hirax.net::Keywords::「実体」のブログ



2000-01-30[n年前へ]

ソフマップでお買い物 

磁界の可視化とバーコード

 前回、

で「マグネビュアー」を使って磁界の可視化をして遊んでみた。今回はその続きである。ソフマップの磁気カードの中に書き込まれている磁気データを可視化して調べてみるのである。

 磁気カードには、

  • 銀行のキャッシュカード
  • クレジットカード
  • テレホンカード
  • オレンジカード
などなど色々と使われている。ここで例に挙げたようなカードの解析はすでに行われている(多分)。それに加えて、これらのカードの解析にはかなり危険な香りがする。もちろん、あまり解析が難しそうなものを題材に選ぶと後悔すること必至である。そこで、割に無意味で安全そうな磁気カードを選んでみたわけだ。それがこのソフマップカードである。

 まずは、ソフマップカードの写真を示してみよう。これがソフマップで買い物をするたびにお世話になるソフマップカードである。
 

ソフマップカード

 この写真からではどこにデータが書き込まれているのかわからない。そこで、「マグネビュアー」の登場と言いたいところであるが、残念ながら今回は「マグネビュアー」は登場しないのである。「マグネビュアー」はとても便利なのであるが、さすがに磁気カードの磁気データを読もうとすると分解能が不足する恐れがある。

 そこで、代打選手に登場願うことにした。代打選手はキヤノン製のLBPのトナーである。以前、

の時に「トナーはクーロン力で制御されて画像を作るのだ」という話があった。キヤノン製の白黒のLBPではクーロン力に加えて磁気力を使ってトナーを制御している。なので、キヤノン製の白黒トナーは磁性体粉末ということになる。

 テレホンカードが出た頃はキヤノン製のトナーを使ってデータを読み出していた人も多いはずである。みな、テレホンカードの表面を削りトナーを振り掛けていたのである。というのは、聞いた話であり、実体験に基づくものでは絶対にない。神に誓っても良い。その頃にキヤノン製のトナーを使い倒していたということは絶対にないのである。しかも、その数年後に(以下略)。

 それでは、磁性体の微少粉末であるトナーをソフマップカードに振り掛けてみよう。
 

トナーをソフマップカードに振り掛けてみる

 ソフマップカードの磁気データが可視化されたのがわかると思う。磁気によるバーコードが見えるだろう。これがソフマップカードに書き込まれている磁気データである。
 とはいえ、トナーの付着具合にムラがある。それは私が雑に実験を行ったからである。こんなにムラがあっても磁気コードが判別できるかどうか疑問を持たれる方も多いと思う。しかし、

の時にやったように、そこは1次元バーコードの特徴を使えば大丈夫である。ここで、もう一度挙げておくと、
  1. 読む方向に対して垂直な線が多い
  2. 読む方向に対して水平な線は少ない
という特徴である。磁気データのバー方向にはまったく同じデータが書き込まれているので、磁気データのバー方向に画像を平均化することでノイズを減少させることができる。
 そのようにして、ノイズを減らし、S/N比を上げた画像を示してみる。
 
S/N比を上げた磁気データ部分の画像

 どうだろうか、驚くほど綺麗になっているのがわかると思う。まさか、と思われるかもしれないが本当である。
 さて、これはソフマップカードの磁気データの全体像であるが、もう少し拡大したものを以下に示す。
 

S/N比を上げた磁気データ部分の画像の拡大図

 極めて明瞭に磁気データが可視化されているのがわかると思う。これはトナーを振りかけて、1万円ちょっとのスキャナ(CanonのUSB接続の安物スキャナ)で読み込んだものに対して先の処理をしただけである。これほど明瞭になるのも、全て1次元バーコードの特徴のおかげである。磁気ヘッドの制作などをしなくても良いのである。

 磁気カードの記録密度は銀行統一仕様(NTT)でもISO3554でも8.3bit/mm=211bit/inchであるから、最近の600dpi(dot/inch)程度のスキャナーであれば十分磁気データの画像読みとりが可能である。
 
 それでは、もっと拡大してみる。拡大する部分は上の画像の右の辺りである。すると、このようになる。
 

S/N比を上げた磁気データ部分の画像の拡大図の拡大図

 データ間隔がわかりやすいように、ここでは矢印や文字を書き入れている。この画像を見ると、磁気データは規則的な細かい周期性を持ち、その周期でいうと8つ単位でさらなる周期性があるように思われる。つまり、8bitをひとまとまりとしたデータが書き込まれているように見える。例えば、上の画像では

