hirax.net::Keywords::「ドラえもん」のブログ



2000-07-18[n年前へ]

モザイクの向こう 

隠しているから良いのです



 「できるかな?」への質問?で、同じような内容のメールを頂くことがよくある。その内の一つは、

感温液晶の入手先を教えて下さい。
というものである。何か不思議な気がするのだが、けっこう感温液晶を欲しいと思う人がいるらしい。しかも、そのような人はインテリア関係を扱う人が多い。「人のぬくもり」を感じさせるものを作りたい、というわけのである。これを逆に言えば、「人のぬくもり」を感じさせないものが世の中には溢れているということなのだろう。液晶という実に物理的なものを通して「人のぬくもり」を感じることができる、ということが実に不思議で同時に爽快でもある。

 さて、私自身は新宿の東急ハンズで感温液晶を購入したのだが、その人達のメールによれば、最近はどうも置いていないらしい。仕方がないので、

  • 日本書籍 後藤富治 村上 聡 著 おもしろ科学モノ情報 200選 2000年版
に載っていた情報を元に
 感温液晶シートですが、実験材料でなくて遊ぶのに
使うのでしたら、
光洋 03-3212-1571
日比谷パークビル9F
平日8:30-5:30
JR有楽町駅近く
にあるようです。
という返事を最近は出すことにしている。
 
    日本書籍 後藤富治 村上 聡 著 
    おもしろ科学モノ情報 200選 2000年版

 そういうわけで、こちらの感温液晶の入手方法に関するメールの方は良いのだが、もうひとつのよく頂くメールの内容がある。こちらの方はメールを頂いても、返事ができるわけでもなく、いつもそのままになっていた。その内容はと言えば、

画像処理と言えば、まずはAVのモザイクの消し方を研究して下さい。
というものである。AVのモザイクというと、あの映してはマズイ部分を隠すアノ画像処理のことだろう。本来のモザイクという言葉のモノだけではなくて、アノマズイ部分を隠す画像処理一般について、それをどうにかして欲しい、と言っているのだろうと思う。

 しかし、そう言われても困ってしまう。もちろん、私は「見えないもの」を「見える」ようにするのは大好きであるし、趣味でも仕事でも、「見える?見えない?」の境界線に興味を惹かれ、日夜考え続けている。だから、AVのモザイク〜マズイ部分を隠すアノ画像処理〜のようにわざわざ「見えない」ように細工をされてしまうと、それを何とか「見える」ようにしたいという気持ちが無い、と言ってしまうと嘘になるだろう。

 しかし、残念ながら、このAVのモザイクの件に関しては「見えない」方が良いと思っているのである。それは、私の好みの根幹に関わる部分なのであるが、ダラダラと言い訳を書いても仕方がない、やはりここはFAQに対しての答えを用意しておくべきだと考えて、ここに簡単な説明を書いておくことにした次第である。

 まずは、代表的なマズイ部分を隠すアノ画像処理の種類を示してみたい。次に示す画像は左から、

  1. オリジナル
  2. オリジナルに「モザイク」をかけたもの
  3. オリジナルに「ぼかし」をかけたもの
  4. オリジナルに「塗りつぶし」をかけたもの
である。呼び名は私が今適当に決めてみた。
 
代表的なマズイ部分を隠すアノ画像処理
オリジナル
狭義のモザイク
ぼかし
塗りつぶし

 この3つのマズイ部分を隠すアノ画像処理のなかから、今回は

  1. オリジナルに「モザイク」をかけたもの
  2. オリジナルに「ぼかし」をかけたもの
についてのみ、簡単にその内側を覗く努力をしてみたいと思う。「塗りつぶし」に関しては、今時のAVでは使われていそうにないし、ネット上に落ちている画像でもそんなに使われていないんじゃないかと想像(あくまで、想像で実体験ではない)されるので、今回は触れないことにした。いや、もちろん復元作業が面倒だということが一番の理由である。それでも、「塗りつぶし」の下に隠された部分をやっぱり見たいという人がいらっしゃれば、「欠損画像からの画像復元」というようなキーワードで論文を探してみると良いと思う。また、もし手に入らないという方がいらっしゃるならば、あなたが持っている「面白そうなビデオ」と私が持っている「論文」の物々交換をしてあげても良い、と思っている。
 

