2009-11-28[n年前へ]
■NEWS今昔物語「Googleも自分も変わる」編 (初出2004年4月00日)
5年前のNEWS(未来)を振り返ってみて思うこと
この後、まさか自分で「カメラ付き携帯版ヘア”スタイル”シミュレーション」ソフトを作ってみたりすることになるとは思わなかったし、まさか、直接「Googleが赤ちゃんだった頃」のサーバを眺めに行くとは思いませんでした。
ところで、「Googleが赤ちゃんだった頃」のリンク先は、結局、これからしばらくしてわかったことですが、偽装ブログでした。こうした、ネットワーク上の偽装行為の照会・対処の仕方については、具体的かつ詳細な(参照可能な)資料をもとにした、参考資料を作成中です。
私だけのGoogle検索
検索する人の嗜好に合わせた検索をしてくれる Google Personalized Searchが3月29日に実験公開された。 Google Personalized Searchに検索キーワードを入れて検索をし、どのくらい自分の嗜好を重視するか(Personalize)をスライダーで変えてみよう。すると、リアルタイムに「一般的な検索結果」から「私的な検索結果」へと入れ替わっていく。
こんな「アナタ嗜好のGoogle Personalized Search」で何かを探したら、検索結果に映し出されているのは実は「アナタ自身」だ。ヘンな検索結果が出てしまったなら、実はアナタがヘンなのだ。
携帯電話に「違う自分」が写る
三菱電機は、人工網膜LSIを使って撮影された顔をリアルタイムに似顔絵にする技術を開発している。カメラ付き携帯で撮影した顔が表情豊かで(カッコいい)似顔絵に変身。
大日本印刷もカメラ付き携帯版ヘアカラーシミュレーションを発表しているし、ヘアスタイル&カラーシミュレーションとか、メガネ&ヘアスタイルシミュレーションといったサービスも始まっている。
すごいところでは、カメラ付き携帯の写真から、似てる有名人を判定したり、子どもの写真を予想したりする「おかおネット」や、さらにスゴイ「Dr.高須のEYEチェンジ」なんていう整形手術ソフトだって出現している。 携帯電話のカメラで写してみると、今とは違う自分が見えてくるのかも?
Googleが赤ちゃんだった頃
ほんの数年前、Yahoo!がインターネットの入り口だった時代があった。今は、その入り口は54000台以上のPCで動作する検索サイト、Googleに変わっている。Googleに表示されなければ、そのサイトはインターネット上に存在しないのと同じだ。
だけど、ほんの5年前に生まれたばかりのGoogleは、かつてはこんなに小さなお手製PCシステムだった。 変わり続けるこの世界で、変わらず同じ位置にいるためには、変わり続けないといけないのだろう。赤ちゃんだったGoogleが1週間に400台近くサーバーを増やすというペースで大きくなり続けているように。 <・p>
2009-11-29[n年前へ]
■NEWS今昔物語「現在・過去・未来」編 (初出2004年06月00日)
5年前のNEWS(未来)を振り返ってみて思うこと
かつて、「その時期のニュースを集める」ということをすると決めた時、なるべく「相反するもの」を一緒に出そうと思いました。「未来の夢」のNEWSがあるなら「過去への郷愁」と一緒に出そう、「新技術の光」を見るなら「新技術の影」も見たい、と思いました。だから、この時は「過去と現在と未来」をまとめたのだろう、と思います。
キーワードを登録しておくと、将来そのキーワードにあてはまるニュースがあった時に知らせてくれるサービス、ライブドアの「未来検索」が今どうなっているのかはわかりません。けれど、この後Googleが始めた同様のサービス「Googleアラート」は愛用しています。
ただ、こういうキーワードでの「検索」、あるいは、もっと広い意味での「検索」であっても、「探しているものを見つける」ことができても、思考回路が「狭い範囲」に狭められていく可能性(それが危険性なのかどうかは、私にはよくわかりません)があると思っています。
「探したい情報」とは「異なる情報」も、そっと添えて差し出す検索サービスがあっても良いのかもしれない、そんな少し奇妙な選択性を持つアンテナがあっても良いのかもしれない、5年前のNEWSを振り返りながら思いました。