  • ( 白、白、白、白、白、白、黒、黒 ) x 2
というデータに見える。二進数で言うと
  • ( 00000011 ) x 2
であり、ケンシロウ進数で言うと、
  • ( ああああああたた ) x 2
である。ソフマップカードの磁気データのほとんどの部分はこの( 白、白、白、白、白、白、黒、黒)パターンでしめられている。これは当然データの空白部だろう。そして、見るからに意味あるデータが書き込まれているだろう部分が以下の色を着けた部分である。
 
S/N比を上げた磁気データ部分の画像の拡大図の拡大図

 複数枚のカードのこの部分を比較してみれば、比較的容易にデータ構造は解析することができるだろう。また、一枚のカードからでもカード番号などの数字と磁気データを比較することにより、解析することはやはり困難無しに解析できると思うのである。と、思うわけではあるが、あまりやりすぎるのはマズイと思われるので、今回はこれまでにしておく。
 

2000-07-18[n年前へ]

モザイクの向こう 

隠しているから良いのです



 「できるかな?」への質問?で、同じような内容のメールを頂くことがよくある。その内の一つは、

感温液晶の入手先を教えて下さい。
というものである。何か不思議な気がするのだが、けっこう感温液晶を欲しいと思う人がいるらしい。しかも、そのような人はインテリア関係を扱う人が多い。「人のぬくもり」を感じさせるものを作りたい、というわけのである。これを逆に言えば、「人のぬくもり」を感じさせないものが世の中には溢れているということなのだろう。液晶という実に物理的なものを通して「人のぬくもり」を感じることができる、ということが実に不思議で同時に爽快でもある。

 さて、私自身は新宿の東急ハンズで感温液晶を購入したのだが、その人達のメールによれば、最近はどうも置いていないらしい。仕方がないので、

  • 日本書籍 後藤富治 村上 聡 著 おもしろ科学モノ情報 200選 2000年版
に載っていた情報を元に
 感温液晶シートですが、実験材料でなくて遊ぶのに
使うのでしたら、
光洋 03-3212-1571
日比谷パークビル9F
平日8:30-5:30
JR有楽町駅近く
にあるようです。
という返事を最近は出すことにしている。
 
    日本書籍 後藤富治 村上 聡 著 
    おもしろ科学モノ情報 200選 2000年版

 そういうわけで、こちらの感温液晶の入手方法に関するメールの方は良いのだが、もうひとつのよく頂くメールの内容がある。こちらの方はメールを頂いても、返事ができるわけでもなく、いつもそのままになっていた。その内容はと言えば、

画像処理と言えば、まずはAVのモザイクの消し方を研究して下さい。
というものである。AVのモザイクというと、あの映してはマズイ部分を隠すアノ画像処理のことだろう。本来のモザイクという言葉のモノだけではなくて、アノマズイ部分を隠す画像処理一般について、それをどうにかして欲しい、と言っているのだろうと思う。

 しかし、そう言われても困ってしまう。もちろん、私は「見えないもの」を「見える」ようにするのは大好きであるし、趣味でも仕事でも、「見える?見えない?」の境界線に興味を惹かれ、日夜考え続けている。だから、AVのモザイク〜マズイ部分を隠すアノ画像処理〜のようにわざわざ「見えない」ように細工をされてしまうと、それを何とか「見える」ようにしたいという気持ちが無い、と言ってしまうと嘘になるだろう。

 しかし、残念ながら、このAVのモザイクの件に関しては「見えない」方が良いと思っているのである。それは、私の好みの根幹に関わる部分なのであるが、ダラダラと言い訳を書いても仕方がない、やはりここはFAQに対しての答えを用意しておくべきだと考えて、ここに簡単な説明を書いておくことにした次第である。

 まずは、代表的なマズイ部分を隠すアノ画像処理の種類を示してみたい。次に示す画像は左から、

  1. オリジナル
  2. オリジナルに「モザイク」をかけたもの
  3. オリジナルに「ぼかし」をかけたもの
  4. オリジナルに「塗りつぶし」をかけたもの
である。呼び名は私が今適当に決めてみた。
 
代表的なマズイ部分を隠すアノ画像処理
オリジナル
狭義のモザイク
ぼかし
塗りつぶし

 この3つのマズイ部分を隠すアノ画像処理のなかから、今回は

  1. オリジナルに「モザイク」をかけたもの
  2. オリジナルに「ぼかし」をかけたもの
についてのみ、簡単にその内側を覗く努力をしてみたいと思う。「塗りつぶし」に関しては、今時のAVでは使われていそうにないし、ネット上に落ちている画像でもそんなに使われていないんじゃないかと想像(あくまで、想像で実体験ではない)されるので、今回は触れないことにした。いや、もちろん復元作業が面倒だということが一番の理由である。それでも、「塗りつぶし」の下に隠された部分をやっぱり見たいという人がいらっしゃれば、「欠損画像からの画像復元」というようなキーワードで論文を探してみると良いと思う。また、もし手に入らないという方がいらっしゃるならば、あなたが持っている「面白そうなビデオ」と私が持っている「論文」の物々交換をしてあげても良い、と思っている。
 

