1999-06-27[n年前へ]
■それを決めるのは誰だ? 
見えない「有害サイト指定」の疑惑
今回は全て三人称で語られるハードボイルドな話である。あるサラリーマン、ここでは「彼」と呼ぼう、の実験と、考えを書く。
今回の話の前段階として、
リモートカメラから世界をノゾこう!-Macintosh用カメラ制御プログラムを作る- (1999.06.26)
がある。この話の中に
MAQ?MAK?MAC! ( http://www.maqmakmac.com/)
へのリンクがある。ところが、彼の職場からはそのサイト、MAQ?MAK?MAC!を見ることができないというのだ。彼は会社内のLANとは別のルートでMAQ?MAK?MAC!へアクセスすることが多かったので、なかなか気づかなかったのだ。
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彼の頭にある疑いが生じた。彼はその疑念を確かめるために、tracerouteでwww.maqmakmac.comのIPアドレスを直接調べることにした。彼の指はキーボードを叩く、
tracert www.maqmakmac.com (Windowsマシンである)
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これでIPアドレスはわかった。彼は職場のマシンからwww.maqmakmac.comのIPアドレスを直接指定した上でアクセスを試みた。すると、彼の想像通りWEBの内容がきちんと表示された。「DNSがうまく動いていないないんじゃないの」という人がいるかもしれないが、そうではない。他のアドレス(後述する例外を除いて)に関しては問題ないのである。
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彼の(疑いつつも)立てた仮説: www.maqmakmac.comを彼の勤務する会社は「有害サイト」として認識し、社内からwww.maqmakmac.comへのアクセスをブロックしている。
もうすこし、判りやすく説明するとこうなる。
彼の勤務する会社内のLANから社外へのGateWay内で登録された「有害サイト」のアドレス(URL)を検知して、アクセスをブロックするというシステム(URL検出法)を用いているのである。もしも、会社内からwww.maqmakmac.comというアドレスへのアクセス要求があったら、「駄目だよ」とその要求を蹴ってしまうのである。
しかし、www.maqmakmac.comというアドレスでフィルターをかけているので、IPアドレスを直接指定してやると、フィルタを通りぬけて、アクセスをすることができるのである。
彼の知る限りでは、明らかに彼の会社内で全社的にブロックされてしまうアドレスが確かにある。それが恐らく参考になるだろう。例えば、こういったサイトである。
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おやおや、画面表示が少し異なる。ということは、意図的にブロックしているわけではないのか? あるいは、ブロックしている個所が違うのか? これだけではよくわからない。集まってきた情報によると、他の地域の部署ではwww.maqmakmac.comに関しては読みに行けるようだ。
URL規制プログラムで有名な
http://www.cyberpatrol.solution.ne.jp/
の指定する例によれば、「有害サイト」は
- 暴力/精神的、肉体的(画像または文章)
- 部分的ヌードと芸術
- 全裸
- 性的行為(画像または文章)
- 下品、残酷な描写(画像または文章)
- 差別、偏見(画像または文章)
- 悪魔崇拝、カルト(画像または文章)
- 麻薬関係(画像または文章)
- 武器、過激派(画像または文章)
- 性教育(画像または文章)
- ギャンブル、違法行為(画像または文章)
- アルコール、タバコ(画像または文章)
こういったURLアクセス規制は今回の例に留まらない。どこの組織でもあることなのかもしれない。こういったネットワークにからむ問題についてはもう少しオープンにして考える必要があるのではないだろうか。
彼はタバコを深く吸い込み、事件簿を閉じて、そして呟いた。「これ以上の真偽は確かめようがない...」
