2001-01-13[n年前へ]
■オッパイ星人の力学 第四回
バスト曲線方程式 編
先日、父から封書が届いた。二十一世紀にもなったというのに、e-mailでもなくて封書が届いたのである。これは、やはりアレだろうか。いい年にもなってるのに、クダラナイWEBサイトを立てているデキの悪い息子を厳しく叱るためだろうか?しかも、そのクダラナイWEBサイト(しかも、有害公式認定サイト)の名前が自分の名前(hirax)だったりするからだろうか?それとも、「本が出たなら送れ」とは言われても実は送りたくなかった「あの本」を、少し前に父に送ってしまったからだろうか?いや、それとも…そんなこんなでドキドキしながら封筒を開けると、記事のコピーが二つ入っていた。他には何も入っていないのである。一体これは何の記事だろう?と思いながらそのコピーを眺めてみた。すると、まずひとつは去年の12月25日付けの毎日新聞の科学欄である。二十一世紀を専門家達が予想した記事の横に「究める」というコーナーがあって、そこに「女性の胸と男性の好みの進化的関係は?」というインタビュー記事があった。そして、その記事が蛍光ペンでマーキングしてあったのである。
これは一体、どういうことなのだ?と頭の中がグルグル&複雑な気持ちになりながら、とりあえずその記事を読んでみた。すると、この記事がとても面白い。インタビュー中の
ヒトは異性をどう選ぶのか?そんな疑問から女性のバストと弾性の好みに進化的関係があるかを研究している。という東大大学院の東海林さんの語りもとても面白いし、バストサイズを5段階に変えた女性の合成写真を使い、男子学生300人にアンケートしたという実験とか、巨乳好きの性格が父から受け継いだものであるかを調べるために、父子間で性的好みが伝達されるかを調べる、などの話もとても面白い。最高である。(中略)小さいバストほど魅力的だと母に教えられて育った。しかし、大きいバストが好きな男性がいることに気付いて驚き、「なぜ」と考えたのが研究のきっかけだった。(中略)「大きいバストが本当に普遍的に好まれるかを知りたい。控えめなバストが淘汰されてしまうとは考えたくないから」と話す。
そして、父からの封筒に入っていたもう一つの記事は宇宙科学研究所の新聞の中の宇宙基地利用研究センターの黒谷氏の「Anti-Gravity」というエッセイだった。なんでも、Anti-Gravityという化粧品があって、
それは顔の皮膚のコラーゲンに皮膚がたるまないようにするというものらしい。顔の皮膚にハリをあたえて、顔のたるみを防ぐのである。顔の皮膚のたるみ元をたどれば重力のせいだから、「anti-gravity= 無重力」化粧品ということになるわけだ。じゃぁ、このAnti-Gravityを体中に塗れば、バストやヒップが垂れるという女性の悩みもなくなるのではないか、と「無重力における生物の専門家」である黒谷氏は書いていて、参考文献に本サイトが挙げられていたのである。
うむむ、世の中には巨乳の科学について進化論的に研究している人がいたり、オッパイの力学について考え(てみたりもす)る無重力生活の専門家もいるのだ。これはマズイ。油断している場合ではない。私もオッパイ星人研究をもっと真剣にしなければならない。父はきっと私に「研究の厳しさ」を教えようとしたに違いないのである。私の父はこれまでの「オッパイ星人の力学」を読んで、美味しんぼの海原雄山風に「うわあっはっ、こんなものでオッパイ星人の力学だとは笑止千万!」位のことを言ったに違いないのである。
しかし、それだけではない。「二十一世紀、小さいバスト、大きいバスト、無重力、皮膚、オッパイのたれ」というヒントを与えてくれたのである。ここまでされて何かを書かなくて何としよう。オッパイ星人研究の手は一瞬たりとも休めてはならぬのである。そこで今回は「皮膚のハリ」や「重力」を気にしながら、「オッパイのたるみ・形状」について考えてみることにした。
さて、一体バストの形状というものはどうなっているのだろう?これまでの「オッパイ星人の力学」では
- 半球モデル
- 円錐モデル
そしてもちろん、このモデルに対して不満を持つのは私だけではなくて「これらのモデルには私は納得できません。」というメールがたくさん送られてきた。それどころか、「本当のオッパイをあなたは知らないのではないですか?」という実に失礼?なメールさえ送られて来ていたのである。「それでは、参考までに本当のオッパイの資料でも送って頂けないでしょうか?」とは私は大人なので返事をしなかったが、ちゃんとしたモデルを作らないことにはこれからもそんなメールがまだまだ来るに違いないのだ。
というわけで、今回は新しいバストの形状モデルを提唱してみたい。それは「バストの内部は液体に満ちていて、その液体を外側の皮膚が支える」という
- 水風船バストモデル
こんなモデルに基づいて、バストの形状を計算するにはどのように考えれば良いだろうか?次の図が「水風船バストモデル」における内部の水と各皮膚部分にかかる力を示してみたものである。これはバストの断面をを鉛直方向に示しており、左の黒い鉛直線が胸板であり、赤い線がバストの形状を示すバスト曲線である。(ちなみに、今回はバストを二次元の断面でのみ考えている。)
赤い線がバストの形状を示すバスト曲線 |
「水風船バストモデル」における内部の水には重力がかかり、バストの下の方にいくほど圧力がかかっている。そして、皮膚に面している内部の水はその圧力を皮膚に伝える。そして、皮膚はその圧力で変形しながら水で満ちたバストを支えるのである。この時、バストの形状= 皮膚の形状を示すバスト曲線はどんな条件を満たしているだろうか?
