2007年へ/ 2008年へ/ 2009年へ/ 2010年へ/ 2011年へ/ 2012年へ/
2009-01-19[n年前へ]
■最も失敗した作品の中で・・・
久世 光彦 「美の死―ぼくの感傷的読書」
<<向田邦子は、小説のなかで、虚構をかりてありのままの自己を語ろうとしたが、それは不可能、すくなくとも非常に困難であることが、書きはじめてすぐにわかった。二十編ほどの小説の多くは、こざかしいだけで底の浅いものである。成功した作もあるが、それは自己を語ったものではない。むしろ向田邦子は、最も失敗した作のなかで血をしたたらせている。 (高島俊男 「メルヘン誕生―向田邦子をさがして」)>>
慧眼である。
向田邦子の言葉と言葉と文章についての本は、これ一冊あればいい。そして、もうこれ以上なくていいと思う。