2001-07-01[n年前へ]
■小さな掌に未来の地球儀をのせて 
この手で地球を作ってやろう
先日、「サラリーマンとして会社に入ったからには社長を目指すのが当り前」と言う人とじっくりと話をしていた。まぁ、その話の内容はそれはそれで結構面白かったのだけれど、何故かその時私は映画の1シーンを思い出してしまった。チャップリンの映画「独裁者」の中で、世界制覇を目指すヒンケルが地球を模った風船を抱きしめようとして、結局その風船を割ってしまうあのシーンである。
私と話す相手の背中のずっと向こうにその地球の風船を眺めながら、私はそれとはちょっと違う地球儀をさらに思い浮かべていた。それはこんな正二十面体の小さな地球儀である。正二十面体の表面に地球の表面の写真を描いたものだ。
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大学の教養の頃だったか、それとも大学院に入ってからだったか覚えていないのだけれど、こんな「正二十面体の地球儀」を先生の一人がよくポケットから出して使っていた。それは、もしかしたら今考えてみればFullerが作ったDymaxionMapに影響されたものかもしれないし、その先生が独自に作ってみたものかもしれない。その辺りのことも聞いたことがあるような記憶もあるのだけれど、聞いた内容はもうとっくの昔に忘れてしまった。ただ、ポケットから小さな地球儀を手品のように取り出す仕草がとてもかっこよく見えたことは覚えている。
小さな、だけど立派に地球儀の役を果たす正二十面体をサッとポケットから取り出す仕草は、まるでのび太のために秘密道具をポケットから取り出す「ドラえもん」のようだった。もしかしたら、私に「独裁者」のヒンケルより大それた「ドラえもんになりたい」という野望を持たせるに至った理由の一つは、その小さな正二十面体の地球儀にもあったのかもしれない。
その先生が自分で作って持っていたのは、たった一種類の地球儀だけだった。だけど、そんな正二十面体の表面に色んな写真や地図、例えばそれは衛星写真であったり、国別に塗り分けられた世界地図であったり、あるいは月の表面の写真であったり、を貼り付けて色々な地球儀や月儀を作ってみたい、とその頃からずっと思っていた。そこで、そんなことができそうな道具を探してみると、
- PaperaArto(ペーパークラフトのページ)
- ( http://hp.vector.co.jp/authors/VA023341/arto/hp_arto.htm )
しかし、少しばかり考えてみれば「道具をサッとポケットから取り出すドラえもんになりたい」と野望を持つくせに、道具を探すばかりではあまりに恥ずかしい態度ではないだろうか。ドラえもんが人の道具に頼ってばかりでどうする?というわけで、急遽そんなことができるソフトを作ってみた。それがこのIcosahedronである。というわけで、いつものごとく「必要は発明の母」で「父は私」なのである。
とりあえず、このIcosahedron.exeを使うと、Windows Bitmapファイルとして保存されたメルカトル図法の地図を、正二十面体の展開図に変換した後に、Bitmap画像に保存することができる。
Icosahedron.exeの使用手順は次のようになっている。いつものように「動いてしまえば、ハイそれまでよ」というプログラミング態度なので、ボタンを押す順番が違うと動作しなかったりするけれど、その時は単に動かないだけで、大した問題はないと思う(多分)。- Loadボタン → メルカトル図法で描かれた地図ファイルを読み込む
- Resizeボタン → 作成する正二十面体のサイズを決める。プリンタでの出力解像度、正二十面体の直径(とは言わないかな)を決める。
- Convertボタン → 正二十面体の展開図を作成する
- Saveボタン → Windows Bitmapファイルとして正二十面体の展開図を保存する
画面の上半分に読み込んだメルカトル図法の地図が表示され、画面の下半分には作成した正二十面体の展開図が表示される。もっとも、正二十面体の展開図の「のりしろ部分」は一部表示をはしょっているので、下の訂正図を参考にして切り取って欲しい。