ここで、胸板にそって下向きにY軸をとり、バスト曲線をB(Y)で表すことにしよう。上の図をよく眺めるとわかると思うのだが、バストの形状= 皮膚の形状を示すバスト曲線をB(y)とすると、バスト曲線B(y)は実はこんな方程式を満たす。
まぁ、ここでは簡単のために、係数を省略していたり、バストが本当に垂れてしまうような状況は考えていなかったりするので、ごく簡易的なバスト曲線方程式だと思って欲しい。大雑把に係数などを無視して、言葉で言ってしまえば、バスト曲線の傾きの変化はその点より上に位置するバストの重量に等しい、という感じである。自由境界におけるLaplaceの関係でも連想して頂ければわかりやすいだろうか?とにかく、この条件と適当な境界条件さえ入れてやれば、「水風船バストモデル」におけるバスト曲線B(y)は計算することができるのである。
さて、このバスト曲線方程式を一般化したり、係数をちゃんと計算したり、三次元に拡張したりということはまたいつか行うことにして、まずは適当にこのバスト曲線方程式を数値的に解いてみた。それが、例えば、次の図である。これが、「水風船バストモデル」のバストの形状の一例だ。
赤:すごくハリのあるヤングな皮膚の場合 |
この図の中でバスト形状のプロットが三種類あるのは「皮膚のハリ = 皮膚のヤング率」として三種類の値を使ってみたからだ。以前
の中でそう、もうお判りのはずだ。 「バストに関するヤング率」はまさにヤング率(Young率)なのである。実は年齢に比例する係数だったのだと書いたが、あれと同じである。今回は、年齢で変わっていくバストの皮膚のハリを「バストの皮膚のヤング率」とおいてみたのである。そういうわけで、皮膚のハリ= 皮膚のヤング率によってバストの形状は異なるわけだが、まずは眺めてみてもらいたい。以前のどうみても不自然な「半球バストモデル」等に較べて、ずっとましになっているとは思わないだろうか?特に、藍色・マゼンダのプロットなどかなり自然な形状になっていると思うのである。感受性の豊かなオッパイ星人であれば、必ずしやググッとくるハズである。
さすがに、メチャクチャ皮膚のハリがある赤色のプロットなどは松坂大輔もビックリの「超ロケット乳」になってしまっているが(といっても、この図のアスペクト比に意味はないんだけど)、今や時代は二十一世紀、宇宙へロケットで飛び出す時代だと思えば、こんな「超ロケット乳」を眺めるのもそれまた一興ではないだろうか。ぜひこの「超ロケット乳」には宇宙へ飛び出してもらいたいものである。
もちろん、世の中には「大きいことは良いことだ」という巨乳大好きオッパイ星人達もいるわけで、そんな人達のためにもう少し「大きいバスト」の場合で計算してみたものと並べて比較してみたのが次の図である。
個人の好みもあると思うが、けっこう自然な「巨乳形状」が再現できている。ちなみに、今回使用した簡易的なバスト曲線方程式ではすごく巨乳だったり、皮膚のハリが無さ過ぎてあまりにバストが垂れている場合の計算はできない。簡単に言えば、Yに対してバスト曲線B(Y)が一対一対応しないためである。が、それゆえに巨乳と言っても美乳の範囲のみ考えることができるのである。
また、この「小さいバスト」の場合と「大きいバスト」の場合の比較から、「巨乳は垂れるのよっ!だから、小さい方が良いのっ!」という世の小振りなバストの女性がよく言うセリフの妥当性も確認してみたいところではなるが、そういうことは何か危険なことであるような気もしてきたので、今回は止めておきたい。
ところで、今回の話はAnti-Gravityから話が始まっているわけだが、ちなみに「水風船バストモデル」は無重力下ではどのような形状をとるかと言えば、当然体積に対して表面積が最小となる「半球形状」になる。つまり、「半球バストモデル」は「水風船バストモデル」の重力を無視した特殊な場合であり、逆に言えば「水風船バストモデル」は「半球バストモデル」にバスト内部での重力の影響を加えて一般化したものだったのである。
今回は、とりあえず新たに「水風船バストモデル」を提唱し、そのモデルにおけるバスト曲線B(y)を解くための簡易的な方程式を考察し、それを数値的に試しに解いてみた。次回は今回行った考察を用いながら、少し違うアプローチで「オッパイ星人の力学」を考えてみたいと思う。
