1999-09-20[n年前へ]
■深夜特急 '99
HIRAX発ロンドン行きWEBの旅
新しい情報を探しに
お笑いパソコン日誌 (http://www2s.biglobe.ne.jp/~chic/pilot.html )を見に行くと面白い情報があった。それは、
Webの分離度合いは19クリック分?である。
( http://www.zdnet.co.jp/news/9909/10/www.html)
内容のポイントは
- 「Nature誌の9月9日発行号の掲載された2つの研究が明らかにしているように,WorldWide Webは急速に,1つの有機生命体としての進化を遂げつつある。Webの成長のダイナミクスとトポロジは,物理学の世界のPowerLawとして知られている法則に従っている」
- 「ネットワーク内の2点間の平均最短経路,つまり“直径”を求めることができる。Web上に8億のドキュメントがあるという推定が正しいとすれば,無作為に抽出した2点間の平均“距離”は19リンクになる。」
そうであるならば、ぐずぐずしてはいられない。もちろん、WWW.HIRAX.NETをスタート地点として、WEBの旅を続け、ロンドン中央郵便局を目指すのだ。平均“距離”が19リンクなら案外と近いかもしれない。WEB上で19回位のヒッチハイクをすれば良いことだ。そして、旅の最終地点であるロンドン中央郵便局からメールを出すのだ。「ワレトウチャクセリ」、と。(何のことか判らない人は沢木耕太郎の「深夜特急」を読むべし。)
そう決めた私はビールを片手にユーラシア大陸横断の旅に出かけた。さぁ、右手の親指を突き出し、ヒッチハイクのポーズで(Libretto50だから)、WEBの旅のスタートだ。
0 http://www.hirax.net/もちろん、旅のスタート地点であるwww.hirax.netだ。ここのTopページからの数少ないリンクサイトからLaboFinderへ飛ぶ。1 LaboFinder http://www.labofinder.org/まずは、Linkページへ飛ぶ。2 http://www.labofinder.org/links/links_index.html会員のWEBへのLinkページへ行く。3 http://www.labofinder.org/links/links_member_index.htmlここから、でわとしかずさんの「ある化学者の屋根裏部屋」へ行こう。4 http://www.asahi-net.or.jp/~av4t-dw/index.html次は、化学系サイトへのリンクへ。5 http://www.asahi-net.or.jp/~av4t-dw/link2chem.htmlそして、University of Leeds (United Kingdom)だ。6 http://chem.leeds.ac.uk/default.htmlここのTravel Informationを選ぶ。7 http://www.chem.leeds.ac.uk/Travel.htmlBritish Airwaysへ行く。8 http://www.british-airways.com/もちろん、Traveller's Guide to Londonだ。9 http://www.british-airways.com/london/Resourcesを選んで、10 http://www.british-airways.com/london/resource/resource.shtmlLondon on the Webへ行く。11 http://www.british-airways.com/london/resource/links/links.shtmlThe London Tourist Boardへ行って、12 http://www.londontown.com/Mapsを選ぶ。13 http://www.londontown.com/maps/St.James Parkへ行って、14 http://www.londontown.com/maps/index3.phtml?grid=H7右へ一回移動して、15 http://www.londontown.com/maps/index3.phtml?grid=J7&letter=&street=&titlegif=こんどは上へ移動する。16 http://www.londontown.com/maps/index3.phtml?grid=J6&letter=&street=&titlegif=
さぁ、Trafalger Squareに到着だ。この横にロンドン中央郵便局はあるはずだ。
やっと、Trafalger Squareの近くのロンドン中央郵便局に辿りついた。えっ、単なる画像じゃないかって?まぁいいじゃないの。ここまで、結構時間がかかっているんだから...何しろユーラシア大陸を横断したんだから。それに真っ直ぐ辿りついたわけじゃないし...