技術の進歩が生み出すものは「新しい何か」だけではないのかもしれない。少なくとも、最新技術を使えばロウ管レコードが美しく響く。
「最新技術でロウ管レコードが美しく響く」
最新技術でロウ管レコードが美しく響く
最近は、三次元形状計測装置をお手軽に高精度に使うことができるようになった。そんな計測器を用いて古いロウ管レコード音源の形状計測を行い、その形状を辿る針の動きを予測することで再生音を計算したという報告が5月25日に米国の学会で報告された。
これまでにも、例えば一般に使われている光学フラッドヘッドスキャナを用いて、アナログレコードをスキャンし、画像処理を駆使し「記録されている音」を復元しよう、という遊びの試みもあった。しかし、針で再生した場合の音に比べ、その復元音は…音楽とは言えないようなものだった。しかし、今回は実際に針で再生した音と比べてみても、三次元計測と計算予測により再生された音の方が美しい。技術の進歩が生み出すものは「新しい何か」だけではないのかもしれない。少なくとも、最新技術を使えばロウ管レコードが美しく響く。
「匂い」と「景色」を繋ぐ脳内リンク
知っている匂いを嗅ぐと、その匂いを嗅いだ時に見た光景・感情を鮮やかに思い出す、ということはよく経験することだと思う。理由はまだ明らかではないけれど、「匂い」と「眺めた景色」は何故か密接に繋がっている。
そんな風に、私たちの脳の中で「匂い」と「眺めた景色」が密接に繋がっているようすをロンドン大学のGottfriedらがMRI(磁気共鳴画像法)により確認し、5月27日に発表した。論文をめくると、「一度見た景色」を見せると、脳の中の「匂い」を処理する領域で刺激が生じるようすを眺めることができる。もしも、懐かしい匂いを嗅いだ時や懐かしい景色を思い出したときには、自分の脳の何処かでピコピコっと刺激が生じているようすを思い浮かべてみるのも、少し面白いかもしれない。
ビル・アトキンソンの講演
ビル・アトキンソンと言えば、Macintoshの表示周りをつかさどるQuickDrawを作ったり、テキストやマルチメディアのハイパーリンクを実現をパソコンで実現させたHyperCardを生み出したことで有名である。そのビル・アトキンソンが5月12,14日に東京・大阪で講演を行った。
コンピュータがちょっとでも好きな人であれば、その講演内容の報告を眺めると面白いと思う。「ダイアログの選択肢は当初"Cancel""Do It"だったが、"Do It"では"Dolt"(ドルト=まぬけ)と間違われて、ユーザが怒ってしまうので"OK"になった」なんていう面白いトリビアだって知ることができる。"Whatever I do, I will continue to design and share tools to enpower creative people" - 私が何をしていようとも、これからも創造的な人々に力を与える道具を作り出し続け、そして分かち合い続ける -という彼の言葉も必見だ。
未来アンテナ
「はてなアンテナ」を代表とするような「アンテナ」と呼ばれるサービスがある。 「WEBページが更新された」という情報をアンテナがキャッチし表示する。 そして、その更新情報の中から、私たちが興味のあることを選んで読む。 つまり、それは「現在の更新情報をキャッチするアンテナ」である。その未来版ともいえる「未来検索livedoor」というサービスが先日開始された。
「未来検索」では、「知りたいキーワード」を入力・検索しておくと、そのキーワードに関連したことが(いつかの未来に)書かれたという更新情報をアンテナがキャッチした瞬間に、メールでその更新情報を知らせてくれる。つまり、「未来の更新情報をキャッチするアンテナ」である。「知りたいキーワード」で検索をかけておけば、いつかの未来に検索結果が返ってくるのだから、これは名前通りの「未来検索」でもある。通常の検索サイトは「過去に書かれた情報をキャッチするアンテナ」であり「過去検索」である。「過去・現在・未来」に向いた色んなアンテナを広く使いこなしたい。
2009-11-30[n年前へ]
■NEWS今昔物語「思いこめば見えてくる?」編 (初出2004年05月00日)
