hirax.net::Logos::2009-04-29

2009-04-29[n年前へ]

癒しとしての「村上春樹の魅力的な謎」 

 清水良典 「村上春樹はくせになる (朝日新書) 」より。

 現代を生きる私たちは多かれ少なかれ、誰もが生きにくさや不安を抱えている。なかなか外へは出せないそういう心の素の部分に、彼の小説の謎めいた言葉やエピソードはとても深いところまでストレートに届くのである。私たちの心の奥じたいが、謎めいた迷宮だからだ。謎の答えは、より魅力的な謎でしか答えられないものではないかと思う。たとえば禅問答にもそういうところがある。

p.210 「アフターダーク」