸入を繰り返した私であるから、まだかかっていないのが不思議なくらいである。

 さて、私の勤務先でもスギ花粉で憂鬱になっている人は多い。ヒドイ(もちろん症状が)人などは、この季節になると、

「今日はスギ花粉がいっぱい飛んでいる。」
「オレにはヤツらが見える。」
「ヤツらがオレに襲いかかってくるんだ。」
と囁き始めるのである。毎日、である。そういう時に
「誰かがオレの頭に電波を飛ばしてくる、という話に似ていますね。」
などとチャチャを入れると大変である。
「スギ花粉症にかかっていないやつに何がわかる!」
「オマエら、スギ花粉症にかかっていないものに、所詮ヤツらは見えないんだ!」
と言われてしまうのである。いや、確かに私には見えないのだ。ピンクの象が飛んでいるのが見えないように、スギの花粉も私には見えないのである。
「ほら、あそこにスギ花粉が見えるだろう」
と指さす辺りを眺めても、私には何も見えない。ただ、ボンヤリした霞が見えるだけである。仕方がないので、そんな時には、なおさら
「普通の人には見えないところなんか、ホント電波と同じですね。」
と言ってみたくなる。いや、私の性格からするともしかしたら言っているかもしれない。うん、言っているだろう。それどころか、
「その花粉を飛ばしてくるのは、宇宙人かナニかですか?」
と、火に油を注ぐようなことを言っているに違いない。しかし、その性格は親譲りだ(坊ちゃんじゃないけれど)。

 それはさておき、

「オマエら、スギ花粉症にかかっていないものに、所詮ヤツらは見えないんだ!」
と言われているだけではくやしいので、私もスギ花粉を見てみたいと思う。当然である。あらゆるものを「目に見えるかたち」にするのが私の好みである。というわけで、可視化シリーズの始まりである。いや、可視化という言葉はどうも小難しく感じるので、名前を改めて「見える?見えない?」シリーズの続きである。これまで、漱石の小説、星の王子さまの内側、透け透け水着、ミニスカートの内側…などさまざまなものを「目に見えるかたち」にしてきたが、その続きというわけだ。

 今回登場する、秘密道具はコイツである。
 

クリーンチェッカー CCW-101

  この道具は、チンダル現象を利用して微粒子を可視化してくれるのだ。というと、小難しく聞こえるかもしれないが、とても簡単な原理である。光を微粒子に当ててその反射光を目で見るだけである。もちろん、微かな反射光を捉えるわけであるから、

  1. 微粒子からの反射光以外は目に見えないようにする
  2. ボケを小さくするために、絞りはできるかぎり小さくする
などの工夫は必要である。以前、でレーザー・ビームプリンターやコピー機で使われるトナー粒子を可視化したのも基本的には同じ原理である。もちろん、「基本的には」である。

  さて、それではコイツでスギ花粉(らしきもの)を見てみよう。暗闇に浮かぶ「スギ花粉(らしきもの)」が見えるのだ。
 

「スギ花粉(らしきもの)」

 こういった感じでスギ花粉(らしきもの)を可視化することができる。といっても、この微粒子がスギ花粉である保証は「全く」ないのであるが、あえて「スギ花粉(らしきもの)」としておくことにする。ちなみに、この画像もスギ花粉の最盛期に撮影したものである。とりあえず、こうすればスギ花粉症のあなたの敵、すなわちヤツらを目にすることができるのだ。敵であるターゲットの姿を知らずして戦うことはできないだろうから、スギ花粉症のあなたにはこの実験をすることを強く勧めたい。この画像はデジカメで撮影したのだが、実際に人間の目で見ると、ものすごい数の微粒子が飛び回っているのがわかる。今回見えた画像がスギ花粉かどうかはさておき、こういった微粒子は部屋の中ではほとんど見られない。しかし、戸外ではかなりの数の微粒子を目にすることができる。

 もう一枚、参考までに示しておく。微粒子が動き回る様子が実感できるはずだ。こういう微粒子があなたの鼻や喉の粘膜に襲いかかってきているのだ。
 

飛び回る「スギ花粉(らしきもの)」

  これらの飛び回る「スギ花粉(らしきもの)」を撮影したmpeg動画(115kB)をここにおいておく。スギ花粉症の人はぜひ敵であるヤツらを自分の目で確認して頂きたい。

 さて、「可視化」シリーズ、改め、「見える?見えない?」シリーズはこれからも続く。ありとあらゆるものの「見える?見えない?」境界線を追求したい。どんなにクダラナイものであっても、あらゆるものを「目に見える」ようにしていきたいと思うのである。
 