5年前のNEWS(未来)を振り返ってみて思うこと
昨日、Google Japanの若きエンジニアと話していると「高校生の頃(もしかしたら、中学生の頃と言っていたかもしれません)、JavascriptでBASICインタプリタを実装した」と実に楽しげに思い出話をしてくれました。私自身が中学生の頃を考えてみると、Apple][とCommodore VIC-1001(海外ではVIC-20という型番で売られていました)という「マイコン」を持っていましたが、きちんと動くプログラムを書くことなど全然できていませんでした。しかも、「JavascriptでBASICインタプリタを実装」といったような、アプリケーション思考でなくプログラミング言語志向の発想など、絶対にすることはできませんでした。
どんな発想をすることができるか、どんなものを作ることができるか、という限界の線は、結局のところ自分自身が線引きをするのだろう、と思います。「すごいな」と思える人を見ると、「自分に対する限界線の引き方」を少し変えることができるような気がします。「思い込みパワー」を増大させることができるような気がするのです。たとえば、私は、「ピンポン」芸を見たときに、そんな「思い込みパワー増大感覚」を非常に感じた覚えがあります。「すごいな」と感じさせてくれるものを作る人、そういう人に出会いは、その出会いだけでも「自分ができること」を増やしてくれる、と思うのです。若かった頃には(良くも悪くも)気づきませんでしたが、そういったことを(良くも悪くも)感じるようになりました。いえ、なってしまいました、と書いた方が正確かもしれません。
ところで、「マイコン」という言葉も、当時と今とでは意味合いが違っています。今は、マイクロなコンピュータで、いわゆる制御用の特殊で小さなコンピュータ・チップを指すことが多いと思います。
しかし、かつて私が小中学生だった頃は、大型コンピュータに比べて、「小さな"Micro"」「個人が所有する"My"」コンピュータ、という意味で使われていました。
言葉も時代に連れ変わっていくことを実感させられます。 さて、このNEWS今昔物語シリーズは、初出が何年も前です(今回は2004年5月初出です)。ですから、下記の記事中で「先週」とか「今月」といったものも、5年以上前の「先週」「今月」になります。つまり、語句の意味合いを「少し翻訳しながら」読む必要があります。また、リンク先はなくなっているものがほとんどだとは思いますが、その点もご容赦ください。温故知新(古きを温めて新しきを知る)という言葉を頭に浮かべながら、再読頂ければ幸いです。
不惑を迎えたBASIC
先週の5月1日でプログラミング言語BASICが満40歳になった(ビデオ)。三十代以上であれば、二十年近く前のコンピュータ雑誌に掲載されたBASICプログラムをせっせと入力しながら、プログラミングを覚えた人たちも多いはずだ。
BASICなんてすぐに使われなくなる、とその頃からずっと言われ続けてきた。しかし、Windowsの世界ではVisual Basicはまだまだ現役だし、制御用のプログラマブルIC(PIC)にもBASICインタプリタが搭載されて電子工作の世界を支えていたりする。それどころか、計測・制御機器等の中では、今でもPC98(もしくはその互換機)上で動くN88-BASICが現役選手だっりする。実は、私もそんなシステムを使うことがある。システムを入れ替えたいと思いつつ、数千行のGOTO文の迷路を眺めて、ため息をつきつつメンテナンスをあきらめてしまう。
自動着色ソフトウェア「はいから」と思いこみデータベース
平成15年度未踏ソフトウェア創造事業で採択された自動着色ソフトウェア「はいから」の評価版を来月末までの期間限定で使用することができる。これは、カラー情報が少ない写真に対して、似た絵柄のカラー画像を参照することで、自動的に着色を行うソフトだ。「こんな画像はこういう色であるべきだ」という風なデータベースに基づいて、色を決めつけるわけである。