それに16回のクリックで辿りついたのだから、最初の19回という予想にも結構近い。
トラファルガー広場をしばらく眺めた後、NotePCを抱えた私は郵便局員に聞いた(心の中で)。
「電子メールを出したいのですが?」すると、彼女(私の想像の中の郵便局員はもちろん女性だったのだ)は
「電子メールを出すのは郵便局からではありません。」と言った(心の中で)。
言われてみれば(心の中で)、電子メールは郵便局で出すのではなかったのだ。別にどこからでも出せるのだった。別にイギリスまで来る必要もなかったのだ。それならば、例えどこであっても私が決めればそこが旅の終点と決めた「ロンドン中央郵便局」だ。旅の終点の「ロンドン中央郵便局」の場所は私が決めれば良いことだったのだ。
何しろ、プロデューサーにゴールを決められているわけじゃないしね。
2000-01-13[n年前へ]
■WEBサイトの絆
WEBの世界を可視化しよう
目に見えないものを実感できるものにしようと思うことは多い。「直接感じることが出来ないものを感じられる形にする」という作業とその結果には非常にわくわくさせられる。それは、きっと私だけではないと思う。
目に見えないものは色々ある。可視化して見てみたいものは多々あるのだが、以前、
の時に扱った、WEBのトポロジーなどもその最たるものである。WEBページはもちろん目に見えるわけではあるが、それらがどう繋がっているか、すなわち、WEB[= クモの巣(状の物);織物 ]そのものは目には見えない。ネットワークという目に見えない世界でWEBサイト同士がどう繋がっているか、それは企業のWEBサイト同士であれば企業間の繋がりを示すかもしれないし、公的機関のWEBであれば公的機関内部の繋がりが見えてくるかもしれない。そして、個人WEBであれば、個人どうしの繋がりが見えてくるだろう。そして、さらに考えを進めるならば、それが「WEBの繋がりだ」と端的に言い切ってしまっても良いと思う。
そういう色々なWEBサイト同士が互いに結びつき合う、つまりWEBそのものを今回は可視化してみたい。その結果はきっと「WEBサイトの絆」を私に見せてくれるはずだ。
例えば、ファイルシステムを可視化するものであれば、
- xcruise( http://tanaka-www.cs.titech.ac.jp/~euske/index-j.html )
そして、今回の本題のWEBサイトのHyperlink構造を可視化するソフトウェアも、少し探しただけでも結構ある。例えば、
- Site Manager
- ( http://www.sgi.com/software/sitemgr.html )
- HyperLINKWWW Visualization/Navigation
- ( http://www.acl.lanl.gov/%7Ekeahey/c3/navigate/navigate.html )
しかし、よく調べていないので間違っているかもしれないが、この辺りのソフト(appleを除く)はWEBサイト内のリンクのみに限られるようである。それでは、今回の目的とは違う。何しろ、今回知りたいのはWEBサイト同士のリンクの度合いである。WEBのトポロジーなのである。
そこで、もう少し探してみる。すると、今回の目的にかなり近い情報が
- Web構造の把握 宮久地博臣 都立科学技術大学大学院 平成9年度修士論文
- ( http://home2.highway.ne.jp/miyakuji/shuron.html )
やり方はどうしたら良いだろうか?宮久地氏と同じようにWeb Robotを作成して、データを集めるのが理想的だろう。しかし、「perl入門」を昨日やっと買ったばかりの私にはとても難しそうである。いや、もしそんなことをしたらとんでもないことになるに違いない。
そこで、perlのlwp-rgetを用いて各WEBの内容をローカルのPC内にダウンロードした上で、勉強がてらperlで解析を行うことにした。と、思ったのだが、lwp-rgetが上手く動いてくれない。まだドキュメントをちゃんと読んでいないせいだろうか?何故か、ダウンロードの途中で終了してしまう。仕方がないので、急遽作戦を変更し、ダウンロード作業はlwp-rgetではなくてwgetを用いることにした。
行った手順は以下のようになる。
- 5つのWEBサイトを広いWEB内から適当に選択する
- 選んだ各WEBサイト内のファイルについて、相互のハイパーリンクを抽出し、その数を解析する
- その結果を可視化する
以下に、解析を行った結果、すなわちサイトA,B,C,D,Eの相互に対するリンク数を示す。
↓から→へのリンク数 | |||||
0 | 2 | 0 | 27 | ||
1 | 0 | 13 | 273 | ||
20 | 2 | 0 | 43 | ||
0 | 11 | 0 | 285 | ||
1 | 1 | 1 | 1 | ||
合計 | 22 | 14 | 3 | 14 | / |
サイトE「日記猿人」へのリンクがムチャクチャ多いのは投票ボタンという形で、他のサイトからリンクがなされているからである。
さて、上の表からではWEBの絆を実感できないので、「WEBの絆」を3次元空間に可視化するJavaアプレットを以下に張り付けておく。WEBサイトが5つあるので、それぞれのサイトをピラミッド構造(四角柱状)に配置した。
各WEBサイトの表示色は、
- A = 赤
- B = 緑
- C = 青
- D = 黄
- E = 灰
それぞれのサイトから伸びる直線の長さは、そのサイトから他のサイトへ向かうリンク数に比例したものにしている。また、直線の太さもリンク数に比例させている。また、それぞれのWEBサイトを示す立方体の大きさは自分へ向かうリンク数に比例させている。ただし、サイトEの大きさはあまりにも巨大なため、リンク数に比例したものにはなっていない。また、サイトE、すなわち「日記猿人」、へのリンクは省略し、全てサイトEからの直線リンクを表示するだけにした。
さぁ、WEBサイトの構造を自分の目でみて、そしてグリグリ動かして見てもらいたい。このグラフの操作方法は
- 操作 = 作用
- マウス左ボタンドラッグ = 回転
- シフトキー + 垂直ドラッグ = ズームイン・アウト
- シフトキー + 水平ドラッグ = 垂直軸についての回転
- コントロールキー + 垂直ドラッグ = 焦点距離の変更
- マウス右ボタン垂直ドラッグ = 部品除去
- "s"キー = ステレオ画像作成
Java表示が上手く動かない人のために、静止画も一応張り込んでおく。
どうだろう?この5つのWEB間のWEB構造から何が見えるだろうか?こういう解析を数多くのサイトに行うと非常に面白い結果が得られそうである。特に「日記猿人」のようなコミュニティーに対して行うと興味深い結果が得られるはずだ。
私のような「日記猿人」の日記はほとんど読まない(サイトAに関しては大ファンであるが)人間にとっても興味深いのであるから、関係者にとってはきっと...の筈だ。
さて、今回はテストのためにごく少数(5つ)のWEBの解析を行ってみた。いつか、こういった解析を広い範囲で行い、そして、時系列的な変化をも調べようと思う。銀河のvoid構造が観測され、可視化されたものを見たときもとてもわくわくしたものだが、WEBの構造・変化ならばどうだろうか?