2000-05-21[n年前へ]

hixの歩き方 

全文検索をしてみよう


  hirax.netのコンテンツ、といっても今のところ「できるかな?」しかない、も数が増えてきた。ページ数は増えてきたが、ごく短いページがほとんどである。というわけで、残念ながら内容はたいしてないのが残念である。しかし、内容がなくてもページ数が増えてくると、どの記事をどこに書いたか判らなくなる。あるいは、読むほうも同じだろう。「今日の必ずトクする一言」の「本ページのメニューシステムと逆リンクのナゾ」には

章があまりページに細分化されていない方がむしろ検索効率が良い。
と喝破しているがその通りである。私もトップのメニューだけは「ウナギの寝床メニュー(copyrightwww.tomoya.com)」を採用しているが、各コンテンツはそれぞれディレクトリを作って細分化させてしまっている。画像ファイルやバックデータとしてのデータファイルも使用する場合があるため、どうしてもそうなってしまう。
 もちろん、infoseekなどにも登録はしてあるから、ある程度の内容を検索することはできるのだが、残念ながらそれほど詳しい検索はできない。自分でも不便に思っていたこともあるし、この「できるかな?」を書き始めるきっかけを作って下さった方からアドヴァイスされたこともあり、、全文検索システム"namazu"をhirax.netにインストールしてみることにした。

 そこで、できた検索ページがここ(http://www.hirax.net/cgi-bin/namazu.cgi)である。こんなページである。
 

hirax.netの全文検索ページ

 使い方の詳細は"namazu"の検索式の詳細(http://www.namazu.org/doc/manual.html#query)を見て頂くことにして、まずは使ってみたい。「できるかな?」は科学サイトだと思われることも多い。いや、自分でもたまにそう思うこともあるのだが、全文検索をかけてみると少し違う結果が出た。
 

「科学」を検索した結果

 なんと、13ページしかヒットしないのである。おやおや?と思い、いくつかのキーワードで検索をかけてみた。それをヒット数順に並べたのが下のリストである。

  1. 画像 = 74
  2. 色 = 51
  3. 可視化 = 23
  4. 心 = 21
  5. プログラム = 16
  6. 科学 = 13
  7. 恋 = 12
  8. 漱石 = 10
  9. 水着 = 5
 こうしてみると、本サイトは画像関連の話が圧倒的に多く、過半数を占めていることがわかる。そして、実は「科学」より「心」を取り扱う話の方が多いこともわかる。「科学」を取り扱うのと同じくらいの頻度で「恋」を取り扱っていたりするのである。

 というわけで、「あれっ、あの話はどこにあったかな?」とか「この言葉に関係した話はあったっけ?」などと考えの際はここで調べてもらいたい、と思う。

 さて、こういう「検索システム」は「レーダー」と良く似ている。広大な霧の中から探しているものを見つけてくれるのである。この話の時に触れた富士山レーダーを思い出してしまう。

 いや、本当のことを言えば実は話の流れは逆である。新田次郎の小説「富士山頂」、いや元気象庁観測部測器課長であった藤原寛人の富士山レーダー建設を題にとって書いた私小説と言った方が良いか、の最後を読んでいて、検索ページを作ってみることにしたのである。小説の最後で主人公(藤原寛人)は自分を自由に泳がせてくれていた直属の上司と一緒に仕事ができなくなることに呆然とする。富士山レーダー建設をさせてくれたのもその上司あってのことだと感じるわけだが、時折私が強く感じることと重なってしまって(以下、略。)
 

2000-09-02[n年前へ]

もうすぐ二歳の「できるかな?」 

初心に帰ってみましょうか?


  「できるかな?」が始まったのは二年近く前の秋のことだった。

でも触れたが、当初(実は今も続いているが)は某社内の某サーバー内でこっそりと始めてみたのだった。それから二年あまりでずいぶんと色々な話が増えた。某社サーバー内でしかアップしていない
  • プリンタドライバーは仮免
  • 続 電子写真プロセスを分数階微分で解いてみよう
  • 続々 電子写真プロセスを分数階微分で解いてみよう
等の外部未公開の話も含めれば、もうすぐ200回近くになる。そして、公開場所の変化もあってずいぶんと話の傾向も変わってきた。最近では「ここのところの話題は何か変じゃないですか?hirabayashiさんどうかしたんですか?」とか、「大丈夫?hirabayashiくん?」などと言われる始末である。