考えてみれば、似たような機能はカメラやプリンタなどでは多く使われている。例えば、(顔は綺麗であるべきと決めつけて)写真中の顔を浮き上がらせ綺麗に見せたり、記憶色を重視し肌色を生き生きとさせたりしている(血色が悪いのは良くないと決めつけ)。色に限らず、人間の「思いこみ」や「先入観・決めつけ」のデータベース構築(つまりは人が望ましいと思うイメージの構築)というのはとても重要になるかもしれない。
仮装大賞「ピンポン」芸がペプシのCMで世界の舞台へ
欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞で視聴者をビックリさせたピンポンという芸がある。仮装した人達(その中には日本の伝統芸能の黒子もいる)により、マンガを映画化した「ピンポン」が忠実に再現され、映画The Matrixのようなカメラワークが何の特殊効果や特別な道具を使わずに表現されている。
この芸が今月下旬からペプシのCMの中に採用され、世界で放映されることになった。これまでにも、彼らの仮装芸はペット・ショップ・ボーイズの新曲"Flamboyant"のプロモーションビデオ(高速回線用、低速回線用)中で採用されていたりもする。手段は限りなくローテクであっても、要はアイデア次第で世界を舞台にすることができる、というなんともワクワクするニュースだ。
電子レンジの爆発タマゴで大ケガ
「電子レンジでゆで卵を作ると、食べようとした瞬間に爆発する爆弾タマゴができあがる」、というのはテレビ番組「探偵ナイトスクープ」で有名になった面白実験ネタだ。しかし、英国の医学雑誌British Medical Journalの最新号に掲載された爆発タマゴにより角膜が傷ついて重傷を負ったという投稿記事が掲載されニュースとなった。
技術者にとっては当たり前の面白実験料理ネタでも、そうでない人にとっては危険なものになったりする、という点でこのニュースは興味深い。関係ないが、「猫をレンジでチンして裁判が起きたという話」は実は単なる都市伝説だったということを私は最近まで知らず、恥ずかしながら本当の話だと思いこんでいた。
2009-12-01[n年前へ]
■NEWS今昔物語「女と男と旅に出る」編 (2004年09月02日)
5年前のNEWS(未来)を振り返ってみて思うこと
洋式トイレで男性が小便をする時、一体どういう風に「する」のが一番汚れが少なくてすむのかは、昔から調べてみたいと思っています。「座ってするなら、どの下向き角度で放水を行い・どういう面に・どういう角度で水流をあてるのが良いのか」あるいは「立ってするなら、一体便器のどの部分にどういう角度で当てるのが一番良いのか」を調べてみたいと思っているのです。はたして、ライオン株式会社の研究報告のように、本当に「水たまりの中央を狙うのが一番飛沫が飛び散らない」のかが、どうしても納得ができないのです。他の条件に比べて、どういう風に「飛沫飛散が変化するから、汚れが改善する」という「過程」と「結果」を実際に眺めてみたい、というわけです。そういうわけで、"ToDo"リストに「洋式便所での小便シミュレータ作成」を、追加しておくことにします。
「美人になる湯」のニュースを読むと、ふと、こんなことを考えます。温泉は好きですが、自分が男性であるせいか、「美人になる湯」よりも、ただ浸かっているだけで、「ハードウェア作りが得意になる湯」とか「語学力が向上する湯」とか「絵を描くテクニックが上達する湯」といった温泉があった方がうれしいように思います。そういう、快適かつ実践的な温泉はないものでしょうか。
とはいえ、「美人になる湯」ならお湯に浸かっているだけでも効果があることもあるかもしれませんが、私の欲しい「温泉」は「怠け者の夢」としか言いようがないものかもしれません。
(記事を書いた時の)ひとこと
あなたが男性だとして、洋式便所で小便をするときには、座ってする派だろうか、それとも立ってする派だろうか。「小便の飛び散り」による汚れを気にして、座ってする人も多いことだろう。一体、「座る派 v.s. 座らない派」の比率はどの程度なのだろうか?今回は、「男」と「女」という観点から気になるニュースをいくつか集めてみた。
「男の立ちション」は「的外れ」
8月3日に開催された日本家政学会の研究発表会で、ライオン株式会社が「洋式トイレのニオイの原因で落としにくい"ふち裏汚れ"」の大きな原因が「洋式トイレで男性が立ちションを行い、便器内の水たまりの"手前"や"奥"を狙っている」であるという研究報告を行った。小便の飛沫が飛び散らないようにするためには、なるべく中央を「狙う」べきらしい。これは、洋式トイレで立って小便をする派の男性にとっては、少し覚えておくと良い豆知識だろう。