さて、今回の話のきっかけともなった黒谷氏らの書いた本「星と生き物たちの宇宙」は原稿のごく初期の段階で実は読ませてもらっていた。その時感想を聞かれたときは、この本はメールのやりとりで構成されているので、「なるべく著者達の私的な部分を消さないままにしておいた方が面白いんじゃないか」なんて適当なことを言っていたのだった。その著者達が書いたこの本のあとがきの言葉を最後に引用して、これからの「オッパイ星人の科学」への「戒め」と「言い訳」としておきたい、と思うのだった…
科学は応用を通じて実生活に関わり、知的追求というこころの喜びにも関わる二面を持っています...多くの人に、こころを喜ばせる科学を楽しんでもらいたいですね。 H.Hirax, A.Kurotani
2001-07-23[n年前へ]
■コピー防止機能付きCD
技術的関連で、「今日の必ずトクする一言」に期待しようっと。(リンク)
2001-10-12[n年前へ]
■富士ゼロックス、コピーで浮き出す隠し文字列を文書と同時印刷するソフトを発売
hirax.net版も近日発表のココロだぁ。(リンク)
2001-10-24[n年前へ]
■笑顔で作った一枚の写真
メルヘンなワタシとエロエロなワタシ
先日、「瞬間写真コレクション」という何とも楽しい遊びに参加してみた。2001年の10月の6日のある瞬間、同時に写真を撮ってみよう、という遊びである。このページに並べられている多くの写真を眺めていると、何故かワクワクしてくるのである。そこにキャッチコピーのように書かれている「道ですれ違う人はホントのホントにどこかで暮らしているのだろうか」というフレーズも何やらとても良い感じだ。
で、そんな遊びは眺めているだけでは面白くないので、自分でもそんなたくさんの写真が並べてみるような遊びをしてみることにした。というわけで、まずは下の写真を見てみよう。来年の1月からTRICK2の放映が決まった仲間由紀恵の写真である。現代のビーナスである。
さて、どう思われるだろうか?「仲間由紀恵って、オレは好きじゃないだけど」などと言う人がいれば、そんなアナタは間違っている。仲間由紀恵の良さが判らないヤツは間違ってる。心の底から間違っている。大体、ワタシは今そんなことを聞いているわけではないのだ。仲間由紀恵の良さは何をいまさら聞くような内容ではないのである。そんな輩は胸に手を当てて、もう一度自分の胸に問い直して欲しいのである。
となると、残りのほとんど大多数の見る目を持つ人々であれば、「仲間由紀恵って、やっぱり良いなぁ」と言うハズであって、さらにはこの写真をもう一度ばかり眺めた時には「何だかモザイクがかかったような感じ」と思うハズなのである。
そう、そんなあなた方はとても正しい。この仲間由紀恵の写真は実は小さな画像を寄せ集めたモザイク画なのである。この写真を拡大してみれば、それがよく判ると思う。念のため、右目部分を拡大したものを下の写真に示してみよう。たくさんの人達の「笑顔」がいっぱい並んでいることが判るはずだ。
以前、「色んな心を集めたアルバム」で、世界中から「何かのキーワード」に関連した画像を根こそぎ集めるソフトGuruguruImageを作成したが、GuruguruImageを使って世界中から集めた「笑顔」を敷き詰めて作ったモザイク画がこの仲間由紀恵というわけなのである。つまりは、この写真は「世界中の笑顔で作った仲間由紀恵」というわけだ。
もちろん、この素晴らしき仲間由紀恵のモザイク画像(ヘンな想像をする輩は即刻レッドカードのココロだ)は手作業でせっせと作ったわけではない。何しろ、この画像はほぼ一万枚の写真が敷き詰められているのである。いわば、一万ピースのジグゾーパズルなのだ。一秒につき一枚のペースで並べていったとしても、なんと三時間もかかるという大作なのである。めんどくさがりやのワタシがそんなものを作れるわけがない。そのためのテキトーなアプリケーションを仕立て上げただけなのである。
それがこれ、以前「9人の女神はピンク映画の夢を見るか?」で作成した色分布可視化ソフトMosaic(ニセモノ)にちょこちょこっとコードを書き加えて、読み込んだ多数の画像を並べて一枚のモザイク画像を作る機能を加えてみたHiraxNetMosaicMakerだ。モザイク・メーカーという名前でヘンなオプションを思い浮かべる人もいることだろうが、残念ながらこれは実にマトモなモザイク画を作成するプログラムである。