 さて、まずは「モザイク」に挑戦してみたい。試しに、ミロのヴィーナスのヌード画像に対して、「モザイク」をかけてみよう。次に示すのが、とあるヌード画像に対して「モザイク」をかけたものである。
 

とあるヌード画像に対して「モザイク」をかけたもの
オリジナル画像(GIF画像)
19kB
モザイク画像
1kB

 GIF画像ということで圧縮もかけてあるため、一概に比較はできないが、オリジナル画像が19kBであるのに対して、右の「モザイク」画像は1kBしかない。つまり、情報量がおよそ1/20であるわけだ。それもそのはず、上の「モザイク」画像は実はオリジナル画像を単に縮小したものを拡大表示してみたものである。情報量が少なくなるのも当然だろう。
 

「モザイク」画像は実はオリジナル画像を単に縮小したものと同じ
オリジナル画像(GIF画像)
19kB
左の画像を
縮小したもの(GIF画像)
1kB
左の画像を
単に拡大表示したもの
1kB

 それでは、画像の情報量が減ってしまっている場合に、元の画像を復元することはできないのだろうか?いや、ハッキリと言えばヌード画像に対して「モザイク」がかけられてしまったとしたら、その「モザイク」の向こうのヌード画像を拝むことはできないのだろうか?

 それが実はできるのである。その証拠に巷には「AVモザイク消し器」というものが溢れている。また、そんな大層な機械でなくても、巷には「モザイク」の向こうを見通すノウハウという秘伝が伝えられている。例えば、私がリサーチした限りでは、

  1. TVの前に半透明のシートを張る
  2. 目を薄開きにして、TV画面を見る
というような秘伝がある。実は、「AVモザイク消し器」もそれらの秘伝も同じとある簡単を用いているのである。その簡単な原理により、「モザイク」の向こうのヌード画像を拝むことができるのである。

 その原理とは「オリジナルの画像の性質を考える」ことである。先のオリジナルのヌード画像をじっくり見ればわかると思うが、ヌード画像というものは割合滑らかである。マッチョなヌード画像ならばいざしらず、少なくとも女性のヌード画像は普通滑らかな画像であるわけだ。当然である。だとしたら、その性質をフル活用してやれば、「モザイク」の向こうのヌード画像を拝むことができるのである。

 もう少しわかりやすく言うと、こんな感じだ。まずは、滑らかなグレイスケールの画像に「モザイク」をかけてみよう。
 

オリジナルの画像に、
「モザイク」をかけた画像
オリジナル
上の画像に「モザイク」をかけたもの

 すると、元のオリジナル画像は極めて滑らかな画像であるのに、下の「モザイク」をかけた画像は「モザイク」のせいで滑らかでなくなってしまっている。だとすれば、「モザイク」画像を滑らかにしてやれば、元のオリジナル画像っぽくなるのではないだろうか?周囲の画像を考えながら、滑らかな画像にすれば良いのではないだろうか?具体的に言えば、注目画素の周囲で平均値などを計算してやればよいのだろう。つまり、「ボカシ」をかけてやれば良いのである。「ボカシ」をかけると画像はソフトで滑らかになる。「モザイク」をかけた画像が滑らかでなくなってしまっているのを、「ボカシ」をかけることで滑らかにして、元の画像っぽくしてやれば良いのだ。

 先の秘伝

  1. TVの前に半透明のシートを張る
  2. 目を薄開きにして、TV画面を見る
や「AVモザイク消し器」もどれもこの原理を使ったものである(多分)。TVの前に半透明のシートを張れば、当然TVの画面はボケるし、目を薄開きにしてTVを見れば、やはり「まつ毛」などでTV画像に「ぼかし」がかかる。近眼の人であれば、目を薄開きにするとむしろハッキリとTVが見えてしまうかもしれないが、そうでなければ普通は「ぼかし」がかかるだろう。