ドイツでは、「座って小便をする奴="Sitzpinkler"」という単語は「弱虫」を意味する。しかし、そのドイツでも「立ちションをすると警告を発する装置」が大いに売れていて(Oliver@「スラッシュドットジャパン」さんの記事参照)、掃除の手間を考えるともはやドイツ男も座りションベンをしなければいけないのかもしれない、というニュースが8月18日に流れた。男らしさの象徴たる立ちションも、「過去の遺物として流されてしまう」のかもしれない。
ところで、母親が幼児にトイレ・トレーニングをすることが実は多く、「男らしさの象徴たる立ちション」という考えがそもそも「的外れ」だという鋭い指摘もされている…。
「温泉の科学」と「美人の湯」
今年の夏は、「"温泉の素"を入れた温泉」や「不当表表示温泉」とか「温泉でないといいつつ実は正真正銘の温泉(だけど無許可…)」など、各種パターの「温泉」についてのニュースが巷を騒がせた。そこで、色んな温泉の科学を読んで、温泉に詳しくなってみるのも「エンジニア」的に面白いと思う。また、女性には「お肌が滑らかになるという "美人の湯"の謎 」もきっと興味が惹かれることだろう。
ちなみに、「美人の湯」度のトップは「奥熊野温泉([体験レポート:http://www2.sen-shu.ne.jp/yatakarasu/mikumano/mikumano_004.htm)」と梅香丘温泉で、いずれも和歌山県である。美人になりたいと思ったら、和歌山へ温泉旅行をするに限る?
「高速道路上を飛行するハト」と「長くて短いカメの家出」
7月27日のSCIENTIFIC AMERICAN.COMに チューリッヒ大学のPeter LippらがGPS機器をハトに負わせて帰巣するようすを確認したところ、旅慣れたハトほど高速道路上空を飛び、しかも長距離になればなるほど高速道路の上を飛びたがる、というという研究結果が掲載された(日本語訳)。それが楽で安全だかららしいが、GPSを載せて高速道路上を移動するだなんて、あんまり賢く無さそうなハトも実は人間とたいして変わらない知恵を持っていることに驚く。
高速道路上を滑空するハトの記事とは全く逆に、9月1日に英国で記事になった亀の家出の話も面白い。30歳代の亀が飼い主の元から家出したが、長く3ヶ月かかって、それでもわずか5kmしか進まなかったという。この話を「自分の歩み」や「遠くへ行きたいけれど…」といった自分の気持ちに重ねて、ふとしみじみする人も多いかもしれない。
2009-12-03[n年前へ]
■NEWS今昔物語「他人と自分」編 (2004年06月00日)
5年前のNEWS(未来)を振り返ってみて思うこと
この時、つまり5年以上前のNEWSは「評価」「比較」ということを主題に集めたように思う。NEWSを書きながら、他者との評価・比較や他者からの評価・比較といったことが念頭に浮かんだ。だから、「他人と自分」編というサブタイトルを付けた。
最近のNEWSのひとつに「事業仕分け」がある。これもひとつの「他者による評価」「他者との比較」である。5年前の記事中にスーパーコンピュータに関する記事もあるが、今現在、次世代スーパーコンピュータも俎上(そじょう)に上がっている。一体、スーパーコンピュータに関する「事業仕分け」では、どのような「評価」「比較」がされていくのだろうか。
ところで、「自分への視線を発見・記録するメガネ」だが、自分への評価を眺めることができて、さらに、「自分を対象とした事業仕分け」まで解析・表示することができる「新カメラ」すら、いつの日か生まれるかもしれない。まるで、SFのようだが、これまでの科学技術の歴史はSF本の中のものをたくさん具現化してきた。もしも、そんな「個人対象の事業仕分けカメラ」が生み出されてしまったら…考えるだけで恐ろしい。
(記事を書いた時の)ひとこと
「他人」と「自分」という「人」と、「機械」や「機械ができること」についてのNEWSを集めてみました。
「センター試験」と「2次試験」の数学の得点は無関係?
