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2008-12-19[n年前へ]
■クロスロード
新海誠 「手の届かない誰かを見ているあなたに」 asta 2009/1
「私はそこはかとなく悲しい」という主人公の独白から、濱野京子の小説『トーキョー・クロスロード (teens’best selections)』は始まる。
五反田、日暮里、神田、浜松町。栞と耕也は、デートとも探索ともつかぬ東京巡りをぎこちなく続ける。文章を追っているうちに、東京の色と音と匂いが鮮やかに蘇ってくる。そうだ、東京は確かにこういう街だった。そして、自分もかつてこのように誰かを好きになっていた、ということを続けて思い出すのだ。
東京で、もちろんそれ以外のあらゆる街で、そういう思いを抱えた人々がクロスロードを歩いている。だから街はこんなにも美しく見えるのだと、この小説は教えてくれる。