 例えば、上の「モザイク」画像にぼかしをかけたものを次に示してみよう。「モザイク」画像にぼかしをかけることで、元のオリジナル画像に極めて近い画像になっていることがわかると思う。
 

オリジナルの画像に、
モザイクをかけた画像、
そしてモザイク画像にぼかしをかけたもの
オリジナル
上の画像にモザイクをかけたもの
モザイク画像にぼかしをかけたもの

 これが、いわゆるひとつの「モザイク」の向こうのヌード画像を拝む秘訣なのである。試しに、先のとあるヌード画像に対して「モザイク」をかけた画像を「ぼかす」ことで「モザイク」の向こうのヌード画像を拝んでみたのが次の画像である。「モザイク」画像よりはオリジナル画像っぽいことがわかると思う。
 

とあるヌード画像に対して「モザイク」をかけた画像を「ぼかす」と...
オリジナルオリジナル画像に
モザイクをかけたもの
モザイク画像に
ぼかしをかけたもの

 さて、それでは逆にオリジナルに「ぼかし」をかけることでマズイ部分を隠すアノ画像処理をした場合はどうだろうか?この場合は「モザイク」の向こうのヌード画像を拝むことはできるだろうか?

 といっても、こちらは以前

で扱っているので、ここでは詳しく書かない。ぼけた画像は例えば、
  • ウィーナ・フィルタ
  • ハイパス・フィルタ
などのフィルタ演算を行うことで、何とか画像復元できる。WindowsでもMacでもフリーソフトでウィーナ・フィルタがかけられるものもあるようなので、試して頂ければ良いと思う。

 と書くだけでも何なので、試しに、Photoshopのカスタムフィルタで簡単な「ボカシ復元用フィルタ」を作成してみたものをここにおいておく。Photoshopユーザは試してみると面白いかもしれない。

このカスタムフィルタの内容はごく簡単なオペレータ演算で、次の図に示すようなオペレータ演算子を用いたフィルタである。
 
カスタムフィルタを使った簡単な「ボカシ復元用フィルタ」

 試しにこのカスタムフィルタを用いて、とあるヌード画像に対してかけられた「ぼかし」画像の向こうのヌード画像を拝んでみたのが次の例である。ちなみにここでの「ぼかし」はPhotoshopでガウス「ぼかし」の半径4ピクセルの設定でフィルタをかけてみたものだ。
 

とあるヌード画像に対してかけられた
「ぼかし」画像の向こうのヌード画像を拝んでみた
オリジナルオリジナル画像に
ぼかしをかけたもの
ぼかし画像に
先のカスタムフィルタをかけたもの

 こんな簡単なカスタムフィルタでもとあるヌード画像の「ボカシ画像」を鮮鋭化できて、その「ぼかし」の向こうのヌード画像を拝むことができることが判ると思う。

 実際に、私がネット上で膨大な数のエロ画像、いや違った「ボカシ」画像だ、を収集し試した結果ではかなりの割合の画像に対して、驚くべき効果を挙げることができた。本WEBに訪れるような方のほとんどには当然の知識だとは思うが、もしもこういった処理をかけたことのない方がいらっしゃれば、是非一回挑戦しみてもらいたい。特に素人ヌードの「ぼかし」画像がお薦めである(あくまで復元効果の大きさに関してだけど)。

 さて、ここまで書いてから言うのはどうかと思うのだが、以前

でも書いたように、私は「素晴らしい芸術は完全な自由の中では生まれない」と思っている。それと同じで、制限の中で表現する方が実は素晴らしいものができると思っているのである。それは、私服の女子高生には心ときめかないが、制服の女子高生には思わず目を惹かれるのと同じである。完全に何でもありの私服だと実はそう簡単に輝かないのだが、制限のかかっている制服だと何故かとても輝いてしまうのと同じだ。私などは、通っていた高校が制服がなかったため、思わず同級生に「セーラー服を着て来てくれぇ」とリクエストをしてしまったくらいである。あれ、何の話だっけ...

