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2009-08-05[n年前へ]

西原理恵子の愚直さ 

 西原理恵子のエッセイ、マンガを読んでいると、何度か・何度も、野村昭嘉さんのことが、ひっそり書かれ・描かれています。

 彼だけは、その日暮らしの生活を送りながら、完成度の高い絵を描き続けていました。…それなのに、彼の絵は売れませんでした。

西原理恵子 「怒涛の虫」

 たとえば、「怒濤の虫 」でも、「できるかなクアトロ 」でも・・・。そんな西原理恵子を表現した市川真人/前田塁の言葉です(「ユリイカ2006年7月号 特集*西原理恵子 」)。

 そこにこそ、数多の日常漫画の饐(す)えたスポイルぶりとはまるで違って西原理恵子という書き手とその作品が読み手に与えてくれる、根底的な(あるいは根底にしかない)信頼感の、最大の根拠があるはずだ。それを「倫理」と読んでもいい。どれほどメジャーになり 、膨大な額を稼いでなお飽きぬのだと嘯(うそぶ)かれても、私(たち)が西原理恵子の批評性を信じつづけることができるのは、そうした倫理の愚直さが失われようはずもないからである。