 そして話が増えてきたせいか、自分自身でも「アレッ、あの話はどこにあったけ?」というように迷ってしまうことが多々ある。迷うどころか、最後まで見つからないこともしばしばあるのだ。そして、それは私でもない他の人であればましてやそうだろう。というわけで、

では簡単にそれまでの話の紹介をしたし、ではhirax.net内の全文検索機能を付けてみた。

 今回は、これまでの話題をもう一度自分で読み直して、その中から「自分のお気に入り」を調べてみたいと思う。そして、最近少し話題が変になってしまっている反省をして、もう一度初心に帰ってみようと思うのだ。

 まずは、1998年の話題からいくと

というあたりが、良い感じだ。京都の風物詩である「鴨川カップル」達が人目を気にしながら寄り添う合う姿を考えてみたものだ。後の「恋の力学」シリーズなどはここらへんから始まっていた、といっても良いだろう。そしてこの頃の[Scraps]系の話題としては、がある。少し前に、この「さなえちゃん」を描いた漫画の作者からメールを頂いたのがとても私には印象深かった。

 そして、1999年の上半期から選んでみると、まずは

というところだろう。ハードディスクの情報を可視化することで情報圧縮・エントロピーを考えてみた一話である。そして、同じような「可視化シリーズ」の一つであるはこの後「感温液晶はどこで売っていますか?」という質問メールを多々頂くことになった。そして、[Scraps]系のが私の「お気に入り」でもある。ここら辺から「できるかな?」の中に全然技術的な話題でない物が登場し初めたような気がする。

 そして、1999年の下半期はもう自分で言うのも何だが傑作揃いである。大体、書いているペースが自分でも驚くくらいのハイペースだ。月当たりの話の数を数えてみると、

  •  7月 9話
  •  8月 9話
  •  9月 8話
  • 10月 8話
  • 11月 11話
  • 12月 9話
という感じでいやもうビックリしてしまう。平均すると三日に一話である。どうも、本業が忙しいとそれに比例して制作ペースが増加するという、「恐怖の睡眠時間減少の法則」が成り立つようだ。

 この頃の「お薦めの話」はいっぱいある。例えば、

に始まった「文章可視化シリーズ」や、で始まった「ASCIIアートシリーズ」だろう。から始まる「江戸五色不動シリーズ」は江戸にロケまで行ったので、とても思い出深い話の一つである。しかも、妙な偶然のせいでまるで小説の中に迷い込んだような気持ちになったものだ。

 そして、WEBページを作る上では

などもどうしても外せない。そして、この後結構続くことになるという「恋の力学」シリーズもこの時期に始まっている。そして、この頃の一番人気が何と言ってもだろう。この「ミニスカート」系の話の流れは以降も続くことになるのが自分では意外でもあり、残念でもある。それはさておき、ナンセンス系ではなんてのも面白い話だと思う。そして、1999年の終わりはやはりこれが「お気に入り」の話である。また、[Scraps]系の話がこの時期にはやたらいっぱいあるのが面白いところだ。その内からいくつかピックアップするとこんな感じだろうか? さて、2000年上半期にもなると、すいぶんとペースも内容も落ち着いてしまう。その中でも、「恋の力学」シリーズに夏目漱石をトッピングしてみたという辺りは「文学と科学が合体」した話で、自分の中では書いてて結構面白かった話である。そして、ナンセンス系のもクダラナイところところが外せないと思う。そして、この辺りで始まり未だ継続中のは最近の変な流れを予感させるのが哀しいところである。

 さて、今回は2000年上半期までの話の中から「私の好きな話」を振り返ってみた。とはいえ、私の好きな話=他の人の好きな話ではないようだし、他の話も適当に眺めて頂いたら良いかなぁ(私が)、と思うのだった。
 

2001-01-04[n年前へ]

リアルな追跡劇 

 地道な追跡というのはミステリー小説よりわくわくしたりすることが多い。「カッコーはコンピュータに卵を産む」なんかその最たるものだし、一橋文哉の「小説」なんかもそうだ。荒唐無稽な映画「コンタクト」を観ながらこの手の話をリアルに描いたら面白いんじゃない(少なくともごくごく一部の人には)かとふと思った。

2001-08-07[n年前へ]

恋愛小説 

 北村薫の恋愛がかった小説はどうしても読みづらくて読んでいなかった。のだけれど、今日新幹線の中で読んだ「水に眠る」の中の第一話「恋愛小説」は好き。この小説は「電話、運命、響き」の三題話でしょうか。 from 文春文庫 北村薫 「水に眠る」



■Powered by yagm.net