 そう、つまりわざわざ隠してある部分を眺めてみることは良いとは思わないのである。隠してあるものは、隠しておいたままにしておいた方が良いのではないか、と思うのである。

 そう言えば、先ほど「ミロのヴィーナス」の画像用に表紙を使わせて頂いた細野不二彦のギャラリーフェイクの中では、主人公藤田が、

「ミロのヴィーナスは腕が隠されているからこそ、人々の心を捉えたんじゃないですかね」
というようなことを言う。私も本当にそう思う。
 
    細野不二彦 ギャラリーフェイク
    林檎を持つ女神 より

 「ミロのヴィーナス」の存在しない腕を想像することで、現実には作りえない理想の姿を、その像を見る人々は感じることができるのだろう。隠してあるからこそ、良いのである。

 あまりに緻密に描写した弟子に「言い仰せて何がある」と言ったのは松尾芭蕉だったはずだ。想像する余地を残して、現実よりもさらに大きいものを表現した方が良い、ということである。私も本当にその通りだと思う。ある一部分だけを切り取ってその部分だけを見てみて、後は想像力におまかせというのが、私も表現としては一番良いと思うのである。もちろん、全ての人の想像力を越えるものを表現する力があるというならばともかく、そんなことができないのならばわざと一部分だけを表現するのが一番良いと思うのである。

 いや、だからって別に私が変な想像をしまくりってわけじゃないとは思うけど。かといって、私が想像力とか好奇心が少ない方かと言われると...うーん...
 

2000-09-02[n年前へ]

もうすぐ二歳の「できるかな?」 

初心に帰ってみましょうか?


  「できるかな?」が始まったのは二年近く前の秋のことだった。

でも触れたが、当初(実は今も続いているが)は某社内の某サーバー内でこっそりと始めてみたのだった。それから二年あまりでずいぶんと色々な話が増えた。某社サーバー内でしかアップしていない
  • プリンタドライバーは仮免
  • 続 電子写真プロセスを分数階微分で解いてみよう
  • 続々 電子写真プロセスを分数階微分で解いてみよう
等の外部未公開の話も含めれば、もうすぐ200回近くになる。そして、公開場所の変化もあってずいぶんと話の傾向も変わってきた。最近では「ここのところの話題は何か変じゃないですか?hirabayashiさんどうかしたんですか?」とか、「大丈夫?hirabayashiくん?」などと言われる始末である。

 そして話が増えてきたせいか、自分自身でも「アレッ、あの話はどこにあったけ?」というように迷ってしまうことが多々ある。迷うどころか、最後まで見つからないこともしばしばあるのだ。そして、それは私でもない他の人であればましてやそうだろう。というわけで、

では簡単にそれまでの話の紹介をしたし、ではhirax.net内の全文検索機能を付けてみた。

 今回は、これまでの話題をもう一度自分で読み直して、その中から「自分のお気に入り」を調べてみたいと思う。そして、最近少し話題が変になってしまっている反省をして、もう一度初心に帰ってみようと思うのだ。

 まずは、1998年の話題からいくと

というあたりが、良い感じだ。京都の風物詩である「鴨川カップル」達が人目を気にしながら寄り添う合う姿を考えてみたものだ。後の「恋の力学」シリーズなどはここらへんから始まっていた、といっても良いだろう。そしてこの頃の[Scraps]系の話題としては、がある。少し前に、この「さなえちゃん」を描いた漫画の作者からメールを頂いたのがとても私には印象深かった。

 そして、1999年の上半期から選んでみると、まずは

というところだろう。ハードディスクの情報を可視化することで情報圧縮・エントロピーを考えてみた一話である。そして、同じような「可視化シリーズ」の一つであるはこの後「感温液晶はどこで売っていますか?」という質問メールを多々頂くことになった。そして、[Scraps]系のが私の「お気に入り」でもある。ここら辺から「できるかな?」の中に全然技術的な話題でない物が登場し初めたような気がする。