 さて、まずは「モザイク」に挑戦してみたい。試しに、ミロのヴィーナスのヌード画像に対して、「モザイク」をかけてみよう。次に示すのが、とあるヌード画像に対して「モザイク」をかけたものである。
 

とあるヌード画像に対して「モザイク」をかけたもの
オリジナル画像(GIF画像)
19kB
モザイク画像
1kB

 GIF画像ということで圧縮もかけてあるため、一概に比較はできないが、オリジナル画像が19kBであるのに対して、右の「モザイク」画像は1kBしかない。つまり、情報量がおよそ1/20であるわけだ。それもそのはず、上の「モザイク」画像は実はオリジナル画像を単に縮小したものを拡大表示してみたものである。情報量が少なくなるのも当然だろう。
 

「モザイク」画像は実はオリジナル画像を単に縮小したものと同じ
オリジナル画像(GIF画像)
19kB
左の画像を
縮小したもの(GIF画像)
1kB
左の画像を
単に拡大表示したもの
1kB

 それでは、画像の情報量が減ってしまっている場合に、元の画像を復元することはできないのだろうか?いや、ハッキリと言えばヌード画像に対して「モザイク」がかけられてしまったとしたら、その「モザイク」の向こうのヌード画像を拝むことはできないのだろうか?

 それが実はできるのである。その証拠に巷には「AVモザイク消し器」というものが溢れている。また、そんな大層な機械でなくても、巷には「モザイク」の向こうを見通すノウハウという秘伝が伝えられている。例えば、私がリサーチした限りでは、

  1. TVの前に半透明のシートを張る
  2. 目を薄開きにして、TV画面を見る
というような秘伝がある。実は、「AVモザイク消し器」もそれらの秘伝も同じとある簡単を用いているのである。その簡単な原理により、「モザイク」の向こうのヌード画像を拝むことができるのである。

 その原理とは「オリジナルの画像の性質を考える」ことである。先のオリジナルのヌード画像をじっくり見ればわかると思うが、ヌード画像というものは割合滑らかである。マッチョなヌード画像ならばいざしらず、少なくとも女性のヌード画像は普通滑らかな画像であるわけだ。当然である。だとしたら、その性質をフル活用してやれば、「モザイク」の向こうのヌード画像を拝むことができるのである。

 もう少しわかりやすく言うと、こんな感じだ。まずは、滑らかなグレイスケールの画像に「モザイク」をかけてみよう。
 

オリジナルの画像に、
「モザイク」をかけた画像
オリジナル
上の画像に「モザイク」をかけたもの

 すると、元のオリジナル画像は極めて滑らかな画像であるのに、下の「モザイク」をかけた画像は「モザイク」のせいで滑らかでなくなってしまっている。だとすれば、「モザイク」画像を滑らかにしてやれば、元のオリジナル画像っぽくなるのではないだろうか?周囲の画像を考えながら、滑らかな画像にすれば良いのではないだろうか?具体的に言えば、注目画素の周囲で平均値などを計算してやればよいのだろう。つまり、「ボカシ」をかけてやれば良いのである。「ボカシ」をかけると画像はソフトで滑らかになる。「モザイク」をかけた画像が滑らかでなくなってしまっているのを、「ボカシ」をかけることで滑らかにして、元の画像っぽくしてやれば良いのだ。

 先の秘伝

  1. TVの前に半透明のシートを張る
  2. 目を薄開きにして、TV画面を見る
や「AVモザイク消し器」もどれもこの原理を使ったものである(多分)。TVの前に半透明のシートを張れば、当然TVの画面はボケるし、目を薄開きにしてTVを見れば、やはり「まつ毛」などでTV画像に「ぼかし」がかかる。近眼の人であれば、目を薄開きにするとむしろハッキリとTVが見えてしまうかもしれないが、そうでなければ普通は「ぼかし」がかかるだろう。

 例えば、上の「モザイク」画像にぼかしをかけたものを次に示してみよう。「モザイク」画像にぼかしをかけることで、元のオリジナル画像に極めて近い画像になっていることがわかると思う。
 