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上の図のような正二十面体の展開図をプリンターで出力して、さらにそれを切り取って、正二十面体の地球儀を組み立ててみたものが下の図である。
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ところで、私がかつて在籍していた研究室は「理学研究科 地球惑星科学専攻地球物理学分野 測地学講座」という名前なのである。その名前を見れば一目瞭然、私はまさに「地球を描くための英才教育」を受けてきた?のである。「その実力を見せてやれ」というわけで書いてみたのが下の図だ。これが「私の世界地図」である。
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確か地球ってこんな感じ?というわけで書いてみたのだが、どうもおかしい。いや、はっきり言えばかなりヘンである。アメリカ大陸の辺りなんかむちゃくちゃ無理がある。コロンブスが使っていた大航海時代の(アメリカなんかなかった頃の)地図の方がよっぽど正確に違いないのである。そう私には地球を描く実力なんかはなから無いのであった。そう、哀しいけれどこれっぽちも無いのである。
いや、そんなことはどうでもいいのだ。とりあえず、私の世界地図を使って「私だけの地球儀」を組み立ててみたのが下の写真である。
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まるでSF映画の異世界の星みたいな感じになってしまったが、誰が何と言おうとこれが「私だけの地球儀」なのだ。世界にたった一つの私だけの地球儀なのである。
もちろん、私には私だけの地球儀があるが、それは誰しも同じハズである。十人十色、十人の人がいれば十個の地球儀があるはずだ。だから、こんな「私の地球儀」だけではなくて、これを読んだ方はぜひぜひ色んな地図を書いたり、手に入れたりして、色んな地球儀(それとも月儀、メルヘンちっくな人だったら例えば「星の王子さま」の「星儀」なんてのもいい感じかも…etc.)を作成してみてもらいたいなと思う。
そして、特に世界地図を覚えているわけもない小さな子供達に世界地図を書かかせてみて、そしてこんな正二十面体の地球儀を組み立ててみたらきっと面白いことだろう、と思う。「独裁者」の中のヒンケルみたいに地球の風船を抱きしめて遊ぶなんて、とてもイヤな感じだ。けれど、小さな子供達がそれぞれの世界地図を描いて、その世界地図で正二十面体の地球儀を作って、そしてそれぞれの小さな掌にその正二十面体の地球儀をのせて遊ぶ、なんてのはとても素晴らしく良い感じだと思う。
子供達がどんな世界地図を描くかは想像もできない。きっとずいぶんとヘンテコな世界地図がイッパイ出来上がるに違いない。そして、そんな世界地図から生まれる地球儀だって、奇妙奇天烈なものになること間違いなしだ。
だけど、その地球儀はもしかしたら未来の地球儀かもしれない。だって、子供達が未来の地球を作るということも、それもまた事実なんだから。子供達が小さな掌に未来の地球を乗せて作っていくのだから、この正二十面体の地球儀は本当に「未来の地球儀」に違いないと思うのだ。
2002-01-27[n年前へ]
■究極の選択 テキスト編 
いつものように自分の英語スキルの無さを実感して、英語の本を読もう、と決めたのです。が、文字の多いものは読めるとも思えないので(自分をよく知っているのだ)、マンガに決めました。が、空港の本屋にあったのは「金田一少年の事件簿」と「部長 島耕作」の二種類だけだったので、しょうがなくストーリーを楽しめそうなモノ、ということでいつもなら絶対に読まない「盗作マンガ」を買いました。はい、「金田一少年の事件簿」を買ったのです。
で、これを読んでいたとき、ふと私は思いました。これ読んで覚えたフレーズとか単語って一体いつ役に立つんだろう?って思ったのです。
私が、周りでやたら殺人事件が起きたり、嵐の山荘に取り残されたりする高校生なら、そんな単語やフレーズを使うシチュエーションは沢山あると思うのです。
でも、残念なことにそんなシチュエーションには私は陥ったことがありません。いえいえ、私どころがほとんどの人はそんなシチュエーションには陥らないと思うのです。これからも、そして未来も。だって、周りでやたら殺人事件が起きる高校生なんてものすごく非現実的な設定です。「死体消失トリック」とか「犯人はオマエだ!」とかいうフレーズを覚えても、きっと何の役にも立たないと思ったのです。