 そして、1999年の下半期はもう自分で言うのも何だが傑作揃いである。大体、書いているペースが自分でも驚くくらいのハイペースだ。月当たりの話の数を数えてみると、

  •  7月 9話
  •  8月 9話
  •  9月 8話
  • 10月 8話
  • 11月 11話
  • 12月 9話
という感じでいやもうビックリしてしまう。平均すると三日に一話である。どうも、本業が忙しいとそれに比例して制作ペースが増加するという、「恐怖の睡眠時間減少の法則」が成り立つようだ。

 この頃の「お薦めの話」はいっぱいある。例えば、

に始まった「文章可視化シリーズ」や、で始まった「ASCIIアートシリーズ」だろう。から始まる「江戸五色不動シリーズ」は江戸にロケまで行ったので、とても思い出深い話の一つである。しかも、妙な偶然のせいでまるで小説の中に迷い込んだような気持ちになったものだ。

 そして、WEBページを作る上では

などもどうしても外せない。そして、この後結構続くことになるという「恋の力学」シリーズもこの時期に始まっている。そして、この頃の一番人気が何と言ってもだろう。この「ミニスカート」系の話の流れは以降も続くことになるのが自分では意外でもあり、残念でもある。それはさておき、ナンセンス系ではなんてのも面白い話だと思う。そして、1999年の終わりはやはりこれが「お気に入り」の話である。また、[Scraps]系の話がこの時期にはやたらいっぱいあるのが面白いところだ。その内からいくつかピックアップするとこんな感じだろうか? さて、2000年上半期にもなると、すいぶんとペースも内容も落ち着いてしまう。その中でも、「恋の力学」シリーズに夏目漱石をトッピングしてみたという辺りは「文学と科学が合体」した話で、自分の中では書いてて結構面白かった話である。そして、ナンセンス系のもクダラナイところところが外せないと思う。そして、この辺りで始まり未だ継続中のは最近の変な流れを予感させるのが哀しいところである。

 さて、今回は2000年上半期までの話の中から「私の好きな話」を振り返ってみた。とはいえ、私の好きな話=他の人の好きな話ではないようだし、他の話も適当に眺めて頂いたら良いかなぁ(私が)、と思うのだった。
 

2001-05-20[n年前へ]

オッパイ星人の力学 あなたのオッパイ星人度 編 

擬似オッパイに関するhiraxの関係式

 オッパイ星人シリーズも第六回である。いつの間にか、「片手」で数えられる回数を超えてしまった。前回の話では、大仏が差し出す「片手」も実は擬似オッパイの感触を楽しんでるのかもしれない、という結論だった。今回はそんな「時速60キロの風圧はおっぱいの感触か?」という問題の続きを少し違うアプローチで考えてみたい。そして、そもそもの出発点「時速60キロの風圧はおっぱいの感触か?」を考え直すとともに、前回の目的「そんな危ない擬似オッパイではなくて、青少年のためにもっと安全な疑似おっぱいを探す」ということについても考え直してみたいと思う。

 まずは、簡単な「あらすじ」を先に書いておこう。

 なんでも、テレビ番組の「めちゃめちゃイケてる!」の中で「時速60キロの風圧はオッパイの感触である」と言っていたらしい。そしてまた、人間そして愛について日夜取り組んでいる「性と愛研究所」の「おっぱいの感触と風圧に関する考察」中で、「時速60kmでは全然オッパイの感触ではなくて、ちょうど時速100kmを境に急にオッパイの感触を感じます。」というメールが紹介され、擬似オッパイの感触を受けるのは時速100km以上だと結論づけられている。前回、私自身も東名高速で出勤途中に確認してみた感じでは「時速100km/h」以上が妥当に思われた… と、その時は思われたのだが、先日またもや東名高速で出勤途中にふと実験し直してみると何か違うのである。「時速100km/h」では風圧が強すぎるのだ。「時速60km/h」でも「何やら十分イケてる感じ」に思えたのである。「オヤ?これは一体どういうことだ?」と私は疑問に思うと同時に、そういえば「時速60キロの風圧はオッパイの感触か?」という問題を長いこと放り出していたなぁ、久しぶりにアレをやってみるかぁ(遠い目)と思い筆を取る次第である。