オリジナルの画像に、
モザイクをかけた画像、
そしてモザイク画像にぼかしをかけたもの
オリジナル
上の画像にモザイクをかけたもの
モザイク画像にぼかしをかけたもの

 これが、いわゆるひとつの「モザイク」の向こうのヌード画像を拝む秘訣なのである。試しに、先のとあるヌード画像に対して「モザイク」をかけた画像を「ぼかす」ことで「モザイク」の向こうのヌード画像を拝んでみたのが次の画像である。「モザイク」画像よりはオリジナル画像っぽいことがわかると思う。
 

とあるヌード画像に対して「モザイク」をかけた画像を「ぼかす」と...
オリジナルオリジナル画像に
モザイクをかけたもの
モザイク画像に
ぼかしをかけたもの

 さて、それでは逆にオリジナルに「ぼかし」をかけることでマズイ部分を隠すアノ画像処理をした場合はどうだろうか?この場合は「モザイク」の向こうのヌード画像を拝むことはできるだろうか?

 といっても、こちらは以前

で扱っているので、ここでは詳しく書かない。ぼけた画像は例えば、
  • ウィーナ・フィルタ
  • ハイパス・フィルタ
などのフィルタ演算を行うことで、何とか画像復元できる。WindowsでもMacでもフリーソフトでウィーナ・フィルタがかけられるものもあるようなので、試して頂ければ良いと思う。

 と書くだけでも何なので、試しに、Photoshopのカスタムフィルタで簡単な「ボカシ復元用フィルタ」を作成してみたものをここにおいておく。Photoshopユーザは試してみると面白いかもしれない。

このカスタムフィルタの内容はごく簡単なオペレータ演算で、次の図に示すようなオペレータ演算子を用いたフィルタである。
 
カスタムフィルタを使った簡単な「ボカシ復元用フィルタ」

 試しにこのカスタムフィルタを用いて、とあるヌード画像に対してかけられた「ぼかし」画像の向こうのヌード画像を拝んでみたのが次の例である。ちなみにここでの「ぼかし」はPhotoshopでガウス「ぼかし」の半径4ピクセルの設定でフィルタをかけてみたものだ。
 

とあるヌード画像に対してかけられた
「ぼかし」画像の向こうのヌード画像を拝んでみた
オリジナルオリジナル画像に
ぼかしをかけたもの
ぼかし画像に
先のカスタムフィルタをかけたもの

 こんな簡単なカスタムフィルタでもとあるヌード画像の「ボカシ画像」を鮮鋭化できて、その「ぼかし」の向こうのヌード画像を拝むことができることが判ると思う。

 実際に、私がネット上で膨大な数のエロ画像、いや違った「ボカシ」画像だ、を収集し試した結果ではかなりの割合の画像に対して、驚くべき効果を挙げることができた。本WEBに訪れるような方のほとんどには当然の知識だとは思うが、もしもこういった処理をかけたことのない方がいらっしゃれば、是非一回挑戦しみてもらいたい。特に素人ヌードの「ぼかし」画像がお薦めである(あくまで復元効果の大きさに関してだけど)。

 さて、ここまで書いてから言うのはどうかと思うのだが、以前

でも書いたように、私は「素晴らしい芸術は完全な自由の中では生まれない」と思っている。それと同じで、制限の中で表現する方が実は素晴らしいものができると思っているのである。それは、私服の女子高生には心ときめかないが、制服の女子高生には思わず目を惹かれるのと同じである。完全に何でもありの私服だと実はそう簡単に輝かないのだが、制限のかかっている制服だと何故かとても輝いてしまうのと同じだ。私などは、通っていた高校が制服がなかったため、思わず同級生に「セーラー服を着て来てくれぇ」とリクエストをしてしまったくらいである。あれ、何の話だっけ...

 そう、つまりわざわざ隠してある部分を眺めてみることは良いとは思わないのである。隠してあるものは、隠しておいたままにしておいた方が良いのではないか、と思うのである。

 そう言えば、先ほど「ミロのヴィーナス」の画像用に表紙を使わせて頂いた細野不二彦のギャラリーフェイクの中では、主人公藤田が、

「ミロのヴィーナスは腕が隠されているからこそ、人々の心を捉えたんじゃないですかね」
というようなことを言う。私も本当にそう思う。
 
    細野不二彦 ギャラリーフェイク
    林檎を持つ女神 より

 「ミロのヴィーナス」の存在しない腕を想像することで、現実には作りえない理想の姿を、その像を見る人々は感じることができるのだろう。隠してあるからこそ、良いのである。

 あまりに緻密に描写した弟子に「言い仰せて何がある」と言ったのは松尾芭蕉だったはずだ。想像する余地を残して、現実よりもさらに大きいものを表現した方が良い、ということである。私も本当にその通りだと思う。ある一部分だけを切り取ってその部分だけを見てみて、後は想像力におまかせというのが、私も表現としては一番良いと思うのである。もちろん、全ての人の想像力を越えるものを表現する力があるというならばともかく、そんなことができないのならばわざと一部分だけを表現するのが一番良いと思うのである。

 いや、だからって別に私が変な想像をしまくりってわけじゃないとは思うけど。かといって、私が想像力とか好奇心が少ない方かと言われると...うーん...
 