- hiraxnetmosaicmaker.lzh (692kB)
- 画像を
こっそりごっそり置いてあるフォルダーでLoadFolderを押して、画像を読み込む - Make Mapボタンを押して、色空間 - 使用画像の対応テーブルを作成する(画像の数に応じて、かなりの時間がかかるので、計算している間はコーヒーでも飲みに行くべし)
- モザイク画の元画像をLoad Imageボタンを押して読み込む。読み込んだ画像はアプリケーション下部のOriginalImageに表示される
- Make Imageを押せば、はいモザイク画像の出来上がり(アプリケーション下部のMosaicImage部)
また、つまらないTipsではあるが、きれいな出力を得ようと思う場合には、モザイク画像の元画像は「出力画像の階調を落とさないために」彩度を落とし、擬似輪郭を防ぐために少々ノイズを加えておくのがコツである。そして、出力されたモザイク画像の彩度を好みに応じて大きくするという処理をするのが良いと思う。
さて、上の画像は世界中の「笑顔」を集めて仲間由紀恵を描いてみたのだけれど、「心の色はどんな色?」で考えてみたように、色々なイメージにはそれぞれ独特の色々な色というものがある。例えば、前回考えた中では「笑顔」と「エロ」はけっこうかけ離れた色のイメージがあって、そのくせ「エロ」と「心」は結構近い色をしている、なんて結果になった。いや、別にワタシの「心」が「エロ」に近いと言っているのではなくて、世界中の心を集めると、それは結構色的には「エロ」のそれと近い、というだけの話である。
それでは、そんなそれぞれのイメージを並べてそれぞれ仲間由紀恵のモザイク画を作るとどうなるか、という疑問が当然のごとく湧くことだろう。というわけで試しに「心」をキーワードに集めてみた多数の画像と、「エロ」をキーワードに集めた画像とで仲間由紀恵を描いてみたのが下の二枚の写真である。
そう、「エロ」をキーワードに集めまくった画像で作った仲間由紀恵は、実に肌の辺りの滑らかさが素晴らしいのである。違いの判らない人には何の区別もできないかもしれないが、私には判る。なんと言うかエロチックというまでに妖しく素晴らしいのである。あぁ、素晴らしき哉仲間由紀恵のモザイク画像としか言いようがないのだ。もっとも、この仲間由紀恵をさらに拡大してゆくと、それはもう単にエロとしか言いようがない画像達がイヤでも目に入ってくるわけで、その拡大写真は残念ながらここでは見せられないのである。
とはいえ、ココロのこもった仲間由紀恵だって、肌の滑らかさには少しばかり欠けるけれど、十分に滑らかでキレイなのである。結局のところ、仲間由紀恵が良いのであって、別に「エロエロ」な仲間由紀恵だから良いと言ってるのではないということは強調しておこう。
という感じで、このHiraxNetMosaicMakerを使えば色々と遊ぶことができる。自分の写真をもとに「メルヘンなワタシ」と「エロエロなワタシ」を作ってみたりすることもできる(「エロエロなワタシ」の方がなんか生き生きとしているぞ、などと言うような輩は見る目を持たない人なのである)。また、前に作成した動画を静止画に展開するavi2stillと組み合わせれば、例えばドラマ「トリック」の色々なシーンを並べて仲間由紀恵のモザイク画を作ったりすることもできる。「お笑いパソコン日誌」で番宣のポスターという話題が出ていたが、こんな色々なシーンを並べたモザイク画なんて結構良いと思う。そして、きっと他にも色々な遊び方があることと思う。
さて、冒頭の「瞬間写真コレクション」では、色んな人たちが撮った写真が整然と並べられているのであって、何かの景色が意図的にモザイク画として表現されているわけではない。それは今回作ったようなモザイク画とは違う。
それでも、この瞬間写真コレクションのようなものを眺めている時だって、何やら一つ、あるいは、たくさんの景色が心の中にやはり同じように浮かび上がってくる。だから、もしかしたら先の「道ですれ違う人はホントのホントにどこかで暮らしているのだろうか」ということの答えは、そのたくさんの写真の中に確かに写っていて、たくさんの写真から浮かび上がってくる景色はその答えを素直に描いたものであるようにも思ったりするのである。