 この前、

では車の窓から突き出した掌の指の形状を考えながら、その指の周りの空気流の計算してみた。もちろん、こういった形状的なアプローチも必要なのであるが、原理的なものを考えようとした場合にはそれはちょっと応用編すぎる。今回は単純な近似則を使って、「風圧はどの程度の大きさなのか?」「そして、その風圧の大きさはどの程度のオッパイの大きさなのか?」という風に考えていくことにしよう。
 

 まずは、下に示すのが単純な手と複雑な手だ。左が私の掌で、右が私の目標ドラえもんの掌である。私の掌は結構複雑な形状をしている。それに対して、ドラえもんの掌の方は極めて単純、球そのものである。もう、ツルツルの球そのまんまなのである。
 

複雑な手(左)と単純な手(右)
複雑な手
単純な手

複雑な私の掌の方は、さすがに複雑というだけあって掌の周りの空気流なんかを計算しようとすると、結構それは複雑だ。何しろ、前回は簡単な空気流の計算を行っただけでも出力ファイルは1ファイル当たり1Gバイト程になった位である。
しかし、右のようなドラえもんの単純な掌の場合はどうだろう?ツルツルの球そのまんまの掌は空気流により、どんな力を受けるだろうか?こちらの場合も計算は複雑なのだろうか?

 実は、このツルツルの球そのまんまの掌の場合はそれほど計算は難しくないのである。一般的に、速度vで動く半径rの球が受ける「空気の粘性により生じる抵抗力」はストークスの法則により、

  • 粘性抵抗
と表されることが知られている。ここで、ηは空気の粘性率である。標準状態の空気ではη=1.82x10^-5(kg/ms)である。式を眺めれば判るように、この粘性抵抗は球が動く速度vに比例した大きさになる。

 どうして粘性によって抵抗力が生じるかはまた別の回で考えることとして、とりあえず掌が受ける抵抗にはもうひとつ大きなものがある。それが、一般的に「慣性抵抗」と言われるものである。こちらの方は、掌が静止している空気の「いわゆる」速度を変化させることによる抗力であり、半径rの球に対しては近似的に、

  • 慣性抵抗
と表すことができる。Cdは物体の形状から定まる抵抗係数であり、ドラえもんの掌のようなツルツルの球の場合は0.5である。また、ρは空気の密度であり、1.29(kg/m^3)である。この慣性抵抗の大きさの方は球が動く速度vの二乗に比例する。

 ツルツルの球形状の掌の半径rは、私の掌を握りしめた時の大きさを参考にして0.1(m)としてみた。もちろん、このサイズではちょっとでかすぎるわけだが、実際の掌の形状はもっと複雑で空気抵抗が大きいことを考慮して、実際の掌の受ける力に近づけるために大きめに設定してみた。

  さて、掌を窓から出す車の速度を時速60km/hとか100km/hとかいった辺りで

という条件下で計算を行うと、粘性抵抗よりも慣性抵抗の方がはるかに大きく、掌の受ける力はほとんど慣性抵抗である。試しに、これらの数値を使って窓から出した(単純な)掌が受ける力を計算してみたのが次のグラフである。このグラフを見れば、窓から出した掌が受ける力が車の速度の二乗に比例していることが判ると思う。なお、ここで掌が受ける力の単位は(g重)に換算したものである。オッパイ星人の力学を考えるときの単位はkgでなくて、gの方が使いやすいのである。
 
窓から出した掌が受ける力 ( g重換算 )

 まずは、このグラフを見ると時速60kmでは掌に300g重位の力を受けていることが判るし、それが時速100km程度になれば大幅にその力は増えて800g重程度になる。掌にズシっと力を受けるわけである。

 さて、掌が受ける力が判ってしまえば、こっちのものだ。何しろ、こっちには懐かしのオッパイ星人の力学シリーズ第一回

で計算した「胸のカップ数とオッパイ一個あたりの重さ(g)」(もちろん、この「オッパイ一個あたりの重さ」の値はどうにもおかしいところがたくさんあるのだが、そこはそれ女性の神秘(トリック?)なのである)がある。これを使って、窓から出した掌が受ける力を比較してみることにしよう。
 