そこで、私はさらに思いました。じゃぁ、私は「部長 島耕作」を選べば良かったのでしょうか?島耕作のようなシチュエーションなら起こりうるのでしょうか?いえいえ、それも絶対に違います。何事にも女性と「良い関係」になり、すべてのピンチをオンナで切り抜けていく出世人生なんて、そうそうないと思うのです。少なくとも、私にそんな状況が訪れるとは思えません。全てを暴力と土下座で切り抜けるサラリーマン金太郎もたいがいですが、全てをオンナで切り抜ける島耕作もひどすぎる設定です。世の中にはこの二種類のサラリーマンしかいないのでしょうか?いいえ、そんなことは無いハズです。何事も切り抜ける道が「暴力・オンナ・土下座」でしか切り抜けられないなんて、それではサラリーマンというよりヤクザ屋さんです。いや、もしかしたら、サラリーマンもヤクザの一種なのかもしれませんが、私はヤクザ屋さんを目指すにはちょっとばかり弱すぎます。
あるいは、島耕作を見習えば、もしかしたらピローロークが上手になるかもしれませんが、それは私の意図するところではありません。それに、島耕作のピローロークが上手いとも私には思えません。私には何で島耕作がモテるのか全然理解できません。あっ、そんなことは関係ないですね。
で、私は思ってしまったのです。殺人事件に囲まれる高校生とかオンナに囲まれる島耕作とか、ありえない設定のマンガは果たして語学力向上の役に立つのか?と。つまりは、出版社の講談社に「オマエはホントに読者の語学力向上を考えているのか」と小一時間問いつめたくなったのです。どうせなら、「某理系ミステリー」とか「動物のお医者さん」とか辺りをお願いしたいのです、ハイ。
2004-03-06[n年前へ]
■「役に立たないように見えること」 
void GraphicWizardsLair( void ); //経由で「組織の中の研究者・技術者がウェブで語るとき」を読む。それぞれの節としてはじめに注目する点は私の感覚と近いところもあるが、それぞれの節での流れは私の感覚とは少しづつあるいは時には大きく違和感やズレを感じる。そして、その最終的な流れには実に大きな感覚のズレを感じる。一番のズレというか私の希望は、「組織から独立した個人に由来する部分に個人の価値を見いだしたい」というところだろうか。 とはいえ、とても面白く読む。
自分の感覚と最も大きくズレている部分は下記の一節なんだろうと思う。
仕事と遊びを区別して割り切ることができるのは、サラリーマンの特権だ。個人として自分を売り込む専門家の場合は、「ホームページ作りに時間を使うより論文を書くほうが業績になる・・・」といった雑念も沸くかもしれない。逆説的だが、「自分はサラリーマンだ」と割り切れる人ほど、楽しく専門知識のページを作れると思う。こんなサラリーマンという言葉を(書き手以外に)一般化しないで欲しいなぁ、とは思う。おそらく、そんな一般化が少し引っかかったのから反応してしまったのだろう。
「世の中の役に立つことをしている」というフレーズにはとても惹かれつつ、その「世の中の役に立つこと」が組織と関連するのであれば、その「世の中の役に立つこと」をそうそう行うわけにはいかないだろうな、と思う。そんな思いもあるのがために、直接「役に立つことはしない」というのをhirax.netのポリシーにしたということもある。とはいえ、hirax.netから出たグッズが画像学会から販売されてしまったりすると、その区別は実に曖昧なものになりかねないが。
とりあえず、(中略)私自身は「一見すると役に立たないように見える」ことを勝手に「世の中のために善い活動をしている(していると思っている)」と思いこみながら書いていくことにしよう。とはいえ、それがオッパイ星人との戦いに発展してしまうと、自分でもちょっと「何だかなー」とは思うが。どうにも、相手がオッパイ星人では勝ち目もないし気がするし。個人的にはこの方の意見を少し拝聴してみたいところ。
2004-10-23[n年前へ]
■米国人23%が仕事関係者について検索経験 
米国成人の23%が、仕事上関係があるクライアントや顧客、従業員、同僚、上司などについてインターネットで検索したことがあることがわかった