東北大学の理学部志願者の「センター試験」と「二次試験」の各教科成績を調べ、外国語などはセンター得点が高ければ2次得点も高いという相関が表れたが(例:基礎統計学から見た入試)、数学では相関が極めて低かった、との 森田康夫氏による分析結果が5月30日に報告された。 その点数のズレの原因は、大学が重視(評価)する二次試験は「論理的思考能力」を重視し、センター試験は「計算能力」を重視(評価)しているためであるという。
最近は、エンジニアに対する評価をどのように行うか、という論議もよく見かける。 しかし、誰もが納得するような評価を行うということは極めて難しい問題である。少なくとも大学入試には解ける問題しか出題されないが、この評価制度の場合は解くことが未来永劫できない難問だったりするのかもしれない。
自分への視線を発見・記録するメガネ
「赤外線を投光し、角膜からの反射光が瞳の中心に位置するかどうかを解析することにより、自分への視線を発見・記録する」というメガネの研究が5月4日に視線入力に関するシンポジウムで報告された。このメガネをかければ、自分が何を眺めたかだけでなく、誰が自分を見つめたかまで記録される(MPEGビデオ)。逆に言えば、自分の視線が何処を向いているかを記録されてしまうのだから、サングラスをかけて自分の視線を隠す人が増えるかもしれない。
そういえば、携帯電話で撮影した顔写真を送信すると、その「顔」がどの芸能人に似ているか評価・採点してくれるサービスなどもある。同じように、他人が自分を眺めながら「どんな評価・採点をしているか」まで視線から知らされてしまったら…? そんな「評価スカウター」があったら、人の視線・評価が気になってたまらなくなってしまうに違いない。
高性能計算用途のWindowsと2テラFLOPSのGRAPE-DR
先日、Microsoftが「高性能コンピューティング向けのWindows」の計画を開始した。 並列計算をWindowsで行いやすくする、という計画である。とはいえ、私たちの手元にあるようなクライアント用のWindowsではなく、あくまでサーバー用のWindowsの話だ。ExcelからグリッドPCを用いた演算機能を利用できるようにするという製品もあるが、残念ながらそういった環境はまだ一般的にはなっていない。一般的でもお手軽でもないからこそ、「スーパー」コンピュータなのである。
当初は「20万円で作ったスーパーコンピュータ」という売り文句で有名になったGRAPEだって進化を続け、先日は2ペタフロップスを実現しようとするGRAPE-DR計画も発表された。汎用計算ができるわけではなく、あくまで専用計算機であるから、比較するわけにはいかないが、2テラFLOPSというのはスゴイ世界だ。何しろ、一秒間に2千兆(2000000000000000)回もの浮動小数点演算を行ってしまうのだから。
米国防省の検閲語句がフォント解析で解読される
米国防省のイラクに関する文書から「検閲により消されてしまった文字」を、消された単語の幅を推定し、フォント(字体)の種類を考慮して(その単語の幅になる)文字の組み合わせを調べだし、妥当な単語・名称をしらみつぶしに検索することで、消された文字を復元したという5月13日の Natureで報告された。コンピュータ上の電子辞書と文章解析ソフトだけで、米国防省の検閲を突破できたわけである。
ところで、こんな風に機密保持のために塗り潰した部分が解読されてしまったのも、そもそも紙資料の画像で機密文章を公開したからである。いつまで紙文化が続いていくのだろうか。