不思議なことに、そういうことを考えていると、「新宿都庁」と「思い出横町」が頭の中に浮かんできてしまうのは何故だろうか?押井守の影響だろうか。謎である。
そして、こうも思う。WEBネットワークの中でWEBサイトは何を感じているのだろうか?これらのWEBサイトはもしかしたら孤独を感じているのだろうか、それとも繋がりを感じているのだろうか?あの時のページの中の一フレーズがその答えの一つなのかもしれない。
2000-12-29[n年前へ]
2010-10-24[n年前へ]
■押井守の「たまご」
(少女は“たまご”をかかえている。彼女は、たまごがかえって、鳥になると信じている)
“たまごは割ってみなければ、なかになにが入っているかわからない”
私の好きな(たとえば加納朋子の「掌の中の小鳥」のような)「掌の中にあるもの」とは違うテイストですが、この前後にある言葉を書き写しておきます。
「しかし、たまごを割ってみると、なにもない。これにとまどう人も多いと思うんですが」
「たまごは、言葉を変えていえば、夢とか希望だと思う。それは、今ここにはないもので、可能性として存在しているだけである。しかし、夢とか希望を信じているうちは、人は本当の現実には出あっていないのだと思う」
2010-10-25[n年前へ]
■飛行機もたまには眠りたい!?
水族館で「まるでベットの上で眠っているかのように、魚たちが休んでいる」ようすを眺めた夜、テレビを眺めていると羽田新国際ターミナル開港のニュースが取り上げられていました。そして、どのチャンネルでも、それと同時に格安航空会社の仕組みを解説していました。
テレビ画面に映し出される「飛行機が到着するやいなや、すぐに次の出発準備をし、時間を置かずまた飛び立って行くようす」を眺めていると、これは「ラブホテルの清掃バイトで、部屋の回転率を高めることが最重用視されていた」のと同じだなぁ、などとと思い、そしてまた、人も大変だけれども働き続ける飛行機も大変そうだな、と感じたのです。
そんな気持ちになり、ふと、停まっている飛行機が見える場所に行ってみると、飛行場にたたずむ飛行機の姿が、水槽の片隅で休む魚と瓜二つに見えてきました。大きな魚・小さな魚・・・じゃなかった、大きな飛行機や小さな飛行機たちが、ゴロリと横たわる胴体から小さなヒレ(翼)を伸ばし、そして、寝ているように見えるのです。魚と飛行機は、眺めれば眺めるほど、形がそっくりに見えてくるのです。
そう考えてみると、水も流体・空気も流体、魚も飛行機もどちらも同じ流体の中を自由に進む仲間のようなものです。ちょっとだけレイノルズ数が違う・・・そんな程度の差しかないのです。
そして、今は空を飛んでいる鳥たちだって、ほんの数億年前のことを思い出してみれば、水の中を泳いでいた魚だったわけです。そう考えれば、飛行機と魚がとても似ているのも当たり前、という気がしてきます。
羽田空港の新国際ターミナルは、浜松町から15分くらいとテレビで言っていたような気がします。空を飛ぶ魚が少し体を休めている姿を眺めに、ほんの少し足を伸ばしてみるのも、新鮮かもしれません。さて、冒頭右側に貼付けた画像は、飛行機が幻想的に魚に姿を変えるという押井守「迷宮物件」です。