2001-08-03[n年前へ]

今日の涙と大笑い 川原泉編 

 高校時代から大好き。本箸馨子も。大学院卒業と同時に「花とゆめ」は読まなくなったけど。
 〜 99年頃の、「コミック・ファン」という雑誌にあった 「川原泉特集」での筆記インタビューによると、 かーら教授のお父さんは教授が5歳のときに 病気のため亡くなられているそうです。 「あんまり記憶にはないけど優しい人だった」とコメント してたと思います。 「中国の壷」の冒頭部で、ヒロインが父と死に別れるシーンは実体験も含まれてるんかなと思ったり。〜 from 388
 「架空の森」大好きなんですけど、さっき読みかえしたら、 あのよーしゃべる少年が、えなりかずき君に思えてしょうがなかった。 from 518(リンク

2003-02-23[n年前へ]

「言葉」をあやつる魔法使い 

 今日の「わきめも」はとてもお勧め。わきさんの文章の中には、しばしば「日常生活」の中にある「不思議な異世界への入り口」が姿を現すのである。このリンクから「わきめも」に飛ばない人がいたら、それはとてももったいないので、まずはこんな一節を読んでみて欲しい。

 電車に乗っていると、女子高生達がなにやら盛り上がっている。友人やら、誰それのカレシやら、先生やらをこけおろし、最後に  「ありえなーい」の大合唱で締めくくっている。  「...ちゃんの化粧ってさあ、...」  「ありえないよね」  「ありえなーい(合唱)」 ...なんとも恐ろしい会話である。すべてが却下されるのである。私は突然、彼女達に指を指され、「ありえなーい」という合唱を浴びる光景を想像した。 しかしもちろん、そんなことは起こらなかったが、ターゲットは意外なものに向けられた。電車が東小金井駅に近づくと、誰かが言った。  「東小金井ってありえないよね。」  「ありえなーい!(合唱)」何の理由もなく東小金井は彼女達に却下された。 電車はゆっくりとスピードを落とし、有り得ない東小金井駅に到着した。何人かの乗客が否定された街に降りていった。
  わきさんが、いきなり理由も無く却下され存在自体を否定されなくて本当に良かったとしか言いようがないのである。そして、恐ろしい会話なのだけれど、何故かその女子高生達はとてもイキイキと色鮮やかに響いてしまうのである。さらには、否定された街に降りていく人々がまるで実体を失った影に見えてしまうから不思議なのである。


 まるで、その女子高生達が不思議な魔力を持つ魔女達で、街や人やあらゆるものから実体を抜き取り、それらのものや人をこの世から消しゴムで消していくような不思議なミステリなのである。

2004-03-13[n年前へ]

今日の疑問 

 Linuxでg++でアプリケーションを作るときに、起動されたアプリケーションが「そのアプリケーションが置いてある場所」を知るにはどんな関数を使えば良いものなのでしょう?ファイル出力などが必要ない(system()+whichを使ってパスをファイルに吐いて、というようなものでない)方法はどんなものなのでしょう?

一般的な方法はないと思います。Unixのファイルシステムでは、バイナリはハードリンクで複数のパスを持てますし、ファイル実体からそのファイルのパスを参照する方法はありません。(極端な話、アプリケーション起動後にそのバイナリファイルをunlinkしてしまえば、「パスを持たないけれど走っているアプリケーション」になります---「このプログラムは実行終了後自動的に消滅する」ってわけです)。Unix上で、お望みの動作を得るのによく見る方法は、 * argv0を見て、それが絶対パスならそれを採用 * argv0を見て、それが相対パスならgetcwd()して絶対パスに直す * そうでなければ、PATH環境変数をひとつづつ探すというものです。上記の手順はよく使われるので、ライブラリもいくつか存在すると思います。例えばglib (www.gtk.org) の g_find_program_in_path()等は使えると思います。
 ありがとうございます。川合さん



■Powered by yagm.net