胸のカップ数とオッパイ一個あたりの重さ(g)

 この「オッパイ一個を持ち上げるときの掌が受ける重さの感覚」を「窓から出した掌が受ける力」と比較してみる。すると、窓から出した掌が感じる擬似オッパイがどの程度の大きさであるかが判ることになる。極めてバーチャルな擬似オッパイのカップサイズが判るわけである。

 というわけで、下に示したグラフが

  • 窓から出した掌が受ける力 ( g重換算 )
  • 胸のカップ数とオッパイ一個あたりの重さ(g)
を重ね合わせた「擬似オッパイに関するhiraxの関係グラフ」である。
 
窓から出した掌が受ける力 ( g重換算 )
胸のカップ数とオッパイ一個あたりの重さ(g)
を重ね合わせたもの

 おやっ、なかなか良い対応が見られるではないか!時速60km/hというと、C〜Dカップ位のオッパイの感覚で、時速100km/hだとFカップ位である。時速30kmでもA〜Bカップ位のオッパイを持ち上げる位の力を窓から出した掌は受けていることになる。

 ということは、各人の「擬似オッパイを感じる速度」が判れば、「その人が願うオッパイのサイズ」が判るのではないだろうか?そして、もし「その人の願うオッパイのサイズ」が結構大きければ、それはすなわちオッパイ星人度が高いということになるし、「その人の願うオッパイのサイズ」が小さければオッパイ星人度が低いということが判るわけである。

 例えば、先の「時速60kmでは全然オッパイの感触ではなくて、ちょうど時速100kmを境に急にオッパイの感触を感じます。」というメールの書き主の思うオッパイのサイズは何とFカップである、ということが判るわけだ。実際のところ、何が標準かどうかは判らないが、Fカップというのはかなりな巨乳に思えることであるし、このメールの書き手はとてもオッパイ星人度が高い、ということになる。
 
 

擬似オッパイ速度からみるあなたのオッパイ星人度

 ぜひ、あなたもこのグラフを片手に、走る車の窓から手を突き出し、掌に受ける擬似オッパイの感覚を確かめて欲しい、と思う。そして、「擬似オッパイの適正速度」を頼りにあなたのオッパイ星人度をチェックして欲しいのである。そして、その結果を是非私(jun@hirax.net)まで知らせて頂けたら幸いである。

 さて、前回「安全な擬似オッパイ」を探すべく考察をしてみたわけだが、実は考え直すべきは「人の願うオッパイのサイズ」であったのかもしれない。Eカップ巨乳を願うから時速100km/hが必要だったのであって、Cカップで満足すれば、時速60km/hで十分だったのである。そして、Aカップを願うならば、スクーターでもオッケーの時速30km/hでこと足りるのである。そう、実は車の窓から掌を突き出す擬似オッパイはとても安全なものだったのである。その本来安全な「車の窓から掌を突き出す擬似オッパイ」を危険たらしめていたのは、「高すぎるオッパイ星人度」だったのである。

 というわけで、交通安全、そして世界平和へ通じる道は、実はオッパイ星人度を低くしていくことにあるのかもしれない、と思う今日この頃なのであった。
 

2001-05-27[n年前へ]

「先生がノビ太だったら、私が先生のドラえもんになります。」 

 先週のLove Storyの中山美穂の台詞。まるで、プロポーズの言葉に聞こえるよなぁ。言われた方はドキドキしそうだなぁ。あれ、そ、そういえば、そんなことを言ってる私が…(以下略)
 これに対して、豊川悦司の「きみは、ぼくのドラえもんだ。」という台詞は届かずじまい、と。(リンク

2001-06-24[n年前へ]

今日の「愛の告白」 

 「私があなたのドラえもんになる、よりは判りやすいと思うぞ」 ストーリーはなんともはや、だけど…。



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